俺の親友がプロキシ!?…えっパエトーン?   作:コロッヶ

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思わぬ遭遇

ニコの依頼が完了した次の日、アキラの容態が気になった為ビデオ屋に立ち寄る。

 

「あ、カイ!昨日はお疲れ様!お兄ちゃんに会いに来たんだよね?」

 

「その言い方は辞めてくれ。単純に心配して来ただけだ。

それと、昨日の礼をさせてくれ」

 

ほらよ、と映画鑑賞用のスピーカーとソファの購入履歴書を渡す。届け先は勿論このビデオ屋だ。

 

それを受け取るとリンは宇宙猫のような顔をしてフリーズしてしまった為、そそくさとバックルームに顔を出す。

 

「やぁ、カイ。リンに何を渡したんだい?」

 

「元気そうで何よりだ。昨日のお礼の品を渡しただけだ」

 

お礼なんて別にいいんだが…とアキラは言うが、命の恩人に言葉だけというのは些か気分が良くない。

 

それより、あのチップを読み込んでから何も問題は無いのだろうか?ホロウから出る時ずっと無言だったのが気掛かりなのだが…

 

「あー、そうだね、カイになら話しても良いだろう」

 

『マスターの起動承認を確認。初めましてマスターのご友人、私はⅢ型総順式集成汎用人工知能、「fairy(フェアリー)」とお呼びください』

 

「…初めまして、フェアリー。アキラから聞いてるとは思うが俺はカイ、しがない修理屋だ」

 

『どうやら礼儀は助手2号よりあると判断します。カイの事は既にマスターのノックノックの記録から把握済みです』

 

「フェアリー…勝手に覗くのは辞めてくれないか」

 

なんと恐ろしい事をしてるのだろうか。アキラには今後プライバシー保護という物は存在しないらしい。

 

お労しや、兄上

 

━━━━

 

さらに数日後、俺はそろそろ販売する在庫が底を尽きそうなのでホロウで探索と回収をしていた。

 

昨日のニュースをふと思い出すと、何やらパールマンという小太りの爺さんがデッドエンドホロウ内の開拓をするとか何とか言ってた気がする。

 

今居るのはまた別のホロウなのだが、その開拓に人員を割くにあたって他のホロウは警戒されないのでは、と思った次第だ。

 

そしてそれは予想通りに事が運び、ホロウレイダーはその開拓に必要な物資を狙い、保安局はその対策に出ているのか人の気配を感じずにゆったりとホロウ探索が出来ている。

 

色々と物色していたのもあってか、普段なら既に感知しているはずなのだが、ふと人の話し声が聞こえた。物音を立てず慎重に、だが急いで物陰に隠れる。

 

「青衣先輩、ここで生体反応があったと言うのは本当ですか?」

 

「うむ、我の眼が見たのだから間違いは無い。しかし、やけに感の鋭い相手じゃのう。移動している隙にまんまと逃げられたか」

 

本当に危ないところだったらしい。しかも相手は最近治安局だか特務捜査員だかのCMに出演していた…「朱鳶」だろうか。

 

とある掲示板では彼女が関わった事件で未解決はゼロ、と言われている程の凄腕さんだ。

 

さらにそんな人物に先輩呼びされてるあの少女、いやよく見ると太ももにぐるりと接合部のようなラインが見える。

 

恐らくアンドロイドかビリーと同じような…なんだっけ、まぁ機械人だと思われる。

 

たまたまなのだろうか?と思ったが考えてみれば、こんな凡人の頭で思いつく事は既に対策されていて当然である。

 

とりあえず、機械人には見つからないようにしなければ。さもないと俺の個人情報が知らない所に拡散される可能性がある。

 

「む?朱鳶よ、やはりこの辺りに人が居るようじゃぞ。我の集音器が反応を起こした」

 

畜生め!だから機械人は嫌いなんだよ!

 

こういう場合になってしまった事は何度かあるが、相手が悪すぎる。なんともない人間だったのなら適当に誤魔化してその隙に退散できるのだが…

 

逃げ回ったとしても、彼女達の方が圧倒的にホロウ内での行動に慣れているのであっという間に確保されるだろう。

 

…腹を括って正直に話すか、うん、同じ言語を話す者同士話し合えば分かりあえるだろう。

 

まぁ無理だと思うけど

 

━━━━

 

青衣先輩はそう言うが、私にはさっぱりだ。言っては悪いが、既にホロウに飲まれてしまってかなり長い場所なのだから、ホロウレイダーが欲しがる物なんて…

 

と思っていたら前方から物陰に隠れていたのであろうホロウレイダー…にしては装備が貧相過ぎる。まるでフラッと寄りかかっだけと言うような服装だ。

 

「…あー、治安局の人か?助かった。酔って目が覚めたらホロウの中とは思わなかったよ」

 

「すぐバレる嘘をつくでない。さしずめ、ホロウ内の物資を拾いに来た乞食であろう」

 

