ダウナー・ジャジー・シーカーズ~テンション低めの気怠げお兄さんによる飯テロ有の悪くないダンジョン配信~   作:北乃ゆうひ/YU-Hi

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066.ガトリングダーツ、どう食べる?

 

「ギルドへの報告用はいくらでも用意できるので、今はガトリングダーツを食べるとしましょうか。刺身も焼きもいけるから、いくらでも料理に使えそうですし」

 

:まぁ捨てるほど取ってたしなw

:こいつらの鼻って鏃(やじり)とかに加工できないかな

:ダウナーニキ以外に釣れるのかこの魚

:釣るだけなら忍耐しだいで簡単なんだけど問題は釣ったあと

:確かにガトリングジャンプを対処できないと危なすぎる

 

「さて、ステラさん。ニンニクって平気ですか?」

「え? 別に大丈夫ですけど?」

「明日の仕事とか」

「あー」

 

:さすがダウニキ配慮の鬼

:確かに匂いが残っちゃうと支障がでることもあるか

:芸能系だから尚更かな?

 

「明日はほぼ一日、ワ○ルドさんのご友人のところですかね。例の件の打ち合わせをメインに」

「例の件って言われても、あいつ絡みでの心当たりが二件あるんですが……」

「言われてみると確かに……って言っても両方です。ア――……ええっと、タロットの件はふつうの打ち合わせですが、作曲の方はお説教一歩手前ですね」

 

:何の話かわからなんけどお説教一歩手前ってw

:なんかダウナーニキもすごい顔してるぞ

:作曲ってあれかこのチャンネルのテーマ作った人のコトかな?

:前髪がズレて目がちゃんと見えてる!!

:見えてる目がだいぶ病んでるというか怖いけど笑

 

「……明日は、オレも顔を出します……。作曲の方は、放置しておくとマズい匂いがするので、オレも明日、同席させてください」

「心強いです……あと、迷惑がかかる可能性があるあちらの方へ、ワ○ルドさんからもご連絡してもらっていいですか?」

「わかりました……」

 

:苦渋の選択をしたような顔!!!

:これ絶対ワルニキはよく顔出してるやつでしょ!w

:明日うちに来るならガトリングダーツのフルコース楽しみにしてる

:ん?

:今、関係者いたか?

:むしろ説教の対象が注文しているように見えたけど笑

:お説教って言われているのに余裕ありすぎだろww

:お説教って言われてるのにフルコース求めてて草

 

「今、コメント欄に隠者がいたな? やらかしたお前を説教をしに行くのになんでお前の為にフルコース作らにゃならん。反省はどうした反省は」

 

:それはそうw

:隠者……ハーミット……なるほど魔術師から連なるタロット仲間かw

 

「いつもいつも隠者さんのやらかしに巻き込んでしまって申し訳ありません。うちの社長もそろそろワ○ルドさんには、事務所からお金だそうかという話にもなってるくらいで」

 

:常習犯なのかよwwww

:隠者って誰のことだろう?w

:やらかす度に呼ばれるワルニキの構図は草

 

「私や事務所からお説教するより、ワ○ルドさんのお説教の方が聞く耳持ってくれるので、どうしても頼りがちでして」

「わざわざ伏せずにここで言ったのも狙ってのコトですか?」

「はい! 絶対見てると思ったので。逃がしませんよ?」

 

:イイ笑顔だ笑

:可愛い笑顔だけど目が笑ってなさげ

:ステラさんなかなかの策士か?笑

:逃走の常習者扱い草

 

「まぁ引きこもり気質のやつだし、逃げる為だけに家を出るコトはないでしょうけどね」

「あははは……って、話が逸れちゃいましたね。ニンニクでしたか」

「です」

「明日お二人が気にしないなら問題なしですかね」

「まぁ気にしませんし、そこまで匂いは残らないとは思うんですが、念のためです」

「なら全然平気です」

 

 ネオンが笑ってうなずくと、それならば――とセイジは新しいガトリングダーツを取り出した。

 

「なら、やるか」

 

 先ほどもやった手順で5匹を下ろす。

 それから、下ろした切り身のうち3匹分を三等分くらいの大きさにカット。

 

 カットした切り身を鍋の中に敷き詰め、上から塩と粗挽き黒胡椒を振りかける。

 ニンニクを5片ほど取り出すと、包丁の側面で叩いて潰し、鍋へ。

 さらに鷹の爪を割らずに二本ほど鍋へと放り込む。

 

:この時点で美味しそう

:相変わらず鮮やかな手並み

 

 あと、余った頭は鼻を切り落として、尻尾と共に水を張った別の鍋に放り込み、火に掛ける。

 大きい骨も使い道があるので、捨てずにいったん脇に置いた。

 

「……ガトリングダーツだけでもいいんだが……何か持ってきてたっけか」

 

 SAIに入っているものを思い返し、ふと思いつくものがあった。

 

「よし、いいものがあった」

 

 取り出したマッシュルームを適当な数、四等分にカットしてそれも一緒に鍋へ。

 それから、取り出しておいた内臓も全部ではないにしろ、鍋に加える。

 

 最後にオリーブオイルをひたひたに入れたら、鍋を弱火にかけた。

 

:絶対うまいやつだ

:サンマのアヒージョそういうのもあるのか!

