スターミー(?)に狙われてる一般ガラル野郎日録   作:メガブリムオン

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サーナイトよりブリムオン派


5+α

 

 

 

△月■日

 

 

 ようやく、倉庫も新しくなり申請していた通りシャッター以外に裏口という新たな逃走手段を確保した。あん時はドーパミンどばどばで感じなかったけど、思い返してみれば恐怖体験だったのでホントよかったよ。

 

 つーか、またクエーサー社がまたワイルドゾーン増やしてたんですけど………多分アレのせいでミアレ移住者増えてるし、変なやつ増えてきたんだぞ?なんだっけ?ミアレを守る会だの、この街にはお星様がいるとかいう陰謀論者みたいな事を言う奴、何故か遥か遠い地の伝承を話しまくる奴……書き出したらキリがないよホント。

 

 前にマスカットさんにその事について苦情を言った時、マジで申し訳なさそうにしてたとこからただならぬ事情を察して我慢してたけど、そろそろ我が会社は新しい人員を派遣して欲しい……

 

 

 てか最近ジョーヌ広場に"ジャスティスの会"とかいう団体が出来たらしい。

 聞けばワイルドゾーン撤廃を掲げているそうで、多分何かしらの抗議活動でもしてる団体なんだろう。

 見学者も募集してるらしいし、今度の休みに行ってみようかな。

 

 

 

 

 

 

◇月〇日

 

 

 

 ちゃんと自分で調べることの大切さについて学んだ。噂とかに振り回らせてたらダメだね。

 

 

 なんだよ力こそジャスティスって………広場に向かったら周りに道着を着てる人しかいない時点で何かを察しなかった俺も悪いとは思ったよ?でもさいきなり、組手とかやらされるのはおかしくない?

 

 しかも男性が代表のシローくんだけだったせいで、ずっとその子と組手してたけど、アホみたいに強くてボコさられた。

 あの強さはマスタードお爺ちゃんを思い出すけど、シロー君に関してはゴーリキーがイケメンの皮でも被ってるんじゃないのか?

 

 結局、組手では勝てなかったけど、ポケモンバトルでならこっちの方が強かった。さんきゅーアーマーガア。

 

 あんなに醜態を晒したのに帰り際、是非入門してくださいと言い寄られたけど、一旦保留にしてもらった。

 休みの度に身体を痛めるのは割に合わないんだもん。

 

 

 

 

 

◇月△日

 

 

 全くスターミー(?)が見つからない。あんなに追いかけまわされてたのに気づいたら、立場が逆転してて笑えてくる。

 

 ミアレに来てから凡そ一年と半年。街の地形にも慣れてきたつもりなのだが、あいつがいそうな位置がどうしても分からないのだ。

 

 最近はしらみ潰しに飛び回ってるが、どうにも手詰まり感が強くなってきて、ふとここで妙案が浮かんだ。

 自分で探してダメなら、探すのが仕事の人に頼めばいいじゃないか、ってやつである。

 

 頭に思い浮かんだのがあのマチエール探偵だったので、軽く相談してみたんだが意外なことに彼女は食いつき、提示された調査費用も思ってたよりずっと安いのでお願いすることに。

 

 とりあえず俺の知りうる情報だけ伝えて、あとは彼女からの連絡待ち。すぐ何か分かるとも思ってないし、正直、半分くらいは気休めだ。

 

 後さ、スターミー(?)の特徴を言う度に皆怪訝そうな顔をするんだけど、一番嘘だろって思ってるのは俺自身だからね?

 

 

 

 

◇月□日

 

 

 なんかもう手がかりが見つかったって連絡来たんだけど、早くない? 昨日今日だぞ?

 

 マチエール探偵曰く、それっぽい目撃情報がブルー地区の10番地付近であったそうで、本当はマチエール探偵自身が現場を確認したいらしいんだが、最近は別件が立て込んでいて長時間の見張りが出来ないそうだ。その代わり、周辺の聞き込みはもう少し続けてくれるらしい。

 

 

 正直、俺がここ数週間かけて探し回っても何も掴めなかったのに、目撃情報ひとつで場所が絞れるのは複雑な気分ではあるけど候補が出た以上、何もしない理由はない。

 

 俺も俺で()()が完了したし、明日、仕事が終わったらそのままブルー地区に向かってみることにする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ブルー地区は、地下水道が張り巡らされている関係からか、やたらと水路が多いように思える。

 

 

「よっと、ありがとアーマーガア」

『ガァ』

 

 10番地付近に降り立ちボールをかざすと、赤い光がアーマーガアを包み込み、その巨体は静かにモンスターボールへと戻っていった。

 

 

 俺は持ってきた風呂敷を肩に引っかけ直し、水路沿いの道を歩き始めた。靴音と、水の流れる音だけがやけに大きく聞こえる。

 

 辺りは静かで、人の通りもまばら。水路沿いのせいか、空気が少し冷えている。そうして少し歩き回っていると、水の流れる音とは別の気配に気づいた。

 

 

「あっ」

 

 ぐるりと囲まれた小さな広場のような場所。そこに何かが体育座りで座っている。薄紫色で星形の輪郭──見間違えるはずもない。

 

 俺が探していたストーカースターミー(?)だった。

 

 

 

『ヘアッ!?』

「やっと見つけたぞ!っておいおい、前はあんなに俺のこと見てたのに逃げようとすんなって………」

 

 慌てた様子で立ち上がろうとするスターミー(?)に向けて、俺は慌てて両手を上げた。

 

 

