【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度が限界突破!? ~戦闘力ゼロの追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と送る甘々ライフ~   作:月城 友麻

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173. 不老不死でも何でも

「でも、やるでしょ?」

 

 シアンはニヤリと楽しそうに碧眼を光らせる。

 

「い、いや、まぁ、それは……」

 

「顔見たいでしょ?」

 

「えっ!? いや、それは……」

 

 レオンが言葉に詰まっていると、ルナが怪訝そうに二人を見上げた。

 

「何の話してるの?」

 

「い、いや、何でもない! 大丈夫! 寿命を四十年も出してもらったんだし、いまさら結婚を撤回なんてしないよ。安心して!」

 

 レオンは慌ててシアンと距離を取り、ルナの緋色の瞳を覗き込んだ。

 

「ほ、本当……?」

 

 ルナの声が小さく震えている。まだ不安が消えていないのだ。

 

「本当さ。ルナは妹だったかもしれないけど、今は僕の大切なお嫁さんだもん」

 

 その言葉を聞いた瞬間、ルナの瞳から新たな涙が溢れた。

 

「よ、良かった……」

 

 ルナはレオンの胸に顔をうずめ、くぐもった声で言った。その耳が真っ赤に染まっている。その姿がどうしようもなく愛おしかった。

 

 レオンはそっとルナの頭を撫でる。柔らかな赤髪が指の間をすり抜けていく。七年前、よく撫でていた妹の頭。あの頃とは髪の色も感触も違う。黒髪だったリナの髪は、今は燃えるような赤になっている。けれどその温もりは確かに同じだった。頭を撫でられて嬉しそうに目を細めるその仕草も、どこか似ている気がした。

 

「……ありがとう、リナ」

 

 レオンは静かに呟いた。声が震える。また涙が込み上げてくる。

 

「生きていてくれて、ありがとう。また会えて、ありがとう」

 

 ルナの肩がびくりと震えた。そして、また泣き始める。今度は声を上げて、子供のようにわんわんと。我慢していたものが全て溢れ出したかのように、声を上げて泣きじゃくる。

 

 レオンはそんなルナをそっと抱きしめた。小さな身体を包み込むように、壊れ物を扱うように、けれどしっかりと。

 

 もう二度と離さない。今度こそ守り抜く。

 

 七年前に果たせなかった約束を、今度こそ果たす。兄として、そして夫として、この子を一生守り続ける。

 

 そう心の中で誓いながら、レオンは静かに目を閉じた。腕の中で泣き続けるルナの温もりを感じながら、七年越しの再会の喜びを噛みしめていた。

 

 

      ◇

 

 

「寿命四十年? 結構払ったわねぇ」

 

 シアンは感心したように目を丸くした。そして王都方向の、大地のえぐれたクレーターの続く風景を感慨深そうに眺めた。

 

「それで、これをね?」

 

「人生を半分かけちゃいましたよ……」

 

 レオンは苦笑した。八十年の寿命のうち四十年。五人で分け合ったとはいえ、全員四十年もの命を差し出したのだ。人生の半分。後半生のすべてを、この一瞬のために捧げた。

 

 けれど後悔はなかった。この選択のおかげで世界を救えたのだ。王都の人々は生き延び、子供たちの笑い声は消えなかった。それだけで十分だった。

 

 ところが。

 

「ふーん。じゃあ、面白いことやってくれたら、元に戻してあげるよ。ふふっ」

 

 シアンはニヤリと笑った。碧い瞳が悪戯っぽく輝いている。

 

「へっ!? お、面白いこと?」

 

「王都の人たち殺さないんでしょ? 何か別なこと叶えてあげるケド、それでなんか面白いことやってよ」

 

 その言葉にレオンは息を呑んだ。寿命を元に戻してくれる。そんな奇跡が、本当に可能なのか。

 

「へ? 何でも叶えてくれるんですか?」

 

「おぅ! 何だっていいよ。面白いことならね!」

 

 シアンは胸を張った。

 

「なんたって僕は全知全能の熾天使(セラフ)だからね。山も割れるし、黄金の山だって築けるよ? 世界征服でも、不老不死でも、何でもござれ!」

 

「す、凄い……」「ほわぁ……」

 

 少女たちが圧倒されたように声を漏らした。全知全能。何でも叶えられる。それは夢物語のような話だった。けれど魔の山を吹き飛ばした光景を見れば、それが真実だと分かる。彼女には本当に何でもできるのだ。

 

 レオンは静かに目を閉じた。

 

 何を願うべきか。何を望むべきか。

 

 胸の奥にずっと燃え続けている炎がある。幼い頃からずっと抱き続けてきた想いがある。追放され、裏切られ、すべてを失っても消えることのなかった一つの夢が。

 

 それは富でも、名声でも、権力でもなかった。もっと大きな、もっと途方もない、けれど誰よりも切実な願い。

 

「ぼ、僕は……」

 

 レオンはゆっくりと目を開けた。翠色の瞳に確かな意志の光が宿る。

 

「みんなが幸せに暮らせる世界を、創りたいんです」

 

 その言葉は静かだった。けれどその奥には、燃えるような情熱が秘められていた。

 

 王侯貴族に理不尽に支配され、多くの人が貧困にあえいでいる現実。借金のかたに奴隷として売られ、悲惨な目に遭っている人々。生まれた家柄だけで人生のすべてが決まってしまう世界。そんな社会をレオンはどうしても受け入れることができなかった。

 

 自分自身、奴隷に落とされかけたのだ。首に刻印を押され、人間としての尊厳を奪われる寸前だった。今こうして自由に生きていられるのは、たまたま運が良かっただけに過ぎない。そして運が悪かった人などごまんといるのだ。

 

 

 

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