ヘリオポリス内部で発生した、ザフトによる地球軍製のMS奪取に巻き込まれた伊吹達であったが、奪取されなかったもう一機により危機は脱出する事が出来た。
「こちらは日本皇国第零機動艦隊旗艦播磨艦長の山城正人大佐だ。そこのMSに告ぐ。貴殿は地球軍のパイロットなのか否かを確かめたい。すまないが機体から降りて来てくれないだろうか?」
山城からの問い掛けにMSからの返答はなかった。だが、MSが動き出し膝立ちになると、コックピット部が開き中から一人の青年が出てくる。
「まだ子供じゃないか………」
「すみませーん‼ 中で人が気絶しているので、降ろすのを手伝ってはくれませんか‼」
少年の言葉に伊吹達は顔を見合わせるのであった。
伊吹達はMSから気絶した士官を救出し、ベンチへと横たわらせる。
「まさか、技術士官のラミアス大尉が乗っていたとはな………」
「福本事務次官」
山城が伊吹を呼ぶ。
「何か判ったのか、山城大佐」
「はい、あの機体について民間人の協力で調べましたら、驚くばかりの性能を持っています」
山城は連合製のMSに乗っていた民間人の協力で、機体の性能等を調べていたのである。そして、判明した内容を伊吹に伝えていた。
「まず、機体の型式番号からですが、GAT-X105。機体名称はストライク。主動力はバッテリーとの事です」
「なるほどな……核分裂機構が使えないからバッテリー方式で……と言う事か。他に判った事は?」
「はい、先ほどの戦闘でも目にしたように、装甲に色がついていたのは、フェイズシフト装甲と呼ばれるものでして、それが起動している間は、物理攻撃の殆どを無効化にする事が出来る様です」
「だが、それだけでは無いのだろう?」
伊吹は他にもあると睨んで、山城に尋ねる。
「はい。フェイズシフト装甲には欠点がありました」
「欠点? なんだ?」
山城の言葉に伊吹は聞き直す。
「バッテリー駆動と言う事もあって、フェイズシフトは起動している間も電力を消耗すると言う事です」
「成程………では、今の状態はバッテリー内の電力が底をついた為、装甲に色が付いていない。ということなんだな?」
「はい、その通りです」
「ですが、先輩。もし日本皇国の零に搭載する事が出来れば………」
「ああ、ウチが採用している駆動系は核融合炉。無限に使える機構となる。だが、ザフトの連中もそれを理解して………」
「あっ、ニュートロン・ジャマーを無効化する機構を乗せて来る。と言う事ですね」
勇気の言葉に山城は頷く。
すると、ベンチで横たわっていたラミアス大尉が目を覚ました。
「あっ、気が付きましたか?」
一人の少女がラミアス大尉が目を覚ましたことに気付き、ストライクに乗っていた民間人の名前を呼んだ。
「キラぁ‼」
「あっ、まだ動かない方が良いですよ」
キラと呼ばれた少年はラミアス大尉に近付く。また、伊吹達も気づいた様子でラミアス大尉に近付いてきた。
「ラミアス大尉、気が付いたようですね。良かったです」
「福本事務次官……それに山城大佐に福本中佐まで………貴方方はシェルターの方に避難したのでは………」
ラミアス大尉はまさか日本皇国から視察に来た次官と士官の三人がいた事に驚きを隠せなかった。
「残念ながら、シェルターへ続く道が瓦礫で埋まってしまって………それにあの機体。ストライクと言いましたかな。あの機体が出て来る時に爆発があったでしょう? その所為でシェルター自体が爆発に飲み込まれたようでして………お陰で我々はここで足止めを食らっている。と言う事です」
「それは………申し訳ありません」
伊吹の言葉にラミアス大尉は頭を下げて来るが、伊吹はそれを止めた。
「貴女が謝る事ではないでしょうが……ですが、その謝罪を受け入れます」
伊吹の言葉にラミアス大尉は感謝の言葉を述べる。
「すみませんでした。なんか、僕が滅茶苦茶にした様で………」
キラはストライクを操作する際、OS関係を弄っていたことを思い出したラミアス大尉であったが、痛みによって何も言えなくなってしまっていた。
すると、遠くの方で他の民間人の声がしていた。
「すっごいよな、ガンダムって………動く?」
「お前ら、あんま弄んなって‼」
膝立ちしたストライクのコックピット部に民間人の少年が乗っており、傍らでもう一人の民間人がそれを見ていた。そして、ストライクを見上げる様にもう一人の民間人の少年が二人の少年を咎めるように声を張り上げていた。
「なんで色が灰色になったんだ?」
コックピット部の傍らにいた少年がストライクを見上げて、装甲の色が落ちた事に疑問をする。
「なんでもメインバッテリーが落ちたんだとさ」
「その機体から離れなさい‼」
ラミアス大尉はそう言うと、仕舞っていた拳銃を取り出し、民間人に当たらない所へ撃って威嚇射撃をする。
「ラミアス大尉‼ 彼らは民間人です‼ それに彼らはオーブ国民。彼らの身に何かがあれば、オーブは黙っていませんよ‼」
ラミアス大尉の行為に対し、苦言を呈した山城であったが、伊吹と勇気は呆れた表情をしていた。
「ラミアス大尉、貴女が気絶した際、機体から助け出したのは彼らなんです。その銃を降ろしてください」
「助けてもらった事は感謝します。ですが、あの機体は軍の重要機密なんです民間人が無暗に触れて良い物ではないのです」
ラミアス大尉の言葉に伊吹と勇気は流石にやり過ぎと感じたのか、近づいてくる。
「ラミアス大尉、既にこのヘリオポリス内部で地球軍がMSを開発していたと言う事は露見しています。時既に遅しです。それにストライクを操縦していたのは民間人の彼なんです。その銃を仕舞いなさい」
「ですが‼」
「さっさと、その銃を降ろしなさい‼ ラミアス大尉‼」
伊吹の怒鳴り声にラミアス大尉は渋々ではあったが、銃を降ろした。そして、伊吹は民間人の彼らに顔を向ける。
「皆、こちらに来てください」
伊吹の指示に民間人の彼らは従った。
「この状況ではなんですが、一人ずつ名前を言って下さい」
「サイ・アーガイル」
色付きの眼鏡を掛けた少年がまず始めに名乗る。
「カズイ・バスカーク」
ひ弱そうな少年が次に名乗る。
「トール・ケーニッヒ」
先程、ストライクのコックピット部にいた少年が名乗る。
「ミリアリア・ハウ」
ラミアス大尉を看病していた少女が名乗る。
「キラ・ヤマト」
ストライクを操縦していた少年が名乗る。
「では、我々だな。私は日本皇国軍事事務次官の福本伊吹だ」
「日本皇国第零機動艦隊旗艦播磨艦長の山城正人大佐だ」
「同じく副長の福本勇気中佐だ」
伊吹達も名乗り、残りはラミアス大尉だけであった。
「私もですか?」
「当たり前でしょう? 彼らや我々が名乗ったのです。貴女も名乗らなければ」
伊吹の言葉を受けラミアス大尉も名乗る。
「私はマリュー・ラミアス。地球連合軍の将校です」
ラミアス大尉による自己紹介で全員の名前が判明するのであった。
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