恋愛モンスターとカエル型宇宙人   作:ゴランド

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今週の金曜日!今週の金曜日にケロロ新劇場版上映ですよ皆さん!



第十二話 フードファイトフェスティバル開幕

 

【ペコポン滞在日誌✳︎日目】

なんか朝早くから先輩達に呼ばれた。こっちは昨日の騒動でトラウマを刺激されたので、めっっっっっっちゃ行きたくない。でも羽々里殿みたいに駄々を捏ねられると面倒なの渋々行く事にした。

もう目の前でハルマゲドン見たくないなぁ……。

 

 

 ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎

 

 

「と、言うわけで!前回の我々は常人よりも彼女への愛情が強い恋太郎殿に取り入る為、彼自身から発せられる愛情をエネルギーに変換する作戦を思いついた訳だが良い所まで言って終わってしまった訳でありますな!」

 

 ここはケロロ小隊秘密基地。前回の騒動が嘘のように綺麗になった基地に存在する会議室にて俺を招き、皆さんは次々と言葉を並べていった。

 

「そもそも!そんな不確定要素の多いエネルギーを使おうとしたのが間違いだったのだ!」

「にしてもまさか恋太郎さんが七股してる人とは思わなかったですねぇ…」

「クックック〜。どいつもこいつもレベルの高い見た目だぁ。特に羽香里と唐音のコンビは特にマニアの間じゃ涎ものだぜぇ」

「そんな事はどうでも良い!それでどうするのだ!昨日の作戦に今月の侵略予算を注ぎ込んでしまったんだぞ!どうする気なのだ!」

「まぁまぁ落ち着くでありますよ。そう言う時の為にジロロにも来て貰ったのでありますから」

 

 そう言えば何で俺が呼ばれたのだろう?何の目的か尋ねてもはぐらかされてしまうし……まさか騙そうと言う訳ではないですよね?

 

「そんな事はないでありますよ。モア殿、モニターを」

「はい、おじさま」

 

 その直後、会議室に備え付けられあった大型モニターにとあるチラシがデカデカと表示される。ん?これって確か……。

 

「えーと『フードファイトフェスティバル』ですか?」

「左様!胃袋に自信のあるペコポン人達が集い、競い合う…伝統ある一大イベント!この大会に我々ケロロ小隊も参加するであります!」

「何がフードファイトだくだらん!そんな事をしている暇があったら少しはペコポン侵略作戦を立てんか!」

 

 そう言い放つギロロ先輩に対してケロロ先輩は余裕のある態度を見せる。なんだろうこのケロロ先輩の扱いに慣れている感じは…?

 

「ノンノン。甘いでありますなギロロ伍長、今回のイベントの優勝項目の所を見てみたまえ」

「なに?優勝者には…賞金だとッ!?」

「クックック〜。これだけの額なら侵略予算に補填できそうだなぁ」

「しかも三ツ星パティシエが作った特製ジェラートも付いてくるですぅ!僕参加したいですぅ!」

「その通り!加えて、こちらのイベントは地上波で全国に放送される予定!このフードファイトフェスティバルに参戦し優勝する事でフードファイトの頂点にケロロ小隊有り!とペコポン人共に思い知らせてやるのであります!」

 

 ゲーロゲロゲロと高笑いする先輩。隊員がとても乗り気な所を見るとケロロ先輩って隊長としての能力が高いんだなと思い知らされる。昨日のを見てちょっと心配になってたけどこれなら侵略作戦も大丈夫かな…本当に大丈夫か?

 

「つーことでジロロも一緒に参加しようぜ!」

「あ、無理ですね」

 

 では俺はこの辺で……って、うお!?何ですか先輩!急に飛びかかって来て!?

 

「即答かよ!?アンタ人の心はないんですか!我々がこうして一致団結して大会に出ようとしてるってのに!」

「いやだって俺、ケロロ小隊じゃないですし。関係なくないですか?」

 

 そう言うと小隊メンバー全員が俺から離れてヒソヒソと話し始めた。え、なに?なんぞ?

