事前登録者3355万336人突破報酬、☆5『ファイノン』 作:きのこの
感想についてはネタバレ防止の為に極力返信しない方針ですが、大喜びで読んでます。
「すまない。僕が驚かせてしまったせいで、君たちを危険に晒してしまったね。」
突如四人の前に現れ、驚くべき速さで星の前に飛び出し、反物質レギオンを粉みじんに打ち砕いた白髪の青年は、口元に穏やかな微笑みを浮かべたまま、申し訳なさそうに眉尻を下げた。
四人の中で一番背の高い丹恒よりも更に拳一つ分大きな体躯、にも関わらず申し訳なさそうにしょんぼりしている雰囲気が、ぺしょりと耳を下げている大型犬のような印象を与える。
開口一番謝ってくる青年の様子に、警戒レベルをほんの少し下げ、しかし初対面にも関わらず親しみの込められた眼差しを内心で訝しみながら、丹恒は口を開いた。
「いや、確かに驚きはしたが、俺たちも油断していた。むしろ、星を守ってくれたこと、感謝する。」
「そうだよ!アンタが間に入って、あいつを吹っ飛ばしてくれなかったらと思うと…。うう、本当に危なかった…!助けてくれてありがとう!ほら、アンタも。」
「死ぬかと思った!」
二人ととんちき選択肢を選んだ一人が青年にお礼を言うと、青年はますます申し訳なさそうに眉尻を下げた。素直に受け取ればいいのに、背負い込みやすい人なのかもしれない。
「ところで、バットが燃えてたけど。」
青年が握る自身のバットの様子が気になったのか、星が青年に話しかける。青年は一瞬ぽかんとした後、再び困ったように眉尻を下げた。
「ああ、すまない。君のバットを使ってしまったね。
見たところ、傷も焦げもないから安心して。さあ、君の武器を返すよ。」
青年から差し出されたバットを受け取る。
彼の言う通り、あれだけの衝撃との炎を纏っていたにも関わらず、バットには傷一つなかった。耐火性能でもあるのか。
バットをしまう前に、青年のようにバットに炎を纏わせたりできないだろうか。もしできたら、炎の持続ダメージとか付与できたりして。
星は物理属性なので、ついでに炎を付与出来たら無双できる気がした。俺つえ~は美少女の夢だ。*1
受け取ったバットを握りしめて頑張って念じてみる。
バットは大事な主人の手にあるにも関わらず、うんともすんとも言わない。
なんて薄情なやつだ。
残念そうにバットをしまう星だったが、ふと、正面から視線を感じて、顔をあげた。
星がバットを構えてしまうまでの一連の流れを、目の前の白髪の青年は、微笑ましいような、どこか懐かしむような___ずっと待ち望んでいた何かと巡り合えたような、特徴的な青い瞳を柔らかに緩ませながら、優しく見つめていた。
***
「貴様は星穹列車の仲間か?」
彼女にバットを返してすぐ、アーランさんが瞳に警戒の色を浮かべて僕に問いかけてきた。
彼が警戒するのも無理はない。ヘルタは反物質レギオンの襲撃の真っただ中で、彼からすると僕は所属不明の不審者だ。
……彼は僕のことを知らないのか…。なら、僕はここのスタッフという訳じゃないみたいだ。
「いや、初対面だ。宇宙ステーションのスタッフ…という訳でもなさそうだな。」
僕の代わりに腕を組みながら答えた丹恒さんの言葉に、アーランさんはますます眉を顰めて、ジッと僕を見つめる。
彼らの信頼を得たいけど、僕が切れる手札はほとんど無い。何せ、僕自身も僕のことが分からないし、あるのは彼らの常識からかけ離れた記憶だけだ。
こんな状況で僕にできるのは、『真摯でいること』くらいだろう。
「君たちが疑問に思うことを解消してあげたいけれど、僕にも分からないんだ。
気がついたら、この部屋の一番奥で気を失っていて、僕が何者なのかも、どうしてここにいるのかも、思い出せなかった。」
なにか思うところがあったのか、三月さんが心配そうに目尻を下げた。
「そんな、記憶喪失ってこと?...どこか怪我はしてない?頭を強く打ったりとか。」
「そういうのは、特にないかな。むしろ元気なくらいだよ。少なくとも、さっきの奴らを倒せるくらいにはね。」
といっても、あいつらを倒せたのは...多分この体の身体能力が高かっただけなんだけどね。
僕の言葉に、丹恒さんは少しの間顎に指を置いて考え込み、アーランさんの方に視線をやった。
アーランさんは一瞬悩んだ様子で、でもすぐに真剣な表情で頷くと、丹恒さんは腕組みを解いて僕に話しかける。
「ならば、俺達と共に来ないか。主制御部分に行けば、お前のことを知っている者がいるかもしれない。」
「本当かい?そうしてくれるなら、僕としても助かるよ!」
よかった、一緒に行ってくれるみたいだ。
