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励みになりますので、何卒。
先日、猫のシリオンの少女から依頼を受けたため昨日行った場所まで戻り目星をつけていた物をせっせと回収する。
そういえば彼女の名前を聞いていなかったが…まぁアキラに連絡すれば問題無いだろう。
しかし完全に二度手間になってしまった。治安局らがいなければこんな事にはならなかったのだが、まぁ過ぎた事をボヤいても仕方がない…けど面倒なのは変わりない。
一人でボヤきながら収集していると、ふと目の端にひっそりとボンプが倒れていることに気がついた。
あまりボンプには詳しくないのだが、見たところバッテリー切れか長時間ホロウにいたためエーテルに侵食されたかしたのだろう。
おそらく前者であろうか。ボンプにはエーテル適正が高い物が多いのだが、ここら周辺にそれを上回る程のエーテル濃度は無い。
…これは完全に前世の感覚になってしまうのだが、よくまぁここの住民はこんな可愛らしいボンプを放っていけるものだ。
と、そんな事を考えても仕方ない。とりあえず目の前の停止したボンプもついでに抱え、ホロウを出るとする。ボンプの構造にも興味が無いわけでは無いので、修理ついでに覗かせてもらおう。
無理そうだったらエンゾウさんに丸投げしたらいいだろう。
…ボンプって思ったより軽いんだな。本当に機械なのか?
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回収した物を工場に放り込み、アキラに連絡を送る。
今更ながら、依頼するのは勝手だが目的だけ伝えて詳しい場所すら伝えず帰って行ったな。依頼する気があるのか無いのか…
するとすぐにアキラから返信が届いた。
『用事は済んだのかい?君の現在地からなら順調に進んでいけばこのポイントで落ち合う事になるだろう。十分気をつけて来てくれ』
仕事が早い事で非常に助かる。おまけにそこまでのキャロットもナビ付きで送られて来るのだから頭が上がらない。
…というかなんで現在地が知られているのだろうか?まぁどうせフェアリーのお節介だろう。ホロウ内の探し物にポイントをつけれる程だ、こんな事は簡単なことなのだろう。
まぁどちらにしろ気味が悪いのに変わりないが。何はともあれ場所は分かったのだ、毎度お馴染みになってきた装備だけ整え例のホロウに向かうとするか。
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件のホロウにそそくさと侵入し、アキラが送ったポイントへ向かっている途中、遠くの方で何かしらの機械が動いているのか、ガシャガシャと何かの駆動音が聞こえる。
十中八九、アキラ達によるものだろう。それならさっさと向かうに限る。なにせ相手するのは爆弾電車なのだから、手際よくやらないと手遅れになる可能性もある。
にしてもデッドエンドホロウは他のホロウと比べて物が散乱し過ぎている。これも噂のエーテリアスのせいなのだろうか?だとしたら相手したくないものだ。
その影響なのか、野良エーテリアスは極端に少ないのでこちらとしては願ったり叶ったりである。変な雑魚に手間取っていたらたまったものではない。
可能な限り全力で目的地まで向かう。すると指定されたポイントは道を阻むように脱線した電車の中腹辺りだった。
「お!やっと会えたな!ここまで大変だったんだぞ?けど、ホロウに入った途端ビリーの言ってた化け物に遭遇するとは思わなかったぞ?」
『はは、まぁ何はともあれ合流出来たんだ。さぁ、時間は限られているんだ、手際良く行こう』
「それに賛成だ。にしてもどうするよこの邪魔な電車は?動かす程のパワーキャラはここにいねぇぞ」
多少時間はかかるが遠回りしようかと思っていたところ、列車の向こう側から少女の声が聞こえる。
『あ、あの〜、もしかしてそちら側にどなたかいらっしゃるのでしょうか?』
「んぇ!?電車が喋った!?」
そんな馬鹿な、と思っていたのだがどうやら相手は家事代行サービスの一環でこのホロウに入ったらしいのだが、エーテリアスを回避するために迂回したら同行者とはぐれてしまったらしい。
おまけにキャロットも無いので、俺らに協力する代わりにホロウの出口まで案内して欲しい…との事だ。
…にしてもどう合流するつもりなのだろうか?電車の向こう側へ行こうと思ったらそれなりに迂回するか、正面突破するしかないのだが。
すると少女が少し離れて欲しいと言うので、俺とアキラは大人しく下がるとする。
猫のシリオン…また名前を聞くのを忘れたな、それはさておき興味からなのか怖い物知らずなのかマジマジと電車を眺めていると、電車のドア付近から勢いよく大型の電動丸ノコのような物が飛び出してきた。
それに驚いたのか、めちゃくちゃな体勢で俺らが下がっていた所まで避難してきたのだが、丸ノコの方はそれだけに終わらずドアを滅多切りにしてしまった。
