リストラシリーズ第二弾
今回はフェイト編です
では、始まります
◇◆◇
JS事件が終了して、数週間が経過した
事件の処理もあらかた終わり、腐敗した上層部も、ごっそり入れ替わった・・・らしい
まあ、それはクロノから聞いた話なんだがな
・・・クロノは、昔からの親友だ。階級関係なしでたまに飲んだりする仲だ
で、子狸ことはやてが率いた機動六課は、奇跡の部隊と呼ばれるようになったとか・・・
・・・・・・一般の平局員の俺には関係ないな
魔力値はF、総合ランクもD以下・・・デバイスすらまともに起動・・・はギリギリだが、バリアジャケットすら纏えない落ちこぼれだ
階級もかなり低い・・・三等陸士をかれこれ9年も続けている・・・書類作業だけだな、まともにこなせるようになったのは
後、これを知ってるやつは数少ないが・・・機動六課の隊長陣とは幼馴染だったりする
ただし・・・・・・・・・友達以下だがな
幼馴染といっても、小学校が同じで、クラスも一緒なだけ
両親が管理局員だった俺は、中学に上がるのと同時にミッドに引っ越した
小さいころから周りに言われたっけ・・・鷹が鶏を生んだってな
両親は本局でも有名なエースで、階級も今や提督クラス
はは・・・何で俺、あの親から生まれたんだろ・・・
そんな俺は、108部隊の事務員として、働いている
給料は普通だが、借りてるアパートも、安いので、一人暮らしをするには十分な金額だ
JS事件時、俺は非戦闘員なので、一般人の避難に紛れてシェルターに避難していた
情けないことに、怖くて震えていた
・・・いや、それ以上に・・・同い年のアイツ等が命がけで戦ってるのに、何もできず、怯えてじっとしている自分が・・・情けなかった
そして俺は今、故郷である地球の海鳴に帰ってきていた
いや・・・正確には、かえって来ざる得なかった
数日経って、俺は・・・局員をクビになった。リストラってやつだ
地上本部がぼろぼろで、予算も少なくなり、使えない非戦闘員を経費削減の為にリストラしてるのだ
当然、非戦闘員の俺もその中に入っていた
魔法が碌に使えない俺は、これ以上ミッドにいるのが惨めになって来たので、退職金を全て使って、地球に帰ってきたのだ
小さいころ住んでいた俺の家は、両親が今も管理していた為、まだ綺麗な状態だった
・・・両親曰く、ここは別荘らしいが。どう見ても普通の一般住宅だよな・・・
今はもう、俺の物だけど・・・成人祝いでくれたけど・・・普通家をプレゼントするか?
まあいいや・・・あの親の金銭感覚がおかしいんだ・・・俺には関係ない
◇◆◇
荷物の整理を終え、久しぶりに海鳴の街を散歩していた
・・・数年ぶりだから、至る所が変わっていた
よく通っていた図書館や、駄菓子屋は残っていたが、玩具屋や本屋は無くなっていた
しばらくすると、何故か丘の上の墓地に来ていた
・・・無意識に来てしまったのか。しかもよりにもよって・・・“あの親子”の墓の前で気が付くとは・・・
墓に刻まれている名前は“プレシア・テスタロッサ”と“アリシア・テスタロッサ”の二名
墓の下に二人の遺体は埋まってない。PT事件の時、二人は虚数空間へ消えたのだから・・・
アイツは、ケジメと言って、この地に二人の墓を作るように頼んだ。
それから毎年・・・事件が会った日に必ず墓参りをしていたそうだ。これはクロノから聞いた情報だがな
アイツはミッドに移住したから、墓参りが出来難くなって、荒れてるかと思ったが、全然綺麗だった
おそらく、アイツのもう一人の母か、義理の姉がやっているのだろう
あの事件が起こる前、俺は両親に連れられてミッドに旅行した時、地球で小さい次元震が起こって帰れなくなった
帰ってこれたのはクリスマスが終わった頃だった
で、両親から、この街でPT事件やら、闇の書事件やらが起こったって教えられた
だから・・・アイツがどんな悲しい目にあったか何て分からなかった
アイツと初めて出会ったのは小学校で久々に登校したときだった
初めてアイツを見たときは、ドン臭いと言うか・・・内気そうな奴と思った
・・・まさか体育で月村と互角に渡り合える運動神経の持ち主とは思わなかったがな
そして、いつ頃だったのだろうか・・・アイツに惹かれていったのは・・
四年生に上がる頃、俺はお袋に頼まれてお使いにスーパーに向かった時、偶然にもアイツに出会った
ただし・・・メモを見て、品物を見てアタフタしている微笑ましい光景だったが
クラスメイトが困ってるのを見過ごすのは、何か嫌だったので声を掛けた
確か・・・当時の会話は・・・
「何やってるんだ?テスタロッサ?」
「え?ああ、クラスメイトの・・・うん、実はね・・・」