 

「ギロロ先輩、なんスかあいつ…ノリめっちゃ悪いですよ…?」

「あいつは昔からああだったからな…」

「ヤツは今時のプライベート重視な入社したての社会人みたいな所があるからなぁ〜」

「まぁここは吾輩に任せるであります」

 

 しばらくして話終わったのか、ケロロ先輩がこちらにやって来た。

 

「ああ、とりあえず話は分かったであります」

「分かってくれましたか?それにちょうど恋太郎達もフードファイトに出るので応援しにいかなきゃなんですよ」

 

 前々から応援しに行くと約束しちゃったのでそっちを優先しないとなんだよなぁ。そう思っていると先輩が口を開く。

 

「ジロロ君。君は自分の立場を忘れているんじゃないかね?」

「え、立場ってどう言う…?」

「いいかね!ジロロ特務兵!お前の役目はケロン軍本部にペコポン人の恋愛について調べ上げて報告する役目を与えられている!そんな恋愛イベントの中で切っても切り離せないと言っても過言ではないのがズヴァリ!『食』であります!」

 

 先輩が急に滑舌になったぞ!?何故かは分からないが最後まで話を聞かなきゃいけない気がする!?(謎の使命感)

 

「今や恋人達は欠かせないのが食事!デート中の食べ歩き、夜景の見える場所で食事しながらプロポーズ。分かるかね!恋愛とは食事と言う名前の舞台上で繰り広げられる壮絶な闘い!即ち恋愛=フードファイトなのであります!」

「な、なんだってぇーーーーーッ!!??」

「おお!ケロロのヤツ、ジロロを説き伏せたぞ!」

「流石は軍曹さん!毎度ながら自信溢れる演説に惚れ惚れするですぅ!」

 

 なんだろう…ケロロ先輩について行けば問題ない。そんな気がする!すると先輩は俺の肩に手を置き、告げる。

 

「友人達との交流も良いですありますが、己が職務も懸命にやり遂げようじゃないか…!」

「そうですね先輩!俺、間違ってました!フードファイトフェスティバルに参加させていただきます!」

「よろしい!我々5人でフードファイトフェスティバルに優勝しようじゃないか!」

「「「おおおおおおおお!!!」」」

 

 優勝???あれぇ、なんか騙されているような?…まぁ、いいか。先輩達楽しそうだし、俺のレポート作りの参考になりそうだし。兎にも角にもケロロ小隊フルメンバーとの合同作戦を頑張らないとだな!

…フルメンバー?

 

「ところでドロロ先輩は何処に?」

「ドロロ?……あっ、そう言えば呼ぶの忘れてた」

「えぇ…(呆れ)」

 

 

 ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎

 

 

 場所は変わり、此処はフードファイトフェスティバルの試合会場ドーム。観客が集う中、胃袋に自信のあるメンバー達がこの戦場に足を踏み入れていた。その中でも恋太郎を筆頭とした恋太郎ファミリー達もフードファイトに参加していた。

 

「凄い挑戦者の数ですね…」

「ええ、熱量も凄まじいわ…」

「それにしてもジロロが来れなくなったのは残念だな…」

『急用らしいぜ。仕方ないだろ』

 

 恋太郎達は急な都合により来れなくなったジロロの事を心配するが胡桃は「別に」と呟く。

 

「アイツが居ても居なくても大して変わらないからどうでも良いでしょ」

「まぁダメよ胡桃ちゃんそんな事言っちゃ!ママがちゅーしてナデナデしてあげるから機嫌直して頂戴!」

「誰がするかよッ!!!」

「ジロロが居ない影響により花園羽々里の欲望の捌け口が原賀胡桃に向いている」

「常時で変態の生贄(スケープゴート)になってたのねジロロ」

「くそう!なんでこんな時に来ないんだよジロロのヤツ!!!」

 

 胡桃は絶望した。保護者枠として参加したピンク(親の方)に付き纏われると言う事実に…!自分の性格と胃袋を理解していたので複数人で行動するのがとにかく慣れない。

 

「…ええい!とにかく、こんな大会私だけでも優勝できるんだからサッサと終わらせよう」

「ゲロゲロリ、我々を前に優勝宣言とは随分と余裕でありますなぁ」

「は?この声って…!?」

 

 その特徴的な笑い声を聞いた唐音達が振り向くと、そこには首から下が地球人そのものとなっている雑コラ状態のケロロ小隊+ジロロが居た。そんなシュールな絵面に全員は思うだろう。

 

((((((((凄いクリーチャー達が居る…!?))))))))