アーランさんも丹恒さんも警戒してるから、多分僕のことを見張る意味で同行を申し出てくれたんだろうけど、どのみち僕に行き場はなかったから、本当にありがたい。
…善良な彼らのことだから、本心から「僕を知っている人を探す」目的もあるのかな。
両方の意味でも、僕も連れていった方がいいと判断したんだろう。
「うんうん、それじゃあ一緒に......。
って、そういえばまだ自己紹介してなかったね。
ウチは三月なのか。星穹列車の乗員だよ!」
「同じく、列車の護衛をしている丹恒だ。」
「......アーランだ。この宇宙ステーション『ヘルタ』で防衛課の責任者をしている。」
「三月さん、丹恒さん。それにアーランさん。よろしくね。」
三人の顔を一人ずつ見渡したあと、最後に、僕の隣でぼんやりと立っている未来の英雄に、話しかける。
「...君は?」
自然と目を細めて微笑む僕に、彼女は少し目を開いてパチリと瞬きをした。
「私は星。」
「星......さん。」
噛み締めるように口の中に転がした。
デフォルトネーム......つまり、彼女本来の名前。
主人公らしい、いい名前だ。
「うん、よろしく。
僕の名前は......。」
彼らに倣って名前を言おうとして、はたと動きを止めた。
そういえば...僕は彼らになんと名乗ればいいんだろう?
『ファイノン』は駄目だ、名乗れない。
僕の外見は確かに彼そのものだけど、後々星穹列車がオンパロスに到達することを考えた時、僕がその名を使ってしまうと、星...さんや丹恒さんがひどく混乱してしまう。
彼と僕に繋がりがあるのかさえ分からないのに、名前を使う訳にはいかない。
前世の名前を覚えてたら使いたかったんだけど...覚えてない。
呼びやすくて、かつ僕と全く同じ姿をしている本物のイメージを損なわないような、いい呼び方を考えるべきだろう。
ファイノン......カスライナ......。火種…フレイムスティーラー……。
ファイノンに関連する単語を並べてみるが、丁度良い言葉は浮かんでこない。
かといってオンパロスやタイタン達、実在する名前を使うこともできない。僕はこういった創造的なことはあまり得意じゃないや。
うーん、白色だからシロノン?
…いや、それは彼が飼ってる犬の名前だった気がする。
色か。色なら、確か本編中に使われてる名前があったような...。
「黒いノン......。僕のことは『黒いノン』と呼んで欲しい。」
「…偽名じゃないか。」
すぐに名前じゃないことを看破したアーランさんが怪訝そうにする。
ちょっと分かりやすすぎたみたいだ。
ゲームに登場する名前で、ファイノンをさす言葉の一つであり、主人公の夢の中にしか存在しない名前だから、最適ではあるんだけどな。
「君の言う通りこれは偽名、仮の名前だよ。すまないね。本当の名前を伝えたいけど、それも覚えてないんだ。」
「そうか、名前まで。お前の記憶障害は相当重症みたいだな...。」
どこか慰めるような口調で丹恒さんが言った。僕のことをまだ信用してないだろうに、気を使ってくれる彼は本当に優しい人だ。
星...さん(もう内心では『星』って呼ぼうかな)が僕のコートと髪の毛を指さした。
「黒いノンって呼べばいいの?白いノンじゃなくて?」
「色合い的にはそうだね。もし呼びづらいなら、君の好きなように呼んで欲しい。」
呼び方一つで何かが変わるわけじゃない。僕なんかの為に悩んで時間をとるくらいなら、彼らの呼びやすい方を選んだ方がいいだろう。
彼女は少しの間悩んだ後、「じゃあ『クロノン』で。」と両手を腰に当てた。
「うん!よろしく頼むよ。」
持ちうる限りの親愛をこめて、僕は彼らに笑いかけた。
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道中、収容台から得た光円錐を星が身に着け、僕たちは収容部分二階にやってきた。
二階にあがる長い通路の突き当り。壁についた分厚いガラス越しに、反対側の通路に居座る数体の反物質レギオンが見える。
主制御部分に向かうには、一度通路から左に入り、さっき見たガラスの向こうの通路を通らなければならない。
三月さんと丹恒さん、それに星が武器を構える中、武器も出さずに佇む僕に、アーランさんが話しかけてきた。
「貴様は戦わないのか?」
「?戦うよ。」
「…武器は?」
無言で握りしめた拳を見せると、アーランさんは『本気か』といいたげに目をひくりと動かした。
目覚めた時、身一つで倒れていた僕に、当然武器なんてものは無い。周囲にもなかったし、ここに来るまでレギオンの姿をみかける度に何度も武器を出現させるように念じてみたが、特に出てこなかった。そもそも皆は武器をどういう風に出したりしまったりしているんだろう?
