恋愛モンスターとカエル型宇宙人   作:ゴランド

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皆さんあけましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いします!皆さんは何をしてましたか?自分はエルデの地にて褪人生活を送ってました。そう言う事なので遅れて申し訳ありませんでした。



第三話 キスゾンビパニック

 

【ペコポン滞在日誌#日目】

恋太郎の彼女達と顔合わせを終えて早々、新しい彼女が増えていた。ちょっと言ってる意味分からない(真顔)なんでこうもポンポン(つがい)が増えてるのだろうか疑問が止まらない。

それに加えてその5人目の彼女である薬膳楠莉は事あるごとに自身の血を求めてくる。やばいな…何がやばいかと言うとケロロ小隊に所属する黄色の同類っぽさを感じるのだ。俗に言うマッドサイエンティストなのだろう、こう言ったペコポン人を彼女にする恋太郎の精神性を疑う…と、言いたいところだが彼女4人持ちの時点で精神性はアレなのでどうこう言うのは諦める事にする。

 

…まぁ、でも流石に会って当日から何かやらかす訳でも無いから大丈夫か!(フラグ)

 

 

 ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎

 

 

「「「チューチューチュー…!」」」

「大変なのだ!楠莉の薬を飲んだ影響で皆がキスゾンビになっちゃったのだ!」

「キスゾンビ!?」

 

 誰でも分かるこれまでのあらすじ。新しく入って来た彼女である薬膳楠莉が持って来た薬を唐音、羽香里、静、凪乃の四人が誤って飲んでしまい理性が吹っ飛んでしまった。

 

「大好きな人とキスする事しか考えられず、自我を失い彷徨い蠢く…つまりキスゾンビが誕生したって事なのだ!」

「八門遁甲みたくリミッターが外れてるみたいだな…並のペコポン人を大きく上回るパワーを宿しているぞ!……1人除いてだけど」

 

 その1人が静という事は心の中にしまっておく。さて、そんなキスゾンビ達だが捕まれば永遠にキスされ続ける事になるらしい。

 

「そんなの…極楽浄土じゃないか!」

「何言ってるんだお前は」

「ちなみに薬が全身に回りきる前に『打ち消しの薬』を飲ませなければ四人は一生このままなのだ」

「事実上の人格消失!?」

「何言ってるんだお前は!?」

 

 とんでもない薬を作ったなコイツ!?ケロン軍でもそんな効果の奴作る奴居ないぞ!?クルルでもそんなの作らな……いや、う〜〜ん?作る…かぁ…?

 

「個人差こそあれど薬が回りきるのは大体1時間弱……ジロロは宇宙人なのだ!?なんとか解決して欲しいのだ〜!」

「頼むよジロロ!彼女達を正気に戻してくれ!」

「ペコポンで起きた事を宇宙人に解決求めようとするのやめてくれないかなぁ!?」

 

 しがみついてくる二人、そしてにじり寄ってくるキスゾンビ四人。前門のゾンビに後門の救助者!ええい、面倒だ!

 

「任せろ二人とも!このケロン製エレメントハンドカノンで奴等を戦闘不能に追い込んでやる!」

「彼女達に銃口を向けてるんじゃないぞオラァッ!」

「膝蹴りッ!?」

 

 武器を構えた直後、恋太郎のキックが顔面に直撃した。前が見えねぇ………。

 

「恋太郎ー!?今は同士討ちしてる場合じゃないのだ!?」

「これが若さか…(満身創痍)」

 

 俺達がコントをしている隙を見逃す筈もなく、彼女達は次第に迫ってくるだろう。

 

「「「ちゅーっ!」」」

「させるか!」

 

 そこにジロロはハンドカノンから冷凍弾を発射する。だがしかし狙いは彼女達ではなく床面。パキパキと音を立てながら氷のフィールドが広がる事となった。

 

「地面を凍らせたのだ!」

「足元が滑って奴等の動きが鈍くなっている!今のうちに撤退する!……心配な一心で奴等へ駆け寄るのはやめるんだ恋太郎!」

 