「やっほー。昨日ぶりですぅ!」

「ここで会うとは奇遇でござるな」

「なんで俺がこんな事を……!」

 

 首から上が丸々としたフォルムに対してその下は一般人そのもの。第三者から見れば謎のマスクを被った不審者にしか見えないだろう。そんな彼等に唐音は声を上げる。

 

「いや、いやいや!何だその気持ち悪いフォルム!?」

「クックック〜。これぞペコポンでの活動を行う為に俺様が開発したペコポン人スーツさ」

「これさえ着れば我々も堂々と歩けるって訳よ!で、どうジロロ?ペコポン人スーツの使い心地は」

「いやぁ、これいいですね。操作も簡単だし一着欲しいくらいですよ!」

 

 談笑する彼等だったが恋太郎達にはどうしても見過ごせない点があった。それを指摘するかのように恋太郎は口を開くだろう。

 

「ところで…なんでギロロとジロロは女の格好を?」

「好きでこんな格好しておらんわッ!」

「大会側のルールの都合上、俺たちが女として参加する事になったんだよ」

 

 この大会では10人までのチーム制で参加が可能だ。だが男女のハンデとして男性及び成人は2人換算とされる。ケロロ小隊+ジロロが出るには全員が男性として参加するのが難しかった為の策だったのだ。

 

「だからって俺が女性なのはどう考えてもおかしいだろうが!」

「そーぉ?吾輩は似合ってると思うでありますよ〜?ねぇ、恋太郎ファミリーの皆さん」

「そうですね。結構似合ってますよギロロさん!特に唐音さん以上のナイスバディな体型がとても良いです!」

おい、なんで私を名指しにした!!!

 

 羽香里の称賛から放たれた流れ弾が唐音に命中する。そんなやり取りを前にギロロは不機嫌な様子を見せる。

 

「何がナイスバディだくだらん…!こんな体型なぞ邪魔かつ無意味他ならん!戦場であれば命とりd」

くだらないとは何様だこの野郎!!!その神様がくれた体型をありがたく思え!!!

「き、急になんだお前!!??」

 

 例え作り物だとしても巨乳を前に嫉妬のパワーを滾らせる唐音(育乳中)。そんな彼女達を他所に恋太郎はジロロに問いかける。

 

「それ女型スーツだけどいいのかジロロ…!?」

「雄雌の違いって胸と骨盤と生殖器官ぐらいだろ?それくらい別に良いかなって…」

「地球人への理解が浅いタイプの宇宙人思考している!?」

「地球人への理解が浅いタイプの宇宙人で悪かったな(半ギレ)」

 

 青筋立てているケロン人を他所にフードファイトフェスティバルは開始時間に迫り、司会を務める駆け出しアイドル(名前はまだ未定)がマイクを手に声を上げるだろう。

 

『さぁ始まりましたフードファイトフェスティバル!司会進行はこの私と〜!』

『OH!ミーはアメリカからやって来まーしタ!『メロディ・ハニー』で〜ス!』

『さぁ紹介も終わったところで本題に入りましょう!ルール説明は不要!この大会ではとにかく食べて食べて多くのポイントを得る事が重要となります!……そう言う訳なのでルール説明に入りますね』

『アッハハハハハ!説明は不要なのに説明しちゃってま〜〜〜ス!』

「なんだあの人生が心底楽しそうなヤツ」

「メロディ・ハニー。海外で女優・モデル業を行いながら日本では芸能界でも活躍しているマルチタレント」

「そんな凄い人がどうしてこんな大会にいるんだ…!?」

 

 最大10人制のチームで行われるフードファイトでは最初の予選で通過した上位4チームが本戦に出場できる。その後は5回に渡って食べた量に応じたポイントで競う形式となっており、最もポイントを得たチームが優勝を勝ち取るのである…と、司会とメロディ・ハニーの二人のサービスショットを映しながら説明が終わった。

上からの意向で視覚的に楽しませる粋な図らいである。

 

「おじさま〜!ファイトですよ〜!」

「軍曹頑張って〜!」

「三ツ星シェフのジェラート楽しみにしてるから頑張りなさいよー!」

「あ!見てください夏美ちゃん達が来てますよ」

「ジェラートって…そっちも優勝狙いか!」

「ゲロゲロリ…賞金ゲットに加えてベテランシェフのジェラートで夏美殿に恩を売るチャンスでありますからな」

 

 それぞれ負けられない戦いがある。愛する人の為、1週間のトイレ掃除を変わってもらう為。そんな彼等の前に立ちはだかる試練の内容はと言うと…!

