帰省により執筆の時間がほとんど確保できなかったので、今回は少し短めです。
「アヤネちゃん! 落ち着いて速やかに証拠を隠す場所を探すわよ! 体育倉庫にシャベルとツルハシがあるから、それを...!」
張り詰めた声で指示を飛ばすセリカ。その視線は、シロコが担いでいる
「セリカちゃん...? それはちょっと焦りすぎな気が...」
アヤネが苦笑いを浮かべながら言うと、シロコは突然担いでいた大人をドアの壁面に降ろし、
淡々と否定の言葉を述べ始めた。
「...いや、普通に生きてる大人だから。うちの学校に用があるんだって」
「あら、そうなのですか...?」
ノノミの言葉を初めに、部室の空気が固まる。
「えっ? 死体とかじゃ、なかったんですか....?」
恐る恐る尋ねるアヤネに、セリカが信じられないものを見る目でシロコを見た。
「用って...つまり拉致でもなくて、ただの砂まみれのお客さん?」
「砂まみれはともかく、そうみたい...」
短いやり取りの後、ドアに背中を預けていた大人がゆっくりと上体を起こした。
「...ここ、は...あっ、初めまして! 君たちがアビドス高等学校の生徒たちだよね?」
明るく、突然に、場違いなほど落ち着いた声。
ノノミはこの空気を察したのか、表情を和らげて両手を合わせる。
「わぁ、びっくりしました! お客さんがいらっしゃるなんて、とっても久しぶりですね」
「そ、それもそうですね...でも来客の予定ってありましたっけ...」
戸惑いを隠せないアヤネに、女性は胸を張って名乗った。
「シャーレの顧問をやらせてもらってる▓▓です!気軽に
「...え、えぇっ!? まさか!?」
驚きのあまりに目を見開くアヤネ。
セリカも思わず声を上げる。
「連邦調査部シャーレの先生!?」
「わあ☆ 支援要請が受理されたのですね! 良かったですね、アヤネちゃん!」
ノノミの言葉に、アヤネの顔が一気に明るくなる。
「はい! 先輩の言う通り、手紙を書いて正解でした!」
束の間の喜びを、シロコが静かに断ち切った。
「...待って。助言をした張本人の英一先輩はどこにいるの?」
「副委員長ならそこに...って、居ない!?」
セリカが振り返った瞬間、部室の扉がきしむ音を立てて開いた。
「英一については、おじさんから説明するよ~」
愛銃を片手に緩く持ち、間延びした口調、おじさんという独特な一人称を使う少女──小鳥遊ホシノ。
「君は...?」
「ホシノ先輩!? ついに自分から起き...って、英一先輩は結局どこなの!?」
先生の問いかけを打ち消すかのようにセリカが声を上げた。
「ん〜 それは──」
ホシノが頰を指先で掻きながら答えようとした、その直後。
火薬が連続して破裂する音が校舎全体を震わせる。
壁に掛けられた備品が小刻みに揺れ、砂埃が天井から舞い落ちた。
「わわっ!? 武装集団が学校に接近しています! カタカタヘルメット団のようです!」
アヤネの報告に、シロコの視線が一気に鋭くなる。
「あいつら...! 性懲りもなく!」
「なにぃ~? おちおち説明もできないじゃないかぁ~ ヘルメット団め~」
軽口の裏で、ホシノはすでに状況を把握していた。
「英一先輩はどのみち《今は戦えない》状態だし、とりあえず迎撃しよう。先生、弾薬と補給品はある?」
「あるよ、今出すね」
シロコの言葉に応じた先生が手元の端末を操作すると、部室の卓上にある
それを
「おぉ〜! こんなに用意してもらって悪いね〜先生...それじゃ、弾薬を補給して...ぼちぼち行ってみようか~」
『お〜!!』
迫り来る銃声を押し退けるために、アビドス廃校対策委員会は戦場へと向かうのだった。
*
開戦直前、といった時だろうか。
たった一人を除いた対策委員会と名乗った面々が次々と校庭に向かう中、私だけが
「...ここは、ホシノ先輩がいつも昼寝をしてる場所」
「そうなんだ...見た感じ、元々は授業の為の教室だったんだね」
「ん...」
自分の前方にて手を引いていた筈のシロコ。
だが、部屋の奥に入ったと視界が認識した直後に、
彼女の声が後ろから聞こえた。
「じゃあ、先生は戦闘が終わるまでここで待ってて」
「えっ、ちょっシロコちゃん!?」
すぐさま振り返り、シロコに駆け寄ろうとするが、すでに遅かった。
「一応、鍵はかけたけど...壊したら弁償」
「待って! 私にも手伝えることが、あると思うんだけ、ど...」
彼女の持つ大きな耳、そして整った顔は一度も揺れず崩れずで、
数秒後に残ったのは鍵が閉められた教室、そして私だけだった。
──数秒後、反響が抑えられたような銃声が教室に響く。
「...っ」
反射的に言葉を言いかけ、止める。
ふと、シロコが預かっていてくれた端末を、
返された時に仕舞った場所である懐から取り出す。
「...▓▓▓、起きてる?」
返事はない。
直後、頭に浮かんだ一文を見て、頬が赤く染まる。
「電池切れてる...」
その赤さが、
恥ずかしさから来たものなのか、怒りから来たものなのか。
どちらかと言えば、きっと──両方を含んでいただろう。
──それでも、そうであっても。
「...放っておけない」
自分の発言の意味、そしてその重さを噛み締める。
だが気づいた時には、手に持っていた
持ち得る限りの、
追記:
シッテムの箱の充電の時系列が滅茶苦茶になっていたので修正しました。
最強孤高の青い春について
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