 恋太郎を抑えながらジロロと楠莉はキスバイオハザードから逃れる為に校舎に繋がる扉へ駆け込む。奴等がゾンビなら繊細な動きはできない筈!氷面の上で走れるような真似は……って

 

「各々滑走して来たぁ!?」

 

 シャーッとプロスケート選手のように滑る三人とペンギンの如く腹すべりを披露する静。その光景に驚きつつも咄嗟に扉の中へ逃げ込む。

 

「二人とも退くんだ!」

 

 エレメントカノンを構え、屋上に繋がる扉に冷凍弾を放つ。パキパキと音を立てながら氷漬けになる光景に恋太郎達は声を上げた。

 

「扉を凍らせた!?」

「やったのだ!これで奴等も入ってこれまい!」

 

 バキョ!

 

「ちゅーーーー…っ!」

 

 大丈夫と思っていたらリミッターが外れた膂力で無理矢理扉を開けてきた!

 

「ギャーッ!出たのだぁーー!?」

「くっ、なんてパワーだ!奴等、化け物か!?」

「おい彼女達になんて事を言うんだ!訂正しろ!!!」

「今喧嘩してる場合じゃないのだ!」

 

 ドタドタと階段を下りながら化学室へ向かう。打ち消しの薬はそこでないと作る事ができない。しかし後方からはキスゾンビ達が迫って来る。奴等のリミッターが外れた身体能力ではすぐに追い付かれる可能性が高い。

 

「更に足止めができれば…!」

「それならいい薬があるのだ!『ぶっかけると皮膚が爛れて滅茶苦茶いてー薬』なのだ!」

「ただの危険物!!!」

「使わせねーよ!?」

 

 あ!恋太郎お前、俺と彼女との対応に差があるじゃないか!なんだそれは贔屓だぞ!?こっちには過激に対応してたくせに!

 

「いや俺の彼女に手をあげるなんてする訳ないだろ」

「恋太郎」キュンッ!

 

 コイツら放って俺だけ逃げようかな…。そう考えていると今が放課後であるにも関わらず前方から何かが迫って来る事に気づく。俺は咄嗟にアンチバリアを発動し姿を隠す。

そして奴はその姿を露わにするだろう。

 

「廊下を走ったなあああああああッ!ぐへへ、ディープキス(あいのムチ)じゃああーーーーッ!」

「なんだコイツは!?」

 

 現れたのはサングラスを掛けた妙齢の女ペコポン人、四足歩行で廊下を駆けるクリーチャー的行動に思わず驚く。何のための二足歩行だと思ってるんだ!ダソヌ・マソみたいな頭しやがって!

 

「あの人はウチの学校の教頭先生だ!廊下を走る男子生徒に教育的指導と称してディープキスすると言うんだ。1mも伸びる舌を駆使して相手の内臓を舐め回すと言われてる…!」

「ペコポンの教職員恐ろしいなぁ!?」

「俺も恐ろしいよ!」

 

 そんな色々アウトな教頭が恋太郎に襲いかかりピンチに陥ると思われた瞬間、楠莉が驚きと共に手に持った薬品を相手にぶっかけた。

 

「ぎゃあーー!おっかねぇのだぁーーーッ!」

「ぐぎゃああああああああ!」

「やりやがった!?」

 

マジかよ!マジでやりやがった!

 

「三時間も掛けて塗った土壁のようなファンデーションが溶けていくゥゥうう!」

「効いてないなコレ」

「楠莉の薬がファンデーション如きに防がれた…だと…」

 

 何にショック受けてるんだお前は!いや確かにびっくりだけども!とにかく教頭(推定ペコポン人)が怯んでる間に俺達は走る。すると恋太郎が俺に話しかけて来る。

 

「ちなみにジロロ、教頭先生って実は宇宙人だったりしないのかな?」

「純正のペコポン人だったぞ」

「妖怪じみた動きしてるのに人間100%って何かしらのバグなのだ!?」

 

 くそう、本当に何なんだよあの教頭先生は!!いやそんな事よりもまずはこのキスゾンビハザードの事態収拾の方が先だ!

