リストラシリーズ   作:ゼルガー

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◇◆◇

久遠編の後編です

ようやく前編の続編が更新できた・・・

◇◆◇







リストラされた俺は、彼女の為に並行世界へ(後編)

 

 

並行世界に来て半年が経過した

 

結局元の世界に戻る方法が見つからず、諦めることにした

 

那美さんたちが住む寮で世話になっているが、何時までも居るわけには行かない

 

だけどさ、戸籍どうしよう・・・

 

 

そしてこの世界で始めて出会った久遠

 

彼女はやはり、あの夢に出てきた人物なのだろうか?

 

結局それは聞けずじまいだ

 

 

そんなある日、俺は久遠に呼び出されてあの神社に向かった

 

なんだろうか?

 

 

◇◆◇

 

 

彼と暮らして半年が経った

 

最初は気のせいだと思った

 

でも、一緒にいるとどうしてもあの人を思い出してしまう

 

魂が似てるのかな?

 

だから、少しづつ彼に惹かれていった

 

そして気が付いた

 

私は彼が好きなんだって

 

でも・・・この気持ちはきっと駄目なんだ

 

久遠は妖怪

 

彼は人間

 

弥太の時は考えつかなかったけど、私達には寿命の差がある

 

久遠は何百年と生きている

 

だから、人間である彼はすぐに・・・

 

そんなの・・・嫌だ

 

そんなある日、私は一人の女性に出会った

 

綺麗な服を着た久遠と同じ金髪の女性

 

でも、匂いは久遠と同じ・・・人じゃないモノ

 

 

「あら、珍しいわね。まだ妖狐がいるなんて」

 

「誰?」

 

「そうねぇ・・・素敵な楽園の賢者と、名乗っておきましょうか」

 

 

そして彼女からとんでもない提案を聞かされた

 

悩んだ末、私は決めた

 

ゴメン、那美

 

ゴメン、なのは

 

今までありがとう

 

そして

 

さようなら

 

私は・・・

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

久遠に呼び出された俺は、しばらく待っていると、久遠が神社にやってきた

 

 

「ゴメン、遅くなった」

 

「いや、そんなに待ってない。けどいきなりどうした?」

 

「うんあのね・・・お別れを言いに来たの」

 

 

は?お別れ?何で?

 

 

「久遠が妖怪だって知ってるよね?」

 

「ああ」

 

 

久遠は語った

 

自分は人とは違う存在「妖怪」

 

妖怪は既に現代では幻想となっている

 

今はいいかもしれない

 

だけど、このままだと何時か、寿命の所為で皆とお別れをしなければならない

 

更に最近、久遠の妖力が極端に減ってきているのだ

 

妖怪は人の恐怖で存在している

 

同じ妖怪の久遠も例外ではない

 

そして、現実(せかい)が幻想(ようかい)を押しつぶそうとしている今、久遠が存在できる時間も少ない

 

それでも久遠はいいと思っていた

 

それが運命なら

 

そんな時、久遠は出会った

 

妖怪達が住む幻想の楽園の賢者に

 

そして決断した

 

 

「嘘・・・だろ」

 

「ううん。本当」

 

 

彼女が・・・久遠が居なくなる?

 

俺の前から?

 

 

「だからお別れ。皆には内緒だけど、貴方は別。貴方だけには言っておきたかった」

 

 

嫌だ

行くな

 

 

「待って!行くな久遠!」

 

「ゴメン。だけどもう、決めたんだ」

 

 

俺は久遠を掴もうとした

 

だが、彼女は突然姿を消した

 

まるで、神隠しのように・・・

 

 

「そん・・・な。馬鹿野郎・・・俺はまだ、言いたいことがあったのに・・・ちくしょおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

 

その日、久遠は俺たちの前から消えた

 

 

 

そして、あれから一週間が過ぎた

 

寮に皆に久遠のことを伝えると、皆悲しんだり、怒ったり、様々な反応をした

 

特に仲がよかった那美さんとなのはちゃんは大泣きした

 

・・・しかし、この世界のクロノがなのはちゃんを慰めていたが、俺の世界のアイツらのことを考えると、違和感あるな

 

 

あの日から、俺の毎日は灰色になった

 