 

「このアヒージョってふつうのサンマでもできます?」

 

 料理の行程を見ていたネオンがそう訊ねると、セイジは頭と尻尾の入った鍋の様子を見ながら答える。

 

「できますよ。自分で下ろすのが難しいようならぶつ切りでも大丈夫です。煮込み具合によっては骨までいけるんで。内臓も大丈夫なら、しっかり煮るのが大前提ですが入れて平気です」

「マッシュルーム以外の具材とかオススメありますか?」

 

 お湯が煮立ちはじめ、中の頭と尻尾に火が通っているのを確認したら、いったん火の弱い場所させる。その傍らにネオンの質問に答えた。

 

「そうですね……定番で考えるならタマネギですかね。あとトマトもありかもです。特にドライトマトを入れると、ひと味違う味わいになるかと」

 

 答えながら、SAIから市販のダシ入り味噌を取り出すと、適当にレードルですくい、そのままレードルを鍋に突っ込んでゆっくりと溶いていく。

 

「一緒にジャガイモやナスなんか入れるのも悪くないです。旨味が溶け出した油をたっぷり吸うので。ナスを使う場合は一度焼いた方がいいかもですね」

 

:聞いてるだけで腹が減るんだけど

:サンマは無理でもなんか魚のアヒージョしたいな

:似たようなレシピならサバやアジでもできなくないぞ

:アジなら開きを使ってアヒージョも悪くないからお試しあれ

:コメント欄の料理人ニキたちがここぞとばかりに!

:ワルニキが料理している時の指を見てるだけで幸せになれる

:話ながらニキは何を作ってるんだ?

 

「お喋りしているうちに、あら汁が完成してる……」

「頭と尻尾ももったいなさそうなので」

 

:手が早すぎる

:さすがダウニキ手がはやい

:ゲストが女性の時に手がはやいとか言うなw

:リスナーの褒め言葉が誤解しか生まなくて草

 

「まだ切ってないのがありますけど、他にも何か作ります?」

「もちろん」

 

 セイジはアヒージョにしなかった2匹を下ろしたあと、薄切りにしていく。

 薄切りにし終えた2匹をさらに細かく切っていった。

 

「……それ、何をしてるんですか?」

「何をしてると思いますか?」

 

 そう聞き返しながら、セイジはSAIから紙の深皿を取り出すと、そこに味噌と少量の白ダシ、すりゴマを入れて混ぜ合わせる。

 

 それから、細かく切られた刺身に連続して包丁で叩き出す。

 潰れだしたら、先ほど作った味噌ダシを少し加えて和え、再び叩く――を繰り返していく。

 

:なめろうだー!

:魚やなくて肴やんかー!

 

「こんなものか」

「これはまた……ご飯のお供としても強そうなものを……!」

「具無しのおにぎり、持ってきます」

「……!!」

 

:ぬかりがないww

:用意周到すぎる……!

:以前のテキサススタイルバーベキューで味を占めたな?w

 

「あの……お酒は?」

 

:ステラさんwwww

:気持ちは分かりすぎる笑笑

 

「ダンジョンで飲むのは禁止されてないですが、危険ですからね。自制も兼ねて持ってきてません」

「ですよねー……」

「代わりにブドウジュースやオレンジージュース、各種お茶、炭酸飲料なんかは持ってきてますけど」

「居酒屋のソフトドリンク並のラインナップですね」

 

:用意周到もここまで行くと凄いな

:ドリンクって種類あるだけで楽しくなるよなー

 

「えーっと、烏龍茶あります?」

「もちろん」

 

:ほぼ居酒屋のやりとりである

:ノリが居酒屋すぎるんだよなぁw

:刺身に焼き魚、アヒージョになめろうだぞ?居酒屋だろ

 

「とりあえずそっちへ」

 

 用意してあった折りたたみテーブルを示すと、ネオンは自分が座っていたイスと一緒にそちらへと移動する。

 

 それを見てから、セイジはSAIから紙コップを二つとペットボトルの烏龍茶を取り出す。 それぞれのコップにお茶を注ぐと、片方をネオンへと差し出した。

 

「そろそろアヒージョも良さそうですね」

 

 それから木製の鍋敷きを取り出してテーブルに置くと、アヒージョの入った鍋をそこに置いた。

 

 作業台に置いてあった食べかけのお刺身と焼き魚、今作ったなめろうも。

 さらに、紙の深皿を取り出すと、そこにあら汁を入れて、テーブルへ。

 

 加えて紙皿を一枚テーブルに置くと、そこへSAIから取り出した、ラップに包まれた銀シャリおにぎりを積み上げていく。

 

「先に食べてていいですよ」

「まだ何か作るんですか?」

「ええ。あと一品だけ」

「じゃあ待ちます」

 

 そんなワケで、セイジは少量の油を注いだ小さな鍋を火に掛けた。

 煮たってきたら、そこへ適当なサイズに砕いた骨を放り込む。

 

 しっかり揚げたいところだが、油のあと処理が面倒なので、今回は少量の油による揚げ焼きに近いものだ。

 

 しっかりと火が通ったのを確認したらパットにおいて粗熱を取りつつ、塩を振れば完成だ。

 

「骨せんべいですか!」

「味がサンマに近いなら、これも行けるかな……と。ちょっとダメそうなら無理しないでくださいね」

「ああ! 美味しい美味しくないではなく、純粋に食べれる食べれないの話ですね。サンマみたいに美味しく食べれるか分からないって意味での」

「そういうコトです」

 

:ガトリングダーツを食べ尽くすかのようなラインアップだ

:いいねぇ美味しそう

:完全に居酒屋メニューだなw

 

「そんなワケでお待たせしました。食べましょうか」

「はい! だいぶワクワクしてますよ!」

 

 そうして二人は手を合わせると、「いただきます」と口にした。

 

 

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