 

「ジロロ、作戦は!?」

「囮作戦、恋太郎が皆を引きつけてる間に楠莉が打ち消しの薬を作成しに行く!」

「おお、なんか良さげなのだ!」

「ただしこれをやった場合、リミッターの外れたキスゾンビによる接吻スパイラル。下手をすれば口から内臓がまろび出る事態になる」

「そんな胃袋洗浄するカエルみたいに!?」

「その例えはやめてくれ(真顔)」

 

 だがここで一番の壁になるのが凪乃だ。理性がなくなっても持ち前の頭脳は据え置きのままと推測する。ちゅっとしか言ってないが凪乃が他三人に何かしらの指示を出している。ゾンビ達に司令塔が居ると厄介だ!

 

「奴は俺が相手をする!」

「恋太郎が囮、ジロロが足止め、楠莉が化学室って事なのだな!分かったのだ!」

 

 ハンドカノンの出力を最低レベルにして銃口を向けつつ、電撃弾が出るよう設定する。これなら当たっても正座した後に足が痺れるような感覚の全身verに見舞われるだけで済む。その綺麗な脚(の感覚)を吹っ飛ばしてやるぜ!

……と、思ってた俺だが失念していたことがあった。一つは凪乃のペコポン人の中でもモデル体型と言われるくらいに長い手足を有していること。もう一つは咄嗟に起動したアンチバリアは恋太郎と楠莉だけに見えるようにしている事。つまりキスゾンビは俺に気づく事なく、踏み付けられる事となっtぐええッ!

 

「「ジロローーッ!」」

「俺をうっ!?踏み台にィッ!?したァ゛!?」

「ちゅ?」

「ちゅちゅ?」

『ちゅー?』

「ちゅっちゅ?」

 

 いただだだだ!?踏みつけたまま会話するなゾンビ共!?

 

「フルコンボで踏みつけられているのだ!?」

「でも違和感を覚えたのか、皆の足が止まって結果的に足止めできている!」

「くっ、ジロロ…お前の事は忘れねーのだ!空の向こうで見守ってて欲しいのだ!」

 

 死んだ扱いにするのはやめてくれない???

 

 

 ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎

 

 

「不味いのだ…!万事休すなのだ…!」

「でも楠莉先輩、どうしてこんなところに…!?」

 

 奇妙な事に恋太郎と楠莉の二人は同じロッカーの中で身を潜めていた。ジロロがやられた後、恋太郎は自らが囮となる事で楠莉を化学室へ向かわせる作戦を実行した。紆余曲折あり唐音と羽香里の二人を無力化したのだが、最難関の壁である凪乃の視界に入らないようこうしてロッカーへ飛び込んだ…が、そこには既に楠莉が隠れていたのだ。

 

「多分ジロロの推測通り、知能はそのまま残ってるみたいで化学室の周りをウロウロしてるのだ…このままじゃ見つかっちゃうのだ!」

 

 このままロッカーから出れば凪乃に見つかる。仮に楠莉がロッカーに残り恋太郎が囮になって出る方法であっても彼女には勘付かれる可能性は高い。どう乗り切るか恋太郎が考えていると、楠莉の眼から雫が垂れ始めた。

これまで幾多も薬の研究にのめり込み周囲の人間に迷惑をかけてきた。それにより彼女の元から人は去り、化学部は彼女独りだけとなってしまった。

 

「恋太郎に嫌われるのは…迷惑を掛けるのは絶対に嫌なのだ…!楠莉はもう、薬開発をやめるのだッ!」

「先輩…!」

 

 自責の念により放たれた言葉を聞き、恋太郎は彼氏としての不甲斐なさと彼女を慰める目的で楠莉を抱きしめる。そんな最中、ふと楠莉は懐に押し付けられた感触にハッとなる。

彼女は何かあった時の為に常に『打ち消しの薬』を一人分常備していたのだ。

 

「これさえあればバイオハザードは解決なのだ!」

「でかしましたね!」

「うんなのだ!」ゴキュッ

なんで!?

