地球軍の将校、マリュー・ラミアス大尉に銃を突きつけられていたキラ達民間人であったが、日本皇国から視察に来ていた福本伊吹軍事事務次官、第零機動艦隊旗艦播磨艦長、山城正人大佐、同艦副長、福本勇気中佐によって事無きを得ようとしていたはずであった………。
「福本軍事事務次官や大佐たちなら判るかと思いますが、このストライクは地球軍の軍事機密の塊です。よって、貴方方には、申し訳ないけどこのまま解散させる訳にはいかなくなりました」
マリューの言葉に民間人であるキラ達は横暴だ等と騒ぎ始める。だが、一方で伊吹達は理解をしていた。
確かに彼らは民間人。だが、軍事機密に触れた者をこのまま解散させてしまうと、情報漏洩してしまう恐れがあった為、伊吹達はマリューが致し方が無く、彼らにはこのままいてもらう決断をしたことを。
「事情はどうであれ、然るべき所と連絡が取れ処置が決定するまで、私と共に行動を共にしてもらわなければなりません」
「そんな⁉」
マリューの言葉にキラ達はまた騒ぎ始めた。
「はいはい、そこまでです」
話を遮ったのは伊吹であった。
「確かに彼女の言い分は判ります。私も軍属。民間人であろうと、軍事機密を見てしまった場合は情報漏洩をしないという誓約書などを書かせた上で解散させるのが常識。ですが、この状況でそのような誓約書を書かせたとしても、効果を発揮しない恐れがあります。ですから、君たちにはこのままラミアス大尉と一緒に行動を共にしてもらいます。安心してください。我々も一緒に付いていきますから」
「福本事務次官、ですが………」
「日本皇国とオーブは防衛協定を結んでいる為、民間人の保護が最優先となります。そもそも、貴方方地球軍はオーブの領土であるヘリオポリスを極秘裏に間借りしていただけですよね? それにも関わらず、民間人を拘束するなど、言語道断。まだ、言いたい事はありますか?」
「………何もありません」
伊吹節が発揮されたことにより、マリューは何も言い返せなくなってしまう。因みに余談ではあるが、日本皇国のテレビ視聴率の中でダントツにトップなのは、国会中継で、理由としては伊吹節を見たいが為であった。
「ですが、この状況では我々も播磨との通信が出来ませんので、ヘリオポリスの通信司令部に繋げられるか試してみましょうか?」
伊吹の提案にマリューは頷く。
「では、キラ君。申し訳ないが、ストライクに乗って通信をしてもらえませんか?」
「僕がですか?」
伊吹の言葉にキラが聞き返す。頷いて返事をする伊吹は理由をキラに告げる。
「まず、今のストライクはメインバッテリーが切れている状態です。この状態で戦闘は不可能。その為、ラミアス大尉にはストライクのバッテリーの回復の為に必要です。なので、キラ君だけが頼りなのです」
伊吹の言葉にキラは納得する。
「では、ラミアス大尉。ストライクのバッテリーはどうすれば回復しますか?」
「それは………」
伊吹の質問にマリューは答える事が出来なかった。なぜならば、ストライクのバッテリーを回復する為には専用のストライカーを接続するか、母艦に直接つなぐかの二通りしかない為、現時点で可能なのは専用のストライカーを接続する他無かった。しかし、軍事機密の塊であるストライクの構造を明かしても良いのか悩んでいたのである。
そのことを察した伊吹は、マリューに詰め寄る。
「既にザフトにMSが渡っている状況です。軍事機密も何もないと思いますが?」
「………判りました。では、手伝ってもらっても構いませんか?」
「判りました。では山城大佐、福本中佐はラミアス大尉の指示で動いて下さい」
「「判りました」」
山城達二人はマリューの指示に従いストライクの専用のストライカーを取りに行った。
「キラ君、通信は出来そうですか?」
ストライクのコックピット部に乗り込んだキラが通信をしようと試みるが、バッテリーが切れている為、通信が出来る状況ではなかった。
数分後、一台のトレーラーが伊吹たちの元へ走って来る。運転席から山城が下りてきた。
「ラミアス大尉、五番トレーラーを持ってきました。接続させればいいですか?」
「お願いします」
トレーラーをストライクの背部に着けるとハッチを開く。すると、内部にはガトリングとミサイルポッドが一体となった兵装と、ランチャーとランドセルが一体となった兵装が露わとなる。
アームを使ってストライカーを接続していると、ヘリオポリスのメインシャフト部が爆発し、中からザフトのMSと地球軍のMAが戦闘状態で入って来た。
「ザフトのMS⁉」
マリューが驚きの声を上げる。
すると、MSのモノアイがストライクに向けられ、迫って来た。すると、MAは接近させない様にMSに突撃するが、攻撃を躱され逆に砲身を切られてしまう。
MSがストライクに攻撃を仕掛けようとした瞬間、ヘリオポリスの地上部が爆発し内部から戦闘艦が姿を現した。
突然現れた戦闘艦に対して、MSが攻撃を仕掛けるが躱されてしまう。
「コロニー内部で戦闘艦を建造していたとは………MSが開発されていると同時に建造されていたのか」
伊吹は突如現れた戦闘艦に驚きながらも、MSがあると言う事は専用の母艦も必要となる為、同時に開発されていた事に納得する。
すると、戦闘艦に対して攻撃をしていたMSがストライクに迫って来た。そして、突撃銃を放った。
「伏せろ‼」
伊吹の言葉に全員がその場に伏せた。近くをMSが放った砲弾が当り伊吹達に迫ろうとしたが、キラが装甲を使って攻撃を無効化させたる。
すると、戦闘艦の艦尾にあるミサイル発射管から四発のミサイルがMSに迫るが、シャフト部に当り爆発が起きる。
「冗談じゃない‼」
キラは徐にメインスコープを起動させ、バックパックに接続された砲身をMSに向け放とうとした。
「待ってそれは‼」
マリューがキラを止めようとしたが、時すでに遅く、ビームはMSに向かい片腕を吹き飛ばしそのままの威力でヘリオポリスの地表部を撃ち抜いてしまう。そして、MSは穴の開いた部分から逃げ出したのであった。