「善良な市民に対して乞食とは失礼な物言いだな」

 

「青衣先輩!…はぁ、そこの貴方、投降するならこちらも手荒な真似はしません。大人しく署に同行し、事情聴取させていただければ罰はあろうとも減刑の余地はありますが?」

 

そうかい、と言うと両手を上げながらゆっくりと近づいてきた。何故か青衣先輩は警戒しているのか、心なしか強ばっているように思う。

 

男はそのまま目の前まで来ると、両手首を合わせて手錠を早くかけろと言わんばかりの態度を取ってきた。こちらとしては従順過ぎて少し不信感が出てくるほどだった。

 

余程できた人間でも、いざ手錠をかけられる状況になると本能的に嫌がる素振りをしてもおかしくはないのだが…

 

━━━━

 

結局俺の話は信じてもらえなかった。まぁ信じてもらったら治安局の事が心配になる程度の嘘だったのだが。

 

にしても乞食って言い過ぎじゃない?人の心とか…これ以上は辞めておこう。

 

言われた通り、スタスタと朱鳶の目の前まで来てわざわざ両手を差し出してやったんだ。さっさと手錠を取り出してくれ。

 

賢明な判断です、と言い朱鳶が手錠を取り出そうと目を逸らし腰にある手錠に手をかけた瞬間、目に力を入れる。

 

「朱鳶!こやつから離れろ!」

 

なっ、と驚いている朱鳶の腰から手錠をサッとくすね取り、急な行動に一瞬硬直した朱鳶に手錠をかけすぐに離れる。

 

「朱鳶!大丈夫か!」

 

「身体に傷はありません!しかし、この体勢では自力で何とかするのは難しいですね…」

 

「ならよい。お主、もしやとは思うが最近インターノットで囁かれている赤眼かの?」

 

「何それ知らないんだけど」

 

話を聞くに、誰が言ったか呟いたか知らないが、ホロウ内にふと出現する赤眼のホロウレイダーが居るとの事らしい。

 

…私以外いないですねぇ。全く、いったい何処の誰だ営業妨害にも程があるぞ。

 

営業妨害?…もしやあのアキラを襲ったハッカーか?確かに、あの時のイアスはアキラ以外に操られてるような感覚だったが、もしその映像をハッカーが見ていたとすれば合点がいく。

 

「その反応からするに、図星じゃな?何故このホロウ内を彷徨いてるのか理由を聞いてもいいかの」

 

「仲良くお話したいなら、まず武器を降ろしてくれよな。まぁ良い、俺はホロウ内からジャンク品として捨てられるだけの物を回収して、直して販売してる修理屋さんだ」

 

ちなみに販売サイトはここだ、と伝えると青衣の顔から若干力が抜けたように見えた。

 

なんでも、何度かそこから替えの部品を購入した事があるらしい。

 

「青衣先輩!いつも言ってるでしょう、ちゃんと正規品を買わないと、いつか痛い目見るかもしれませんよ!?」

 

「いやしかし、コヤツの売る物はどれも互換性の関係かよく馴染むときた。これは…そう、予算削減を考えた結果なのじゃ」

 

「そう言う事なら、今後は贔屓してやるが?勿論、見逃して貰えたらの話だけどな」

 

うむむ、と唸っている青衣。横で朱鳶が正論の嵐を撒き散らしているが…さてはこの隙に逃げれるのでは?

 

「よし朱鳶よ、こうしようぞ。我は敵のEMP効果により一時的に機能低下状態となった。そしてお主はその隙に拘束されたが、治安局という事もあり敵勢力は我らを置いて逃げていった、という事にせんか?」

 

「何がという事ですか!相手が誰であろうとホロウ内に許可無く侵入している輩は署に連行する義務があるんですよ!?」

 

「主の言う事もよく分かる。しかし、悪い話だけでは無いのじゃぞ?コヤツは我らに物資を提供をし、我らはそれを格安で手に入れる。うむ、上司権限にてこれは決定事項じゃ」

 

「お、ありがとさん。お得意さんになら武器も見繕ってやろうか?」

 

「ほう、そんな事もできるのか?これは僥倖。どれ、今度我の調整をしとる者と比べてやろうぞ」

 

朱鳶を見ると、言いたいことが詰まっているのかワナワナ震えながらこちらに近づいてきた。

 

これ以上朱鳶の近くにいたら酷い目に遭いそうなので、適当に挨拶を言って帰るとする。

 

後ろで朱鳶がギャーギャー言ってるのが聞こえるが、構わず歩みを進める。

 

一悶着あったが、収穫した物は大きかった。

 

…そういえば集めてた物置いてきたままだった。不覚。

 

━━━━

 

結局手ぶらで帰ることになってしまった。青衣はあぁ言ってくれたが、結局は口約束なのでなんとも言えない。

 

若干不貞腐れながら家まで歩いていると、後ろから声をかけられる。

 

「やっと見つけた!何処を探しても見つからなかったから、街を駆け回る羽目になったんだぞ!」

 

急に猫のシリオンの少女に話しかけられて少し驚いた。既に夜という事もあったが、人がいる気配も足音もしなかったのだが、彼女にはそういう心得でもあるのだろうか?

