【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度が限界突破!? ~戦闘力ゼロの追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と送る甘々ライフ~   作:月城 友麻

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147. 大地を焼く熾天使

 レオンは、思うように動かない体を、怒りと意地だけで無理やり動かす。歯を食いしばり、腕を動かし、必死に泳ぐ。

 

 浮き輪まで辿り着き、それを掴むと、力の限り遠くへ放り投げた。

 

「うおおおおおっ!」

 

 浮き輪が水面を滑り、壁に激しくぶつかるとパリィンとガラスの割れるような音が響き、光が消えていく――――。

 

「あらあら、強引ねぇ」

 

 イザベラは、クスクスと楽しそうに笑った。

 

「そんな乱暴なことをしたら、嫌われるわよ? 女の子には、自分で選択させてあげないと。そうでしょう、ミーシャ?」

 

 その言葉には、嘲りが込められていた。まるで、子供の喧嘩を見る大人のような、余裕のある笑み。そして、確信に満ちた笑み。

 

「うるさい! お前にミーシャは絶対に渡さない!」

 

 レオンはイザベラをにらみつけた。

 

 イザベラは、その視線をゆっくりとレオンへと移す――――。

 

 まるで、獲物を見定める捕食者のような、冷たく、そして愉悦に満ちた視線。

 

「ふふっ。まだまだ若いわねぇ。でも、貴方には本当に、心から感謝しなければなりませんわね、レオン・グレイフィールド君」

 

 その言葉に、レオンの背筋に氷のような悪寒が走る。

 

「……なんだと……?」

 

 レオンの声が、掠れる。喉が、乾ききっている。

 

「どうして、僕の名を……」

 

「あら、知っていますわよ。貴方のこと、全て」

 

 イザベラは、楽しそうに微笑んだ。

 

「貴方の【運命鑑定】という、素晴らしい、素晴らしい『生贄』のおかげで――」

 

 その瞬間、レオンの全身から血の気が引いた。

 

「ついに! 我が神との儀式の準備が、整いましたのよ!」

 

 イザベラは、恍惚とした表情で天を仰いだ。両手を広げ、まるで神の恩寵を受けるかのように。

 

「お前か!」

 

 レオンの絶叫が貯水槽全体に響き渡る。全身が怒りで震えている。

 

「僕のスキルを壊したのは、お前か! お前が、僕から【運命鑑定】を奪ったのか!?」

 

「ええ、その通りですわ」

 

 イザベラは、あっさりと、あまりにもあっさりと認めた。その笑みには、一片の罪悪感もない。まるで、当然のことをしたとでも言うように。

 

「貴方のその類稀なる『未来を視る力』――それを破壊し、その膨大な運命の力を、私が吸収することで」

 

 イザベラの瞳が、狂気の光に染まる。

 

「私の未来を垣間見るスキルは【預言者の天啓】スキルとなって、ついに未来を視るだけでなく、神の御声を聞く領域へと到達したのですわ!」

 

 イザベラは、両手を広げ、恍惚と天を仰ぐ。まるで、神の祝福を受ける聖女のように。

 

「ああ、素晴らしい……! これで、偉大なる神に連なるお方をこの地に降臨させる方法が、ようやく、ようやく分かったのです!」

 

 その声は、喜びに、狂喜に震えていた。

 

「貴方の絶望が、貴方の苦しみが、貴方の運命の力が、私たちの希望への最後の鍵でしたの。ありがとう、レオン君。ふふっ」

 

 その言葉が、レオンの心を深く、深く突き刺した。

 

 【運命鑑定】を失った喪失感。

 

 あの、地獄のような日々。

 

 全てが、この女の計画のための、ただの駒でしかなかった。

 

 自分の人生が。

 

 自分の苦しみが。

 

 この女の野望のための、ただの材料だったというのか。

 

「ふ、ふざけるなあぁぁぁぁぁ!!」

 

 レオンの絶叫が、水面を激しく震わせた。

 

 怒り。悲しみ。絶望。憎悪。

 

 全ての感情が、胸の奥から溢れ出し、混ざり合い、一つの叫びとなってほとばしる。

 

「僕の人生を! 僕の苦しみを! 勝手に人殺しに利用するなあぁぁぁぁ!!」

 

 けれど、その叫びは、冷たい石壁に反響し――そして、虚しく消えていった。

 

 イザベラは、ただ微笑んでいる。

 

 その笑みは、あまりにも穏やかで――あまりにも残酷だった。

 

「ふふふ。おかげさまで視えたのよ」

 

 イザベラの声が、陶酔に染まる。

 

「【預言者の天啓】で――熾天使(セラフ)さまが降臨されて、この大地を聖なる炎で埋め尽くしていく、美しい、美しい情景を……」

 

「セ、熾天使(セラフ)……だって……?」

 

 レオンの声が、震える。

 

 熾天使。

 

 伝説の中にしか存在しない、最高位の天使。神の玉座の最も近くに仕える、六枚の翼を持つ天使。

 

 その力は、世界を焼き尽くすとさえ言われている。

 

「そう、神のおそばに使える偉大なる天使様よ」

 

 イザベラの声が、陶酔に染まる。

 

「十万の命を捧げたら、力を貸してくださるんですって。素晴らしいでしょう?」

 

「じゅ、十万!?」

 

 ルナの声が、恐怖に震えた。

 

「ま、まさか……そんな……」

 

 エリナも顔を青くする。

 

「そう」

 

 イザベラは、まるで楽しい計画を語る少女のように、無邪気に微笑んだ。

 

「私の可愛い魔物ちゃんたちが王都を襲い、愚か者たちを生贄にするの。そして、熾天使(セラフ)さまに降臨していただき、この大陸全てを聖なる炎で焼いてもらうわ。そして――灰になった大地に、『蝕月(エクリプス)の鷲《・イーグル》』の信者だけの、清らかで美しい理想の世界を作り上げていくの……ふっ、ふふっ、ふふふふふ……」

 

 その狂った計画に、五人は息を呑んだ。

 

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