「……変身……魔力反応……衣装固定型……自己進化じゃない……外部デバイス依存……?」
「え、えっ!?」
なのはが一歩後ずさる間にも、イータはぐいっと距離を詰めてくる。
「……詠唱……無し……? でも、術式の存在……」
「ちょ、ちょっと待ってください!」
ユーノが慌てて割って入る。
「それ以上近づかないで!」
「……大丈夫……分解しない……たぶん……」
「“たぶん”!?」
なのはの声が裏返る。
イータは一瞬きょとんとした後、少し首を傾げた。
「……冗談……冗談……半分……」
半分。
なのはとユーノは、全く安心できなかった。
だが、イータはすぐに興味の矛先を切り替え、気絶した暴走体を指さす。
「……それより……これ……」
「……え?」
「……名前……ある……?」
ユーノが一瞬、言葉に詰まる。
「……それは……」
イータは、その反応を見逃さなかった。
「……重要……呼称は……概念整理の第一歩……」
「……ジュエルシード、です」
ユーノが慎重に答える。
その瞬間。
「――ジュエル……シード……」
イータの目が、再び怪しく光る。
「……“種”……?」
「え、えっと……はい……」
「……種……つまり……発芽条件……環境依存……暴走は……異常成長……」
早口になるイータ。
「……神社……霊的土地……魔力濃度……相性……高い……?」
「ち、違います! たまたまです!」
ユーノが慌てて否定する。
「……ふむ……」
イータは腕を組み、真剣に考え込む。
「……では……偶発説……配置説……誘引説……」
「……ゆ、ユーノくん……」
なのはが小声で囁く。
「……この人……大丈夫……?」
「……多分……頭は良い……」
「それフォロー!?」
イータは二人のやり取りを気にする様子もなく、続ける。
「……質問……」
「は、はい……」
「……これ……何体目……?」
「……今回が、最初です」
イータは、ゆっくりと頷いた。
「……単発……か……」
そして、ぽつり。
「……でも……最初は……いつも……単発……」
なのはとユーノは、顔を見合わせる。
イータは結晶片をポケットにしまい、立ち上がった。
「……なるほど……」
結論は出ていない。
だが、イータの中では、確実に“線”が引かれ始めていた。
(……世界の異常……増殖型……引き金……)
そして、ちらりと、なのはを見る。
(……中心……やっぱり……)
だが、その考えを口にすることはない。
「……今日は……ここまで……」
「え?」
「……データ不足……続きは……次回……」
なのはとユーノは、状況についていけないまま、ただ頷くしかなかった。
夜の神社に、再び静寂が戻る。
だがその裏で、
“世界の異常”を解き明かそうとする、マッドサイエンティストの思考だけが、静かに加速していた。