葬送のFive・Nights   作:わたぼう

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ゼーリエさんは、アニマトロニクスにどんな反応するのか想像しづらい


NIGHT0日目 ゼーリエ

ゼーリエは現在、北側諸国のラート地方に来ている。

目的は――フランメの悪夢の正体を探るためだ。

 

悪夢の中で見た“真夜中の一室”。

そこで見た窓からの景色の情報を頼りに、現実世界の中で該当する場所を割り出した。

 

そこにあったのは、すでに古くなった家だった。

魔物か魔族……それ以外の何かの被害に遭ったのか、ところどころ破壊され、長い間誰も使っていなかったことが一目でわかる。

椅子や机には厚く埃が積もり、空気は湿気と静寂で重い。

 

ゼーリエは壊れかけの扉をいくつか開けていき、やがて――悪夢の中で見た光景に類似する部屋を見つけた。

 

部屋には家具一式が揃っていた。

古びたベッドとクローゼット。

壁際には小さな窓がひとつ。そして、ベッドの上には複数の人形が並んでいる。

 

「……思った以上に何もないな。奇妙なほどに。」

 

ゼーリエは人形に視線を移す。

 

この家にあるほとんどの道具や家具は、経年劣化や何らかの襲撃によって傷だらけだ。

カビ臭いベッドも無惨に痛んでいる。――なのに、

 

人形だけは劣化も傷も、ほんの一つすら存在しない。

 

まるで時間や災厄の影響を受けていないかのように。

 

「……何か、気になるな。」

 

 

 

---

 

 

ゼーリエは人形を手に取る。すると――

 

「貴方、だれ?」

 

背後から少女の声が落ちてきた。

ゼーリエは反射的に振り向き、眉をわずかに寄せる。

突然現れた子供。魔力反応も気配も感じなかったことが、不気味さとして胸に引っかかった。

 

魔力は少ない。制限特有の揺れも見えない。

足の運び方、体の重心――戦闘の心得は皆無。

“無害に見える”…それが逆に警戒心を強める。

 

「お前の方こそ何者だ。」

 

「私は…$%#、その子達の友達だよ。」

 

少女は人形を指さす。

ゼーリエは目線だけをわずかに動かし、その仕草を観察する。嘘をついているようには見えないが、判断材料は少なすぎる。

 

「一人遊びか? こんな場所で?」

 

少女は首を振った。

 

「今日はその子達と遊ぶ約束をしていたの。あともう一人来るはずなんだけど…今日は忙しくて来れないみたい。」

 

この場所で“予定”を語ることの奇妙さに、ゼーリエの胸の奥がかすかにざわつく。

 

「そうか。私はゼーリエだ。勝手に家に上がってしまってすまない。聞きたいことがあるんだが――ここの地域で何か異変や事件は起きてないか?」

 

「事件? 特にそういったことは…あっ、でも変わったことと言えば、最近近所に美味しいレストランができたの。」

 

レストラン。

その言葉に、ゼーリエは思わず息を小さく吐く。

期待外れか…

しかし油断はしない。何か“別の答え”を引き出せると直感していた。

 

――そして少女の次の言葉で、胸が一瞬強く跳ねる。

 

「昔はアンナやメイリー、フランメ達とも行ってたのに、最近は皆忙しいらしくて、集まれてないの。」

 

「今、フランメと言ったか! 彼女について何か知っていることがあれば話してくれ。」

 

思わず踏み出す足。

ゼーリエ自身、自覚できるほど声に熱がこもっていた。

 

「っウェッ…びっくりした…。えっと…フランメは私の友達で、魔法が大好きだって、それに私なんかとは比べ物にならないくらい才能に溢れてるひとで、本当に友達として誇らしいというか…。で、貴方はなんでフランメのことを聞いてきたの?」

 

「彼女は私の教え子だ。今、少しだけ体調を崩していてな。それを治す術を探している。」

 

“教え子”という言葉を口にした瞬間、ゼーリエの胸に、かすかな痛みと焦りが混じる。

フランメが見ている悪夢、その正体に近づけるのなら、どんな断片でも逃したくなかった。

 

「へぇ…なんか“先生”が付くって、フランメっていつの間にか凄い人になってたんだ。」

 

ゼーリエは少女の何気ない言葉に耳を澄まし、心のどこかで安堵する。

“フランメは確かにここにいた”…その証拠が、ようやく得られた気がした。

 