記憶もないし、戦った経験も今のところ星を助けるための一瞬だけしかないけど、それでも、武器がないことが戦わない理由にはならない。
無謀かと思われるかもしれないけど、僕には反物質レギオンと真っ向から戦えると確信できる理由がある。
星を助ける為に本能的に動いた後から、不思議なことに、妙に視界が開いて見えるし、敵を見つけた時に『どう動き始めればいいのか』が瞬時に分かるようになった。
多分記憶を失う前の僕には戦う経験があるんだろう。動きを『身につけた』というより、『思い出した』感覚のおかげで、戦闘になっても足手まといにならないと直感している。
この体は本物のファイノンと同じように身体能力が高く、開拓者たちの攻撃で弱っていて、僕は星の武器を使っていたけど、それでもヴォイドレンジャーを一撃で倒せた。
流石に一人で、しかも拳だけで戦って勝てる、とは言わないけど、万が一の時に肉壁くらいにはなれるだろう。ゲームではそんな危険な目に会うのはヘルタでは終末獣くらいだったけど、道中は何があるか分からない。さっき僕のせいで星が死にかけたこともあるし、僕のせいで彼らが傷つくことは避けないと。
そんな考えの元、僕は彼らと一緒に戦うと、心に決めていた。
槍を構えて壁越しの様子を伺っていた丹恒さんにも僕とアーランさんの会話が聞こえたんだろう。
警戒をやめて、彼は僕に視線を向けた。
「先程はバットを使っていたが、格闘家だったのか?...体の使い方からはそう見えなかったが...。」
「戦いの経験自体覚えてないから、どのスタイルとかは...ない、かな?得物があった方が手に馴染みはすると思う。」
「えぇ!?アンタ、武器を持ってないのに戦おうとしてたの!?確かに強いんだろうけど...ウチらに任せてもいいんだよ?」
「大丈夫、戦うからには足手まといにならないようにするよ。決定打を与えられなくても、君たちの盾になるくらいはできる。」
それに......開拓者が戦うというのに、怪我人でもない僕が見ているだけというのも性にあわない。
目覚めたばかりの闘争本能が、『開拓者たちを守って戦え』とせっつく。
三月さんは「そういう事じゃないんだけど...。」と小さく呟くと、辺りをキョロキョロと見渡し、通路の脇に置かれた箱を覗き込んだ。
「えーっと...あ、これで戦ったりとか~」
言いながら、細長い金属の棒を取り出し、僕の方に差し出して...
その衝撃で、金属の棒は二つに折れた。
「~~は、ちょっと難しいね...。」
苦く笑いながら彼女は再び箱の中を覗き込んだ。
「三月さん、僕のことはいいよ。雑兵くらいなら素手でも問題ないし、君たちの邪魔にならないように立ち回るから。」
「ダメ!それじゃあアンタが怪我するかもしれないでしょ!主制御部分までまだ長いし、武器は持っておいた方がいいよ!」
僕のことで苦労を掛ける訳にはいかない、と声をかけたけど、こちらを振り返る強い意志の籠った眼差しは、僕の言葉により一層武器を探し始めた。
優しい三月さんのことだ、僕のことを心配してくれてるんだろう。
うーん…僕は本当に大丈夫なんだけどな…。心配してくれるのは嬉しいけど、僕は五体満足だし、体力もある。いざとなったら逃げられるし(逃げるつもりはないけれど)彼らには彼ら自身と、彼らが掲げる開拓の信念を優先してほしい。
説得しようと僕が口を開く前に、三月さんが箱に戻していた視線を、今度は丹恒さんの方にむけた。
「うぅ…ねえ丹恒。予備の武器とか持ってない?」
「…持ってないな。列車に戻ればいくつかあるだろうが……。」
「バットはもうないの?」
「星に渡したので最後だよ。二個も持ち歩いたら、重くなっちゃうから置いてきたんだけど…持って来ればよかったなぁ。」
星も三月さんの隣にやってきて、彼女と同じように箱を覗き込み始める。いつの間にか槍を収めていた丹恒さんも顎に手を当てて、星穹列車の三人で武器について話し始めた。
…そんなつもりじゃなかったのに、大事になってる...。
僕はさっきあったばかりの、しかも所属不明の不審者だというのに、気を回しすぎじゃないかな。僕なんかのために
僕も、彼らの役に立ちたいし一緒に戦いたい気持ちはあるけれど、彼らの手を煩わせて困らせたいわけじゃない。
「すまない、僕は君たちを困らせるつもりじゃ...。本当に武器はなくて大丈夫なんだ。戦闘の邪魔になるようなら、戦わずに後ろに下がっているよ。」
「...先程のお前の戦いを見るに、邪魔になることは絶対にない。そこまで自分を卑下するな。