 

 恋太郎のツッコミが炸裂する。折角の打ち消しの薬が楠莉の胃の中へ消えてしまう。そんなに喉が乾いていたのだろうか?そりゃあんなに走れば喉乾くよな(納得) 恋愛の神様は恋太郎達を見放したのかもしれない……。

だが、薬膳楠莉には狙いがあった。

 

 

 

 

ガチャ(ロッカーが開く音)

 

「ちゅ…!」

 

 凪乃の背後にあったロッカーから女性が現れる。そこに居たのは長身で赤い髪を靡かせた眼鏡の似合う女性だった。

 

「…ちゅ()意義」

 

 キスゾンビの獲物である恋太郎でもなければその仲間である楠莉でもない。そう判断した凪乃は彼女を無視して化学室前の監視を続ける。

…が、凪乃は知らない。その女性こそ薬膳楠莉()()()姿()であった事を。

薬膳楠莉は全身薬漬け人間である。ヤクヤクの実を食べたわけでもなければシャブ漬けと言う意味でもない。彼女は不老不死の薬…の失敗作を口にした影響で普段から8歳相当の姿となっていた。

しかしその効果は先程飲んだ打ち消しの薬により無効化され、本来の年齢相当の高校三年生である18歳の姿へ戻っていたのである。そんな楠莉本来の姿を見たことがない凪乃は彼女を無視するに至ったのだ。

 

(今がチャンスなのだよ)

 

 先程の恋太郎のツッコミにより打ち消しの薬は一口しか飲めなかった、それ即ち18歳の姿になれる時間が少ない事を意味する。それまでに手にしたビニール紐で凪乃を縛り上げて無効化、これこそ薬膳楠莉の立てた作戦である。

 

「ちゅ…?」

 

 ふと、凪乃がビニール紐を片手に迫る楠莉に注意を向ける。そりゃ背後から紐持って近づいてくれば怪しく思うだろう。楠莉はこの状況を乗り越えるべく、天才的な頭脳を回転…そして他人のフリで乗り切る事にした。

 

「いや……楠莉は通りすがりの人なのだよ」

(いや一人称ーーーーッ!)

 

 薬膳楠莉は逆に縛り上げられる事となった。敗因は一人称、まさかのキャラ付け口調により速攻でバレる事になるとは思わなかっただろう。ロッカー越しに恋太郎は絶望に陥る。

ここまでなのか?もうこのまま終わってしまうのか?キス楽園による人格喪失と内臓ぶちまけエンドになってしまうのか…?

そう思った次の瞬間、ギュイイイイン!と廊下から音が聞こえる。その音の正体はジロロがのるフライングボードのエンジン音だった!

それを聞き、恋太郎は思わずロッカーから飛び出る。

 

「ジロロ!」

「待たせたな皆、遅れて申し訳n………」

 

 ふと、言葉に詰まるジロロ。何故ならジロロの目の前には凪乃が見知らぬ女性を亀甲縛りを行っていると言うとんでもない場面が広がっていたからである。

 

「あっ………お構いなく…」

「いや待って待って待って!」

「違うのだよ!そのまま楠莉達を置いて立ち去ろうとするのはやめるのだよ!?」

 

 本当の楠莉を見たことがなかったジロロが衝撃を受ける。ペコポン人ってそんなトランスフォーム機能持ってたっけ…?ペコポンすげぇ…と勘違いする事となる。そんなジロロに恋太郎は呼びかける。

 

「ジロロ、怪我の方は大丈夫なのか!?」

「とっくに治ってる。問題ない!」

「それじゃもっと早く来て欲しかったのだよ!」

 

 先程まで彼女達四人から踏みつけられた怪我による遅れでないのならば何故こんなギリギリになってまで駆け付ける事となったのか?それは……。

 

「いや…なんか静が保健室でぶら下がってて、互いにキスしてる唐音と羽香里が放置されていたから人目がつかないようアンチバリア処理しててな…」

「裏で頑張ってたのだよ!?」

「あと…ぶら下がってるキスゾンビ静を青筋ビキビキ立てた怒り心頭の養護教諭らしき人物*1が居たからその人の記憶処理に手間取ってて……」

「ジロロありがとう本当にありがとう!」

 

