悪魔と呼ばれ慣れて 3rd   作:ボルメテウスさん

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白と赤の龍

 ライドブッカーを横薙ぎに振り、白月の踏み込みを弾く。金属音が夜に響き、火花が散った。速い。だが、焦りが見え始めている。間合いを保ったまま刃を構え直し、次の動きを待つ。

 

「どうした? さっきまでの余裕はどこだ」

 

 わざと、軽く言ってやる。白月の表情がわずかに歪んだ。

 

 再び距離を詰めてくる。近づかれた瞬間、嫌な重さが腕に乗る。触れていない。それでも削られる。ライドブッカーで拳を受け流しながら、俺は内心で舌打ちする。ウィザードで相手にしたファントム連中に似ているが、こいつはもっと雑だ。魔力だけじゃない。身体能力そのものをまとめて持っていきやがる。

 

「近づくだけで奪える気か? ずいぶん安直な力だな」

 

 斬り返しながら言うと、白月は苛立ちを隠さず踏み込んできた。その瞬間、背後にあの“翼みたいな何か”の輪郭が滲む。光でも影でもない、ただ力が形を取ろうとしているだけの異様な気配だ。

 

 刃を連続で振り、攻撃の密度を上げる。長く触れさせない。白月の目が、完全に値踏みする色に変わる。相手を資源として見る視線だ。オーズで見たグリードの連中と同じ。奪えれば奪えるほど、昂るタイプ。

 

「人を見下ろしてる暇があるなら、足元くらい見ろ」

 

 斬撃がかすり、白月の肩を浅く切る。その直後、俺の動きが一拍遅れた。削り方が一定だ。段階的に、確実に下げてくる。ルールがある。アナザーライダー連中がよく使っていたやり口だ。

 

「一気に来ないってことは、自分でも分かってるんだろ。これ以上やったら、壊れるってな」

 

 挑発に、白月が歯を食いしばる。無理に踏み込んできた拳を、刃の腹で受け止めた瞬間、今度は向こうの動きがわずかに乱れた。奪った力が、安定していない。ビルドで相手にしたエボルトの匂いがする。取り込むほど、危うくなるタイプだ。

 

「吸うのは得意でも、扱うのは下手か。ガキだな」

 

 吐き捨てるように言いながら距離を取る。

 

 ライドブッカーで白月を牽制しながら距離を取る。近づかせれば削られる。殴り合いは論外。なら、答えは最初から決まっている。俺はカードを指で弾き、ネオディケイドライバーにかざした。

 

「触りたいなら、まずはこの間合いを越えてみろ」

 

『KAMEN RIDE!SABER!』

 

 装甲が切り替わり、剣士の意匠が全身を覆う。

 

『烈火一冊!勇気の竜と火炎剣烈火が交わる時、真紅の剣が悪を貫く!』

 

 炎を纏う剣を構え、俺は白月を正面から見据えた。

 

「力を奪うだけの戦いは、ここまでだ」

 

 装甲が切り替わると同時に、右手に熱が宿る。次の瞬間、火炎剣烈火が顕現し、炎を纏って俺の手に収まった。剣先を下げ、静かに呼吸を整える。間合いは十分。これ以上、近づかせる気はない。

 

「さて、物語の結末は――俺が決める」

 

 火炎剣烈火を構え、白月を真っ直ぐに見据えた。

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