【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度が限界突破!? ~戦闘力ゼロの追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と送る甘々ライフ~ 作:月城 友麻
四方向からの、最後の攻撃。
しかし――。
「コザカシイわ!」
シアンは片手で光球を支えながら、もう一方の手で飛来する攻撃を次々と払った。
銀閃の矢が弾かれる。炎の槍が消し飛ぶ。まるで虫を払うような、無造作な動き。
だが、ミーシャのホーリーレイを払った瞬間――。
ボン!
予想外の爆炎が上がった。
黄金の光が弾けた瞬間、真っ白な煙幕が広がり、シアンの視界を完全に塞いだのだ。
「くわっ!?」
シアンが顔をしかめた。目に煙が入り、涙が滲む。
これは、ミーシャが秘密裏に工夫し、改良していた煙幕型魔法だった。本来のホーリーレイに、閃光弾と煙幕の効果を付加したもの。「腹黒聖女」の異名は伊達ではない。本当は王妃たち向けに密かに準備していたのだが――。
その一瞬の隙を、エリナは逃さなかった。
「そいやぁぁぁ!!」
全身全霊のタックルが、シアンの腹部に突き刺さった。
「ぐほっ!!」
さすがのシアンも、完全に不意を突かれた。視界を奪われた状態での、予想外の物理攻撃。思わずよろめき、体勢を崩す。
そして、激光を放つ光球が――ポーンと弾き飛ばされた。
青い太陽が、シアンの手を離れ、放物線を描きながら宙を舞う。
ステージの方へ。
百万人の、命の上へ――――。
◇
「えっ!?」「あぁっ!」「ひぇぇ!」「あ……」
王妃たちの悲鳴が重なった。
バチバチと、とてつもないエネルギーを孕んだ光球が、閃光を放ちながら墜ちていく。
あんなものが着弾したら――。
爆発エネルギーで王国は吹っ飛んでしまう。
百万人の命とともに蒸発し、後にはクレーターしか残らないだろう。
この美しい湖畔は、焦土と化す。
タワーマンション群など跡形も残らない。
「あ、あぁぁぁ……」
レオンは、時間が止まったかのように、その光景を見つめていた。
自分のせいだ。
自分が、シアンに逆らったから。
自分が、無力だったから。
みんなを、殺してしまう。
次の瞬間――。
「なんじゃ、我? 我の出番なのか? もぅ……」
聞き慣れた声が、どこからともなく響いた。
レヴィアだった。
金髪オカッパの少女姿のまま、渋い顔で宙をかけている。正装の赤いジャケットが煌めいた。
「こんな事させんなっつーんじゃ……。こっ、この辺か?」
レヴィアは顔を歪めながら、光球の落ちてくる軌道上に立ちはだかると、指先で素早く宙を斬った。
空間に、亀裂が生まれる。
光が漏れ出すその裂け目を、ガバッと両手で必死に広げた。
間一髪――。
落下してくる光球を、その空間の裂け目に飲み込ませた。
青い太陽が、異次元への隙間に吸い込まれていく。
「ドンピシャじゃ!」
レヴィアは急いで裂け目を閉じた。
刹那――。
空が、真っ青な輝きに包まれた。
はるか遠くの上空――数百キロも離れた宇宙空間に飛ばされた光球が、炸裂したのだ。
そのエネルギーはすさまじく、まるで昼間のように辺り一面を眩しく染め上げた。太陽が爆発したかのような、圧倒的な輝き。
「くわぁぁ!」「うひぃぃ!」「ひゃぁぁ!」
観客たちもその恐るべき力に震え上がり、目を覆いながら悲鳴を上げた。
あれが、ここで炸裂していたら。
全員が、あの光の中に消えていたのだ。
◇
その閃光を浴びながら、シアンは仁王立ちしていた。
髪が風になびき、シルバーのボディスーツが光を反射している。その怒りに彩られた姿は神々しく辺りを威圧する。
「何?」
シアンの声が、低く響いた。
「あんたたち……ウザいんだけど?」
その碧眼が、冷たく光る。
さっきまでの遊び心は、完全に消え失せていた。
そこにあるのは、純粋な怒りだけだ。自分に逆らう者への、絶対的な怒り。
直後、シアンは全身から怒りのエネルギーを放った。
「はっ!!」
青い衝撃波が、全方位に広がっていく。
空気を震わせ、湖面を割り、すべてを薙ぎ払う破壊の波。
四人の王妃たちは、その波に触れた瞬間、弾き飛ばされた。
ぐわぁ! きゃぁ!
まるで木の葉のように、湖面をゴロゴロと転がっていく。何度もバウンドし、水飛沫を上げ、ようやく止まった時には、もはや動くこともできなくなっていた。
指一本、持ち上げる力も残っていない。
意識だけが、かろうじて繋がっている。
固唾を飲んで顛末を見守っていた観客席が、絶望のどよめきに包まれた。
あぁぁぁぁ……。
数十万人の悲嘆の声が、夕暮れの空に吸い込まれていく。
終わりだ。
すべてが、終わる。