悪魔と呼ばれ慣れて 3rd   作:ボルメテウスさん

323 / 323
巨大な剣士

巨大な二体の原種が並んでいた。

 

一つはさっきまで見ていた歪な原種。もう一つは工場の裏手から現れた。さっきのよりさらに大きい。だが形は似ている。どの怪人の姿も模していない。純粋な原種の巨大化だ。

 

二体が同時に動いた。

 

地面が揺れる。二体の足音が重なり、瓦礫が跳ねる。駐車場の残骸が踏み潰される音が響く。

 

俺はキングオブアーサーを展開した。

 

さっきの戦いで一度消した巨像が、再び光の中から形を成す。脚が出る。胴体が組み上がる。腕が伸びる。頭部が光る。着地。振動。瓦礫が舞い上がる。

 

二体の原種と巨像が向き合う。

 

原種が左右に分かれた。挟み撃ちの構えだ。左右から同時に来る。一対一なら巨像の質量で押し切れる。だが二対一なら、一方を攻撃している間に背後を取られる。

 

火炎剣烈火を握る。刃に炎が灯る。だが、これだけでは足りない。二体を同時に倒すには、もっと広範囲の斬撃が要る。

 

俺はネオディケイドライバーへカードを装填した。

 

『FINAL ATTACK RIDE! SA SA SA SABER!』

 

音声が響く。力が流れる。全身の装甲に熱が走る。

 

巨像の手が動く。俺を掴む。抵抗はない。足が地面を離れ視界が上がる。空が近くなる。

 

俺の体が剣に変わる。火炎剣烈火の刃と全身の装甲が重なり一つの刃となる。巨像が俺を振り上げる。

 

二体の原種が同時に腕を振り上げた。巨大な拳が左右から迫る。巨像の腕が両方を防ぐ。だが押し合いになる。質量は拮抗している。いや、二体分の力の方が上か。巨像の足がわずかに後退する。

 

押し込まれる前に、抜く。

 

巨像が俺を縦に振る。上段から下段へ。右側の原種の頭部を狙って振り下ろす。

 

刃が原種の表面に触れる。抵抗が来る。硬い。だが外殻ではない。ただの肉体だ。厚い。分厚い肉の層を刃が裂いていく。原種が吠える。声ではない。空気が震える音だ。

 

斬撃が原種の頭部から胸へ走る。表面の肉が裂け内部の組織が露わになる。黒い筋と目玉がごちゃ混ぜになった層。だが核までは届かない。深さが足りない。

 

左側の原種が巨像の背後へ回り込もうとしていた。巨像が俺を振り切る前に、もう一つの攻撃が来る。

 

巨像が腕を変えた。縦振りから横振りへ。右の原種から左の原種へ刃を振り抜く。二体の間を一閃する。

 

右の原種の胸に深い亀裂が走る。左の原種の肩が裂ける。二体が同時に怯む。だが倒れない。

 

再生が始まった。裂けた肉の隙間から新たな組織が盛り上がり傷を塞ぎ始める。速い。さっきの融合型原種よりも速い。純粋な原種だからか。余計な能力を持っていない分、再生に全振りしている。

 

再生を許すな。

 

巨像が踏み込んだ。右足を一歩前に出し体を捻る。遠心力を利用して俺を再度振る。今度は横から。二体の間を再度薙ぐ。

 

一閃目で裂けた傷をさらに深く裂く。右の原種の胸の亀裂が広がる。内部の組織がさらに露出する。黒い筋が断たれ目玉が弾け飛ぶ。だがまだ核には届かない。

 

左の原種が巨像の腕を掴もうとしてきた。巨腕が俺を握る手に伸びる。巨像が腕を引く。だが完全には避けきれない。原種の指が巨像の腕に触れる。

 

重い。巨像の腕が押される。だが崩れない。巨像の足が踏ん張る。瓦礫が砕ける音が下から聞こえる。

 

このままでは押し合いになる。時間がかかる。再生が追いつく前に二体同時に核を砕く必要がある。

 

俺は火炎剣烈火に意識を集中させた。刃の炎を強める。熱が上がる。刀身が赤く発光する。炎が俺の全身の装甲を包み始める。剣となった体全体が炎を纏う。

 

巨像が俺を両手で構え直した。縦ではなく横。そして上段へ。頭上に掲げる。二体の原種の間に狙いを定める。

 

二体が同時に腕を振り上げる。巨像へ同時に叩きつけるつもりだ。だが遅い。振り下ろされる前に、俺を振り抜く。

 

