悪魔と呼ばれ慣れて 3rd   作:ボルメテウスさん

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魔法使いの授業

「さて、とりあえずは、課外授業の為に場所を移動するか」

 

そう告げると同時に、俺はオーロラカーテンを展開した。

極彩色の裂け目が空間を縦に走り、揺らぐ光の膜がその場にいた全員を包み込む。

一瞬だけ足元の感覚が曖昧になり、次の瞬間には、俺達はもう別の世界へ立っていた。

 

「これは一体」

 

クロノの声には警戒が滲んでいたが、それも無理はない。

管理局の技術体系で説明がつかない現象を、目の前で見せられたんだからな。

 

「オーロラカーテン。簡単に言うと、世界を渡り歩く事が出来る能力だ。ディケイドの力の一部だな」

 

俺がそう言うと、クロノはすぐに次の問いを重ねてきた。

「ディケイド、それは一体」

 

当然の疑問だ。

だから俺も、ここは誤魔化さずに口を開く。

 

「仮面ライダー。数多の世界に存在し、その世界の中心にいる戦士達の事だ」

 

なのは達は、俺の言葉をすぐには飲み込めないらしかった。

無理もない。

一つの世界の中ですら理解しきれないものがあるってのに、いきなり“数多の世界”なんて話をされて、はいそうですかで済む方がどうかしてる。

 

「数多の世界、だが、そんな存在は先生達以外には観測されていないって」

 

なのはが戸惑いを隠せないままそう言う。

だから俺は、少しだけ肩を竦めて答えた。

 

「世界の数がどれだけあると思っているんだ。それこそ、人間なんて存在が想像出来ない程の無限にあるんだぞ」

 

「それは、確かにそうだけど」

 

言いながらも、なのは自身、反論しきれていなかった。

世界が一つしかないなんて、誰が決めた話でもない。

ただ、自分達が触れてきた世界の範囲が狭かっただけだ。

 

「俺はそのディケイドの力を、まぁ事故の形で手に入れた。その時から年齢は変わっていない」

 

そこまで言うと、なのは達の視線が改めて俺へ向く。

教師として立っていた時と変わらない顔。

だが、その変わらなさ自体が、今は逆に異様に映るらしい。

 

「年齢って……」

 

その言葉の意味に、ようやく気づいたんだろう。

だから俺は、そこでわざと視線を外さずに続ける。

 

「そして、ディケイドの力を手に入れた時、俺の世界は無くなった」

 

その一言が落ちた瞬間、空気が変わった。

なのはも、フェイトも、はやても、驚きを隠せなかった。

ただの能力説明じゃ済まない話だと、ここでやっと実感したらしい。

 

俺はそのまま、フェイトへ視線を向ける。

 

「フェイト、お前が言っていたアルハザード。あれはまだ確定じゃないが、俺の世界だった可能性がある」

 

「ツカサ先生の……」

 

フェイトの声は小さかった。

だが、小さいからこそ、今の言葉がどれだけ重く届いたかはよく分かる。

 

「当時、ある奴がとんでもない事を考えた」

 

俺はそう言って、手にしたカードへ視線を落とす。

どの世界も、自分の世界を守りたいと思うのは当然だ。

問題は、その為に何を犠牲にするかってだけの話だ。

 

「そいつの世界には滅びが迫っていた。だから、仮面ライダーがいる他の世界を全部滅ぼして、自分の世界だけを救おうとした」

「そのために、ライダーの世界を一つに融合した」

 

「そういう事だったのか」

 

ユーノが何かに気づいたように目を見開く。

あいつは頭の回転が速い。

話の本筋より先に、そこから生じる歪みへ目が行くタイプだ。

 

「どういう事なの」

 

なのはが問うと、ユーノは俺を見たまま答えた。

 

「彼のこれまでの戦いを見たら分かるけど、仮面ライダーは一人一人が、その技術があまりにも違い過ぎる」

「異なる技術が融合した結果――」

 

「死者蘇生みたいな、まともじゃない現象まで起きる」

 

俺がその先を引き取る。

嫌な話だが、事実は事実だ。

 

「実際にあった。最悪な形の数々がな」

 

「最悪の形……」

 

フェイトが低く呟く。

ああ、そうだ。

最悪だった。

理屈だけなら綺麗に見えても、実際に起きたものは、どれもろくでもない形ばかりだった。

 

俺はもう一度、手の中のカードを見る。

そして、その中から一枚を抜き取った。

 

「そして、ある意味で、あいつに一番近い考えをした存在と戦ったのがウィザードだ。魔法使いの仮面ライダーだよ」

 

「という事で、悪いが軽く話してくれるか、晴人」

 

「晴人?」

 

その名に反応した直後、空気が揺れた。

呼び出しに応じるように現れた男は、いつも通り、少し面倒そうな顔をしている。

 

「全く、いきなり呼び出したと思ったら、わざわざ俺の世界に連れてきたのか」

 

「悪いな」

 

軽く返すと、クロノが怪訝そうに男を見る。

 

「彼は一体、それに俺の世界って」

 

その問いに対して、俺は周囲を見渡してから答えた。

ここにいる全員が、まだ足元の感覚に馴染めていない。

景色も、空気も、魔力の流れも、今までいた世界とは微妙に違う。

 

「ここは、仮面ライダーウィザードの世界だ」

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