【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度が限界突破!? ~戦闘力ゼロの追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と送る甘々ライフ~   作:月城 友麻

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134. 渦巻く疑念

(そう……そうだ……!)

 

 レオンの心に、火が灯る。

 

(まだ終わってない……まだ、戦える……!)

 

 リナの仇を討たねば。この国の未来を勝ち取らねば。ここで諦めるわけにはいかない。

 

 震える体を必死に制御しようと、レオンは深呼吸を始めた。

 

 ゆーっくりと空気を吸う。

 

 そしてゆーっくりと吐く――。

 

 恐怖を、押し込める。過去の記憶を、封じ込める。

 

「……大丈夫?」

 

 ルナが、心配そうにレオンの顔を覗き込んだ。その目には、涙が浮かんでいる。

 

「あんまり……大丈夫じゃないけど……」

 

 レオンの声は、まだ震えている。

 

「でも……発作に負けてるわけにもいかない……こんな体にした、あの女を倒すまでは……」

 

 荒い息をしながら、レオンはなんとか顔を上げた。

 

「レオン……」

 

 ミーシャが、レオンの手を握った。その手は温かく、震えているレオンの手を包み込む。

 

 しかし、状況は最悪だった。

 

 空間の裂け目から際限なく溢れ出す魔物たち。必死に戦う騎士たち。倒れていく冒険者たち。そして、その全てを冷酷に、まるで盤上の駒を動かすかのように操る、あの水晶の蜘蛛。

 

(全部……読まれてる……)

 

 それは未来視という絶対的な力を完璧に使いこなしている証拠だった。こちらが何をしようとしても、敵はそれを予見している。

 

 レオンの拳が、無力感で震える。爪が手のひらに食い込むほど強く握りしめているのに、その震えは止まらない。血が滲んでいる。けれど、その痛みすら感じない。

 

「ねぇ、レオン……」

 

 エリナの声が、か細く震えていた。

 

 レオンが顔を上げると、いつも凛々しく強気なエリナが、今にも泣き出しそうな顔でこちらを見つめていた。

 

「私たちも……出た方がいいんじゃない……?」

 

 その言葉は、苦しみに満ちていた。仲間が血を流しているのに、自分たちだけ安全な場所に隠れていることへの罪悪感。何もできずにただ見ているしかないことへの苛立ち。

 

「いや……」

 

 レオンは、ゆっくりと首を横に振った。

 

「今は……彼らを信じて待つしかない」

 

「でも……!」

 

 エリナの声が、悲痛に上ずる。

 

「このままじゃ……みんな死んじゃう……! ギルバート様も……騎士団のみんなも……!」

 

 その目から、涙が零れ落ちる。頬を伝い、滴る。

 

「分かってる……分かってるんだ……!」

 

 レオンも、声を荒げそうになる。けれど、必死に抑える。リーダーとして、軍師として、冷静でいなければならない。

 

「未来視の裏をかくような……何か斬新な手以外は、意味がないんだ……」

 

 レオンの声が、震える。

 

「普通に飛び出したら、全て読まれて、僕たちも罠にかかって……そして、全員死ぬ……」

 

 言葉が、喉に詰まる。

 

「斬新な手って……どんな……?」

 

 シエルが、震える声で尋ねた。その顔は蒼白で、弓を握る手が白くなるほど力が入っている。

 

「今は……まだ……」

 

 レオンの声が、苦しげに絞り出される。

 

「分からない……だが、必ず……必ず勝つ道はある!」

 

 レオンは、さっきの文字化けしたメッセージを思い出す。

 

「今は待とう! みんなを信じて……」

 

「信じて……待つ……?」

 

 ミーシャが、絶望に満ちた声で呟いた。杖を握る手から、力が抜けていく。

 

 馬車の中に、重苦しい沈黙が流れた。

 

 誰も言葉を発することができない。ただ、外から聞こえてくる戦闘の音だけが、容赦なく耳に届く。剣が何かにぶつかる衝撃音。魔法が炸裂する轟音。断末魔の悲鳴。怒号。馬のいななき。それらが混ざり合い、まるで地獄の交響曲のように響いている。

 

(そんな手が……本当にあるのだろうか……?)

 

 ルナの心の中で、疑念が渦巻く。手のひらに汗が滲む。

 

(このまま……全滅して……そして私たちも……)

 

 シエルの脳裏に、最悪の未来が浮かぶ。弓を握る手が、震える。

 

(何もできない……何も……私は……)

 

 ミーシャの心が、無力感に押し潰されそうになる。

 

 四人とも、口を固く結んで俯いている。その肩が、小刻みに震えている。

 

(このままじゃダメだ……このまま沈黙が続けば……戦う前に、心が折れてしまう……!)

 

 レオンは、必死に言葉を探す。何か希望を持たせる言葉を。闇の中に、一筋の光を見せる言葉を。

 

「……大丈夫」

 

 レオンが、静かに口を開いた。

 

 その声は震えていたが、そこには確かな意志があった。

 

 四人が、ゆっくりと顔を上げる。その目は、すがるようにレオンを見つめている。

 

「ギルバートさんも、ヴァレリウス様も……まだ、何も言ってきていない」

 

 レオンは、ぐっと拳を握りしめた。血が滲んだ手のひらが、痛む。けれどその痛みが、現実を繋ぎ止める。

 

 

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