播磨の士官室で伊吹は、資源衛星“飛鳥”にいる事務次官補佐と通信をしていた。
「それで、補給艦を一隻寄こしてくれないか?」
『補給艦ですか? 急にですけど、どうかされたんですか?』
伊吹の言葉に補佐官は驚く。
「播磨はこのまま地球軍と行動を共にすることになった」
『どう言う事ですか? 我が国は中立国ですよ。外交問題に発展してしまいます‼』
補佐官は叫ぶように伊吹に問い詰め始める。
「ヘリオポリスの民間人を地球軍の艦が保護しているんだ。また、ザフトの侵攻があった際、民間人諸共、宇宙の藻屑になっても良いと、君は考えているのかね?」
『………いえ、そうとは言いませんが……播磨で保護すればいいじゃないですか。もしくは輸送艦を派遣して、オーブへ届けるとか、色々と方法はあるはずですが?』
「そうなんだがな、地球軍の第八機動艦隊司令長官であるハルバートン提督と会談をしたいと思っていてな」
『………外務省には通達しているのですか?』
「いや、これからだ。まぁ、どの道日本皇国も他人事とは言えない状況となるのは必須。その前に手を打っておく必要があると思っていてな」
『だからと言って、軍事事務次官が勝手に外交なんてしたら、それこそ越権問題として野党が黙ってませんよ‼』
「外野がどうこう言ったところで、実際に現場に行っている私の方が詳しく知っている。それに、どの道、野党と言っても共産や一部の屑共だろ? 現場に出た事のない者が言ったところで、誰も聞く耳すら持たないさ」
『………確かにその通りですね』
伊吹の言葉に補佐官も納得していた。
『では、外務省には必ず連絡をお願いしますね』
そう言うと、補佐官は通信を切るのであった。
それからしばらくの時間を有した後、ヘリオポリスにいるアークエンジェルから播磨へ通信が届く。
『こちらは地球軍第八機動艦隊所属アークエンジェルです。播磨応答をお願いします』
「こちら、播磨。艦長の山城です」
山城が出ると、モニターにマリューの顔が映し出された。
『お時間を取らせました。物資の搬入が終わりましたので、これより出航します』
「判りました。こちらももう間も無く我が国の補給艦が来ますので、先に出て待機してください」
『判りました』
そう言うと、マリューがモニターから消える。
「さて、補給艦が来るとは言っていたが………まさか、アレじゃない事を願うぞ」
「先輩、アレとは?」
山城の言葉に疑問を持った水城が質問をする。
「そう言えば、水城は補給艦の数と艦名は言えるか?」
「それは勿論。艦長として一隻の艦を任されている身。数と艦名については頭に入っていますよ」
水城は張り裂けんばかりの胸を押し出して、胸を張る。その姿に山城と勇気は苦笑いである。
「まず、補給艦の数は五隻。艦名は間宮級ですね」
「その通りだ。で、俺がアレと言っているのは、宗谷の事だ」
「宗谷………? あの艦に何か問題でもあるんですか?」
「大アリだ」
山城は宗谷の艦長の事が頭をよぎっていた。
「まず、奴は大の巨乳好きなんだ。特に、水城の様な女性はな」
「えっ、宗谷の艦長って男なんですか?」
水城の言葉に山城は頭を振る。
「残念ながら、女性だ」
「えっ?」
「まぁ、会ってみてからの楽しみだ。期待していろ」
「そんな期待なんて出来ませんよ‼」
水城の叫びが艦橋内を満たすのであった。
それから暫くして、播磨の近くに一隻の補給艦が停泊した。
「やっぱり宗谷だったか………確かに補給物資の搬入量で言えば、宗谷が一番なんだがな………艦長がアレだとな」
艦橋の窓から見る間宮級補給艦五番艦“宗谷”は播磨に物資の搬入を開始していた。それと同時に、アークエンジェルも反対側に接舷していた。
「さてさて、もう少しで艦橋に上がってくるはずだぞ」
そう言うと、艦橋の扉が開き二人の女性が入って来る。
「お久しぶりやな、山城大佐」
「お久しぶりです。八神はやて大佐」
八神はやてと呼ばれた女性は敬礼をしながら山城に挨拶をすると、山城も返礼する。
「それで、物資の搬入やけど福本事務次官殿に言われて持ってきたで」
「ありがとうございます」
「お互い、気心知れた身や。そう畏まらんでもええで」
はやては堅苦しいのが嫌いなのか、とてもフランクに山城に接していた。
「今は仕事中です。オフの時であれば構いませんが、公務の途中なので」
「なんや、つれへんなぁ。そや、忘れ取ったわ。受領サインして」
「ありがとうございます」
はやてに渡された受領書に山城はサインをする。
「確認したで。これで、一旦、公務はおしまいや。それで、山城大佐」
「なんや、八神大佐」
「シルヴィアとはどこまで進んだんや? ヤッたんか?」
「おい! 仮にも女性のアンタが言っていい言葉じゃないだろうが‼」
「ええやんええやん。細かい事は気にしたら負けやで」
「喧しいわ‼ プライベートの事は一切ノータッチでお願いします」
「ホンマに硬いなぁ~………おや、ナイスバディーの女性がおるやん‼ いっちょ、胸揉ませてぇーや‼」
はやては水城の姿が目に入るや否や、某三世の様に水城にダイブする。
「え、ちょっと⁉ きゃぁぁー‼」
「ええなぁええなぁ、ええ乳しとるやん」
「やめなさい‼」
「ギャフンッ‼」
掌ではやての頭を叩いたのは艦橋に上がって来たシルヴィアであった。
「いたた、なんや、シルヴィア来とったんか」
「来とったんかじゃないです‼ 仮にも女性なんですから、もっとお淑やかにしたらどうですか?」
「仮にもって、ウチは元々女性や。ええ乳があったら揉みたくなるやろ?」
そう言うとはやては指をグネグネと動かし始める。
「なりませんし、その動き、キモいのでやめてください」
「ほな、シルヴィアの乳でも……ありゃ?」
はやてがシルヴィアの胸に手を出そうとしたが、そう簡単に問屋が卸さなかった。山城が止めていたからである。
「八神大佐? 何をしようとしているのですか?」
山城は顔は笑っているが、目の奥にはメラメラと怒りの炎が上がっていた。
「いや、ほんの冗談やん。もうやらへんから、放してくれても「放しませんよ? 高町中佐が来るまではね?」アッハイ」
山城の眼にビビったはやては大人しくなったのであった。それからしばらくして、通信手から宗谷へ通信がなされ、一人の女性が艦橋に上がって来た。
「遅くなってしまい申し訳ありません。高町なのは中佐、八神大佐を回収に参りました」
「大丈夫ですよ。簀巻きにして放置しているので」
山城が指さした先にはローブで雁字搦めにされたはやてが乱雑にされている姿であった。
「ありがとうございます。では、我々はこれにて。既に物資の搬入も完了していますので」
「ありがとうございました」
「行くよ、はやてちゃん」
なのはは雁字搦めにされたはやてを俵担ぎして艦橋を後にしようとすると、暴れ始めた。なのはは何を思ったのか、はやての口を覆っていた布を外す。
「流石にこのままはいやや‼ 普通に歩かせてや‼」
「はやてちゃん?」
「なの……はちゃん?」
名前を呼ばれたはやてはなのはの顔を見ると、なのはの背中から般若が浮かび上がっていた。
「OHANASIしようか?」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」
はやての叫びと共に艦橋を後にするのであった。
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