だが...現状、護身用の武器を持てない間は、お前の安全のために俺たちの後ろにいてもらう方がいいだろうな。」
丹恒さんの言葉に、三月さんは漸く箱を漁る手を止めて、残念そうに項垂れた。
前線に立つことは叶わなくなったけど、彼らを困らせるよりはずっといい。いざとなったら飛び込めるように準備だけしておこう。
「......はぁ。」
後ろから重いため息が聞こえてくる。
開拓者たちと僕の四人が振り返ると、右手に機械的な大剣を握ったアーランさんが、その握り部分を僕の方に差し出していた。
「使え。」
「えっ、でも、そうしたら君の武器が...」
「戦い向きではないが小刀がある。護身程度なら俺はこれで十分だ。
それより、戦える貴様が武器を使え。」
咄嗟に差し出した僕の手のひらに、アーランさんは大剣のグリップをのせて、自身は小刀を出現させて僕に見せるように握りしめた。
前世で、恐らく平和に生きた僕が言うのは説得力にかけてしまうけれど、戦士にとって武器というのは命綱だ。誰かを守る盾であり、敵を打ち倒す剣であり、自身と生涯を共にする相棒。特に使い慣れた武器は、命にも等しいんじゃないかと思う。
僕が受け取った大剣は、明らかに、ゲーム内でアーランさんが使っている武器だ。所々に擦ったような傷があるのに、刃だけは新品のように鋭利で、彼がどれだけこの武器を大切に扱っているのかが分かる。
だから…それを先程あったばかりの、未だ警戒を向けるべき相手に渡すなんて…。
「……。」
開拓者たちもだけど、彼らは優しすぎる。ゲーム画面越しに見るよりもずっと暖かくて善性に満ちた彼らの姿は好ましく思うけれども、同時に、いつかその優しさにいつかつけこまれてしまうんじゃないかと、不安になる。
勿論、彼らが僕が守る必要もないくらいに強いことは理解しているけれども、こうして実際に会って話すと、スクリーン越しの世界が如何に遠くにあるのかが分かるから。
僕は中途半端に抱えていた大剣を、決して落とさないようにしっかりと抱えなおした。刻まれた傷跡を視線でなぞり、目を閉じ、決意を固める。
この短い時間の間で、どんな心境の変化で、どうして武器を預けるほどに信頼してくれたのかは分からないけど……。
ならば、彼らの気持ちに答えなければ。
ゆっくりと目を開け、四人を見渡した。
「ありがとう…。君から預かった、この武器に誓って。この命を懸けて、君たちを守ると約束しよう。」
少し軽く感じていた大剣が、ずっしりと重くなったようだった。
「いや、そこまでしなくても……。」
「命を懸けたら本末転倒じゃん…。」
「…………。」
アーラン、三月、丹恒の溜息に同意するように、星は頷いた。
「重い。」
なんか知らんけど出会った瞬間からこっちにくそでか感情向けてくるタイプの星5キャラ。
???「君の好きなように呼んで欲しい。」
→じゃあ『クロノン』で。
▶︎→お腹空いたノン。
→もっとマシな名前はないノン?
お腹空いたノン「うん!よろしくね!」
三月「ちょっと、長すぎて呼びづらいよ!」
*
???「君の好きなように呼んで欲しい。」
→じゃあ『クロノン』で。
→お腹空いたノン。
▶︎→もっとマシな名前はないノン?
???「そうかな?いい名前だと思ったけど...。好きな風に呼んでいいよ。」
※彼の呼び方を自由に記入してください
[ ファイノン ]決定
???「!?」
三月「なんか、悪化してない?」
???「…なるべくそれ以外だと嬉しいな…。」
これ以外のイベント中でも、ファイノンって呼ぶと初回限定で「!?」とびっくりしてくれる
???「君の好きなように呼んでほしい。」
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クロノン
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シロノン
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お腹空いたノン
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ファイノン
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ビーグルヤシ
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もっとマシな名前はないノン?