 

しかし、俺を探してたとなると、修理の依頼…では無さそうだ。そして面倒くさそうだ。

 

「悪いが他を当たってくれ。断る。」

 

「まだ何も言ってないぞ!?それに面倒そうな顔をするのやめろー!」

 

「いやだって疲れてるし、眠たいし、しんどいし」

 

「あー!もう!いいか、要点だけ話すぞ?私が邪兎屋のニコに依頼を頼んだんだ、その関係でデッドエンドホロウに行ったのはいいんだけど、パールマンとかいうヤツがそこを爆破するって言うからそれを阻止してほしいんだ!」

 

…それは果たして俺が介入して何か好転するのだろうか?パールマンという名は聞いた事があるが、相手は組織で動いていて、形とはいえメディアの前に立たされるだけの人間である。

 

そんな巨大なものに人が1人何か起こしても揉み消されるか、適当に対処されるのがオチだと思うのだが。

 

「…方法はあるのか?今のところ無理難題を押し付けているように思えるが」

 

「もっちろんだぞ!実はビデオ屋の店長とも話はついてるんだ。

実は爆破する為の爆薬は全て電車を使ってホロウ内に運ばれるらしい。

だからそれをホロウ内でこっそり止めるか進行方向をズラしてしまおう、ってのが作戦だ!」

 

なるほど、アキラが1枚噛んでるのか。それなら話は別だ。アイツのプロキシとしての実績と最近新たに導入したフェアリーがいれば問題ないだろう。

 

え、俺いります?

 

「そこでなんで俺が出てくるんだ?目的がそれなら君ら二人で十分な気がするが」

 

「私もそう思ってたんだぞ?店長が言うには『人手は多い方が良い』と言ってたんだけど」

 

さてはアイツ、イアスと同期してても極力動きたくないだけなのでは?

 

アキラの言い分は確かに一理あるのだが、付き合いが長いから分かる。ホロウで動けて、都合の良いヤツという扱いをしてる事が。

 

まぁ乗ってやるんだがね。知り合いが事件に巻き込まれているのに知らん振りは夢見が悪い。

 

「あー、分かった。その店長さんに免じてその依頼、受けてやろう。さて報酬は?」

 

「んにゃ〜ははは、心配しないでもきっちり払うってば」

 

それなら良い。

 

だが、少し問題があるとすれば、明日は今日運び忘れた物を回収しようと思っていた事だ。

 

せっかくの逸品だったのに、それがエーテルに汚染されて完全に壊れてしまう前に何とかしたいと思うのは普通のことだろう。

 

「報酬の件は良いとして。動くのは明日か?それなら俺は後追いで向かう事になってしまうがそれでいいか?」

 

「あ、そうなのか?まぁ問題ないぞ!行先と現在地は店長経由で伝えてもらう事にするから。それじゃ頼んだぞ!」

 

そう言うと猫又の少女は暗がりの中に消えていった。そしてやはり足音が小さかった事を見るに、猫のシリオンとしての身体的構造と少女故の軽い体重がそうさせているのだろう。

 

もし彼女がアサシンだったとしたらゾッとする。

 

何はともあれ明日は今日以上に疲れる事が確定した。明日に備えてさっさと寝るとしようか。

 

ふと思ったんだが、アキラは人に個人の連絡先をホイホイ渡しすぎる節があるらしい。

 

この件もリンに報告して釘を刺してもらわないと、何処から自分の身分がバレるのか分かったものじゃないだろう。

 

…いやまぁ、自分は治安局の人間に顔がバレてしまった訳だが…もしかして似たもの同士なのか?

 

しかもあの悪徳ハッカーめ、中途半端に晒してくれたものだ。あれでは何かの見間違い程度で流されて当然だとは思うのだが。

 

そう思いインターノットを流し見していると、赤眼に関して『俺も見た気がする』だの『目が合った瞬間何処かへ行ってしまった』という投稿がチラホラある。

 

まぁこういうのは有名になった投稿に便乗したいだけの輩も一定数いるだろうと思い、考えない事にする。

 

別に自分のする事には変わりは無いし。

 

色々と考え過ぎてしまっていたようだ。気がつけば家の前にまで到着していた。

 

適当に身体を洗い、床に就こうかと思っていた矢先ノックノックから通知が来る。ホロウ内でしれっと交換していた青衣からであった。

 

『夜更けにすまぬ。早速だが近々我と朱鳶、それとセス坊の武具を見繕ってもらいたい』

 

ここの人らはグイグイ来すぎて少し怖く感じる。また日を伝える、とだけ送り今度こそ寝るとする。

 

ほんとに、どうしてこうなったのだろうか。




キャラの口調が乱れて無いか不安でしょうがない。

まぁ、いいでしょう。

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