 

何だかんだ、久遠が居た日々は楽しかったし、退屈しなかった

 

何よりも、俺はアイツに惹かれていた

 

だけどもう、アイツには会えない

 

会えないと判っていても、俺は毎日あの神社に来て、神様にお願い事をしている

 

もう一度だけでいい

 

久遠に会いたい

 

あの時伝えられなかった事を

 

俺の気持ちを伝えたいと

 

そしてその願いは

 

 

「あら、ずいぶんと参ってるみたいね」

 

 

裂けた空間から現れた女性が聞き届けてくれた

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

幻想卿に来て一週間

 

紫にこの世界のルールを教えて貰って、日々を楽しんでいる

 

 

 

 

ごめんなさい、嘘です

 

 

 

実は楽しめてない

 

理由は・・・うん、わかってる

 

彼が居ないから

 

この世界での友達も何人も出来た

 

久遠と同じ妖狐の藍に、聖達

 

皆と一緒にいるのは、楽しい

 

でも、満たされない

 

会いたいよぉ・・・

 

 

「馬鹿野郎、そんな顔してんじゃねーよ久遠」

 

 

突然知っている声が聞こえたと思ったら、後ろから抱きしめられた

 

え?!えぇ?!

 

 

「お前に言いたいことは山ほどあるが・・・とりあえず一つ、会いたかった久遠」

 

 

幻じゃ・・・ない?

 

 

「なん・・・で?」

 

「賢者に連れて来て貰った。お前に会うために幻想入りしたんだよ」

 

 

そんな・・・それじゃ貴方は

 

 

「俺は元々、あの世界の人間じゃねー。だから今更だし、お前の居ない世界は嫌だ」

 

 

久遠の居ない世界?

 

 

「あの時言いそびれたことを言うぜ?」

 

「いいそびれた?」

 

「ああ。久遠、お前が好きだ。俺と付き合って欲しい」

 

 

え?

 

彼が久遠のことが好き?

 

だけど私は?

 

本当に彼が好きなの?

 

今までずっと、久遠は彼のことを弥太の代わりとして見ているんじゃないかって心配してた

 

でも、今ハッキリした

 

私も

 

彼が

 

 

「久遠も、貴方が大好きだよ」

 

 

彼は抱きしめている手を少し緩め、私を正面に向けると、彼と私は接吻をした

 

もう二度と、離れ離れにならないように

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

俺は賢者に「幻想郷」に来れば、二度と帰ることが出来ないと言われた

 

そして、その覚悟があるのなら

 

賢者の隙間に飛び込めと言われた

 

俺の覚悟は決まっている

 

久遠に会うためなら、何処だろうと構わない

 

更に、賢者からもう一つ提案を言い渡された

 

人から妖怪になる禁術を掛けた薬をくれると言う

 

それを飲めば、俺は人では無くなる

 

もう二度と、人間には戻れない

 

今の俺は、人間に未練は無い

 

だから

 

俺は

 

その薬を

 

飲み干した

 

そして俺は妖怪になった

 

 

後日、俺は事情を聞いた久遠に怒られた

 

 

隙間をくぐり、久遠の背後に現れると、彼女は泣いていた

 

ああ、やっぱり無理をしていたとわかった

 

だから俺は、彼女を背中から抱きしめた

 

そして俺の気持ちを伝えて、彼女に返事を貰い、俺たちは恋人になった

 

 

誓いのキスをしている時俺は思った

 

 

これから何年、何十年、何百年経とうと、久遠の傍から絶対に離れない

 

だから、もう安心してくれ弥太

 

俺の中からずっと久遠を心配してたんだろ?

 

お前が俺の前世かどうかは知らない

 

だけど、これからずっと久遠は俺が守って見せるから

 

さよならだ、弥太

 

安らかに眠れ

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

それから長い年月が経った

 

彼らがどうなったか知る者は余りいない

 

だが、二人のことをよく知る人物の目撃情報だと、今でも仲が良い夫婦だったと言っていた

 

その周りには、尻尾の生えた複数の子供が居たとか

 

これからも二人はきっと幸せに暮らし続けるのだろう

 

いつまでも

 

ずっと・・・

 

 

 

 

fin

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