で、メモに書いてある品物を買いたいのだが、商品の漢字が分からなくてどれがメモの商品か分からなくて困っていたそうだ
・・・店員に聞けよとツッコミを入れたら、「あ、そうか!」と、納得された。・・・実はこいつ、アホの子だったのか?とつい、思っちまった
まあ、外国出身みたいだし、日本語が分からないのは仕方ないかーと思い。今思えば、ミッド出身のアイツが管理外世界の文字・・・それも日本語が分かるわけ無いだろうが・・・
「メモ見せてみ?クラスメイトのよしみで探してやるよ」
「いいの?ありがとう!」
メモに書かれていたのは、俺がお袋に頼まれていたものと同じだったので、ついでに買い物が済んで助かった
その後、買い物を終えた俺たちは、途中まで一緒の帰路に着き、お礼を言われて別れた
その時の夕日を背に笑ったアイツの笑顔は・・・綺麗だった
その日から、アイツは良く俺に話しかけるようになった
そんなある日、俺はアイツに休みの日に一緒に来て欲しい所があると言われた
そして連れて来られたのが、今俺がいるこの墓の前だ
何で俺をここに連れてきたのかと尋ねると、自分のことを知って欲しかったからと言われた
俺が魔法関係者だというのは、クロノから聞いていたらしい。だから、友達になりたくて、自分を偽りたくないから話したいと言われた
そして、アイツは俺に自分のことを話し始めた。
自分の生まれの事、母のこと、姉・・・オリジナルのこと、そしてPT事件のことを
俺が魔法関係者だというのは、クロノから聞いていたらしい
正直、話の内容はどうでも良かった
だって、アイツはアイツだし、クローンだのオリジナルだの言われても、俺が知ってるのは目の前にいるコイツで、そのオリジナルではない
そのことを伝えると・・・何故か泣かれた
突然泣かれたので、俺はパニックになってしまい、とりあえず頭を撫でてやった・・・それしか出来なかった
「あ、やっぱりここにいたんだね」
昔を回想していると、背後から声を掛けられた
振り向くと、先ほどまで考えていた金髪の女性がそこにいた
◇◆◇
彼と初めて出会ったのは、四年生に上がった時
クラス替えでなのはたちと別々のクラスになっちゃったけど、休み時間とかは会いに行っていたからさびしくは無かったかな
始業式が終わった後、自宅に帰ったら義母さんにお使いを頼まれた
日本に住み始めて三ヶ月ちょっと・・・まだ日本語とか漢字が全然分からなくて、商品の文字が読めなくて、お店を右往左往してた
そんな時、彼が私に声を掛けてくれて助けてくれたんだ
それが彼との馴れ初めだった
その日から、私たちは友達になった。クラスでも良く話したし、一緒のグループにいることも多くなった。たまに他の女子にからかわれたりしたけどね・・・
ある日、クロノに友達が出来たのか聞かれて、彼のことを話したら、首を傾げて、詳しく聞かれた
そしたら、彼はクロノとは親友で、彼も管理局の関係者と教えられた
ただし、魔力はもの凄く少なく、非戦闘員だと言うことも聞いた。でも両親がSランクのエースで、その所為で周りから失望の目で見られたり、虐めを受けたりして、幼い彼はものすごく傷ついたと言ってた
そして、私は聞いたことを後悔した
多分、彼は私にこのことを知られたくなかったと思う。私だって・・・知られたくないことがある
だから・・・彼に、休みの日に一緒に来て欲しかった
母さんと姉さんの・・・お墓に
そこで、私は全てを話した
彼が魔法関係者であることも、クロノから全て聞いたことも・・・自分がクローンであることも・・・母さんが起こした事件のことも
なのは達以外の友達・・・だからたとえ拒絶されても知って欲しかった
何でそう思ったかその時は分からなかった
でも・・・
「そっか・・・クロノから聞いたのか。ま、俺のことは別に良いや。諦めたし・・・で、お前がクローン?それがどうした」
「・・・え?」
「お前はお前だろ?姉がオリジナル?俺が知ってるのは、日本語に悪戦苦闘して、国語が苦手で先生に説教されて涙目になって、人一倍頑張り屋なお前だけだ。アリシアなんて人物は知らん!」
その言葉を聞いて、私は泣いてしまった
うれしかった・・・なのは達以外でも私を受け入れてくれたことに
勝手なことだとは思うけど・・・話してよかった
気が付いたら、彼は私の頭を撫でていた。・・・顔はパニックになったような非常に困った顔をしていたけど
撫でられてて、私は思った・・・心がポカポカするって
この感じは何なのか、理解したのはずいぶん年月がたった後だけど・・・私はこの時からきっと・・・彼に恋をしていたんだ
JS事件の後処理がある程度終わって、機動六課の修繕がようやく終了した時、私は彼が無事なのか知りたくなって、彼が所属している部署に向かった
