お気に入り投稿してくださった方達には本当に申し訳がたちません。
月明かりに照らされた深い森の道なき道。
そこを歩くのは黒い帽子と白の半袖に黒いタンクトップのような物を着た金髪の特徴的な白黒の少女と、白と黒がくっきり別れた髪をもつ不思議な色の瞳を持ったこれまた特徴的な服の青年。少女よりふたまわり身長が高い青年は少女を少し見下ろすような形で少女の話を聞き、少女は青年を見上げながら青年と言葉を交わす。
__★マリサside☆_____________
ユカリに飛ばされてから数日。私らの時代では見たこともない本の中の生物に襲われたり、今は道に迷ったり散々な目に会っているのはひとまずおいておいて、道なき道をひたすら歩いていると私の横に並んで歩いていたロストが不意に口を開いた。
「恐らく魔力密度や周囲の魔物から鑑みるにX762年~X797年辺りでしょうかね。」
突然そんなことを言い始めたロストはどうやらここが何時の時代なのかをずっと考えていたようなのぜ。私はロストの何時もの突然すぎる発言に呆れつつも何故そのような結論に至ったのかの説明を求めた。
「随分ざっくりなのぜ。でもなんでそれだけでそんなに時代を絞れたのぜ?」
そう聞くとロストはいつもと同じように口元に手を添えながらわかりやすく説明を始めたのだった。
「魔力密度はX1000年辺りから大幅に変質しています。マリサ・ハートフィリアも何となくですが身体に変化を生じているのではありませんか?」
そう言われた私はそう言えばここ最近身体が軽くなったような感覚になっていたのを思い出した。後は魔力の発動も最近は簡単に出来るようになったし、コントロールも私達がいた時代よりしやすくなっているしなぁ・・・とか思いつつロストに言葉をかえす。
「ん?んー・・・確かにここ最近この時代に来てから何だか身体の調子が良いのぜ。でもそれがなんなのぜ?」
「X1000年以降から魔導士は減少傾向になったそうですよ。恐らく魔力変質の際に多くの魔導士が力を消失したのでしょうね。しかし、ここの時代には魔力変質が見られらません。そこからX1000年以前だと推測しました。そして、時代を詳しく特定したのは魔物がX750年~X850年前後に生息していた種類がいましたからね。」
ロストの説明を聞きながらより詳しく推測したのは恐らくユカリの性格からとか、ロストの何時ものスゲー知識量から推測したとかそんな感じだろーなーと思いつつも念のために聞く辺り私の癖が抜けていないというか、なんというか。心の中で苦笑しつつもロストに質問をする。
「ん?でもそのわりにはX762年~X797年って絞れているのぜ?」
「ああ、恐らくユカリ・ヤクモなら過去の英雄達がいた全盛期時代前後に飛ばしているのではないかという憶測ですよ。それにアレを呼び出す書物が召喚されるとすれば時空間の歪みが大きく変動している時代が一番高いですからね。」
やっぱりそうだよなー。そう思いながらも私はそれ以上質問をせず納得して歩みを早めた。
暫く歩いて木が少しずつまばらになってかなり開けた空間に出るとそこには巨大なドラゴンの姿が・・・え・・・。
ドラゴンはこちらに気付くと襲いかかるなんてせず、私達に話しかけてきた。
「人がこのような時間に訪れるとは・・・。我が名は天竜グランディーネ。あの・・・私の顔に何かついているのですか?」
「・・・ド、ドラゴン!!ははは初めましてなのぜ!あ、私はマリサ!マリサなのぜ!!でもドラゴン・・・。す、スゴいのぜ!格好いいのぜ!!グランディーネよろしくなのぜ!」
ドラゴンとか本物に会えるなんてユカリに感謝なのぜ!!アヤが会ったら嬉しすぎてサインでも貰いそうなのぜ。でも本当はギルドの皆に会わせたかったのぜ。
「マリサ・ハ・・・いえマリサさん、少し落ち着いては如何でしょうか?天竜グランディーネも戸惑っていられますよ。」
「・・・いや、貴方は落ち着きすぎかと思いますけどね。」
そんな2人のやり取りを聞きながら、ロストが私の事を何時ものようにフルネームで呼んでいないのに気が付いたのぜ。ロストの方を凝視すると何時ものように笑顔を向ける。うーん。やっぱりいつものロストなのぜ。もしかして変なキノコでも食べたりしたのか?そんな風に色々考えを巡らせると先程は我を失ってグランディーネを困らせるような行動をしていたのに気付いた。
