リストラシリーズ   作:ゼルガー

32 / 58
◇◆◇


注意!今作のヒロインであるヴィータはとある事情で合法ロリではなくなっています

詳しくは本編にて


◇◆◇









リストラされた俺は、彼女と幸せに暮らしてます(中編)

 

 

「ふぅ、コレで荷物は全部か」

 

 

ミッドからここ地球の海鳴にある旧自宅に荷物を運び終え、ダンボールの中身を整理し終えた俺は、荷物運びで痛めた腰に手を当てた

 

 

「こっちも終わったぜー」

 

「オッケー。今行く」

 

 

リビングから食器の整理を任せていたヴィータの声が聞こえ、自室からそっちに向かった

 

リビングに入ると、テーブルに氷が入った麦茶が二つ置かれていた

 

 

「荷物運びで疲れたろ?冷たいの入れといたぜ」

 

「ん、サンキュー」

 

 

 

テーブルに座り口に冷たい麦茶を含むと、喉から胃に、胃から全身にひんやりとした感覚が行き渡った

 

季節は冬とは言え、力仕事をすると汗は掻いてしまうのが人間だな

 

ヴィータも俺の向かいに座ってごきゅごきゅと飲み始めた

 

 

「そろそろ荷物整理も終わるし、夕食を考えないとな」

 

「ん?ああ、もう夕方だっけ。でもさ、食材はないけどどうすんだよ?アタシとしてはコンビニ弁当も外食も嫌だ。お前以外の料理は好きじゃねーし」

 

「照れること言うなよな。じゃあ、仕方ないか」

 

「だな」

 

「「食材を買いに行くか」」

 

 

俺達は仲良く手をつないで食材を買いに出かけた。この時間ならスーパーは若干空いてるだろうと思って。

 

しばらく歩くと、懐かしい風景が目に飛び込んできた。

 

 

「ん?ここは・・・」

 

「ああ、アタシ達が初めて出会った土手だよな」

 

 

既に夕方の時刻で散歩する人も僅かにしかいない。

 

だが、今でもこの場所は良く覚えている

 

何故なら、十年前ここで俺達は出会ったからだ

 

 

 

「懐かしいな。昔、出会った頃はよく喧嘩したな」

 

「んなことよく覚えてんな?アタシも人のこと言えないけどさ」

 

 

まあね。でも、俺にとっては大切な思い出さ。

 

 

「おや、もしかして坊主に嬢ちゃんじゃないかい?」

 

「貴方は・・・」

 

「じっちゃん!?」

 

 

十年前、俺達にゲートボールのノウハウを教えてくれた爺さんだった。

 

 

「坊主も嬢ちゃんもすっかり大人になって・・・見違えたわい」

 

「爺さんも変わってないな。むしろ元気そうで何よりだな」

 

「いやいや、ワシは死ぬ瞬間まで元気で居るつもりだわい。しかし、嬢ちゃんもすっかりべっぴんさんになったもんだ。二人して外国に行ってしまった時は、可愛がっていた孫のような子達が急にいなくなって寂しかったぞい」

 

 

まあ、十年前は都合でミッドに引っ越したしな

 

 

「悪かったなじっちゃん。ばっちゃんは元気か?」

 

「ばあさんか?元気元気!今でもゲートボールをしとるわい」

 

 

え?確か十年前で89歳だったよな婆さんって?

 

・・・気にしたら負けか

 

しばらく話し込んだ俺達は、買い物のことを思い出して、爺さんにまた会おうと約束してから別れた。

 

久しぶりの知人だったから、ヴィータもうれしそうだ

 

 

「しかし、十年経って体が成長したのに一発で俺達だと判るって、やっぱ爺さんにはかなわねーな」

 

「だよな。昔からじっちゃんはスゲーよな」

 

 

昔、よく喧嘩していた俺達を止めたり、お菓子を奢ってくれたり、本当に可愛がってくれた

 

・・・まあ、爺さんも年齢が婆さんと同じな筈なのに、筋肉ムキムキだったなぁ

 

つか、さっきもそうだったけど

 

 

「っと、スーパーに着いたみたいだな。今日の献立はどうしよっか?」

 

「んー、アタシは麻婆カレーが食べたい」

 

「分かった。今日はそれにすっか」

 

「やた♪」

 

 

ヴィータは俺が作る料理の中でも麻婆カレーは大好物だ

 

ただカレーと麻婆を混ぜればいいって言う料理ではない。ちゃんとした手順で作り、絶妙なバランスで混ぜないとあの完璧な味は出ないのだ(ゼルガー体験談)

 

でないと、ただのカレー味の麻婆か、麻婆っぽいカレーのどっちかになる。味もどちらかに偏ってしまうので、難しいのだ

 

あえてもう一度言う。混ぜればいいってモンじゃない

 

 

「あ、帰りにアイス買おうぜ!アイス!」

 

「んー、別にいいか。でも、一つだけだぞ?家計のやりくりしないと駄目だな」

 

「わかってるって」

 

 

まあこの数年、同居してたからわかるけど、ヴィータって傍から見ると大雑把に見えるが、実は結構几帳面でな

 

金銭関係や家事はしっかりするタイプだったのだ。意外な事に

 

何時だったか、何でそんなこと出来る様になったのかと聞いてみたら

 

