【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度が限界突破!? ~戦闘力ゼロの追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と送る甘々ライフ~   作:月城 友麻

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211. 黄金の通路

「おぉ、もう抜け出したのか……あれ?」

 

 レオンは目を細めた。何かがおかしい。画面に映る光景に、違和感がある。

 

「金色が……多くないですか?」

 

「うーん……、確かにそうですね」

 

 サキサカも眉をひそめた。

 

「例年、この段階でこれほど差がつくことはないんですが……あれっ?!」

 

 サキサカが声を上げる。モニターに映し出された俯瞰(ふかん)映像を見て、レオンも目を見開いた。

 

 湖畔寄りのルートに、異様な光景が広がっていた。金色のエアモンばかりが走っているラインがくっきりと形成され、まるで黄金の川が流れているかのようだ。他の色のエアモンは、その道に近づくことすらできず、右往左往している。

 

「どうやら金色の道ができてますね」

 

「金色の道? 一体どういうことだ?」

 

 レオンは身を乗り出してモニターを凝視した。確かに、金色のエアモンだけがスムーズに駆け抜けていくルートが、明確に存在している。

 

「なんでこんなことに!?」

 

 レオンが素っ頓狂な声を上げると、サキサカは感心したように(あご)に手を当てた。

 

「あー、なるほど。ミーシャ様は考えましたね」

 

「え? どういうことですか?」

 

「自チームのガーディアンたちで道を作っているんですよ」

 

 サキサカは解説者の顔に戻り、淡々と説明を始めた。

 

「金色チームのガーディアンを一列に並べて通路を作っている。他チームのエアモンが近づこうとすれば即座に捕獲されますが、金色のエアモンは当然捕獲されない。そして、金色チームのエアモンたちをその安全な道に集中させているんです。いわば『黄金の通路』ですね」

 

「な、なんと……」

 

 レオンは額に手を当てた。

 

 あの腹黒聖女め。あの涼しい顔の裏で、こんなとんでもない作戦を練っていたのか。住民たちを組織的に動かし、事前に綿密な打ち合わせをしていなければ、こんな戦術は実現できない。おそらく何ヶ月も前から準備していたのだろう。

 

「アイツめ……そんなの違反じゃないんですか?!」

 

「ルール上は違反ではないですよ」

 

 サキサカは苦笑しながら首を振った。

 

「ガーディアンをどこに配置するかは各チームの自由です。他のガーディアンに物理的に干渉するのはルール違反ですが、この配置自体は何も問題ありません」

 

「うーん、違反じゃないんですか……」

 

 レオンは複雑な表情で頭を掻いた。ルール違反ではないが、明らかに想定外の戦術だ。来年からルールを改定すべきかもしれない。しかし今年は、もう手遅れだ。

 

「さすがと言うかなんと言うか……」

 

「むしろ、よく考えていると思いますよ」

 

 サキサカの声には、純粋な感嘆の色があった。

 

「戦場では、ルールの範囲内でいかに相手の裏をかくかが勝敗を分けます。ミーシャ様は、まさにそれを実践している。住民たちを組織的に動かし、事前に綿密な作戦を立て、完璧なタイミングで実行する。これは一朝一夕にできることではありません」

 

 サキサカの言葉に、レオンは黙り込んだ。

 

 確かに、その通りだった。ミーシャは単にずる賢いだけではない。自分の地区の住民たちを信頼し、彼らを導き、一つの目標に向かって結束させた。それは、リーダーとしての才能の証だ。

 

「しかし、これは他チームはたまりませんね」

 

 モニターには、困惑する他チームのガーディアンたちの姿が映し出されていた。金色の道を崩そうにも、他のガーディアンに干渉すればルール違反になってしまう。かといって放置すれば、金色のエアモンだけがどんどんゴールしていく。完全に裏をかかれた形だった。

 

「後半戦が荒れそうだな……」

 

 レオンは、どこかで燃え上がっているであろう三人の姿を想像しながら、乾いた笑いを漏らした。

 

 

 

         ◇

 

 

 その頃、王妃たちの控室では、まさに修羅場が繰り広げられていた。

 

「ちょっと! 何よこれぇ!!」

 

 ルナが真っ赤な顔でミーシャに食って掛かった。緋色の髪が怒りで逆立ち、吊り目気味の瞳には炎が宿っていた。

 

「あら? ルール違反じゃないのに何を怒っているのかしら? ふふっ」

 

 ミーシャは涼しい顔でコーヒーカップを傾けながら、聖女の微笑みを浮かべていた。しかしその空色の瞳の奥には、明らかに「してやったり」という光が宿っている。表向きは天然聖女、しかしその本性は極めて冷静な現実主義者にして腹黒。まさにミーシャの真骨頂だった。

 

「違反しなきゃ何してもいいってわけじゃないでしょ!?」

 

 シエルも憤懣やるかたない様子で、ミーシャをビシッと指さした。

 

「あらあら、シエルまで。こういうのも含めて【競技】だと思いますわよ」

 

 ミーシャは悪びれる様子もなく、優雅にコーヒーをすすった。

 

「知恵を絞り、戦略を練り、相手の裏をかく。それも実力のうちですわ。文句があるなら、来年はルールを変えたらいかがかしら? ふふっ」

 

 その言葉に、ルナとシエルはぐぬぬと歯噛みした。悔しいが、ミーシャの言うことは正論だった。

 

 

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