「それなら、もしかしたら、彼女との思い出の場所に行けば何か見つかるかも。」

 

ゼーリエは小さく頷き、その提案を受け入れた。

 

――だが。

 

「ん?」

 

「どうしたの、お姉さん?」

 

ゼーリエは周囲に目を走らせ、思わず息を呑む。

 

崩れていたはずの家具が、壁が、床が――

いつの間にか“綺麗”になっている。

 

自分たちが歩いた痕跡すら消えているように見えた。

 

胸の奥に、強い違和感と冷たい緊張が広がる。

まるで、現実そのものが静かに形を変えたかのようだった。

 

 

---

 

 

 

フンッ~フッフ~ン~♪

 

鼻歌を歌いながら、少女はゼーリエを先へと連れていく。

 

ゼーリエは気づいていないが、異常なのはあの家だけではなかった。

ここへ来るまでの道も、周りの民家も――すべてが妙に新しくなっている。

建て直したばかりのように綺麗だ。だが、人の気配はほとんどない。

 

数分歩いたところで、

 

「ついたよ。」

 

と少女が言った先には、レストラン――ピザ屋があった。

 

少女とともに店内へ入る。

 

悠久の時を生きるゼーリエにとって、ピザという料理は馴染みが薄い。

しかし、人間達の文化に深く浸透し、愛されている料理だという知識はある。

 

席に着いたゼーリエの目にまず飛び込んだのは、動く人形たちだった。

魔力によって動いているのはわかる。

 

ゼーリエは魔力探知で内部の機構を探ろうとした――だが、探知は弾かれた。

 

いや、正確には、

ゼーリエの“探ろうとする意思”のほうが、対象を透過した

と表現した方が近い。

 

魔力の“存在”は推察できる。

しかし、その根本には触れない。

そこに“ある”と認識できるのに、掴もうとすれば指先に伝わるのは虚空だけだった。

 

この不可解な感覚に、ゼーリエはすぐに疑念を抱いた。

 

(……ここは、悪夢の内部なのか?)

 

フランメの時とは違うが、似た異質さがある。

ただ、決定的に異なる点もあった。

 

フランメの夢にいた“悪夢の主”は、何もない空間にぽっかりと空いた虚無で、

生物の本能だけが「そこに何かがいる」と感じる存在だった。

 

だが今回は――

確かに肉眼で姿を見ている。

物理的な制約に従って動いているようにも見える。

 

それでも魔力は、

“魔力がある”という感覚があるだけで、核心には触れない。

魔力の制限を施している気配すらない。

 

ふとゼーリエは、席に座った少女の手にも触れてみた。

 

普通に触れた。

 

「…ふぇっ!?」

 

「すまん…」

 

少女には異常は見られない。

だからこそ、この空間の異質さはより際立っていた。

 

---

 

「それでね?、この子が最近、新しく追加されたボニーでこの子がチカちゃん。こっちがフレディと後はフォクシーって子がいたはずなんだけど。今は整備中みたい。」

 

ゼーリエはその後で、その店のピザを食べた。

 

「デザートにカップケーキ食べよ?」

 

「ケーキか…」

 

「もしかして、ケーキ嫌い?」

 

「いや、甘いものは久しく食べていなかったからな。」

 

「そっか、ねぇ…黙ってたけど、ゼーリエさんってエルフなんだよね?久しくって何年くらい?」

 

ざっと129年程だと少女に伝えた。

 

「えぇ…それは人生の半分損してるよ、美味しいものは沢山食べなきゃ、特に甘いものは。」

 

ゼーリエはそれは人間の場合だろうと思った、エルフの寿命は永遠だ、対して急ぐ必要もないのだ。

 

暫くして、カップケーキが到着した。まずゼーリエが驚いたのはその色、ピンクのケーキなんて見たことなかった。そして、シェフを呼びたくなる料理の見た目、ケーキに虚ろな二つの目が付いている。

少女はそれを見て、可愛いと言っていた。ゼーリエは理解しがたい気持ちになった、ケーキを口に運び、舌に乗せる、味は驚くほど良かった。チェリー味のクリームが広がり、イチゴの酸味が良いアクセントになっている。

 

「どう?美味しいでしょ♪昔から変わらない味だよ。」

 

「確かにこれ程の味は出会ったことがないな。」

 

「おぉ(笑)…これは連れてきた甲斐がありました。」

 

「おい…本題を忘れるなよ?」

 