巨像が一歩踏み込む。地面が揺れる。瓦礫が吹き飛ぶ。踏み込みと同時に、掲げられた剣を振り下ろす。

 

炎を纏った刃が、二体の原種の間を裂く。

 

右の原種の胸へ。左の原種の胸へ。二つの軌道を同時に描く。刃が二体の肉を裂き内部の組織を焼き断ち核へ届く。

 

右の核が砕ける。銀色の光が弾ける。

 

左の核が砕ける。同じ光が弾ける。

 

二体の原種が同時に吠えた。空気が震える。巨体が揺らぐ。表面の肉が裂け内部の組織が溢れ出す。目玉が一つずつ光を失い砕けていく。

 

二体の巨体が崩れ落ちる。瓦礫の上へ。地面が揺れる。粉塵が舞い上がる。

 

俺は剣を下ろす。巨像の手が離れ足が地面へ戻る。視界が低くなる。

 

二つの巨体が瓦礫の上で動かない。残った組織が蠢いている。だが再生は始まらない。核が砕けたからだ。

 

静かになった。

 

風が吹き、粉塵が薄れる。灰が舞う。二体の残骸の上に積もり始める。動くものはない。

 

そして、再び見つめた先には、既に魔人狩りは撤退していた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

悪魔と呼ばれ慣れて(作者:ボルメテウスさん)(原作:陰の実力者になりたくて!)

『悪魔』と、『世界の破壊者』と呼ばれ、旅を続けたディケイド。▼彼が行き着いた先には『悪魔憑き』と呼ばれる存在がいる世界。▼その世界でディケイドは、何を見るのか。▼その先で、何を行うのか。


総合評価:600/評価:7.31/完結:209話/更新日時:2025年06月05日(木) 00:00 小説情報

悪魔と呼ばれ慣れて 2nd(作者:ボルメテウスさん)(原作:僕のヒーローアカデミア)

『世界の破壊者・ディケイド』の力を偶然手に入れた青年・ツカサ。▼彼は、その身に数多くのライダー達の力を受け継ぎながらも、様々な世界を超えながら、ハンドレッドと戦いをくり広げていた。▼そんな戦いの最中、彼らはある世界へと来ていた。▼『個性』と呼ばれ、『ヒーロー』が職業となった世界。▼その世界において、彼の瞳は、何を映す。▼「俺はヒーローじゃない。通りすがりの仮…


総合評価:466/評価:7.46/完結:193話/更新日時:2025年12月15日(月) 00:45 小説情報

世界を救った勇者は俯きながら生きている。(作者:赤いUFO)(原作:魔法少女リリカルなのは)

ある4人の少女はこことは違う世界に喚び出された。▼多くの戦いを駆け抜けた少女達は世界を救った。▼しかし、帰って来られたのは、たった1人だけだった。▼これは、失意に落ちた勇者が少しずつ顔を上げる物語。▼【前日譚】ホーランドの勇者も少しずつ連載中。▼https://syosetu.org/novel/332325/#


総合評価:4118/評価:8.39/連載:96話/更新日時:2026年10月28日(水) 13:00 小説情報

戦姫絶唱シンフォギア Evolution's Symphony(作者:セグウェイノイズ)(原作:戦姫絶唱シンフォギア)

【25/11/10 2期編終了】▼あの日、俺は人間達に倒された。▼だが、天は俺を見放さなかったようだ。▼流れ着いたのは歌の世界。▼今度こそ目的を果たすために────。▼さあ、実験を始めようか。▼シンフォギア世界にエボルトがやってきた話。▼ヘッタクソな文章ですが、楽しんで頂ければ幸いです。


総合評価:2141/評価:8.62/連載:58話/更新日時:2026年10月18日(日) 20:00 小説情報

現実を超えるエージェント(作者:SEEDに出会えてよかった)(原作:ゼンレスゾーンゼロ)

▼人ならざる者が潜む領域、ホロウ。▼今そのホロウに、1人のエージェントが現れる。▼人々の幸せを、夢を守るため、正体を隠し戦い続ける。▼彼は今日も言うだろう。『いい夢見ろよ』、と。▼https://syosetu.org/novel/399056/▼こちらの小説に影響を受けました。▼凍結されていますが、マジでめちゃくちゃ面白いし読みやすいのでオススメです。


総合評価:356/評価:7.64/連載:7話/更新日時:2026年10月06日(火) 08:37 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>