リストラシリーズ   作:ゼルガー

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リストラされた俺は、彼女との約束を果たした(中編)

 

「結局この街に戻ってきちまったか」

 

 

アレから数年。俺はミッドに引越して局員に就職していた

 

だが、JS事件がきっかけで、非戦闘員は大規模のリストラをされてしまい、俺もリストラされた

 

正直、それはどうでも良かった

 

俺は魔導師が嫌いだったし、何時かは辞めるつもりだった

 

だけど・・・正直この世界に、地球に戻ってくるなんて思っても見なかった

 

 

「さてと、荷物の整理を終わったし・・・散歩するか」

 

 

せっかくこの街に帰ってきたんだ。街を見て回るのも悪くないだろう

 

市内はあんまり変わっていなかった。知ってる店が大きくなっていたり、閉店していたり。

 

しばらく散歩していると、見覚えのある金髪が目に入った。

 

彼女は確か・・・

 

 

「ん?アンタ・・・」

 

「やっぱり、バニングスさん」

 

 

数年ぶりに彼女と俺は再会した

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

買い物をアタシの目の前にいたのは、数年前にこの街から引っ越した元同級生だった

 

幼い頃の約束を忘れたどころか、アタシのことすらも忘れた最低の男

 

そして彼がいなくなるまで、ずっとアタシは彼を無視し続けた。

 

今でも、彼の悲しそうな顔を覚えているけど、当時は自業自得よ!と無視した

 

でも・・・今は後悔してるわ

 

彼がまた居なくなってから、頭が冷静になって考えられるようになった時、幼い子供が交わした約束を覚えていられるのか疑問に思ってしまった

 

後日、クロノが実はアイツと親友だったとフェイト伝手で知り、アイツのことを詳しく聞いてみた

 

そして知ったわ。彼の家庭や周りの環境が最悪で、アイツ自身も精神がボロボロだったことを

 

アタシは後悔した。どうして素直になってアイツを許してあげなかったのか

 

どうして、あんなことを言ってしまったのか

 

アタシは・・・最低よ

 

 

 

「元気そうだな」

 

「ええ。アンタもね」

 

 

子供だった昔と違って、青年になったアイツ

 

背も高く、顔は・・・普通だけど、かっこよくなってる

 

でも、今のアタシに彼を好きになる資格はないわよね・・・

 

どうしよう

 

 

◆◇◆

 

 

 

驚いた。昔に比べて綺麗になっていた

 

髪はショートになっていたけど、それでも美人だ

 

 

「久しぶりだな」

 

「ええ。何時こっちに?」

 

「つい先日だ」

 

 

この数年、離れて分かった事がある

 

それは、俺は彼女に惚れていたことだ

 

理由は分からない。でも、間違いなく惚れていた

 

そして今も、こうして彼女の前に立っていると心臓の鼓動が早くなるのが分かる

 

だけど、俺は彼女に惚れる資格が無い

 

覚えていないけど、小さい頃に彼女と出会っていて、何か大切な約束をしているのは間違いない

 

それを覚えてなくて、さらに彼女に嫌われた俺は・・・最低だから

 

でも、やっぱり謝らないと駄目だよな

 

何時までも、こんな気持ちを抱えたくない

 

いい加減、ケジメをつけないと駄目だ

 

 

「なぁバニングス。俺、お前に話したいことが「ゴメン、アタシ用事があるから」あ・・・」

 

 

話そうとしたとき、彼女は逃げるように俺に背を向けて去ろうとしていた

 

いいのかこのまま・・・

 

いや、良くない!

 

気が付くと俺は、去ろうとしたバニングスの手を掴んでいた

 

 

 

「なっ!?離しなさいよ!」

 

「待てって!話だけでも聞いてくれ!」

 

「嫌よ!」

 

「何で!」

 

「アンタの話なんて聞きたくないのよ!!!」

 

 

その言葉を聞いて昔、彼女に嫌われたときを思い出し、俺は思わず手を離してしまった

 

 

「あ・・・ふ、ふん!」

 

 

アイツは一瞬だけ悲しそうな顔をした後、そのまま走り去ってしまった

 

俺は一体・・・何やってんだよ

 

バニングスはやっぱり俺の事、嫌いなままだったんだな

 

もう、彼女と会うのはよそう。そう思って自宅に帰ろうとしたときだった

 

 

「きゃあっ!?ちょっと、アンタ達何よ?!放しなさいよ!?」

 

 

突然彼女の悲鳴が聞こえ、俺は彼女が去った方向を見る

 

なんと彼女は柄の悪い男達に黒い車に連れ込まれていたのだ

 

まさか、誘拐?!

 

 

俺はすぐに彼女を助けようとした

 

だが

 

 

≪ドギューーン!≫

 

「ぐっ?!」

 

 

右肩に突然現れた激痛にうめき声を上げて倒れてこんでしまった

 

前を見ると、サングラスの男が銃で俺を撃ったようだ

 

そしてそのままバニングスを乗せで車は去ってしまった

 

 

「クソ、誘拐かよ・・・っぐ」

 

 

激痛と出血で眩暈がする

 

幸いなのは、弾が貫通していた事か・・・

 

周りには人がいないし、俺は携帯を持っていない

 

それに、バニングスが何よりも心配だった

 

俺の頭には、嫌われているとか、約束を謝りたいとか、そんなことはどうでも良くなっていた

 

一番なのは、彼女を助けたい。その気持ちしかなかった

 

非戦闘員とはいえ、こういう訓練を受けていた俺は傷口に魔力をあて、簡易的な治療を施す

 

治療とは言っても、表面的な傷口を塞ぐだけだから、治ってない上、出血も酷いからふらふらする

 

だけど、そんなこと言ってられない

 

魔力が少ない俺でも、サーチャーの一つはぎりぎり作れた。それを去ろうとしている車に貼り付け、追尾可能になった

 

後は、助けるだけだ

 

俺はヒーローじゃないし、英雄じゃない

 

まして、魔導師でもない

 

だけど、守りたいと思った人を守れないなんて・・・俺には我慢できない

 

ああそうだ。俺は彼女を守りたいんだ

 

だったら、もう嫌われること上等で彼女を助ける!

 

俺がそうしたいから

 

待っててくれバニングス!

 

 

 

 

後編に続く

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