「待て待て、別に捕まえに来たわけじゃない。ちょっと話がしたかっただけだって」

 

 じり、と一歩近づくと、あいつはびくっと肩を…いや、棘のような部分を震わせて、さらに身を縮めた。

 俺は小さくため息をついて、肩にかけていた風呂敷を地面に下ろした。

 

 

「ほら、これ。前にさ、お前をフレア団から助けてくれただろ?そのお礼っていうか……」

 

 返事はない。

 ただ、こちらをじっと見ている。逃げる気配はあるのに、決定的な一歩が踏み出せない、そんな感じだ。

 

 

「俺特製、ヴルストカレーだ。味はリザードン級を保証出来る自慢の逸品だぜ。なんか不安なら俺も一緒に食べるから────」

 

 その瞬間だった。

 

 

『……ッ、ヘ、ヘァ……!?』

 

 スターミー(?)の体が、びくりと大きく跳ねた。

 中心部から、赤紫色のもやのようなものが、ぶわっと噴き出す。

 

 

「……は?」

 

 次の瞬間、スターミー(?)はふらりと立ち上がった。

 いや、立ち上がったというより、無理やり引き起こされたみたいな動きだった。

 

 

『ヘァ……ッ、ヘァァ……!!』

 

 赤紫のもやは収まるどころか、脈打つように濃くなっていく。

 

 

「そ、そんなにカレーが嫌いなの…か?」

 

 そう声をかけた直後だった。

 水を弾く音と同時に、スターミー(?)の体が一気に跳ねる。

 

 

「っ、危なっ!」

 

 反射的に地面を蹴って横に転がる。

 さっきまで俺が立っていた場所を、星型の胴体から伸びた、異様な脚が地面を踏み抜く。いや、踏み込みというより、叩きつけだ。

 

 俺がさっきまで立っていた場所の石畳が、鈍い音を立てて沈み、水しぶきが跳ね上がる。間一髪で身を投げ出し、転がるように距離を取る。

 

 

『ヘアッッ!』

「えっぐいなオイ……!」

 

 脚は引き抜かれ、次の一歩がまた無造作に振り下ろされる。

 狙いは雑で、動きも荒い。ただ力だけがやたらと強い。

 

 

「こいつ、暴走……してる、のか?」

 

 その瞬間、嫌な記憶が脳裏をよぎった。

 ガラルを襲った災害、ブラックナイト。街のポケモンたちが強制的にダイマックスさせられ暴れ回る姿。酷く藻掻くように苦しんで、自分の意志とは関係なく、身体だけが命令されているような、あの感じと似ている。

 

 これは敵意じゃない。スターミー(?)自身が、どういう訳か制御を失ってるのだ。

 

 

( ……やばいな。なんか話をするどころの状況じゃ、完全になくなってきたんですけど…それにこの手のアレは時間かけると、地域住民の方々にヘイトが向きかねない)

 

 

 ……考えてる暇はない。

 赤紫のもやを纏ったまま、スターミー(?)はまた脚を振り上げていた。

 次の踏み込みが来れば、ここがどうなるか分からない。

 俺は腰に手をやり、モンスターボールを強く握りしめた。

 

 

(俺が、止めるしかないか)

 

 正直、相手の強さは分かってる。

 この間のフレア団の件で、あいつがどれだけ無茶な動きをしてたか、誰が俺の倉庫をめちゃくちゃにしたのか、どれだけ異常な力を出してたか──一番近くで見てたのは、他でもない俺だ。

 まともにやり合えば、無事じゃ済まない。

 下手をすれば、こっちが先に潰される。

 それでも。

 

 

『ヘアァァァッ!』

(だからって、放っとくわけにもいかねぇよな)

 

 暴走したままじゃ、いずれ誰かを巻き込む。それだけは、絶対にさせたくなかった。

 スターミー(?)の体制が、ふらつきながらもこちらに向く。赤紫のもやが、さらに濃く揺れる。それに対して俺は一度、深く息を吸い込み、そして吐いた。

 

 

「……ゴメンな。ちょっと大人しくしてもらう」

 

 言葉が届くとは思っていない。

 それでも、そう言わずにはいられなかった。

 俺は手の中のモンスターボールを一度、軽く握り直した。

 

 足元の水路を避けるように半身になり、低く構える。俺は身体をひねり、地面すれすれから腕を振り抜く。

 

 水面を切るように、モンスターボールが低い軌道で飛んだ。赤紫のもやを纏ったスターミー(?)の足元で、ボールが弾ける。

 赤い光が弾け、空気が一瞬、熱を帯びた。

 

 

「頼む──!」

 

 光の中から飛び出したのは、燃えるような羽根を広げた影。

 

 

「ファイアロー!」

『ピィィィッ!』

 

 鋭い鳴き声と同時に、熱風が水路の空気を押し流す。

 羽ばたきだけで、周囲の水面がざわりと波立った。

 熱を孕んだ風が、水路の湿った空気を押し退ける。

 

 

「さてと、やるか」

『ヘアァァァァァッ!!!!!』

 

 赤紫のもやが揺れ、ファイアローの羽が熱を孕んで広がる。静かな水音の中で、時間だけが、やけに重く流れていた。






メモ

主人公:手持ちはアーマーガアを含めて5匹。よろいじまで修行した経験あり。ガラル空手を嗜んだことがある。ボールの投法はサブマリン(ネズと同じ投げ方をイメージ)

スターミー(?):暴走メガシンカ状態をずっと維持している。戦闘場所は本編で戦った場所をイメージ。

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