 知らぬ間に起きていた好本静達の危機を救ってくれたジロロに礼を述べる恋太郎。だがそんな事をしてる時を見計らってか凪乃は臨戦態勢を取るだろう。

 

「気をつけるのだよジロロ!今の凪乃はリミッターが外れた状態!まともに戦うのは危険なのだよ!」

「安心しろ、これでも俺は数々の修羅場を潜り抜けて来た特務兵」

 

 手元の二丁ハンドガンを連結させ、大型ライフル銃へ変形。更に脚には機動力確保の為に反重力ブーツを装着している。ジロロは凪乃に対して本気で挑むのだと伝わってくる。

 

「経験の差を見せてやるさ…!」

 

 フライングボードから降り立ったジロロは凪乃に向かって突貫する。

 

「栄逢凪乃!覚悟ォーーーッ!」

「ちゅっ」

「ふげらッ!」

 

 凪乃が有する高身長モデル美脚から放たれしキックがジロロの顔面を捉える。グシャァッ!と音を立てジロロは後方へ大きく吹き飛ばされる結果となった。

 

「モデル体型の長脚キックでやられたのだよ!?」

「経験の差がリーチの差に負けた!?」

ちゅ()意義」

 

 哀れ、顔面に靴跡が付けられたジロロ。意気揚々と突っ込んだ結果、一発KO負けと言う事態に恋太郎達は驚愕を隠せない。綺麗に負けフラグを回収する流れに二人は動揺する一方で、ふふふ…とジロロが笑い声を漏らす。

 

「いいや…それで、いい!それで良いぞ!」

「いきなりマゾになったのだよ…?」

「誰がマゾだ!そっちこそマゾみてーな格好しやがって!…そして、俺達の勝ちだ!」

 

 カチリとジロロが手にしていたボタンを押す。するとどうした事だろうか、凪乃が突然その場から浮かび上がったのである。

 

「ちゅっ!?」

「凪乃が浮かび上がった!?」

 

 フワフワとその場から浮かぶ彼女はなんとかしようともがく。だが床は疎か壁や天井にも手足が届かずその場で彼女は姿勢を崩し、そのまま逆さまの体勢へ移行していく事となる。そのような不可思議な事態を作り出したジロロが説明を述べる。

 

「さっき蹴られた瞬間、俺の反重力ブーツに備わってる重力制御装置を彼女の脚に取り付けたんだよ。彼女は無重力状態になってふわふわと宙を浮く羽目になってるんだ」

「人が空中で犬かきしているしているのは初めて見たのだよ…」

「俺もキスでバイオハザードが起きるのは初めて見る」

 

 流石の効率的な頭脳を持つ凪乃(ゾンビ)は為す術が無いと判断したのか「これ以上の抵抗は無意味」と言わんばかりに身体の力が抜け始める。

…ふと、キスゾンビの様子が変化している事に楠莉は気づく。

 

ちゅ()意味……チュチュチュチュチュチュ」

「何だか顔が真っ青になってるのだよ?ジロロ、これは一体!?」

「いや知らん…こわ……」

「しまった!凪乃は高所恐怖症!そして今理性が吹き飛んでる状態…つまり凪乃は自分が今、上空に居ると錯覚している状態に陥ってるんだ!」

「そうはならんだろ」

「なってるのだよ」 

「凪乃ーーーーーーッ!!!」

 

 ガッタガタに震える凪乃に向かって駆け出す恋太郎。おお見よ、キスゾンビと化しても心配の気持ちは変わる事の無い出来た彼氏の姿を。だがしかし計算の内か偶然か、凪乃は恐怖を紛らわす為に眼前に迫る恋人の顔を掴むと、そのまま己が唇を恋太郎の口元へ押し当てた。

 

「凪乃!大丈…「ちゅっ」んむ!?」

「「あっ」」

 

 凪乃と恋太郎、互いの位置は天地逆にも関わらず幸せそうな接吻を始めた。キスゾンビとしての習性ではなく本能のまま二人は口元を合わせるだろう、そしてそれを見たジロロと楠莉は思った。

 

 ((スパ◯ダーマンのキスシーンみたいになってる…))

 