でも、待っていたのは・・・彼がリストラされたと言う事実だった
確かに、ミッドの復興のために局員の予算がいろいろ削減されて、非戦闘員が多くリストラにされたって聞いてたけど・・・彼まで・・・
彼のことを知っている他の局員に詳しく聞き、どうやら地球に向かったことが分かった
それからの私の行動は早かった。はやてに有給を申請して、すぐに地球の海鳴にゲートで転送してもらった
まずは彼が昔住んでいた家に向かった。けど、留守だった。
彼は恐らく、昔を懐かしんで散歩をしている筈・・・前に私達が任務で戻ってきた時もそう思ったから、多分そう
でも・・・もし、彼が今でもあのことを覚えているなら・・・
行ってみる価値はある・・・そう思い、その場に向かって見ると・・・やはり彼はいた
母さんと姉さんのお墓の前で、じっと立っていた
「あ、やっぱりここにいたんだね」
彼を見つけられた私はうれしくなって、声を掛けた
◇◆◇
「数ヶ月・・・振りだな」
「うん、そうだね」
「・・・大変だったんだろ?事件の後処理。いいのか?こっちに来て」
「機動六課もだいぶ追いついたし、はやてにちゃんと有給貰ったから大丈夫だよ」
「そうか・・・」
「でも・・・・どうして・・・言ってくれなかったの?リストラの事」
・・・やっぱりそれか。正直、いつかは知られるとは思っていた
でも・・・いくらなんでも早すぎだろ
「・・・関係ないだ「関係なくないよ!!友達でしょ、私達!」ろ・・・フェイト?」
どうしたんだ?いつものフェイトらしくない・・・
「君が苦しんでたり、困ってたら助けたいって思うのが友達なんだよ?」
「・・・そうかもしれない。だが、俺はもう局員じゃない。そもそも役立たずの俺が局員でいたことが間違いなんだよ」
機動六課の異動も断ったのも・・・今回のリストラで誰にも相談しなかったのも・・・お前の足手まといになりたくなくなかったから・・・
「ただの友達にそこまでしてもらう必要はないだろ」
「ううん違うよ・・・ただの友達なんかじゃないよ。だって・・・私は・・・私は」
・・・フェイト?
「私は君のことが好き。ずっと昔から・・・あの時、私の頭を撫でてくれたあの日から」
・・・え?
「この気持ちに気が付いたのは、君が中学に上がる直前でミッドに引っ越した時・・・君が海鳴からいなくなって・・・私の中から何かが足りなくなって・・・急に切なくなって・・・これが恋なんだって気が付いたんだ」
フェイトも・・・俺と同じ気持ちだったなんて・・・
「俺も・・・フェイトが好きだ。だが・・・お前は管理局に必要な人間だ。俺といるべきじゃない」
「そんなことない!そんな理由で貴方といられないなら・・・私は管理局を辞めるよ!」
「お、おい!?」
「言っておくけど、私は本気だよ」
・・・はぁ、昔からコイツは変わらないな。特に頑固で、決めたことは絶対に曲げないところが
「分かった・・・良いんだな?管理局を辞めるって事は、俺とずっとこの街で暮らすって意味だぞ?」
「うん。ずっと一緒にいよ?君がいない世界なんて・・・私は嫌だ」
「俺もだ・・・フェイト」
「ん・・・」
会ったことの無いフェイトのお母さんとお姉さん。俺は何のとりえも無い、凡人だけど・・・
フェイトのこと、絶対に幸せにします
だから・・・見守ってくれませんか?俺達のことを・・・
◇◆◇
その後、フェイトは管理局に辞表を出し、地球に移籍した
彼女の義理の家族も最初は渋ったらしいが、相手が俺と知り、クロノとリンディさんは祝福してくれた
むしろ、早く孫の顔が見たいとせびられた・・・
両親も祝福してくれた。・・・同じく孫マダー?と言われた。あんた等の頭はそれしかないんかい!
そして、今の俺達は・・・
「フェイト、大丈夫か?」
「うん。出産日までまだ半年もあるんだから気が早いよ?それにお店はいいの?」
そう、俺は今住んでる家を改造して小さな喫茶店を経営している
「う・・・そうだけどさ。それに店はアルフが店番してくれてるから大丈夫だよ」
「今度の日曜日にエリオとキャロが来るって言ってたし、楽しみだね?お 父 さ ん?」
「う・・・まだ慣れないな。お父さんって言うの」
彼女の保護児童のエリオとキャロは俺達の養子になった
二人して俺をお父さんと呼ぶので、照れ臭い
そして、フェイトのお腹には俺達の愛の証がいる
「女の子だってな。フェイトに似て可愛い子になるだろうな」
「ふふ。親馬鹿は早いと思うよ?」
「うぐ・・・そ、それに名前だって決まってるんだ」
「そうなの?」
「ああ。生まれてくる子の名前は・・・」
俺達は今、最高に幸せだ
いつまでもこの幸せが続きますように・・・
fin