星歴九〇〇年一一月二六日 以下対象資料の全てを第一級機密指定とする
閲覧申請の全てを無条件で却下する事
この指定は大統領令および議会申請を含むあらゆる権限に優先される
指定の維持が難しい場合、資料の全てを即時廃棄する事
対象資料名:『ルシエン・ディーアハイルの往復書簡』
ヴィルトシュヴァイン公文書館 資料課 ベレリアント戦争資料保管室
※星歴一〇二五年一二月一七日追記
ベレリアント戦争史料保全会よりの閲覧申請を却下
同会は資料の所有権は執筆者ルシエン・ディーアハイルにあると主張
確認したところルシエン・ディーアハイルは星歴九〇一年よりティリオン郊外の精神病院に入院中
対象が自主的に返還を要求したものではないと判断され返還請求は却下される
同会は新たに「私信であり公文書館より移管すべきでは」との主張をヴィルトシュヴァイン地方裁判所に提出準備中
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『ルシエン・ディーアハイルの往復書簡』
星歴九〇〇年三月から十一月にかけて交わされた往復書簡。
白エルフ族ルシエン・ディーアハイルがエンテンネスト内部で書いた手紙。内容はエルフィンド王国前首相ドウラグエル・ダリンウェンに関しての記録。
ルシエン・ディーアハイルはドウラグエル・ダリンウェンの執事であり、かの人物の知られざる情報を記載していると推測され史料価値が高いと予測されている。国立ヴィルトシュヴァイン公文書館に保管されているが第一級機密指定(漏洩した場合国家に甚大な被害が発生されると懸念されるもの)とされ閲覧は不可能。百年以上前の文章である事から機密指定解除の可否を連邦政府に問い合わせるも即答で『否』と返される。
この書簡については陰謀論マニアの間で話題に上る事が多い。
何故一個人の往復書簡に過ぎないものが第一級機密指定を受けているのか?
個人の書簡でありながら公文書館に収められているのは何故か?
そもそも往復書簡であるというのならば誰宛ての手紙であるのか?
マニアたちはこぞって推論を立てている。
曰く、ドウラグエル・ダリンウェンの隠し財産が記載されている。
曰く、ダリンウェンが実はオルクセンのスパイであった証拠である。
曰く、この手紙が明らかになるとダリンウェンの評価が回復してしまう。
――もちろん、どの推論も間違っている。
この書簡はもっと救いの無い、おぞましいものだ。
耳を塞ぎたくなるような、目を覆いたくなるような――オルクセン王国が戦い抜いた、栄光のベレリアント戦争における最後の『答え合わせ』だ。
それを見たいなら、どうぞ続きをご覧あれ。