悪魔と呼ばれ慣れて 3rd   作:ボルメテウスさん

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再会していく生徒達

山道を抜けると、舗装された道路に出た。海沿いの一本道だ。潮風が強く吹きつけて、シイナの髪を乱暴に揺らしている。なのははそんな風も気にせず、軽い足取りで先を歩いていた。

 

「本部までは、もう少しです。途中でフェイトちゃんも合流する予定で」

 

「フェイトもこっちにいるのか」

 

「はい。別の調査を終えて、こっちへ向かってるって連絡がありました」

 

フェイト・T・ハラオウン。なのはの親友で、同じく俺の教え子だ。最後に会った時はまだ小さかったが、はやてが総督になっているなら、フェイトも当然大人になっているのだろう。時間の流れは世界によって違う。俺が数年と思っていた時間は、彼女たちにとってはもっと長いのか、あるいはもっと短いのか。そのあたりの話は、まだ聞けていない。

 

道路の先に、一台の車が停まっているのが見えた。白いボディに、EXCEEDSの紋章が描かれている。その脇に立っていたのは、長い金髪を風に揺らす一人の女性だった。

 

「フェイトちゃん!」

 

なのはが手を振る。金髪の女性――フェイトが、ゆっくりとこちらを振り返った。黒い執務官の制服に身を包み、手には使い込まれたバルディッシュ。背筋を伸ばした立ち姿は、昔と変わらない。いや、違うな。あの頃よりずっと、誰かを守るための強さを身につけている。

 

「先生……ツカサ先生、ですか?」

 

フェイトの声が、風に乗って聞こえた。驚きと、それからかすかな震えが混じっている。

 

「久しぶりだな、フェイト」

 

俺が軽く手を上げると、彼女は一瞬息を呑み、それからゆっくりと笑った。昔、俺が教えていた頃に見せていた、小さな笑顔。それが今は、大人の女性の顔に変わっている。

 

「お久しぶりです、先生。まさか、ここでお会いできるなんて」

 

「俺もだ。お前が執務官になってるとはな」

 

「はい。なのはと一緒に、EXCEEDSで働いています」

 

フェイトはそう言って、シイナの方へ視線を向けた。初めて見る顔を、静かに観察するような目つきだ。

 

「この子は?」

 

「久瀬シイナです。海女取島から来ました」

 

シイナが自分で名乗る。フェイトは小さく頷き、「よろしくお願いします」と丁寧に頭を下げた。

 

「それで、先生。デルタさんやイータさん達は今、どちらに?」

 

フェイトが周囲を見回しながら尋ねた。彼女もまた、俺たちの仲間のことをよく知っている。

 

「今は別行動だ。デルタとゼータとイータは、シイナの家で留守番を頼んである」

 

「そうですか。また後で、みんなにも会いたいです」

 

「あいつらも、お前たちの顔を覚えてる。会えば騒ぐだろうな」

 

俺は少しだけ口元を緩めた。デルタはフェイトのことを気に入っていて、会うたびに「強くなったか」と勝負を挑んでいた。ゼータは無言で観察し、イータは魔力のデータを取ろうとしていた。あの頃はあの頃で、騒がしい毎日だった。

 

「なのはとフェイトが揃ってるなら、話が早い。本部まで案内しろ」

 

「はい、車を用意してあります。道中、少しお話しできますね」

 

なのはが運転席に乗り込み、フェイトが後部座席のドアを開ける。シイナは少し緊張した様子で車に乗り込み、俺はその隣に座った。車が静かに発進すると、窓の外に海が広がる。

 

「先生、あの時のこと、覚えてますか?」

 

なのはがハンドルを握りながら、昔話を始めた。

 

「先生が最初に私たちの前に現れた時のことです。いきなり現れて、『通りすがりの仮面ライダーだ』って」

 

「ああ、覚えてる。お前たち三人、揃って俺を敵だと思って構えてたな」

 

「だって、いきなり変身するんですもん」

 

フェイトが後部座席から笑い声を漏らした。バルディッシュを膝の上に置いたまま、窓の外の海を見ている。

 

「先生はいつも突然で、いつも無茶で、いつも一人で全部片づけようとするから」

 

「今も変わらないよ。さっきも岩蛇を一人で相手しようとしてたし」

 

俺は窓の外を見た。海がキラキラと光っている。

 

「一人じゃない。シイナがいた」

 

隣の席で、シイナが少し驚いた顔で俺を見た。言うつもりはなかったが、口から出てしまった。

 

「それに、俺はいつでも本気で無茶はしてない。加減はしてる」

 

「先生の加減は信用できません」

 

フェイトが即座に返す。なのはも大きく頷いた。二人とも、昔からこういうところだけは連携がいい。

 

車は海岸線を離れ、内陸へと進んでいく。EXCEEDSの本部は、もうすぐだ。

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