踏み込んだ瞬間、俺はカードを引いた。
『ガッチャーン! レベルアップ!マイティジャンプ!マイティキック!マイティーアクショーン!アガッチャ!シャカリキ!シャカリキ!バッドバッド!シャカッと リキッと シャカリキスポーツ!』
音声が通路に響き渡った。エグゼイドの装甲が弾けた、いや変わった、上半身に自転車型のアーマーが重なり、頭部にスポーツ用ヘルメットに似たパーツが装着される、四肢の装甲が薄くなり関節の自由度が跳ね上がる。
軽い。
さっきまでのエグゼイドよりもさらに軽い、体が浮くような感覚だ、重心が高い、だがそれがいい、バランスは腹のゲーマドライバーが取ってくれる、足足裏の感覚が鋭敏になり地面の微細な凹凸まで読める。
アークオルフェノク型原種が鞭を振った、踏ん張りの崩れた体で、だがまだ攻撃は来る、三本の光の鞭が同時に俺を襲う。
跳んだ。
床を蹴った瞬間、体が三メートル跳ね上がった、鞭が俺のいた場所を三方向から薙ぐ、だが空中にいる俺には届かない、通路の壁と天井が砕ける音が下から聞こえるだけだ。
空中で体を捻る、ヘルメットのバイザーが鞭の残光を反射する、敵の目玉が俺を追う、だが追いつかない。
着地、一瞬も置かずに壁を蹴る、マイティキック。
斜め上へ飛び出し、敵の右腕の付け根へ蹴りを叩き込む、外殻が砕ける音、だが貫通はしない、硬い、だが衝撃は通る、敵の腕が揺れ鞭の軌道が乱れた。
その隙にライドブッカーをガンモードで敵の胸へ二発、外殻が火花を散らす、継ぎ目が開く、開いた隙間に黒い組織が見える。
「シャカリキ!」
体が回転する、遠心力を利用した連続攻撃、ライドブッカーの柄で敵の左腕を弾き、回転の勢いのまま足裏で敵の膝を蹴り、さらに回転して背中を肘で打つ。
三方向からの打撃が同時に入り、敵の体が揺れる、踏ん張りがない、支えがない、倒れる、だが倒れない、壁に背中を預けて体勢を立て直そうとする。
させない。
俺は壁を蹴り、天井を蹴り、敵の頭上で一回転、落下しながらライドブッカーをソードモードに切り替えた。
振り下ろす。
刃が敵の肩の外殻を裂く、継ぎ目から深く入り込み、生体組織を断つ、敵の左腕が外殻から外れる、組織と金属の接続が切れ、腕が通路の床に落ちる。
敵が吠えた、残った右腕の指先が光る、鞭が一本、縦に振り下ろされる。
俺は避けない、避ける必要がないで、横へ飛び鞭をやり過ごす、着地と同時に振り返る。
踏み込む、床を蹴る反発で体が加速する、ライドブッカーをガンモードで連射しながら敵の胸へ突っ込む、弾丸が外殻を叩き継ぎ目を広げる、その隙を突いて体ごとぶつかる。
体当たり。敵の体が壁から離れる、背中の根状の組織が壁から引き剥がれる音、踏ん張りの最後の一本が切れた。
敵が倒れる。
通路の床に倒れ込み、外殻がコンクリートを叩く音、だがまだ動いている、右腕の指先が光る、最後の鞭が伸びようとする。
やがて、アークオルフェノクが、そのままこちらに迫る最中。
「さて、最終バトルだ!」