 

『ここで皆さんに食べていただくものは"ご飯"です!』

 

 この予選ではどれだけ白米を食べれた競うものとなっている。また会場内には沢山の豪華な副菜(おかず)が並んでいるが、それらは全て0ポイントとなる。米のみを食べてポイントを稼ぐか、おかずと共に食べて食欲を増進させるか、駆け引きが重要となってくる。

 

「食べた量か…それならば全員で一気に食べれば!」

「しかしギロロ君、それでは本戦で食べれなくなってしまうでござる」

「だが予選に勝ち抜けないよりはマシじゃないのか?」

「ゲロゲロ、ここは我々の実力を見せる時。つーことで!先鋒はジロロ特務兵であります!」

「え、俺一人なんですか!?…まぁいいですけど」

 

 ここでケロロ陣営はジロロ一人を予選に出す事にした。そんな彼等の選択に恋太郎達は驚くだろう、なにせ他のチームは複数人に加えて自分達は恋太郎と胡桃のタッグで出る予定だ。何か策があるのか?そんな訝しむ思いを胸に彼等は予選に挑む。

 

『それでは予選開始です!!!』

『LET'S START!!!』

 

 各チームはそれぞれ勢いよく白飯を胃の中へ運んで行く。だが全員が箸を動かし本戦出場の為に奮闘する中、胡桃だけ手を止めていた。

 

「焼肉…!とんかつ…!」

「開始0(ゼロ)口で!?」

 

 そう、彼女は会場内に並ぶおかずに目を奪われてしまい出遅れてしまったのだ。このままでは集中力が乱れてしまい予選敗退も考えられる…そう考えた恋太郎はとある作戦を立て、即座に実行した。

 

「おかず、食べていいぞ胡桃っ!」

「はぁ!?何訳分かんない事言ってんだよ!」

「食欲が理性超越してんぞ」

「身体は正直ですね」

 

 彼の立てた作戦とは胡桃にとにかくおかずを食べさせる事。常人よりも胃の内容物消化率と容量が桁外れの彼女には白米を多く食べるのにうってつけなのである。

 

「ゲロゲロ…愚かな。ご飯の量を競う種目で大量のおかずを口にするとは!しかも開始早々に!」

「目も当てられない行動。まさに馬鹿の所業ですぅ」

おい!誰だ今馬鹿って言ったヤツ名乗り出ろ!!!俺の彼女を馬鹿って言ったか!!!そっちの方から聞こえてきたぞ!!!

「やべっ、バレた!」

「に、逃げるですぅ!」

待てエイリアン野郎共!

「待つのは恋太郎君の方です!」

「今予選中だから!そんな事してる場合じゃないでしょ!」

 

 ケロロとタママの小声すらも拾う恋太郎の地獄耳。そんなやり取りを他所に他の参加者は胡桃の食べっぷりを目の当たりにして、喉を鳴らす。会場の者達は視覚と嗅覚情報と米に食べ飽きた事により、並ぶおかずの元へと駆け出す。

 

「なんと、凄い勢いで群がっていくでござる!」

「無理もない。あんなに美味そうに食べられてはこちらも腹が減ってきてしまう」

「いいなぁ〜、僕も食べたいですぅ」

「流石は恋太郎殿と言ったところでありますか…」

 

 ケロロ小隊は他参加者を巻き込む形で胃を圧迫していく作戦に驚く。そんな中クルルは「あっ」と呟く。

 

「おいおい隊長、ジロロの奴は放っておいて良いのかい?アイツこっそりおかず取りに行ってるぜ」

「は!?ちょっとジロロ!何やってんのアンタ!」

「お前まで行ってどうする!」

「でも美味しそうじゃないですか!」

「米食って我慢していろ!」

『おおーっと?ケロロズチーム、メンバー同士で仲間割れか!?』

 

 予選早々にケロン人同士で争う様子を目の当たりにするタママは声を上げる。

 

「皆、醜い争いはやめて欲しいですぅ!」

「そうそう。こう言うのはちゃんと協力しなきゃだぞ。おかわりください」

「で、アンタはまぁ良く米だけ食っていられるわね!?」

「恋太郎さん、それで何杯目ですか。食べ飽きないんです?」

「それが全然大丈夫なんだよ…!むしろ箸が止まらないくらいで…!」

 

 恋太郎が次々と白米を平らげていく光景にタママはジト目で見る。おかずを一片も口にせずおかわりを要求している姿に異様な圧を感じるだろう。そんなに大量のお米を食べて飽きないのか?否、恋太郎は苦に感じる事は無かった。

 

「皆がよそってくれたご飯、全部味が違うんだよ…!羽香里味に、唐音味…静ちゃん味に凪乃味…!楠莉先輩味、羽々里さん味…みんな違ってみんな美味しいんだ…ッ!!!」

 

