【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度が限界突破!? ~戦闘力ゼロの追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と送る甘々ライフ~   作:月城 友麻

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218. 絶望のどよめき

 四方向からの、最後の攻撃。

 

 しかし――。

 

「コザカシイわ!」

 

 シアンは片手で光球を支えながら、もう一方の手で飛来する攻撃を次々と払った。

 

 銀閃の矢が弾かれる。炎の槍が消し飛ぶ。まるで虫を払うような、無造作な動き。

 

 だが、ミーシャのホーリーレイを払った瞬間――。

 

 ボン!

 

 予想外の爆炎が上がった。

 

 黄金の光が弾けた瞬間、真っ白な煙幕が広がり、シアンの視界を完全に塞いだのだ。

 

「くわっ!?」

 

 シアンが顔をしかめた。目に煙が入り、涙が滲む。

 

 これは、ミーシャが秘密裏に工夫し、改良していた煙幕型魔法だった。本来のホーリーレイに、閃光弾と煙幕の効果を付加したもの。「腹黒聖女」の異名は伊達ではない。本当は王妃たち向けに密かに準備していたのだが――。

 

 その一瞬の隙を、エリナは逃さなかった。

 

「そいやぁぁぁ!!」

 

 全身全霊のタックルが、シアンの腹部に突き刺さった。

 

「ぐほっ!!」

 

 さすがのシアンも、完全に不意を突かれた。視界を奪われた状態での、予想外の物理攻撃。思わずよろめき、体勢を崩す。

 

 そして、激光を放つ光球が――ポーンと弾き飛ばされた。

 

 青い太陽が、シアンの手を離れ、放物線を描きながら宙を舞う。

 

 ステージの方へ。

 

 百万人の、命の上へ――――。

 

 

         ◇

 

 

「えっ!?」「あぁっ!」「ひぇぇ!」「あ……」

 

 王妃たちの悲鳴が重なった。

 

 バチバチと、とてつもないエネルギーを孕んだ光球が、閃光を放ちながら墜ちていく。

 

 あんなものが着弾したら――。

 

 爆発エネルギーで王国は吹っ飛んでしまう。

 

 百万人の命とともに蒸発し、後にはクレーターしか残らないだろう。

 

 この美しい湖畔は、焦土と化す。

 

 タワーマンション群など跡形も残らない。

 

「あ、あぁぁぁ……」

 

 レオンは、時間が止まったかのように、その光景を見つめていた。

 

 自分のせいだ。

 

 自分が、シアンに逆らったから。

 

 自分が、無力だったから。

 

 みんなを、殺してしまう。

 

 次の瞬間――。

 

「なんじゃ、我? 我の出番なのか? もぅ……」

 

 聞き慣れた声が、どこからともなく響いた。

 

 レヴィアだった。

 

 金髪オカッパの少女姿のまま、渋い顔で宙をかけている。正装の赤いジャケットが煌めいた。

 

「こんな事させんなっつーんじゃ……。こっ、この辺か?」

 

 レヴィアは顔を歪めながら、光球の落ちてくる軌道上に立ちはだかると、指先で素早く宙を斬った。

 

 空間に、亀裂が生まれる。

 

 光が漏れ出すその裂け目を、ガバッと両手で必死に広げた。

 

 間一髪――。

 

 落下してくる光球を、その空間の裂け目に飲み込ませた。

 

 青い太陽が、異次元への隙間に吸い込まれていく。

 

「ドンピシャじゃ!」

 

 レヴィアは急いで裂け目を閉じた。

 

 刹那――。

 

 空が、真っ青な輝きに包まれた。

 

 はるか遠くの上空――数百キロも離れた宇宙空間に飛ばされた光球が、炸裂したのだ。

 

 そのエネルギーはすさまじく、まるで昼間のように辺り一面を眩しく染め上げた。太陽が爆発したかのような、圧倒的な輝き。

 

「くわぁぁ!」「うひぃぃ!」「ひゃぁぁ!」

 

 観客たちもその恐るべき力に震え上がり、目を覆いながら悲鳴を上げた。

 

 あれが、ここで炸裂していたら。

 

 全員が、あの光の中に消えていたのだ。

 

 

      ◇

 

 

 その閃光を浴びながら、シアンは仁王立ちしていた。

 

 髪が風になびき、シルバーのボディスーツが光を反射している。その怒りに彩られた姿は神々しく辺りを威圧する。

 

「何?」

 

 シアンの声が、低く響いた。

 

「あんたたち……ウザいんだけど?」

 

 その碧眼が、冷たく光る。

 

 さっきまでの遊び心は、完全に消え失せていた。

 

 そこにあるのは、純粋な怒りだけだ。自分に逆らう者への、絶対的な怒り。

 

 直後、シアンは全身から怒りのエネルギーを放った。

 

「はっ!!」

 

 青い衝撃波が、全方位に広がっていく。

 

 空気を震わせ、湖面を割り、すべてを薙ぎ払う破壊の波。

 

 四人の王妃たちは、その波に触れた瞬間、弾き飛ばされた。

 

 ぐわぁ! きゃぁ!

 

 まるで木の葉のように、湖面をゴロゴロと転がっていく。何度もバウンドし、水飛沫を上げ、ようやく止まった時には、もはや動くこともできなくなっていた。

 

 指一本、持ち上げる力も残っていない。

 

 意識だけが、かろうじて繋がっている。

 

 固唾を飲んで顛末を見守っていた観客席が、絶望のどよめきに包まれた。

 

 あぁぁぁぁ……。

 

 数十万人の悲嘆の声が、夕暮れの空に吸い込まれていく。

 

 終わりだ。

 

 すべてが、終わる。

 

 

 

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