以上でアリサ編は完結!
◇◆◇
サーチャーの反応を追ってたどり着いたのは、街のはずれにあった廃ビルだった
右肩痛みを我慢しつつ、俺は気配を悟られないようにビルに侵入した
天井の点検口から入り、バニングスが居る目的の部屋にたどり着くことが出来た
天井の穴から覗くと、気絶したバニングスと武装集団が三名いた
さて、どうする・・・訓練を受けたことが有るとは言え、所詮は非戦闘員
自分に出来ることはたかが知れている
だが、ここでやらなきゃ男じゃない!
魔導師の基礎中の基礎、魔力弾による誘導弾
魔力がミジンコ並みに少ない俺では、一個作るだけでも精一杯
だけど、相手は管理外世界の人間だ
一応、管理外世界での無断魔法の使用と、一般人に危害を加えることは違法だが・・・バレなきゃ犯罪じゃないし、緊急事態だからいいだろう
もしもの時は、親友に何とかして貰うしな
覚悟は決めた・・・行くぞ!
小さな魔力弾を一個作り出すと、まずは一人を気絶させた
残りの二人が突然のことにパニックになり、騒ぎ出す
その隙にまた一人気絶させ、残った一人も同じように気絶させた
よし、成功だ
すぐに俺は天井から降り、縛られたバニングスを介抱して、意識を確認した
「しっかりしろ、バニングス!」
「・・・う・・・あれ?アタシは・・・」
「はぁ・・・良かった」
「あれ?アタシは誘拐されて、それで・・・なんでアンタが居るのよ?」
正気を取り戻したバニングスは床に倒れている誘拐犯を見て、驚いた表情で俺を見た
なんでだよ
「何で助けてくれたのよ・・・アタシは、アンタに酷いこと言ったのに」
「は?酷いこと?」
何の話だ?
「忘れたの?昔、アタシがアンタを無視したり、二度と話しかけるなとか、大嫌いとか言ったの」
・・・あー。そんなこともあったなー
「いや、ソレは俺が悪かったんだから自業自得だろ。むしろ、俺が謝りたいと思ってたんだ」
「違う!アタシが悪かったのよ!」
「いや、俺だ!」
「アタシ!」
「俺!」
「「・・・っぷ、あははははは!」」
むむむ~とにらみ合っていた俺たちだったが、次第におかしくなってきて、お互いに笑ってしまった
「なあ、コレで仲直りって事にしないか?」
「そうね。アタシもいい加減そう思っていたのよ。後、アタシのことはアリサでいいわ。バニングスなんて呼び辛いでしょ」
「え?まあ、そうだな。判ったよアリサ」
コレで、長かった俺のシコリの一つが消えた気がした
でもさ
「結局約束って何だったんだ?」
「ハァ・・・そうだったわね。アンタは色々あって覚えてないんでしょ?」
「ああ。クロノから聞いたのか?」
「ええ、まあね。それじゃ教えてあげるわ。アンタとアタシが交わした約束はね、お嫁「アリサ危ない!!」・・・え?」
アリサが約束を言おうとした瞬間だった
気絶していたはずの誘拐犯の一人が起き上がって、アリサに銃口を向けていたのだ
アリサが撃たれる
そう思った俺はとっさに叫んでアリサの前に立ちふさがった
そして・・・
――ドキューーーン!―――
弾は俺の左胸を貫いた
「ゴホッ・・・ガハッ!」
撃たれた箇所と口からおびただしい血が溢れ、床に赤い水溜りが出来始めた
「はは・・・馬鹿が!そんな女を庇いやがって!人質とかもう知るか!その女共々死ね!」
アリサに死ねだと?
ふざけんなっ!
「アリサに手をっ出すなァァァァァアアアアアアアアアアアアアア!!!」
――バキャアアアアアッ!――
「がぁっ!?」
俺は全ての力を振り絞って、奴の顔面に拳を入れて壁まで吹き飛ばした
鼻が折れて潰れたトマトのような顔になってるが・・・へっ、ざまーみろだ
「はぁ・・・はぁ・・・ゴホッ!?」
やべえ・・・血が・・・止まんねぇ
目が翳んできた
「ちょっと!?しっかりして!今、警察と救急車を呼んだから!」
「ア・・・リサ?怪我は?」
「大丈夫!アンタが庇ってくれたから!昔みたいに守ってくれたから!」
昔?