 そんな事はない、どれも同じ味である。だがしかし恋太郎は彼女達好き好き大好きモンスターであったのでそれを可能としていたのだった。

 

──キュン!!!!!♡♡♡(by彼女達)

 

 どっこいどっこいだった。

 

「ジロロ先輩、こんなやり取りを毎日見てるんスか…」

 

 タママの親友である西澤桃華。その親と姉同然である花園親子がこんなにも頭お花畑になっているとは…恋心とは恐ろしいものだ。そうタママは思った。

 

「ジロロ先輩、なんとか言ってくださ……うげぇ!?」

 

 タママが予選に出場しているジロロに視線を向けた直後、彼は声を上げた。それもその筈、彼のテーブル席には恋太郎達にも引けを取らない程の空のお椀が置いてあったのだ。

そしてそれ以上に、その光景にドン引きしてしまった。

 

「ジ、ジロロ先輩…漬物オンリーで飯食ってるですぅ!?」

 

 そう彼は小皿によそられた梅干し、沢庵、ラッキョウのみで大量のご飯を平らげていたのだ。そしてそれ以上に他の参加者は驚く、そんな大量に食べているにも関わらず漬物に一切手を出してない事に…!

 

「あ、あの変なマスクした奴。漬物の見た目と香りだけでご飯を食べ進めてやがる!!!」

「戦時中かよ…!?」

「悲しすぎます…!」

「見てられねーのだ!」

「と言うか胃袋の容量的に大丈夫なのアレは…!」

「案ずる事なかれ、ヤツは宇宙TV番組の無茶振り企画『人気メニュー当たるまで帰れま1000(せん)』を乗り越えた猛者であります」

「ええ!?あの全く人気メニューが当たらない様子を延々とお茶の間に流される事で人気が低迷して打ち切りとなったあの企画をですか!?」

「そんなクソ率が高そうな番組に出てたんだジロロ…」

 

 そんな悲壮感バリバリな食事風景により図らずも他参加者達の食欲を減退させたジロロはドンドン白米を食べ進めていく。

 

「むぐむぐ、肉や魚が欲しい…」

「美味しい!お米美味しい!!」

「美味しいぃぃぃい!♡」

「な、なんて奴らだ…!」

「化け物だ!この大会には化け物が紛れ込んでいたんだッ!」

 

 実際その通りである。周りの参加者が恐れ慄く中、予選終了の銅鑼が鳴り響いた。

 

『それでは予選終了です!』

『皆さん!とてもアメーイジングな食べっぷりしてまシタ!では、早速結果発表して行きマース!』

 

 予選を通過できるのは上位4組であり、下位から順の発表となる。皆が心臓を高鳴らしながらその結果を聞いていくだろう。

 

『それでは第4位!ケロロズチーム!』

「おお!ギリギリだが通過したぞ!」

「わーい!やったですぅー!」

「ふぅ…満腹。大分腹一杯になったな…」

「いよっ!流石はフードファイター!アンタは頑張ったよッ!」

「アレだけの量を食べ切るとは見事でござる」

「クックック〜」

 

 予選を最下位で通過とは言え、ジロロ一人で突破した事に改めて彼等の能力を認識する恋太郎達。地球侵略を目的とした部隊は伊達では無いのだ…!

 

『続いて3位は恋太郎ファミリーチーム!』

「やったー!」

「あっさり3位とは…後の2チームは一体どれだけ食べたのよ」

「まぁまぁ唐音さんも不機嫌にならずに喜びましょう!」

「いやイライラしてないから!」

「胡桃ちゃんも頑張ったわね♡」

「撫でんなよ鬱陶しいッ!」

 

 そんな彼等のやり取りを他所に次のチームが発表される。

 

『第2位は呉莉羅連合チーム!』

「お前ら!優勝してユウ君と特製ジェラートあ〜んし合うウホ!」

「「「「ウッホ!ウッホ!ウッホ!」」」」

「なんでありますかアレ!?」

「呉莉羅連合チームですよ先輩。アイツらも参加してたのか…」

「てっきり使い捨てキャラと思ってましたが再登場するんですね」

「いやさも当然のように言われても…!アレどう見てもペコポン人じゃないよね?」

「そう思うでしょう?残念ながら純正100%のペコポン人なんですよアレで」

「そーなの!?」

 

 そしてそんな彼女達以上に食べ、予選を1位で通過したチーム…否、フードファイターがその姿を露わにする。

 

『第1位は、なんと一人で出場の"チャンコ爆錦選手"!』

 

