通路が揺れた。
アークオルフェノク型原種が立ち上がった。左腕を失い、背中の根も切れた。だが、まだ倒れていない。右腕の指先に光が集まり始めている。最後の鞭だ。
「ツカサ、来るぞ!」
ヴィータが叫ぶ。だが、俺はもう動いていた。
ネオディケイドライバーに手を伸ばし、新たなフォームライドカードを装填する。
『FORM RIDE! EXAID MAXIMUM GAMER LEVEL 99!』
体が膨張した。
いや、違う。体が変わった。エグゼイドの装甲が弾け飛び、巨大な体躯へと再構成される。身長が二メートルを超え、筋肉の厚みが倍になった。ピンクと白の装甲が全身を覆い、胸のゲーマドライバーが赤く輝く。
重い。だが、この重さは力だ。
マキシマムゲーマーレベル99。エグゼイドの最大強化形態。肉体強化と治癒能力を極限まで高めた状態。
アークオルフェノク型原種が鞭を放った。光が伸びる。
だが、遅い。
俺は鞭を正面から受け止めた。掌で掴む。光の鞭が手の中で暴れるが、握り潰す。光が弾け、破片が散る。
敵の目玉が一斉に見開かれた。
「来いよ」
俺は一歩踏み出した。床が砕ける。衝撃で通路が揺れる。だが、構わない。ヴィータと住民は距離を取っている。
アークオルフェノク型原種が拳を振り上げた。残った右腕。光の鞭の代わりに、生身の拳で殴りかかってくる。
俺も拳を振り上げた。
正面からぶつかる。
金属音。火花。衝撃が通路を震わせ、天井から粉塵が降る。だが、俺は一歩も退かない。敵も退かない。
再び拳が交わる。右、左、右。殴り合い。拳と拳がぶつかるたびに空気が震える。外殻が砕け、生体組織が飛び散る。俺の装甲にもひびが入る。だが、すぐに治る。マキシマムゲーマーレベル99の治癒能力だ。
殴りながら、俺は見ていた。敵の外殻の継ぎ目。生体組織の構造。原種の細胞の動き。
「リプログラミング」
呟いた瞬間、俺の拳から光が溢れた。
エグゼイドの能力。リプログラミング。バグスターウイルスの細胞を書き換える力。だが、今回はバグスターウイルスではない。原種の細胞だ。
だが、構造は似ている。
光が敵の外殻を通り抜け、内部の細胞へ染み込む。原種の組織が震える。細胞の動きが変わる。正常な細胞へ書き換えられていく。
敵が吠えた。外殻が震え、目玉が一斉に開く。だが、瞳孔の動きが鈍くなる。リプログラミングが効いている。
「終わりだ」
俺はネオディケイドライバーに最後のカードを装填した。
『FINAL ATTACK RIDE E E E EX-AID!』
右拳を地面に叩きつけた。
衝撃波が通路を走る。床が割れ、コンクリートが砕け、衝撃波が敵の足元を襲う。敵の体が浮く。踏ん張る場所がない。
俺はダッシュした。
砕けた床を滑るように走り、一瞬で敵の懐へ飛び込む。右手にエネルギーが集まる。拳が大きくなる。ピンクの光が拳を包み込み、巨大化する。
「はぁぁぁぁ!!」
叫びと共に、拳を叩き込んだ。
敵の胸の中央。外殻の継ぎ目。リプログラミングで脆くなった部分。そこへ、巨大な拳が突き刺さる。
外殻が砕け、生体組織が弾け、核が露出する。拳のエネルギーが核を包み込み、内部から破壊する。
爆発。
光が通路を満たし、敵の輪郭が消える。外殻の破片が空中で砕け、黒い組織が灰になって散る。目玉が一つずつ光を失い、砕けて消える。
通路に静寂が戻った。