「ウッ…分かってるって、フランメのことでしょ?」

「言っとくけど、私も彼女のことを全て知ってるわけじゃないから、寧ろ、私は殆ど人伝えでしか彼女のことを知らない。」

 

「そうか、それでも情報は欲しい。」

 

「なら、冒険と行きますか!!」

 

 

ゼーリエは少女と一緒に店内の探索をし始める。

 

辺りは子供の賑やかな声で溢れている。

 

ここが、現実の空間かどうかはあやふやだが、魔法はどうやら使えるらしい。ゼーリエは魔力で気配を消して、くまなく探索する。

 

 

現在の場所はアーケードエリアだった。

周囲は子どもたちの歓声と笑い声で満ちており、つい数分前までゼーリエが疑っていた“悪夢”とはあまりに対照的な、賑やかで明るい空気が広がっている。

 

ゼーリエは魔力で気配を薄くし、少女とともにその空間を歩く。

 

目の前にはずらりと並んだゲーム機——だが、その仕組みはゼーリエの知る“装置”とはかけ離れていた。

 

それらのゲーム機は

魔力を動力源にしており、内部には魔力の回路が埋め込まれた石板が複数層に重ねられている。

まるで薄い魔導書のページが折り重なっているかのような構造で、

その中で小さなキャラクター達が本当にそこで生活しているかのように動き回っていた。

 

ゼーリエにとっては魔導工学としても極めて興味深い。

“ゲーム”という人間文化がここまで魔力と融合しているのを見たのは初めてだった。

 

少女はある筐体の前で立ち止まり、ゼーリエに声をかける。

 

「このシューティングゲーム、私ずっとやってるんだよ。記録は2450。越えられるものなら越えてみなさいって感じ!」

 

ゼーリエは軽く眉を寄せながらも、操作盤に手を置いた。

 

——結果。

 

一回目の挑戦でスコア3785。

 

敵を撃ち落とす光の軌跡は魔法弾の精度そのもので、

ゼーリエの反応速度は、長命種の経験値ゆえに人間の比ではない。

 

「マジか…私の記録、一瞬で越された……」

 

少女は本気でショックを受けている。

 

ゼーリエは淡々と答えた。

 

「そろそろ終わるか。この“シューティングゲーム”とやらには、特に情報は無さそうだ。」

 

「エッ!? 行けるとこまで行ってよ、まだまだ先あるんだよ!? カンスト出来るかもしれないじゃん!」

 

「ヤメだ。」

 

ゼーリエはきっぱりと言ってゲームを終了した。

 

少女は肩をがっくり落とす。

 

二人はその後もアーケード内のゲームを数種類試した。

レースゲーム、リズムゲーム、謎解きゲーム——それぞれ魔力回路の仕組みは面白かったが、

少女の言う“フランメ”に繋がるような情報はどこにも見つからなかった。

 

「……あぁ、本当にカンスト狙えたかもしれないのに……」

 

少女が悔しそうに呟く横で、

ゼーリエはゲーム内の魔力構造を一度振り返り、そして静かに首を振った。

 

 

---

 

 

---

 

 

「ちょっと、そっちは厨房だよ……って、あれ?」

 

少女が言いかけたとき、ゼーリエは淡々と告げた。

 

「私たちは今、魔力で気配を消している。お前の気配も私が隠した。

 喋っても、声は私にしか届かない。安心しろ。」

 

「……えっ」

 

少女は思わず足を止め、目を瞬かせた。

自分の声が世界に届かないという奇妙な感覚と、ゼーリエの魔法があまりにも自然に働いていることへの驚きが胸を刺す。

 

そして、ほんの少しだけ理解した。

――このエルフのお姉さんは、自分が思っていたよりずっと“格上”だ。

 

 

---

 

厨房には、魔力炉を内蔵した本格的なピザ窯が据えられ、

壁にはレシピや工程表が貼られている。

生地をこねる従業員、飾り付けに集中するパティシエ。

ごく普通の繁忙風景だが、今のゼーリエには“異常のないこと”が逆に不気味だった。

 

少女はケーキラックに並んだ菓子を見て、ふと思いついたようにゼーリエへ尋ねる。

 

「ねぇ……ゼーリエさん。友達の誕生日に持っていくプレゼントって、何がいいと思う?」

 

「さあな。……私なら魔法を渡すがな。」

 

「フランメさんには、何か渡したの?」

 

「……あの娘は、自分の手で魔法を学んでいった。私は、その手助けをしただけだ。」

 