電車の方を見ると、ドアだった物が散乱している中、声色通りの少女が一礼と共にこちらに近づいてきた。
「は、初めまして。私はカリンと申します。皆様にご協力させて、い、いただきますので宜しくお願いします…」
「わ、私は猫又っていうんだ、うん、よろしくだぞ?」
ほう、この依頼主は猫又というのか。にしても危うく丸ノコの餌食になりかけただからだろうか、これまでのような元気はなりを潜めているように見える。
「俺はカイだ、出るまでの間だがよろしく頼む」
『僕は…調査員という事しか話せないな。無礼かもしれないが、分かってもらいたい』
カリンはボンプを操作しているアキラに驚いたのか、少し慌てたように「私共のご主人様にも同じような…あぁ!これは言っちゃダメな…」とワタワタしていた。
彼女らのような者に家事代行をしてもらう人物とはどんな者らなのだろうか。ホロウ探索も家事代行の一環と言うのだから、そのご主人様とやらは大物に違いない。
適当にお互いの自己紹介が済んだところで、さっさと目的を達成するために動き出す。
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といっても、基本的にアキラの案内に従って動くだけなのだがね。
それでも毎度同じくエーテリアスが行く先に陣取ってたり、徘徊していたりと面倒なのだが、それらは猫又とカリンが一掃してくれているので問題は無い。
というかこの世界の少女は強すぎな気がするんだが気の所為だろうか?是非とも、この世界の少年達にも頑張って欲しいものだ。
アキラの指示で何かしらのスイッチを押したり荷物を退かしたりしている内に、どうやら爆弾電車の線路が切り替わったらしく、ひとまず俺らの任務は一段落ついた。
あとはカリンをホロウから連れ出すだけなのだが
『うん?あぁ、それに関しては問題無いよ。ここをまっすぐ行けばホロウから出られる裂け目に入るはずだ。』
なんともまぁ、仕事の早い事で。うーん、本格的に俺がいらないような気がしてきてならない。
かといって焦って何かやっても無駄に体力を使うだけだ、ここは大人しくしておこうか。
「あの…本当に、ありがとうございました!調査員の皆様がいなければ、きっとカリンはきっとこのホロウを永遠に彷徨っていました」
「まぁそれはお互い様ってことで。俺たちもカリンがいなかったら通れなかった所もあるし」
『そうだね。ホロウの中で困ったことがあれば助けあって当然だ。だからお礼や報酬といった物ははいらないよ、またどこかで会おう』
「はい!」と元気よく返事をしたと思うとそのまま深く頭を下げるカリン。そしてそのままホロウから脱出するのを見届け終わると、後はこちらの仕事だけだ。
やる事は単純で、基準の路線から逸れた爆弾入り電車をアキラが中へ侵入し、それを止めるだけ。…うーん、ほぼアキラ頼みだな、まぁいいか。存分に働いてもらおうか。
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例の電車が通るトンネルでしばらく待っていると、前方から猛スピードで走らせている電車が見える。
おそらくアレが件の電車だろう。中は無人との事なのだが、突入口は電車上部のハッチのみなので、アキラしか入れない。さらに入った瞬間囲まれたら詰みであるのだが…なんとかなるのか?
「ん?それなら先に横の窓から直接入ったらいいんじゃない?」
「そんな曲芸できるかよ…」
「なら、タイミングだけ伝えるから後は流れでよろしく〜」
無理難題を吹っ掛けられたところで、先頭車両がかなり迫っていた。少し慌てながらだったが、猫又がイアスを車両の上に放り投げることでイアスは何とか入れそうではある。
ともかく自分の心配をしなければならない。猫又からタイミングは言うとの事だが、失敗したらマヌケな赤いシミができるだろう。
せっかく前世の記憶を持って生まれ変わったのにもかかわらず、このような命がけのダイブをしなければいけないのだろうか…
戦々恐々としていると、いつの間に近づいていたのか、猫又が「いまっ!」と叫ぶ。半ばせっつかれる様に飛び出したが、どうにか車両へ侵入できたようだ。ただ、侵入というにはあまりに大胆かつ大げさなのだが。
極度の緊張のせいか視界や足元がフラついていたが「誰だっ!」と何者かが出した大声で我に返る。辺りを見るとそこにはガッチリと装備した者らが大勢いた。たしかこの車両には爆弾のみ運ばれているとの事だったはずだが…どうもきな臭い。
時を同じくして侵入していたのであろうアキラの姿が見える。が、その姿は大勢に銃口を向けられている何とも可哀そうに思えるほど縮み上がっていた。まぁ、そうなるのは当然ではあるのだが。
『なんだこの人数は、パールマンもこんな事は報道していなかったはずだが…』
「ごちゃごちゃ言う前に、アンタは離脱!」
大勢の視線がこちらに向いていたからであろうか、人と人の間をするりと抜けて誰も妨げること無くアキラを車外へ放り出す猫又。キャロットがあるから大丈夫との事だが…え、俺は?
