リストラシリーズ第17弾
今回はエターナルロリータことヴィータ編です。
今回は前編、中編、後編の三部作で更新して行きます
では、はじまります
◇◆◇
アタシとアイツが初めて出会ったのは十年前の闇の書事件の時。
その頃のアイツはまだ子供で、アタシも精神は子供っぽかった。あ?今も見た目が子供?アイゼンの頑固な汚れにすんぞゴルァ!
はやての守護騎士になって、初めて自由を、自分の時間を手に入れた。
そんな時だよな、アイツに出会い、友達になったのは。
初対面の頃は、お互いに気に入らなくて喧嘩ばかりだった。ゲートボール仲間の爺さん達は微笑ましそうに見てたけどな
まあ、その後すぐにダチになった。何だかんだで気があったしな。
でも、はやてが倒れて、蒐集することになった
当然、アイツも対象に入った。たとえ、リンカーコアの魔力がミジンコ以下でも、魔力は魔力。・・・その魔力量を知ったのは蒐集後だったけどな
最初は抵抗があった。仲良くなった友達だったから。
でも、はやての為と割り切って、シグナムたちに頼んでアタシ一人でアイツを相手にした。
アイツは抵抗をしなかった。いや、出来なかったんだろう
その時のアイツの表情は、驚きと怒りと悲しみが混ざった複雑な顔で染まっていた。当然だ、信じていた相手に襲われたんだ。
そしてアタシはアイツのリンカーコアを蒐集した。
ソレがアイツを苦しめることになるなんてこの時、思ってなかった。
◇◆◇
JS事件が終わり、クラナガンは平穏を少しずつ取り戻していく。
しかし、破壊された街の復興で、管理局は資金が少しずつ足りなくなった
ソレが原因で、俺はリストラされることになった。
ま、どうでもいいけどさ。今更、管理局に未練なんか無いし、むしろ清々している。
親に無理やり入局させられてから苦痛以外何者でもなかった。
昔も似たようなことは有った。だけど、あの事件で俺のリンカーコアは完全に消滅した。
俺は、一般人になったんだ。
周りからの冷たい目や陰口、イジメは余計に増えた。少しずつ俺の精神は耐えられなくなり、自殺も考えた。
だけど、あの事件以来、俺にずっと一緒に居てくれる人がいたお陰で、俺は今を生きているんだ。
「ったく、あのクソ上司め。お前が非戦闘員ってだけで首にしやがって!今まで部隊の事務を誰が支えたと思ってやがるんだよ!」
「まあまあ、落ち着けって。俺にとっては頃合だったしな。つか、お前まで辞めること無いじゃん」
「あ?何寝ぼけた事を言ってんだよ。何のためにアタシが主であり、家族だったはやての六課への異動の誘いを断ってまでココに残ったと思ってんだよ?つか、お前の居ない局に居る意味ねーし」
「おまっ!?こんな人ごみの中で恥ずかしいこと言うなよ『ヴィータ』!!」
「いいじゃねーか。見せつけりゃ」
所属していた部隊の隊社から去り、荷物を片手に街を歩く俺と赤い髪の少女。
十年前から俺の傍からずっと離れず、俺を支えてきた。
最初は罪悪感と償い。でも、年数を重ねるうちにそれは変わった。
今となっては、俺の大切な・・・とても大切な女性だ。
「しっかし、アレだな。事件の最後の最後に緊急で召集されたかと思えば、『ゆりかご』の動力部の破壊を任されるとは思わなかったな」
「うん、俺も驚いた。人手不足だったんだろ?」
「まあな。ま、簡単にぶっ壊せたし問題はねーな(お前が心配だから、さっさと終わらせたいと思ったのは内緒だけどな)」
彼女・・・ヴィータは元々は闇のいや、夜天の魔導書の守護騎士の一人だった。
彼女には本来、主となる人物が居た。
十年前、俺が始めて彼女と出会ったのは、近所の土手の老人達のゲートボール大会の会場だった。
当時、友達が一人(しかも本局にいる)しかいなかったので、老人達と一緒になってゲートボールを楽しんでいた
そんなある日、彼女が来た。
最初はお互いに性格がやんちゃだった所為か、衝突ばっかして、いっつも喧嘩してた。
でも、似た性格だったのか、気が有って、拳を交えた仲と言うか何と言うか、すぐに仲良くなった
それ以来、毎日土手でゲートボールして遊んだり、一緒にアイスを買って食べたり、俺の家でゲームしたり
あの日まで、本当に楽しく過ごしていた。正直な話、俺は彼女に恋していた。
初恋だったんだ。
一緒に遊んでるときに見せる彼女の笑顔。アイスを食べてるときの顔、怒ってるときの顔、泣きそうなときの顔、意地を張ってるときの顔
そんな顔に俺は惹かれた。一目ぼれだった
だけど、意地っ張りだった俺は、ついそんな感情をごまかしたくなって、喧嘩を売ってしまし、殴りあったりしてしまった。
当時の俺、マジ反省
だからあの事件の時、ヴィータに襲われた時。正直何で彼女に襲われているのか分からなかった。友達だと思っていた子に、初恋の子に襲われて悲しくなった。
でも同時に、何でそんな辛そうな顔してるんだよと腹が立った
それと同時に、そんな顔をさせている自分に腹が立った
何も出来ない自分が嫌で嫌で・・・嫌いになる
だから、彼女が何かをしようとした時、俺は抵抗しなかった
きっと彼女には何か理由がある
だから、そんな苦しそうな顔をしてるんだと思った
俺に出来ることは唯一つ、自分を生贄にすることだけだった
その選択が、彼女の人生を縛り付けてしまうなんて、当時の俺は思っても見なかった
「なあ、これからどうするんだ?アタシは何処までもお前に着いて行くぜ?」
「そうだな。とりあえず帰ろうか。自宅の荷物を纏めないと」
「ああ、ソレが先か」
でも、今の俺はその選択を後悔してない
勿論、ヴィータも後悔してない
この十年間という時間で、ようやくそう思えるようになった
「そういえばさ、お前の料理ってギガ美味だよな。料理人って道は選ばないのか?」
「んー、確かに料理は大好きだな。でもソレは保留かな。人生はまだ長いんだし、イキナリ「コレだ!」って決め付けたくはないな」
「そっか。それもそうだな」
「でもとりあえず、海鳴に戻ろうかと思ってる。ここは嫌な思い出しかないし」
「・・・ああ、そうだな」
俺たちがココまで来るのには本当に、嫌なことが多すぎた。
だからこそ、ヴィータは主と仲間との仲を決別したんだ。
「さて、買い物してから帰ろうか」
「だな。あ、アイスは忘れんなよ?」
「勿論。ヴィータの好物だもんな」
「ああ!これだけは昔から変わらないぜ!」
俺は彼女の手を握り、仲良くスーパーに向かって歩き出した
中篇に続く