 この後、めちゃくちゃキスしている後ろで打ち消しの薬を作った。

 

 

 ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎

 

 

「全部、楠莉のせいなのだ!」

 

 保健室。そこには恋太郎にジロロ、キスゾンビから戻った彼女達と楠莉の姿があった。皆が正気に戻った事を安堵している中、楠莉は良心の呵責に耐えられず叫んだのだ。

 

「ごめんなさいなのだ皆…!皆は楠莉が作った薬のせいであんな風になっちゃったのだ…!」

 

 涙を溢す楠莉。これまで自身のやらかしによって孤立した故か人に嫌われる事を恐れているのだろう、そんな彼女に恋太郎が告げる。

 

「今回の事はプラスマイナスでゼロ。それで良いじゃないですか」

「で、でも楠莉は…!」

 

 今回の騒動は自身の身勝手が招いてしまったことによるもの。その後悔に苦しんでいる彼女にジロロは助け舟を出した。

 

「それは違う楠莉。その気になれば楠莉は俺に記憶処理を頼む事だってできただろ?でもそうはしなかった」

 

 先までのゾンビパニックの記憶を消去していれば気に病む事なんか無い、そうやって何も無かった扱いにする事もできた。だが彼女はそれを選ばなかった。

 

「誰だって嫌な事から目を逸らして逃げる事は簡単だが、嫌な事から向き合うのはしんどいし、勇気がいる。もしも罰が欲しいって言うならこうやって謝るまでに悩んで頭を動かしていた時間で充分だと俺は思う」

 

 ジロロは惑星文明の観察者としてこれまで幾多の滅びを目撃して来た。原住民の無責任かつ身勝手な行動により滅びは引き起こされて来た。誰もがこうなるとは思わなかったと声を上げている光景を見て来たのだ。

故に自ら責任を取る、当たり前の行動を勇気を持って選んだ楠莉がジロロには眩しく思えたのだ。

 

「もしもまた問題が起きたら俺が一緒に解決します!だから楠莉先輩が好きな事を嫌いにならないでください!」

「恋太郎…!」

 

 大好きなのだ!と恋人に飛びつく場面を見てジロロは思う。ペコポン人の恋愛、それは根本的にはケロン星の恋愛とあまり変わらないのかもしれない。互いが好きになるだけではなく、その好きな物を大好きであり続ける。

彼はまだ地球の事を深くは知らない…が、また一つ学びを得たのだった。

 

「これがペコポン人の恋愛か…」

 

 そう言いながらジロロはカメラを構え、パシャリと恋太郎と楠莉がキスし合う光景を写真に納める。それを見て唐音は思わず声を上げた。

 

「ちょっとジロロ!?アンタなに急に写真撮ってるのよ!?」

「あ、すまない!やっとマトモな求愛行動を見れたから資料に欲しくて…!」

「キスを資料扱いにしてるの!?」

 

 恋太郎が「あっ、そうだった」と助け舟を出す。

 

「ジロロは地球人の恋愛がどうやって行われてるのか知る為にはるばる遠くの星から来たんだって」

「わざわざ来るのは非効率的」

「上の連中は未だに懐古的思考がこびりついてるからなぁ」

「まさかの援護射撃!?」

 

 凪乃の意見に肯定してるのを見てジロロ苦労人説が浮上する。そんな中、羽香里が口を開く。

 

「それ以外に使えそうな資料は無いんですか?」

「そう言ってもなぁ…凪乃と恋太郎のはダイナミックすぎるし、静とのは撮れてなかった…後は…」

 

 宇宙で幅広く活用されているカメラを操作しながら今まで撮った写真、動画を確認していく。

 

唐音と羽香里の動画ぐらいしか無いな…」

「私と羽香里の?別にわざわざ新しく撮らなくても、私のなら使わせてあげても…」

 

 そう言いかけた瞬間、唐音は隣に居た羽香里に肩を掴まれる。ピンク色の髪をした彼女は顔を真っ赤に染めながら言葉を紡ぐ。

 