少女はその横顔を見上げ、ぽつりと言う。

 

「……ゼーリエさんって、いい人だね。」

 

「……フンッ。」

 

ゼーリエは視線をそらし、それ以上何も言わなかった。

 

 

---

 

彼女の足音が少し遅れた。

小さな呟きは、空気の奥へ沈んでいく。

 

「……魔法か。そんな才能、私にあったのかな……」

 

その声がゼーリエに届くことはなかった。

 

 

---

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

---

 

その後、ゼーリエはパーティールームやステージの舞台裏を散策した。

 

残るは、西のホールにあった左側の扉と、ダイニングから入るトイレ、そしてトイレへ続く通路の角にある扉だけになった。

 

ゼーリエはトイレに向かう。

 

だが……

 

「ねぇ……ごめんなさいゼーリエさん。私、ちょっと体調がよくないかも。すぐ追い付くから……先に行ってて。」

 

隣を歩いていたはずの少女は、気づけばゼーリエの後ろに立っており、手を膝につき、汗で頬を濡らしていた。

 

「……大丈夫か? 息が上がってるぞ。」

 

少女はダイニングで少し休むから大丈夫だと答えた。

どうやらここから先は、ゼーリエひとりでの探索になりそうだ。

 

トイレを男女共に確認するも、特に異常はなかった。

 

そして、トイレの通路の左端、角にある扉――セーフルーム――。

ゼーリエが扉に触れた瞬間だった。

 

……

 

………。

 

…it's me

 

「ッ!?」

 

頭痛が突き刺さる。脳内にノイズがはしる。

 

it's me

 

ボニー、チカ、フォクシー、フレディの顔が、脳裏に次々と映し出される。

 

……

 

………。

 

ヴァァァァァ@#$%#@

 

その叫びは、出口の方から響いてきた。

 

「なっ……ん……だ……これは」

 

店内の明かりが瞬き、脳内に響く叫び声の残響。目眩と頭痛に、ゼーリエは思わず眉を顰める。

 

瞼を開けると、賑やかだった店内の空気は消え、異様な静寂が広がっていた。

 

そこにあったのは、五人の子供の死体――。

 

ゼーリエは予感していた。

だが、ここまで不気味な光景は、これまでに味わったことがなかった。

 

そして気づく。これは魔族ではない――人間による殺害だ。

魔族なら遊びであっても、もっと多くの犠牲者を出すだろう。

五人に限定する理由は、明らかに意図的だ。

 

「……これは、」

 

振り向くと、そこには少女が立っていた。

今までとはまるで違う、凍りつくような気配のない存在。

 

「おい、#%@$……ッ!?」

 

名前が出てこない。出会ったときに聞いたはずの名が、頭に浮かばない。

 

「貴方は招待されたの、呪いとして――もちろん私も。

 でも、貴方はまだ死んでいない。だから、私は貴方に託したい。

 ここからの五日間、貴方に託すね?」

 

「な、何を……」

 

「私にとって、これは最後のチャンスなの……ゼーリエさん…Five Nights。

 

営業しているフレディ・ファズベアーのピザ屋に“夜”入り込んで、

五回――その夜を乗り越えて。

 

それから……声が聞こえたでしょ?

“彼女”を探して。

 

それと、他の四人も見つけて。

彼らの力は必要になるはずだから……きっと、あなたを助けてくれる。

 

……あと、ありがとう。

プレゼントの相談にのってくれて。」

 

……

 

「じゃあ私はもう行くね。任せたよ……」

 

「ゼーリエさん……」

 

バタッ……

 

「おいッ!!……」

 

倒れた少女の体は異様なほど冷たく、冷たい風と雨に濡れたかのように、全身が急速に冷えきっていた。

数秒後、その体は霧のように消えていった。

 

「……この呪い、相当に深いな。」

 

ゼーリエはセーフルームを出て、ダイニングへ向かう。

残るは、西のホールの左側の扉だけ。

 

だが、突然、ゼーリエの視界は眩い光に包まれた。

気づけば、そこは既に廃墟と化した店内だった。

 

ゼーリエは、名前すら知らない少女の言葉を思い出す――

Five Nights、五日間の夜を乗り越えること。

 

「五日間……」

 

悠久の時を生きてきたゼーリエにとって、短くも、これまでにない濃密な時間が始まろうとしていた。

 

 

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Fnafのキャラをメインとして、描写を出してほしいか、葬送のフリーレンのキャラをメインとして、描写を出してほしいか。

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