【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度が限界突破!? ~戦闘力ゼロの追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と送る甘々ライフ~   作:月城 友麻

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157. 隠し切れない豊かな

【運命を共にすると誓った者を確認――ミーシャ・ホーリーベル】

 

 レオンの脳裏に、金色の文字が浮かび上がる。

 

 二人目の運命が、結ばれた。

 

「ふふっ……」

 

 ミーシャは、レオンの胸の中で、心からの笑顔を見せた。

 

「幸せ……こんなに幸せなこと、生まれて初めて……」

 

 その声は、喜びに震えていた。

 

 もう、孤独じゃない。

 

 もう、仮面をつけなくていい。

 

 この人の前では、いつでも、素の自分でいられる。

 

 それが、何よりも幸せだった。

 

 

     ◇

 

 

「次は、ボクです!」

 

 シエルが、元気よく手を上げた。その声は、期待に弾んでいる。

 

「シエル……」

 

 レオンは、微笑みながらシエルの前に立った。

 

 月光のように美しい銀髪。凛としたボーイッシュな顔立ち。けれど、その奥には確かな女性らしさが隠されている。三大公爵家の令嬢にして、今は自由を選んだ一人の冒険者。

 

 その可愛らしい頬は紅潮し、落ち着きなく碧い瞳が泳いでいる。どんなプロポーズをされるのか、期待と緊張で胸がいっぱいなのだろう。

 

 その初々しい様子に、レオンは改めて胸がときめいてしまった。

 

「君は……」

 

 レオンは、優しく語りかける。

 

「自分の運命に縛られず、屋敷を飛び出し、自由に生きることを選んだ。そんなこと、普通はできない。政略結婚という檻から逃れ、自分の足で立つことを選んだ。その勇気を、僕は心から尊敬してる」

 

「レオン……」

 

 シエルの碧眼が揺れ――そして、うつむいてしまった。

 

「それは……違うわ」

 

「……え?」

 

 レオンが、驚いたように声を出す。

 

「家を飛び出したのは、何も知らないお嬢様だったからなだけなの」

 

 シエルは、自嘲するように笑った。

 

「何度も何度も後悔したわ。寒さに震えた夜も、空腹に耐えた日も、追手に怯えた時も……。だから、勇気だなんて……とんでもないわ」

 

「でも」

 

 レオンは、穏やかに言った。

 

「帰らなかった……。そうだろ?」

 

「それはまぁ……」

 

 シエルは、視線を逸らす。

 

「みんなのおかげ……かな? エリナやミーシャ、ルナがいてくれたから――」

 

「うん。もちろん、みんなとの絆はあっただろう」

 

 レオンは、シエルの言葉を受け止めながら続けた。

 

「でも、それでもいつでも帰ることはできたはずだ。屋敷に戻れば、暖かいベッドも、美味しい食事も、何不自由ない生活が待っていた。それでも、君は帰らなかった。それは事実だろ?」

 

「それは……まぁ……」

 

 シエルは、言葉に詰まる。

 

「その苦しい中で、自分の人生を自分で掴もうともがき、傷つきながらも――今では大陸でも指折りの超一流の弓使いになった」

 

 レオンは、シエルの両手をそっと取った。

 

 小さく、繊細な手。けれど、弓を引き続けてきた、強く、しなやかな手。

 

「誰にも縛られない、自分だけの世界を手に入れたんだ。それは、君の努力の結果だよ?」

 

「レオン……」

 

 レオンの声が、さらに優しくなる。

 

「君は誰よりも早く起きてきて、一人で黙々と練習をしていたじゃないか。誰も見ていない朝に、一人で矢を放ち続けて――。もっと誇っていい」

 

「そ、それは……」

 

 シエルは、恥ずかしそうに俯いた。

 

「レオンの……みんなの力になりたかったから……」

 

「謙遜もいいけど」

 

 レオンは、シエルの顎に手を添え、優しく顔を上げさせた。

 

「僕の大好きなシエルには、もっと胸を張っててほしいな」

 

「胸を……?」

 

 シエルがレオンを見上げる。

 

「あら、胸ですってよ。ふふっ」

 

 ミーシャが、悪戯っ子の笑みを浮かべて、エリナに話しかける。

 

「む、胸が何なのよ! ちょっとうるさいわよ!」

 

 エリナが、ジト目でミーシャをにらむ。

 

「あら、ごめんなさい。シエルで【胸】って言うとね、つい……ふふふ」

 

 ミーシャは、楽しそうに笑った。

 

「も、もう……!」

 

 シエルは隠し切れない豊かな胸を両手で覆い、真っ赤になりながらミーシャをにらむ。

 

 そして、コホンと咳ばらいをすると――――深呼吸して気を取り直し、レオンの目を見つめた。

 

 苦笑していたレオンも静かにうなずく。

 

「ボクがこんなに上達できたのもレオンがいてくれたから……」

 

 シエルの声が、か細く震える。

 

「ボク一人じゃ、何もできなかった……。レオンがいなかったら、きっと途中で諦めて、屋敷に戻っていたわ……」

 

「そう」

 

 レオンは、シエルの手を強く握りしめた。

 

「でもね、それは僕も同じなんだよ」

 

「え……?」

 

「シエルがいなかったら、僕は生きていなかったかもしれない」

 

 レオンの声が、真剣さを増す。

 

「君の矢が、何度も僕を救ってくれた。君の笑顔が、何度も僕を元気にしてくれた。君がいたから、僕は戦えたんだ」

 

 シエルの瞳が、大きく揺れる。

 

「一緒にいれば、不可能も可能になる――」

 

 レオンの瞳は希望の光に満ちていた。

 

「レオン……」

 

「これからも一緒に、お互い助け合いながら、素敵な未来を目指そう」

 

「レオン……!」

 

 シエルの目から、涙が溢れ出した。

 

 堪えきれずに、ポロポロと零れ落ちていく。

 

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