「い、いや〜〜ッ!私達の資料なんか使っても多分あまりエビデンスとかその他色々云々の意味で使えないと思いますけどね〜〜〜ッ!?」

「はぁ?急に何を言っ………ハッ!?」

 

 唐音の頭に閃きが走る。先程ジロロは"唐音と羽香里の動画"と言った。最初は唐音と羽香里の各々が別に映っているものだと思い込んでいた…だが違う、それは違うのだ。ジロロが言っているのは二人が同時に映った動画の事を指している。

そしてつい最近まで二人に関する出来事と言えば、理性が吹き飛んでいる状態の唐音と羽香里同士でキスし合うものだった。

 

「〜〜〜〜〜〜〜ッ!(声にならない叫び)」

「唐音どうした?」

「なっ、何でも無いわよ、おほほほほほ!そうでしょ羽香里!私達何も覚えてないわよねぇ!?」

「そ、その通りですね唐音さん!なのでジロロさん!その動画は消していただいても構いませんよ!」

「え?あ、うーん……まぁ…一理あるかも?」

 

 唐音&羽香里は心の中でガッツポーズを行う。相手に悟られずに証拠隠滅を行う無意識的なコンビプレイによりケロン人に打ち勝ったのだ!

そんな2人を他所にジロロはと言うと…。

 

(まぁ長時間かつペコポン人の雌同士のキスなんて滅多に撮れるもんじゃないし保存しとこ)

 

 大分、人の心が無い事を思っていた。

 

 

 

 

 

『おまけ』

 

【ジロロの腐れ縁化学者】

 

「科学って言うのにのめり込む奴なんか頭がおかしいくらいが丁度良いんだよ」

『それは"褒めて"いるのかい?』

「だって俺の知り合う科学者達って大体倫理観を犠牲に有能な奴等ばかりだし」

「のだ?」

 

 ジロロの頭の中に浮かぶのは黄の体色をしたぐるぐる眼鏡。そして目の前にいる赤髪アホ毛年齢詐称ロリ。何故どいつもこいつも有能な変人なのかと頭を抱える。

 

「その言い方だと楠莉以外にも科学者いるんですか?」

「いるぞ…カレー風呂に入ってるような陰湿根暗野郎だけど」

「だいぶ棘のある言い方なのだ…そいつどんな事したのだ?」

「上層部のデータベースにある禁止事項覗き見て処罰受けた」

「そんな奴と知り合いなの!?」

「盗撮した映像をマニア達に売りつけたり、人のPCをハッキングしてドッキリ仕込んだり、ロクでもねぇヤツ」

「そんな奴と知り合いなの!?(2回目)」

 

 ジロロとしては一時期距離を置く事を考えたが良くも悪くも仕事ができる上に有能オブ有能。彼の持つ装備の殆どはその化学者が作ったのだと言う。

 

「小さい頃の腐れ縁だからなぁ、ズルズルと今も交流してる訳だよ」

「つまり…ジロロさんの幼馴染と言う事ですか!」

「へぇ、なんだかんだ言ってそいつとは親友なのね」

 

 

 

 

 

「(눈_눈)」

 

((((((凄く嫌そうな顔をしてる…!?))))))

 

 

【人それをHAMEDORIと言う…】

 

「……ジロロさん、地球人の生殖行為(S○X)について興味は?」

「おいやめろ」

 

*1
慈相千優。この学校の養護教諭にして恋太郎の35人目の彼女。フライング登場する事もなく記憶処理される





●キャラ紹介
『腐れ縁の化学者』
ケロロ小隊に所属する参謀の黄色いヤツ。ジロロとは同年代で小さい頃からの付き合い。ジロロの事はなんだかんだで自分の発明品を評価してくれるしリアクションも面白いので気に入っている。真面目で弄ると面白い反応を返してくれる所が赤い機動歩兵の人に似てるらしい。
ちなみに本部がジロロ捜索願いをケロロ小隊に文書を送って来ている事をコイツは知っている。ついでにその文書が隊長により紙飛行機にされて遊ばれているのをコイツは知ってて黙っている。理由は面白そうだからである。



早く100カノ3期明日にもやってくれないかな…と思いながら感想、高評価をお待ちしております。
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