そういえば、本当に小さい頃、金髪の女の子が虐められてるのを見て、助けたことがあったなぁ・・・
あー、そういうことか。アレ、アリサだったんだ
その子と別れた時、何か約束したっけ
確か・・・ああ、そうそう
「ゴメン・・・なぁ。約束・・・忘れ・・・てて。お・・・嫁さ・・・する・・・だ・・・ろゲホッ!」
「アンタ、思い出したの?って、そんなこと今はいいの!お願い、死なないで!」
死なないでかぁ・・・自分の身体のことは自分が良くわかってるんだ
死にたくはない。でも、身体が言うことを聞かないんだ
眠気がだんだんと強くなってきた
「お願い・・・グスッ・・・死なないでぇ。いや、もう離れ離れは嫌ぁ」
「泣か・・・いで・・ア・・・サ・・・俺は・・・ずっと・・・一緒」
もう、言葉も上手く喋れない
だけど、コレだけは伝えたい
「君は・・・俺が・・・ず・・・と・・・ま・・も・・・る・・・か・・・ら・・・」
そして、俺の目の前が真っ暗になった
「ねぇ・・・・嘘でしょ?ねえ!目を開けてよ!いや・・・・・嫌ぁぁぁぁぁああああああああああああああああ!!!」
◇◆◇
あの誘拐事件から一年後
アタシはある夢に向う為、必死に猛勉強中
大学生活は楽しいが、友達がすずかだけって言うのは物足りない
でも、アイツが命を張って守ってくれたこの命を大切に使わないと失礼よね
だから、アタシはアタシなりに楽しく生きている
アイツの分まで
「おい、勝手に殺すなよ」
あはは・・・ゴメン。アタシにツッコミを入れたのは、タバコを吸いながらこっちを睨み付ける執事服を着たアイツだった
実のところ、アイツは死ななかった
連絡を受けた救急車はすぐに来て、バニングス財閥の傘下の医者がすぐに手術を施した
幸いにも弾は貫通してて、出血もぎりぎり人間が生きれ入られる量だったことで、奇跡的に助かった
三ヶ月は意識不明だったが、今ではすっかり回復して、アタシ専属の執事になっている
何故執事かって?
それは、パパが原因ね
意識が回復して、リハビリを終えた彼は、真っ先にお父様にこういった
「娘さんを俺に下さい!」
まあ、当然拳が飛んできて、殴られたみたいだけど
でも、命を張ってまでアタシを守った事は評価していたみたいで、お礼言われてたわね
で、アタシが一人前になるまでボディガード兼執事(見習い)をするように言われたみたい
それで、鮫島とパパが認めたら婚約を許すってことになった見たいだけど・・・・・・・・・アタシ抜きで勝手に決めんなーーーーー!!!
その事を知ったすずかには生暖かい目でニヤニヤしながら見られるし
覚えてなさいよ、すずか
「ん?アリサ、その問題の公式間違えてるぞ?」
「え?嘘!」
「ほらそこ」
「あ、本当だ。ありがと」
「ん」
意外なことに、アイツは頭がいい
向こうでは事務仕事を何年もやってきたって言ってたけど、その仕事っぷりは人間離れしてるわよ絶対
コイツを辞めさせた管理局はどうかしてるわね。コイツの才能がわからないなんて。まあ、返してと言っても返さないけど。こいつはアタシのモノよ!
「ねえ、ちょっといいかしら」
「なんだ?」
「目、つぶって」
「は?何で「いいから!」わかった」
コイツは一応、仕事をプライベートを分けてるから、こういう時は手を出してこない。ムカつくことに
だから
「んー♪」
「ん?!」
アタシから手を出すのは問題ないわよね♪
「あああああアリ、アリサ?!」
「ほら、ご褒美を上げたんだから仕事頑張りなさい。だ・ん・な・さ・ま♪」
約束を果たしてもらう日はまだまだ遠いけど、その日まで頑張ってね♪
Fin