ボクが目を開けると目の前には白亜の巨塔がそびえたっていた。
正確に言えばフェンスの向こう側であったがその見事な白さはまるでこの世のものとは思えないほどであった。
しばらくその風景眺めた後、ボクはスマホを取り出そうと右手で上着のポケット探ろうとした。
けれど、探すことは出来なかった。
「あれ?」
そもそも自分の服にはポケットがなかった。
目を落すと少しだけ膨らんだ胸にさらしがまかれ水色を基調とした布がそれを隠すように交差している。腰の辺りには深い青色の帯が巻かれており左側には一振りの日本刀が差してある。要するに江戸時代の侍みたいに着物を着て帯刀している。
「それに、」
声にも違和感がある。ボクってこんなに高い声をしていただろうか。もっと低い声だった気がする。そっと首に触れる。
「出っ張りがなくて、滑らかだ。」
その声も聴き成れた低い声ではなく少女のそれであった。
「鏡でもあれば確認できるのだけれど……。」
生憎、今ボクが持っているものは日本刀だけだ。
「……。」
そもそも、何でボクはこんな格好をして日本刀を下げているのだろう。
というかここはどこだ?
周りは先ほどまで眺めていた白亜の巨塔とどうやっても登れそうにないフェンス、あとは寂れた家が所狭しと並んでいるだけで人の気配はあるものの姿は見えない。
いや、
キンっと金属同士がぶつかり合う音があたりに響く。
「!?」
「っはぁ。」
冷たく白い息を吐きだす。ボクの細い右手には日本刀が握られており襲撃者のナイフを抑えていた。
ボク自信少し驚いたけれどそのまま打ち払うように力を込めると襲撃者は後ろに飛んで距離を取る。
襲撃者が距離を取ったところでボクは改めて両手で日本刀を構える。
そのまま、地面蹴って襲撃者との距離を詰める。
襲撃者はギリギリのところで自信とボクの日本刀の間にナイフを入り込ませ防御姿勢をとる。が、 再びキンっと甲高い音が響く。
その音ともに襲撃者の持ったナイフは宙へと舞い上がりやがて地面へと落ちる。 ボクは振り上げた刀を振り下ろし襲撃者の頭蓋を砕き両断する。
「あまり見ていても気持ちのいい物じゃないな。」
ボクは刀を払い付いていた脳髄やら血やらを落とす。
(❄)
仲間が一人やられた。
そこで初めてアイツは俺たちネズミが相手にできるようなやつじゃないことに気付いた。 女は持っている刀を払うと「今度はお前だ」というようにその赤い目で俺を見る。
その隙を狙ってもう一人の仲間が廃屋から飛び出してナイフを突き出すが女は見透かしていようで今度は横薙ぎで真っ二つにする。
第一おかしかった。
その女は突然その場所に現れた。
姿だけは黒雲会に似ていたがこの都市の路地裏で埃一つなく、血の匂いすらしない。
今はもう別だが。
その肌は雪のように白く青白い刺青がヒビのようにその肌を傷つけているように見えた。
女は再び血を払うとゆっくりとこちらへ近づいてくる。
妙に綺麗な格好をしていたので売ればそれなりの金になるだろうと考えた。
三人で襲えば勝てるだろうと思ったのだが残念ながらそうは行かなかった。
「聞きたい事があるのだけれど。」
気づいた時には女の持つ刀が俺の首筋に突きつけられていた。
(❄)
男は持っているナイフをゆっくりと地面に置く。
「別に殺そうとか思ってないからそんなに警戒しなくたっていいよ。」
ボクはそう言いつつも念の為に男が持っていたナイフを足で払いのける。
「ここはどこ?」
まずは現在地の確認だ。大体察せてはいるけれどまだこの世界が地球である可能性はある…と信じたい。
「……14区の裏路地だ。」
……………………はーん。
「なら、ここは墨田区あたりということかな。確か、選挙だとあそこ14区あたりだったはず。となるとさっき見た塔はスカイツリーということか。ボク、スカイツリーを見た事がないから知らないけれど。」
「?」
ボクがぶつぶつ呟いている間、男の頭にはハテナマークが浮いていた。
……いい加減現実を見よう。
「はぁ。」
ボクは一つ溜息をつく。その息は白く、仄かに冷たかった。
彼の言うことが本当ならこの世界はProjectMoonの世界なのだろう。
どうやら、あの夢は本当だったようだ。
ProjectMoon。韓国にあるインディーゲームスタジオで2025年までにLobotomy Corporation、Library of Ruina、Limbus Companyの三つのゲーム開発している。
ボクも三作品ともプレイ済みだ。(実装の都合上、Limbus Companyは8.5章で止まっているけれど。)
どのゲームも同じ世界を舞台にしており基本はディストピア。暴力は当然としてカニバリズムや殺人も日常茶飯事だ。
そんな世界の舞台の名前が都市。
26の区に分かれておりそれぞれ翼と呼ばれる大企業が治めている。
中でもA、B、Cの三企業は頭と呼ばれ実質的なこの世界における政府である。
14区はN社が管轄している。
また、区の中も巣と裏路地に分かれ巣は翼の保護は受けられるが裏路地はさっきも説明した通りのディストピア世界。
更に裏路地の午前3時13分から午前4時34分は裏路地の夜と呼ばれどこからともなく掃除屋と呼ばれる怪物が死体は勿論、生きている人間でも文字通り【掃除】する。建物の中にいなければただじゃすまない。
ボクは一通り頭の中で状況を整理して放置していた男(日本刀は突き付けていたけれど)に頼み事をする。
「とりあえず、君の拠点に案内してくれないかな?」
公式設定とかと矛盾があったら教えてください。
なんかこっからの軌道修正は無理だなとか思わない限り修正されます。
修正されなかったら独自解釈ってことにしてください。