クルーゼを退けたキラ達は、アークエンジェルに収容され居住区へと通され過ごしていた。
その間、アークエンジェルは物資の搬入を急いでいた。いつ、ザフトの第二次攻撃部隊が来るか判らない為である。
一方で、伊吹達はマリュー、ナタル、ムウの三人に付いてアークエンジェルのブリッジへと足を運んでいた。
「コロニー内の民間人の避難は完了しているとの事ですが、先ほどの戦闘で警報レベルが9に上がったそうです」
マリューがヘリオポリスの通信室と通話内容を、ブリッジにいる全員に伝える。
「シェルターは完全にロックされた。と言う事か……そう言えば、福本軍事事務次官殿?」
「なんでしょう?」
ムウは伊吹に声を掛ける。
「播磨とか言う艦はヘリオポリス宙域にいると言う事は、ザフトの…いや、クルーゼと戦闘したはずだが、そこのところは大丈夫なんですかね?」
ムウは日本皇国がMSやSF、VFを持っている事を知らない為、戦闘に巻き込まれて撃沈されたのではないかと心配していた。
「播磨は最新鋭艦です。そう簡単に戦艦が沈みません」
「そう言えば、福本事務次官。播磨に連絡をしていませんが、今の間に連絡をしておきませんか?」
「確かに山城大佐の言う通りだな。ラミアス大尉。申し訳ないが、この艦の通信設備を貸しては貰えないだろうか?」
「それは構いませんが……」
「では山城大佐」
「はっ‼」
伊吹に指示され、山城はアークエンジェルの通信設備を使って播磨へと通信を試み始める。
「こちら、日本皇国第零機動艦隊旗艦、播磨艦長の山城正人大佐だ。播磨、聞こえるか? 繰り返す。播磨聞こえるか?」
通信チャンネルを合わせて播磨に通信を試みると、一瞬、砂嵐が起きた後、モニターに水城の顔が映し出される。
『先輩、無事だったんですね‼ 勇気や伊吹さんもそちらにいますか?』
「ああ、全員無事だ。そちらの状況を知りたい。報告をしてくれ」
『判りました』
水城はヘリオポリスに対して攻撃を開始したザフトの部隊に対し、オーブとの防衛協定に則り戦闘に介入し、敵部隊を壊滅レベルにまで陥れた事を報告をすると、聞いていたマリューやナタル、ムウは驚いていた。
「それで、播磨の戦力に損害は?」
『軽微です。というか、損傷すらありません』
「そうか、それで播磨は今はどのあたりにいるんだ?」
『ヘリオポリスの近くにはいますが、ザフトの部隊が侵攻した際、ドックの入り口を破壊した様で、内部に入る事が出来ません』
「成程な………と言う事はアークエンジェルも脱出るすることがほぼ出来ないと言う事か………」
『ところで、先輩たちは今何方に?』
水城はモニターから見える場所が何処かの艦の艦橋であると言う事は理解していたが、どの艦なのかは判らなかったのである。
「今は地球軍の新造艦の艦橋にいる。それで、一度飛鳥と通信をしたいから、誰か迎えに来ることは可能か?」
『ええ、大丈夫です。では、セルベリアさんとシルヴィアさんを送れば良いですか?』
水城の質問に対して即答が出来なかった山城は一度、伊吹に顔を向けると頷いたので返事をする。
「では、二人を寄こしてくれ」
『判りました。播磨はどうすればいいですか?』
水城は播磨を動かすかどうかの指示を待つ。
「ザフトの部隊はまだいるのか?」
『いえ、既に撤退をした様で、レーダーに映っていません』
「だが、どこかに潜んでいる可能性があるから、播磨はその場にて待機。ザフト部隊が再度、攻めてきた時の為に残っていてくれ」
『判りました。では、播磨にて待っています』
そう言うと、モニターから水城の顔が消える。
「まさか、日本皇国がクルーゼを退けるなんて………強いんですな、日本皇国は」
「ええ、第零機動艦隊の旗艦をしてるのですから………それに、中立国家でも力は必要ですから。それなりに戦力は保有していますよ」
ムウの言葉に伊吹は自信満々に答えるのであった。
その頃、播磨ではセルベリアとシルヴィアの二人が零と零・ジャグラーに乗り込み、発進の準備を進めていた。
『お二人にはヘリオポリス内部に入って頂き、先輩と勇気、伊吹さんを連れてきて下さい」
「判ったわ」
『判りましたわ』
水城の通信に二人は返事をする。戦闘の恐れが無いが、念には念と言う事で最低限の武装を施されていた。
『それでは、無事の帰艦をお待ちしています』
水城の通信の後、オペレーターに通信が切り替わる。
『カタパルト正常、零、発進してください』
「山城シルヴィア、零、行くわ‼」
『続けて、零・ジャグラー。発進どうぞ』
「福本セルベリア、零・ジャグラー。行きますわ‼」
播磨から出撃した零と零・ジャグラーはヘリオポリスへと向かうのであった。
『本当にザフトの連中は撤退したようね』
「その様ですわね」
シルヴィアと通信をしていたセルベリアは、ジャグラーのレーダーを見ると播磨とシルヴィアの駆る零しか熱源反応が無い為、ザフトの艦艇は撤退した後であった。
『隠れている様子も無いし、大丈夫そうね』
「ですが、油断はできませんわ」
シルヴィアの楽観した発言に苦言を呈するセルベリア。二人の旦那は上司と部下でありながらも仲が良く、また、セルベリアとシルヴィアも、ナチュラルとコーディネイターの垣根を超えた友情を培っており、ケンカをする場面を旦那である山城と勇気さえも見た事が無かったほどであった。
『そう言えば、セルベリア。最近は夜は盛んなの?』
「と、突然何を言うんですか⁉」
シルヴィアの言葉に驚いたセルベリアは危うく、進路から外れそうになるが直ぐに修正して外れる事は無かった。
『最近、声が聞こえないからヤッてないんじゃないかって思ってね』
「そう言うシルヴィアさんたちも声が聞こえませんが?」
セルベリアはお返しとばかりにシルヴィアに尋ねる。
『私の所は正人が艦長としての責任があるから、そう簡単にしてはくれないのよ。それに、今のこの状況で私が抜ける事は出来ないでしょう?』
「わたくしも同様ですわ」
『「はぁ~」』
お互いに愛されている事は解っているが、求められない事につらい気持ちを抱えていたのである。
『そろそろ、ヘリオポリスのメインシャフトに着くわね。内部がどうなっているか判らないから、お互いに気をつけましょ』
「はい」
二人はそのまま、ヘリオポリスのメインシャフトの中に入って行くのであった。