悪魔と呼ばれ慣れて 3rd   作:ボルメテウスさん

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マッドサイエンティストの一面

「……変身……魔力反応……衣装固定型……自己進化じゃない……外部デバイス依存……?」

 

「え、えっ!?」

 

 なのはが一歩後ずさる間にも、イータはぐいっと距離を詰めてくる。

 

「……詠唱……無し……? でも、術式の存在……」

 

「ちょ、ちょっと待ってください!」

 

 ユーノが慌てて割って入る。

 

「それ以上近づかないで!」

 

「……大丈夫……分解しない……たぶん……」

 

「“たぶん”!?」

 

 なのはの声が裏返る。

 

 イータは一瞬きょとんとした後、少し首を傾げた。

 

「……冗談……冗談……半分……」

 

 半分。

 

 なのはとユーノは、全く安心できなかった。

 

 だが、イータはすぐに興味の矛先を切り替え、気絶した暴走体を指さす。

 

「……それより……これ……」

 

「……え?」

 

「……名前……ある……?」

 

 ユーノが一瞬、言葉に詰まる。

 

「……それは……」

 

 イータは、その反応を見逃さなかった。

 

「……重要……呼称は……概念整理の第一歩……」

 

「……ジュエルシード、です」

 

 ユーノが慎重に答える。

 

 その瞬間。

 

「――ジュエル……シード……」

 

 イータの目が、再び怪しく光る。

 

「……“種”……?」

 

「え、えっと……はい……」

 

「……種……つまり……発芽条件……環境依存……暴走は……異常成長……」

 

 早口になるイータ。

 

「……神社……霊的土地……魔力濃度……相性……高い……?」

 

「ち、違います! たまたまです!」

 

 ユーノが慌てて否定する。

 

「……ふむ……」

 

 イータは腕を組み、真剣に考え込む。

 

「……では……偶発説……配置説……誘引説……」

 

「……ゆ、ユーノくん……」

 

 なのはが小声で囁く。

 

「……この人……大丈夫……?」

 

「……多分……頭は良い……」

 

「それフォロー!?」

 

 イータは二人のやり取りを気にする様子もなく、続ける。

 

「……質問……」

 

「は、はい……」

 

「……これ……何体目……?」

 

「……今回が、最初です」

 

 イータは、ゆっくりと頷いた。

 

「……単発……か……」

 

 そして、ぽつり。

 

「……でも……最初は……いつも……単発……」

 

 なのはとユーノは、顔を見合わせる。

 

 イータは結晶片をポケットにしまい、立ち上がった。

 

「……なるほど……」

 

 結論は出ていない。

 だが、イータの中では、確実に“線”が引かれ始めていた。

 

(……世界の異常……増殖型……引き金……)

 

 そして、ちらりと、なのはを見る。

 

(……中心……やっぱり……)

 

 だが、その考えを口にすることはない。

 

「……今日は……ここまで……」

 

「え?」

 

「……データ不足……続きは……次回……」

 

 なのはとユーノは、状況についていけないまま、ただ頷くしかなかった。

 

 夜の神社に、再び静寂が戻る。

 

 だがその裏で、

 “世界の異常”を解き明かそうとする、マッドサイエンティストの思考だけが、静かに加速していた。

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