 そこに現れたのは常人の3倍近くの背丈を有する巨漢。とてもラブコメ作品に出て来て良い存在感ではない、遠近法が歪んでそうなキャラであった。

 

「チャンコ爆錦!?」

「でっか!?」

「ワンピの世界みたいなサイズ感の人出てきた…!?」

「まさか敵性宇宙人か!?」

「フードファイター力士『チャンコ爆錦』現大食い大会賞金王」

「なにーっ!?」

「まさかコイツもさっきのゴリラチーム同様にペコポン人なのか!?」

 

 そんな異様さに恋太郎、ギロロ達も声を上げる。だがそんな中、ジロロは「へぇ〜」と声を漏らす。

 

「ペコポン人ってあんなにデカくなれるもんなんですね」

「ジロロくーん!?アレどう見てもペコポン人じゃないでありますよ!?」

「でも先輩、ペコポン人って幼少期形態と成人形態を自由に切り替えるくらいですから大きさくらいは大した問題じゃないと思いますよ」

「ペコポン人そんな能力持ってないでありますよ!?…無いでありますよね!?」

『ゴッツァンデス』

「おいジロロ、アイツめちゃくちゃ機械音声だぞ!?それでもペコポン人と言い張るのか!?」

「ああ言う声なんじゃないんですかね?」

「それで良いのか貴様ァ!」

「ぐえー苦しい!落ち着いてください!でも俺の知る限り、ペコポン人ってたまにああ言う特異的な姿をした個体もいるんです!あの呉莉羅連合だって!」

「そんなので納得できるかッ!」

「そうでありますよ流石にそれは………ハッ!?」

 

 ケロロ軍曹の脳裏に映り込む人外離れした身体能力持ちの地球人(知り合い)の姿。中身が常人離れしている者がいるなら外見が常人離れしている者だって居てもおかしくない…!そうケロロは思った。

 

「それもそっか!見た目だけで判断するのは良く無いし!!!」

「貴様、それで良いのか!?」

 

 

 ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎

 

 

 いよいよ始まるフードファイトフェスティバル。第一回戦に出されるは伝統ある大食い大会なのに映え文化に媚び媚びな『タピオカミルクティー』であった。

 

「言った通り、私は全回戦(全部)出るから」

「他チームの出方にもよりますね」

「まずは様子見が合理的」

『そう言う事なら、私が出よう』

「それならば我々ケロロ小隊からは…クルル曹長に任せたであります!」

「ククク、そう言われちゃ仕方ねぇぜ…」

 

 呉莉羅連合からは全員、恋太郎ファミリーからは胡桃と静の2人、ケロロ小隊からはクルルが第一回戦に出場する事となった。

 

「あれ?ジロロの姿が見えないけど?」

「ヤツなら勝負の結果が見えてるから出すもの出してくると言ってトイレに行ったでありますよ」

「しっこなのだ?」

『それは"大"やろ』

「アイツ、余裕満々ね」

「あのクルルさんはそこまで強いと言う事でしょうか…?」

 

 ジロロ不在の中、いよいよ第一回戦が開始される。全員はタピオカのモチモチ食感に舌を唸らせながら優しい甘さのミルクティーを楽しむだろう。

…だが10分もすると一回戦参加者の顔色が徐々に悪くなる。何故ならタピオカを噛み続けた結果、顎への負担が掛かり痛みに苦戦し始めたのである。チャンコ爆錦はタピオカごと飲み込んでいる為、痛みに悶える事は無かった。

だがそれ以上に胡桃達はとある理由で食欲が薄まり始めていたのだ。

 

「クックック〜。にしても気持ち悪ぃ見た目だな。一個くらいカエルの卵が混ざってるかもなぁ〜。で、タピオカの原材料は…ほうほうキャッサバって言う芋の根茎を使っていると…おいおい嘘だろ〜どうせ小麦粉とかぶち込んで原材料偽ってんじゃねぇのか〜?ク〜ックックック」

((コイツの所為でタピオカが飲む気が失せる!!!))