 

「はやてに教わったんだよ。べ、別にお前の為じゃねーからな!アタシと一緒に暮らした所為で苦しい生活になったとは思われたくないだけだからな!」

 

 

ツンデレ乙と口にして、殴られたのはいい思い出だ。

 

さてと、必要な食材も揃ったし、そろそろ帰ろうか

 

 

◇◆◇

 

 

アレからもう十年か。じっちゃん達に再会して改めてそう感じた。

 

それにしても、べっぴんになった・・・か。昔では考えられない台詞だよな

 

本来、アタシを含む守護騎士は成長しない。だからアタシはずっと幼い少女の姿の筈だった。

 

でも、十年前の闇の書事件の時、散っていったリインフォースがアタシに内緒で置き土産を遺していたのだ。

 

それに気が付いたときには、アタシとはやてのリンクは既に切れていて、アタシはプログラムの身体では無くなっていた。

 

シャマルに診断してもらってわかったことだが、あの馬鹿(リイン)はわざわざアタシに気を使って、アタシの身体を弄ったそうだ

 

・・・何時からアタシの想いに気が付いてたんだアイツめ。

 

丁度その頃、アタシはある人物に奉仕活動を行っていた。

 

その人物は、強制的にリンカーコアを抜かれ、更に消滅してしまった所為で後遺症で身体が不自由になってしまった。

 

それも、アタシが傷つけた人物だった。

 

そう・・・アイツだよ。

 

闇の書事件が終了してすぐ、アタシはアイツが気になって、アイツが入院している本局の病院に駆け込んだ。

 

クロノが言うには、襲われてすぐに両親に本局に連れて行かれて入院し、今の今まで意識が無かったと言っていた

 

目覚めたアイツは、アタシを責めなかった

 

むしろ笑って許してくれた

 

何でだよ・・・何でそんな簡単に許してくれるんだよ?

 

幾ら仲が良かったからって、そんなアッサリと許せないだろ!

 

そういうと、アイツは

 

 

「辛かったんだろ?泣きたかったんだろ?護りたい人がいたんだろ?なら、俺がお前を責めるのはお門違いだ。それに、俺がこうなったのは俺が弱いからだ。だから、お前は悪くない」

 

 

違う。そんな言葉が聞きたかったんじゃない

 

もっと責めてくれよ。怒ってくれよ!

 

アタシの所為で、不自由な身体になって、魔法も使えなくなったんだぞ!

 

それなのに、何で笑っていられるんだよ・・・

 

当時のアタシは、罪悪感と後悔で胸がイッパイで、苦しかった

 

だから決めたんだ

 

ずっとアイツの傍にいようって

 

そしてはやての守護騎士じゃ無くなったとしってショックだったけど、同時にチャンスと思った

 

アイツの傍にいられる理由が出来たから。その事とクロノに伝えたら、あっさり了承された。そしてその理由も教えてくれた

 

アイツの両親は、信じられないことに自分の息子が魔法が使えないと知るとあっさりと捨てた

 

アイツが入院中に、絶縁届けを提出して、アイツとの親子の縁が切れたとクロノは怒り心頭で言っていた

 

勿論、アタシもキレた

 

アイツはアタシ達に隠れて泣いていた。あんな親でも、9年間ずっと一緒にいた家族だったから

 

まあ、あの親達はクロノとリンディさんが色々やって無人世界に島流しにされたけどな

 

保護者がいなくなったアイツは仕方なく管理局に入局した。まあ、車椅子の生活だけどな

 

地上の部隊に入って事務仕事を主にこなして行った。

 

1年の月日が経って、リハビリのお陰でようやく歩けるようになったときは、皆でお祝いしたっけ

 

はやてとは主従では無くなり、ただの友達という仲になった

 

一緒に暮らしていた所為か、本音で言い合える親友みたいな感じだ

 

更にその一年後、なのはが堕ちた

 

何でも、休みを全く取らず、砲撃をバカスカ撃ちまくって、身体に負担をかけまくって疲労が溜まったのが原因だそうだ

 

自業自得だろと、思わずつぶやいてしまった

 

人のことは言えないが、なのははどこか危うい所があった

 

まるで、魔法がないと存在出来ないとか、魔法で皆を護らないとって正義の味方みたいな思考があった

 

まあ、お見舞いに行った時、たまたま来ていた士郎さんと桃子さんにお説教されていたのを見て、なんとなくだがもう大丈夫だろと思ってしまった

 

でも、無茶はするんだろうなきっと

 

それから数年間、アタシはアイツと一緒の寮で暮らしていた

 

始めは、アイツの部屋に介護に向かう程度だった

 

だけどいつの間にか、アイツと一緒に暮らすのが当たり前になっていた

 

部隊も同じ場所に勤め、アイツが心配だったので前線には立たず、一緒に事務員として勤めた

 

昔のアタシだったら、暴れたいと思っていたけど、今のアタシはそうでもなかった

 

プログラムから人間になった影響か、身体が成長し、思考も落ち着いてきた

 

だからはっきりと自覚できた

 

アタシは、アイツが好きなんだって

 

でも、まだ言わなかった

 

アイツがその感情に気が付くその時までは

 

 

そして、その時はJS事件になるんだよなぁ

 

 

 

つづく

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。