【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度が限界突破!? ~戦闘力ゼロの追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と送る甘々ライフ~ 作:月城 友麻
「いやいやいや、準備にはそれなりに時間がかかるので……」
レオンは必死に説得を試みた。これは無理だ。今すぐ大陸征服など、どう考えても不可能だ。兵站も、戦略も、何も整っていない。そもそも、自分はそんなことをしたくない。平和的に、対話によって、少しずつ世界を変えていく。それが、自分の選んだ道なのだ。
「何?」
シアンの目が、すっと細くなった。
その瞬間、空気が変わった。
「創造者である
全身からブワッと青いオーラが噴き出した。
それは可視化された殺意だった。周囲の空気が凍りつくような、圧倒的な威圧感が津波のように押し寄せてくる。レオンは呼吸すらできなくなった。肺が縮み上がり、心臓が握り潰されそうだ。
これが、神の怒りというものか。
「わ、分かりました。早速検討に入ります! はい!」
反射的に、そう答えていた。生存本能が、抵抗を許さなかった。
「検討?」
シアンの目が、さらに冷たくなった。
その碧眼には、もはや対話の意思などなかった。ただ純粋な怒りと、失望と、そして破壊衝動だけが渦巻いている。
「いいからそこにいる各国の王様ふんじばって宣戦布告しなさい!」
「へ? い、今すぐ実力行使ですか?」
「はぁっ? いつやるの? 今でしょ?」
「いや、準備は必要ですって……」
レオンはブンブンと手を振り、何とかこの無茶苦茶な命令をかわす方法を必死に考えた。しかし、何も思いつかない。頭が真っ白だ。恐怖で、思考が凍りついている。
シアンの要求を呑めば、自分の信念を裏切ることになる。「誰もが笑顔で暮らせる世界」を作るという夢を、自ら踏みにじることになる。
かといって、拒否すれば――。
「あーーそう……」
シアンの声が、ぞっとするほど冷たく響いた。
さっきまでの苛立ちは消えていた。怒りすらも、消えていた。
そこに残っているのは、純粋な殺意だけだった。
「口答えするような奴は、私の世界には要らないわ」
「……え?」
その言葉の意味を、レオンは一瞬理解できなかった。
要らない? この世界に? それは、つまり――。
「こんな国、ぶっ潰してやる!」
シアンはバッと右手を高々と掲げた。
シュォォォォ……。
空気を焼き焦がすような音とともに、その手の上に真っ青な輝きが生まれてくる。
最初は小さな光の粒だった。蛍火ほどの、儚い輝き。
しかしそれは、見る間に膨れ上がっていく。拳大になり、頭ほどになり――やがて、新たな太陽が現れたかのような激しい輝きを放ち始めた。
空気が焼ける。熱気が立ち上り、陽炎のように景色が歪む。湖面の水が蒸発し、白い蒸気が天高く昇っていく。
その熱量は、まさに世界を終わらせるに足るものだった。
十五年前、この湖を作った時と同じくらいのエネルギー。いや、それ以上かもしれない。あの時は、山を一つ吹き飛ばした。今度は、王国全体を消し飛ばすつもりなのだ。
「海のような湖にしてやるわ! きゃははは!」
シアンの笑い声が、高らかに響いた。
その声には、狂気が滲んでいた。いや、これは狂気ではない。神にとっては、これが日常なのだ。世界を創り、世界を壊す。人間にとっては終末でも、神にとっては庭の草むしり程度の行為に過ぎないのだ。
「みんな吹っ飛びなさい!」
「止めてーー!」
エリナが叫んだ。
ボロボロの体を引きずりながら、それでも立ち上がる。膝が笑い、視界が霞み、全身が悲鳴を上げている。それでも、倒れるわけにはいかなかった。
「ダメぇ!」
ルナが炎を纏いながら、最後の力を振り絞った。魔力はほとんど枯渇している。しかし、心の奥底から、怒りの炎が湧き上がってくる。こんなところで終わってたまるか。
「お待ちを!」
ミーシャが光の魔法陣を展開しようとした。聖女の祈りを込めて、最後の奇跡を起こそうとしている。しかし、手が震えて、魔法陣がうまく描けない。
「ごめんなさい!」
シエルが矢をつがえながら、涙声で叫んだ。何に謝っているのか、自分でも分からなかった。ただ、このままでは民が死ぬ。家族が死ぬ。それだけは、絶対に許せなかった。
四人は、もはや立っているのがやっとだった。
全身が痛み、魔力は枯渇し、武器は砕かれていた。普通なら、とっくに戦闘不能だ。
それでも、諦めるわけにはいかなかった。
民を、家族を、この国を守らなければならない。
たとえ相手が【神に連なる者】であっても。
たとえ勝ち目がゼロでも。
最後の瞬間まで、戦い続ける。
それが、王妃としての矜持だった。
シエルは渾身の力を込めて弓を引いた。銀閃の矢――全魔力を込めた最後の切り札。
ルナは残る全魔力を注ぎ込んで炎の槍を形成した。「竜殺し」の名に恥じない、最後の一撃。
ミーシャは両手からホーリーレイを放った。聖女の光が、シアンへと放たれる。
エリナは砕けた剣の柄を握りしめ、タックルをかまそうと突進した。素手でも、歯でも、爪でも、何でもいい。とにかく、あの光球を止めなければ。