 

 その理由とはクルルである。なんと言う事であろうか、このクルルは一口もタピオカミルクティーを飲まずぐちぐちと駄弁っているのだ。

そう、最初からクルル曹長はマトモに大食いに参加する気はなく他参加者の嫌がらせ目的で出ていたのだった。

 

「クルル何やってんのアンタ!」

「まさかジロロ先輩が勝負の結果が見えてるってこう言う…!?」

「成る程、これならば納得だな…」

 

 そんな根暗陰湿宇宙人によるチクチク言葉をものともしない人物が居た。そう、我らが静ちゃんである。彼女は小動物の如く小さな可愛い(ギャワゥイイ)口でタピオカを咀嚼していた。

普段から小さい口で食事をしている彼女は常人以上の咀嚼回数を誇る。その為見た目以上に顎の耐久性が高い故にタピオカミルクティーを食べ進めていたのだ。

 

「ば、馬鹿な…コイツ俺の言葉に動じてねぇ」

 

 正確には静自身の咀嚼音によりクルルの言葉は聴こえてないだけである。そんな彼女はクルルがこちらを見ている事に気付き、ニコリと笑みを浮かべた。

 

「クッ…!?」

 

 その純粋無垢な笑顔にクルルは全身に冷汗を掻く。捻くれた性格の自分に晴々とした太陽の如く純真さが突き刺さる。それによりクルルの眼鏡がパリンと割れ、その場で突っ伏す事となった。

 

「クルル!?」

「あいつぶっ倒れたわよ!?」

「好本静の可愛さによってクルルが倒れた。陰湿、根暗の彼が受け止めるには強力すぎるものだった」

「兵器じゃねーんだぞ!?」

「流石は静ちゃん可愛い!!!」

 

 第一回戦の結果は1位チャンコ爆錦『4pt』2位恋太郎ファミリー『3pt』3位呉莉羅連合『2pt』戦闘不能(リタイア)により自動的に4位ケロロチーム『1pt』と言う結果となった。

 

「クルルの奴、バチが当たったであります」

「ええいロクに戦うとしなかった奴の自業自得だ!」

「ふぅ、スッキリした。さて結果は分かりきってるけどどうなって…なんでクルルぶっ倒れてるの???」

 

 仲間からも言われたい放題の黄色。ちょうどジロロが戻って来たタイミングで第二回戦が始まろうとしていた。

第二回戦に出されたのは特上寿司であった。ここでは寿司下駄に乗せられた10貫の寿司を速く食べる事を目的としている。

出場するのはチャンコ爆錦と呉莉羅連合全員、恋太郎ファミリーからは凪乃と胡桃、ケロロ小隊からはドロロが選ばれた。

 

「頑張れ凪乃ーー!」

「ドロロー頑張れーー!」

「お任せあれ隊長殿」

(あの口当てして食べ難くないのかアイツ?)

(マスクを付けた状態で食べるのは非効率的)

 

 凪乃と胡桃がドロロの口当ての下を気にしながらも、いよいよ第二回戦開始の狼煙が上がる。

 

『それでは開始です!』

 

「美味しいぃ〜!」

「何と美味な…!これはお茶が欲しくなるでござる」

「味わってる場合じゃないぞ胡桃!」

「ドロロも!ゆっくり食べてないでッ!」

 

 胡桃とドロロは同じチームのメンバーに言われてハッとなる。飲むように寿司を食うチャンコ爆錦と凪乃、予選から常に食べ続けて味わう余裕が無い呉莉羅連合がひと足先にリードする。

極上のネタである寿司に対して早食いなんて食への冒涜…!そんな葛藤を胸に秘める彼女に対してドロロは順位を巻き返すべく己が力を使う。

 

「ならば…ドロロ忍法『隼乙狩(はやおくり)』!」

 

 直後、彼の食べるスピードが他選手を上回る。圧倒的な速度により手元と口が見えなくなる程だ。

 

『おおーっと!ドロロ選手、なんと言うスピードだ!カメラでもその速さを捉えきれません!』

『素晴らしいデース!これぞ目にも止まらない速さ!…ん?アッハハハハハ!本当に目にも止まらない速さデース!!!笑ってしまいマース!』

「あ、あれは!?なんて素早い手捌き!?全く口元が見えません!」

「いや…ちょっと待って?あれどうやって食べてるの!?」

 

 凄まじいスピードで寿司を手元に運ぶと同時に、もう片方の手で口当てをズラして付け直す早業を前に参加者及び観客はドロロの口元がどうなってるか気になってしまう。

 

「クソッ!早業よりもマスクの下が気になる!」

「もうちょっとゆっくり!」

「あとちょっとで見えそうなのに!」

 

──どうやって食べてるんだ!?