「アンタは多少戦えるだろ?ちょ~っとここを引っ搔き回すのには、さすがの私も猫の手も借りたいぐらいだぞ」
サイですか。と答える前に銃弾が横を通り抜ける。電車内ということもあるのだろう、運よく相手の狙いが逸れたおかげで助かったが、ここはもう既に命のやり取りが始まっているのだ。そう自覚すると同時に目の出力を限界まで上げる。
銃弾は真っ直ぐにしか飛ばないので、殴り合うよりかは軌道が読みやすい。相手からしたらたまったものではないかもしれないが、自分の命が惜しいので素直に当たってやる義理はない。そのまま銃弾の嵐を避けつつ一人ずつ殲滅していく。
「なんだコイツら!?弾が当たんねぇぞ!」
「まるで先読みしてるようにって、もしかしてコイツが例の赤目じゃねぇのか!?」
「この猫のシリオンもちょこまかと…!」
わざわざこちらから仕掛けるまでもなく、同士討ちで勝手にバタバタとやられていっているのを横目に猫又に目を向ける。アスリートがどうたらと言っていたが、その実力は本物らしい。しなやかな体と骨格を駆使して瞬時に相手の死角へ回り込み、どんどん倒していっている。
さらに恐ろしいのは二刀の小刀から繰り出される連撃だろう。元々手数が多い武器種なのだが、シリオン特有の発達した筋力と瞬発力から繰り出されることを考えるとゾッとする。
…しれっと流しそうになったが、こんな奴らの中でも自分の噂は届いているらしい。こういった噂は広がるのが早いのは分かっていたが、まさかここまでとは。まぁ人の噂も七十五日と言うが…インターノットに投稿されている時点でそうはいかないだろう。せめて変な尾ひれがつかないことを祈るばかりである。
そうこうしている間にある程度片付いたのだが、それはこの車両だけに限った事らしい。後ろの車両にまでこの騒動が伝わったらしく、慌ただしい足音が近づいてくるのが分かる。
猫又も感づいたのか、叩き割った窓から飛び出していった。自分もそれに続こうと思ったのだが、ふと気づく。
「…これ走行中じゃん、止まってないじゃん」
侵入する時は猫又の合図があったものの、脱出は自分の感覚のみを頼りにしないといけないらしい。そして躊躇っている時間もない。後方からは敵の集団が迫ってきているし、何より猫又とはぐれてしまう可能性もある。
そう思考すると、さっきまでの足のすくみは何だったのかと思うほど、スッと身体が動いていた。一度経験したから身体が覚えているのか、もしくはエーテル適正がある者は標準装備されている身体能力が1度恐怖を乗り越えた事で目覚めたのか、審議は不明だが飛び出すことができた。
これほどの身体能力があれば、より良い探索が可能になるだろう。そう思うとワクワクしてきた。未来に思いをはせるのはほどほどに、着地をしなければならない。
これもさっきやった事なので大丈夫…と思っていたのだが、現実はそう甘くないらしく、見事に着地は失敗しゴロゴロと地面と熱い抱擁をする羽目になった。
どうも、今更ながらこの身体…というかこの身体能力に慣れないといけないらしい。
「おーい…って大丈夫なのか?あと、ホントにアンタが噂の赤目って認識でいいのか?」
「…心配してくれてどうも。期待外れだったら悪いが俺がその噂の人、その本人であってるよ」
「う~わ、どんな超人なのかと思ったらアンタがねぇ?噂ってのは案外大した物じゃないってのは本当みたい」
他人がでっち上げた噂になぜ本人が合わさないといけないのだろうか。まぁ、噂というのはそれに対する憶測を話し合ったりするのが楽しいと言われる所以なのだろうが…なんだっていいか。
「ほら、早く立ってパエトーンの所まで戻らないと!」
「いや、戻るのは猫又だけで良い。アイツの店に近い出口が記載してある俺のキャロットを渡すから、それで作戦を練り直してくれ」
「んぇ!?アンタはどうするのさ?」
「俺はニコがいる方へ向かって情報共有するつもりだ。お互い時間が無いんだから二手に分かれた方が効率良いと思わないか?」
確かにそうだけど…と変に悩み始めたので、猫又が持っていたキャロットをひったくる。うじうじ悩まれても面倒なので向かうことにする。
「あっ…!うー、分かったぞ!すぐ助けにくるから!」
そう言うと向こうも走り去っていった。まぁ本音のところ、狙いは道中のジャンク品に目星をつける事なのだが、黙っておくことにしよう。すまんな、ニコ。
…あ、アキラが余計な事言うかもしれないのか。まぁ、お互いやりたい事や目的は十分知っているので問題ない気はするが。もし言うことがあれば…アキラの検索履歴でもフェアリーに頼んで教えてもらうとするか。変なものを調べていたら、それでイジってやろう。うん、それがいい。
書きたい事があるのに中々進まない…。
まぁ、いいでしょう。
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