その頃、播磨の格納庫では整備士たちが忙しなく動き回っていた。
「そっちの荷物は第四ハンガーに。その荷物は第二ハンガーだ」
河城にとり整備長が整備士たちに指示を出していた。
「整備長、例の機体についてパイロットから話があると伝えられたのですが」
「判ったわ。今すぐ行くよ」
整備士から伝えられ、にとりはパイロットの待つ部屋へと向かった。
「お待たせ~」
にとりは躊躇う素振りを見せずにパイロット達が待っている部屋へと入る。
「すまない。急に呼び立ててしまって」
「申し訳ありません」
部屋で待っていたパイロット達は、にとりが入って来ると頭を下げる。
「構わないよ、二人とも。それで、機体の事で聞きたい事があるんだっけ?」
にとりの言葉にパイロットたちは頷いて返事をする。
「まずは私から話すわ。試作型の機体についてなんだけど、セルベリアがOSを調整してくれたお陰で、前回の調整よりも2%向上したの」
「ほうほう」
一人のパイロットが説明した内容に、にとりも頷いていた。にとりも試作機のOSの調整は行っていたが、ナチュラル用のOSの作成に四苦八苦して完成に漕ぎ着けたのである。だが、セルベリアと呼ばれたパイロットがOSの調整を行ったら向上した話に、整備士たちは怒りを覚える筈なのだが、にとりは違っていた。
「それで、どういう風に調整を行ったの?」
「えっと、こういう風にです」
にとりに促されセルベリアはにとりにどういう風に調整したのかを伝えた。
「なるほどね。確かにそれには盲点やったわ。ありがとうね、セルベリアちゃん」
「いえ、わたくしは出来る事をしただけであって、お礼を呼ばれるようなことでは………」
にとりにお礼を言われたセルベリアは頬を赤らめる。そこにもう一人のパイロットが肩を組み始めた。
「何を言っていうるのよ。セルベリアのお陰で私の機体が完成に近づいたのよ。私も感謝してもしきれないわ」
「え、ええぇ。わ、わたくしはそんな………シルヴィアさんがいたお陰でわたくしもここに馴染めたので、わたくしの方がシルヴィアさんにお礼を言いたいくらいですわ」
シルヴィアと呼ばれた女性も頬を赤らめる。
「なんや、百合百合しいな。見ていて飽きないわ」
「に、にとりさぁん‼ 見ていないで助けで下さいまし‼」
「ほな、ウチは整備に戻るから、お二人さん、仲良うにな」
セルベリアとシルヴィアがイチャコラしている姿を後ろ目にして、にとりはそう言って待機室を後にする。
「まぁ、なんや。コーディネイターもナチュラルも人間っちゅうことやな」
にとりは一人で完結させて格納庫へと戻るのであった。
その頃、播磨の士官室では福本事務次官がテレビ通信をしていた。
「なに? ヘリオポリス宙域にザフト艦が2隻接近していると?」
『はい、ナスカ級一隻とローラシア級一隻です』
「ふむ………」
内容に福本事務次官は、ザフト艦がヘリオポリス宙域に来ているのか理解していた。
「多分だが、ザフトに連合のMS開発計画が漏れていたんだろう」
『と言う事は、ヘリオポリスに対して軍事行動を取ると、事務次官はお考えですか?』
「そうなるな…………かと言って、我々日本皇国も大規模な軍事行動はとれない事は君も知っているだろう?」
『ええ、我が国はオーブの様に中立を謳っていますから。兵器の保有に関しては一悶着はありましたが、認められて播磨などの複数の艦艇や宇宙用戦闘機の配備が進められてきましたから』
「だからこそ、ヘリオポリスに向かうのも播磨単艦で向かっている。軍事行動では無いのだから………だが、ザフトがヘリオポリスに対して軍事行動をすると言うのであれば、話は別だ。すまないが、オーブのウズミ代表にこの事を伝えてくれ。また、今回の件に日本皇国も関与すると添えてな」
『判りました』
福本事務次官は通信が終わると、背凭れにドッと身を委ねる。
「果たして、連合側に内通者がいるのか……はたまた、ザフト側に内通者がいるのか………いや、両方かな? だが、連合対プラントという戦争は、オーブや我が国も巻き込まれてしまうのだな………配備を急がせるか」
福本事務官はあるメッセージを飛鳥へと飛ばす。
「さて、これで鬼が出るか、蛇が出るか………」
そうして、数日の時が流れ播磨はヘリオポリス宙域近くまで航行した。ここからはオーブの領域に入る為、軍艦である播磨の入港は認められていない。その為、ランチを使ってヘリオポリスへと向かっていた。
「親父、無防備過ぎないか?」
舵を握っているのは息子の勇気であった。
「まぁ、何かあれば播磨から飛んで来てくれるさ」
「結局は他力本願かよ………」
「まぁまぁ、勇気も事務次官も落ち着いて。何かあっても播磨には搭載機があるんだし」
「そうは言っても………何か遭ってからでは遅いんですよ?」
勇気はぶつくさと文句を垂れながらヘリオポリスのドックへランチを着陸させる。
「さて、見に行きますか。連合とオーブの共同で開発したMSの有能さを」
「うわぁ、これって………」
「ああ、勇気の考えている事は同じだ」
「「絶対、フラグが立った」」
勇気と山城はゲンナリとするのであった。
福本事務次官、山城、勇気はランチから降り、連合軍の士官が待っている場所へと向かう。
「初めまして、大西洋連邦第八機動艦隊所属のマリュー・ラミアス大尉です」
「初めまして、日本皇国軍事事務次官の福本伊吹です」
「初めまして、日本皇国軍第零機動艦隊所属山城正人大佐です」
「同じく福本勇気中佐です」
福本事務次官はラミアス大尉と握手をする。山城と勇気は敬礼をする。ラミアス大尉も同様に答礼をする。
「お話はハルバートン提督から聞いております。こちらへどうぞ」
ラミアス大尉は三人をMSが保管されている場所へと誘導するのであった。