 

 フードファイトフェスティバルにいる全員の心の声が一致した瞬間だった。あの青い覆面の男がどのような口をしているのか?他参加者が手を止めた次の瞬間…勝敗は決した。

 

「ふぅ…ご馳走様でござる」

『ドロロ選手、他選手を圧倒し完食ーーー!』

「しまった!気になって手が止まってた!」

「早っ!?10秒も経ってないわよ!?」

「クソッ!結局マスクの下が見れなかったのだ!」

「もう一回やって!」

 

 ドロロに遅れを取った一同。すぐに寿司を食べ始める。チャンコ爆錦だけがリードと思いきや凪乃も引けを取っていない。食が細い筈の彼女が何故追いついているのか?理由は単純である。

 

「咀嚼なんて非効率的」

「凪乃殿すげぇ!?」

「見た目に合わないパワープレイですぅ!」

「特殊合金にでもできてるのか喉!?」

「知らなかった…!ペコポン人の喉って特殊合金でできてるのか!」

「おいジロロ!変な知識を取り入れるんじゃない!」

 

 チャンコ爆錦と凪乃が完食寸前にまで至るだろう。そして最後の寿司を手に取った…その瞬間、凪乃の手が止まり、チャンコ爆錦が二位が決定した。

 

『ゴッツァンデス』

「どうしたのよ凪乃!?」

「食べ過ぎて…吐きそう……(震え声)」

「寿司九貫ででありますか!?」

『奴は日頃から"サプリメント"で済ませてるでヤンス』

「そもそも噛まずに食べてるからそうなるだろ!」

 

 このままでは最下位になってしまう…そう判断した凪乃はその場から飛び出した。人は生命の危機に陥った際に普段より多くの食物を摂取しエネルギーを得ようとする本能を持つ。凪乃は己が高所恐怖症である事を利用して、司会達のいる高所のステージへと駆け上がったのだ。

そして高い所にいる恐怖に気圧されながらも彼女は最後の寿司を口にした。

 

「あんな高い塔の上…!」

「照明で光る美しく長い髪…!」

「それにどえらい美少女だ…!」

「これはまるで…!」

 

──塔の上の髪長姫(ラプンツェル)!!!

 

「なんて美しいでありますか…!」

「僕らは今、伝説を目にしてるですぅ…!」

「お、俺は今…!猛烈に感動している…!」

「それじゃ今度はポーズ取ってみようか」(録画中)

 

 会場の参加者達やケロロ小隊が凪乃の美しさに魅了される。ただ高い所で寿司を食うと言う常軌を逸した行動すら、その美しさに全ては許されるのである。それを見ていたドロロは彼女の外観だけでなく友の為に身体をはる友情と勇気に美しさを見出していた。

 

「なんと美しく、気高い少女。自らの恐怖心を乗り越えて高い所に登るとは……ん、高い所?ハッッ!?

 

 そう呟いた瞬間、彼の脳裏にとある苦い思い出が想起された。彼の精神の奥底に眠っていたスイッチが入るかのようにカチッと音が鳴るだろう。

 

トラウマスイッチオン

 

 思い返すのは幼少期時代。ケロン星に暮らしていた彼は親友のケロロ達とサッカーで遊んでいた。ある時、サッカーボールが住宅の屋根の上に乗ってしまう事態が発生してしまう。

そんな中、ドロロもといゼロロが屋根に登りボールを下に居る皆の元へ投げて事態は解決…かと思いきやケロロ達はゼロロを忘れてサッカーを遊び始めたのだった。

 

そう言えばあの時、屋根に登った僕を忘れて皆帰っちゃったよね。僕一日中ずっとそこで待っていたのに…あの後大変だったんだよ…その家の主に怒られてさぁ……!

「なんか急にジメジメし始めた!?」

「ヤツは硝子の心だからな。ちょっとした事で過去のトラウマが蘇ってしまうんだ」

「強さと引き換えに精神力(メンタル)がクソ雑魚じゃねーか」

 

 1位を取ったにも関わらずトラウマスイッチが入ってしまったドロロ兵長。果たしてフードファイトフェスティバルは大丈夫なのか?次回へ続く。

 

「……お、降りれない…」

「今行くよ凪乃ォォーーーッ!!!」

 

 





第二回戦結果
1位ケロロズチーム『4pt』
2位チャンコ爆錦『3pt』
3位恋太郎ファミリー『2pt』
4位呉莉羅連合『1pt』

【現在順位】
1位チャンコ爆錦『7pt』
2位ケロロズチーム『5pt』
2位(同列)恋太郎ファミリー『5pt』
4位呉莉羅連合『3pt』


やはりドロロはこうでなくっちゃね!そう言うわけでドロロにはトラウマ状態となってもらいました。戦闘能力がクソ高い(ムラあり)代償として精神が脆いぞこのアサシン…!
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