「あ、そのいきなりあんなに大声あげて悪かったのぜ。ドラゴンに直接会ったから思わず興奮しちゃったのぜ。」
そう謝るとグランディーネは苦笑しながら構わないと言って許してくれたのぜ。それから今日はここで寝ていけばいいと勧められてお言葉に乗ることにしたのぜ。野宿にはなるけど今までより何倍も安心して寝ることができそうなのぜ。
野宿の準備をしながらグランディーネがいないところで薪を拾っているとロストが声をかけてきた。
「マリサ・ハートフィリア、少しいいですか?」
いつもの呼び方にホッとしつつ私は話を促す。
「良いのぜ。」
「この世界ではハートフィリアと言う苗字は名乗らない方が良いですよ。」
何故と言う言葉は出なかった。普通に考えたらこの時代にはハートフィリアは財閥だかなんだかで有名だったとか前に読んだ本に書いてあったのを思い出したからなのぜ。今度からは気を付けなければなのぜ。そう肝に命じながらロストの話に頷いた。
「わかったぜ。他に注意する事とかあるのぜ?」
「ああ、それと精霊・・・特に黄道12門は非常時以外開かないようにしてください。」
ああ、それは私もこっちに着たときから思ってたことなのぜ。・・・というかマスパ飛ばせば基本使う必要もないのぜ。寧ろ緊急時以外しか精霊は使ってないのぜ。だからこの時代で精霊達が喚ばれることはないと思うのだけど、それでもこの世界にある筈の無いもうひとつの鍵は極力出さない方がいいと言うことなのだろう。意味は理解したので頷くとロストは私が抱えていた薪になりそうな木の枝を全部とるとさっさとグランディーネのところに戻った。
晩飯は道中採ったキノコと山菜を焼いた物を軽く食べるだけにしてすぐに横になった。少しして私はグランディーネに近くにマグノリアと言う街がないか聞くとこの近くにはないと教えてくれた。
礼を言うとそのまま深い微睡みの中に沈んでいった。
翌朝。起床と同時に旅の支度を始めた私達にまた遊びに来るといいと少し寂しげに言うグランディーネにまた来ると約束をして私達は歩き出した。グランディーネと別れて暫くたってからロストが口を開いた。
「・・・さて、ここまで来ればもういいでしょう。マリサ・ハいえマリサ飛べますか?」
どうやらバレない限りは私の事はマリサと呼ぶと決めたらしい。まだ慣れていないようだけど。まぁロストが私をマリサと呼ぶのは暫く慣れそうに無いのだが、それはともかくロストに聞かれて私は空間にぶちこんどいている箒を召喚すると答えた。
「勿論なのぜ!!」
「それじゃあマグノリアの近くまで行きましょうか。高度は上げられる限界までがベストでしょうね。その方が人に見られないでしょう。」
「それじゃあ、私の前に乗るのぜ。マグノリアの近くに行ったら教えてくれなのぜ?」
「ええわかりました。」
私が箒に跨がってからロストを前に乗せる。うぅ、こう言うときにロストの高さが裏目に出るのぜ。だけど私よりもロストの方が目がいいからな・・・。そう思いながらも精神を統一して箒を浮かせる。地面から足が離れ100、200と高度を上げていき限界までいくと高速で飛ばす。ズドーンとかビュオーンとかの音をたてながら5分もしないうちにロストからスピードダウンするように言われたのぜ。私的にはトロイのはあんまり好きじゃないんだけど仕方ないのぜ。
スピードを緩めて5分もしないうちに下に行くように言われたのぜ。そして下に降りていって地面に降りると見慣れた景色が2~3㎞先に見えた。見慣れたと言うのは少し違うんだろうけど、雰囲気から遠目で見てもすぐにわかった。
「・・・[妖精の尻尾]。ロスト。[妖精の尻尾]なのぜ。帰って・・・来たのぜ。」
「ええ。・・・そうですね。行きましょうマリサ。私達の家に[妖精の尻尾]に。」
ロストも私もあれが私達の知っている[妖精の尻尾]ではないのだと知ってはいるのぜ。でも、それでも、いつの時代であっても我が家に帰り着くのは嬉しいものなのぜ。
__☆マリサside…★_____________
郷愁と期待を胸にマリサとロストは知らず知らず互いの手を握りあった。そこにどんな感情が流れていたかは彼等しか知らないだろう。しかし、それでも彼等の繋がれた絆は誰にもほどくことは出来ないだろう。
日が上りきり朝の営みが賑わう時間、2人の妖精は[妖精の尻尾]の門を叩く。