【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度が限界突破!? ~戦闘力ゼロの追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と送る甘々ライフ~ 作:月城 友麻
激怒した
王妃たちは倒れ、民には何の力もない。
十五年間の夢が、希望が、努力が、すべてが――
レオンは、為す術もなく、その光景を見つめていた。
ごめん、みんな――。
◇
その時だった。
「ダメーー!」「やめてぇ!」「ケンカしないで!」「いやぁぁぁ!」
ロイヤル席のテラスから、女の子たちの声が響いた。
三歳くらいの小さな女の子、金髪、銀髪、赤い髪、黒い髪――四人の可愛い娘たち。
そう、レオンの娘たちだった。
みんな、ママそっくりの可愛い顔で、涙を流しながら必死に叫んでいる。そして、自分のエアモンたち――ふわふわの羽毛を持つシマエナガ型の小さな鳥を、シアンに向けて放った。
「いじめちゃダメなの!!」「ダメーー!」
その声は、数十万人の沈黙の中で、不思議なほど遠くまで響いた。
シアンは、僅かに眉をひそめた。
「何なのあんたたち?」
パタパタと必死に飛んでくるシマエナガたちを、つまらない物を見るようににらむと、手のひらから青い衝撃波を放って吹っ飛ばした。小さな鳥は光の粒子となって消え、女の子たちは「あぁ……!」と悲痛な声を上げた。
「は?」「え?」「そ、そんな……」
その瞬間――会場の空気が、変わった。
「酷い!」「横暴だ!」「ダメよ!」「許せない!」
観客たちが、一斉に立ち上がった。
恐怖はあった。震えは止まらなかった。しかし、それ以上に、怒りが込み上げてきた。小さな女の子たちの勇気が、彼らの心に火をつけたのだ。
百万匹のエアモンたちが、一斉にシアン目がけて飛び立った。
鳥型、コウモリ型、龍型、妖精型。大きいのも小さいのも、強いのも弱いのも。一年間大切に育ててきたパートナーたちを、住民たちは躊躇なく送り出した。
それは軍隊でもなく、統率された攻撃でもない。
ただ、「大切なものを守りたい」という純粋な想いの発露だった。
「何よあんたたち? やるの?」
シアンは呆れたように言いながら、手のひらから青い衝撃波を次々と放って吹き飛ばした。
凄まじい爆発が起き、前線のエアモンたちが光の粒子となって消えていく。
しかし、観客たちはひるまなかった。
消えたエアモンの飼い主たちは涙を流しながらも、控えのエアモンを召喚してさらに送り続けた。次から次へと、新しいエアモンたちが飛び立っていく。
エアモンたちはバーチャルな存在ではあるが、シアンもこのバーチャルな戦場に干渉している以上、それなりの影響を受けてしまう。百万匹の波状攻撃は、さすがの
次から次へと襲来するエアモンの大群に、シアンは徐々に押され始めた。視界を塞がれ、全身をつつかれ、動きを封じられていく。
「ちょっ……うっとうしいわね! 離れなさいよ!」
シアンは苛立ちを隠せなくなっていた。
◇
「今よ!」
ミーシャが叫んだ。
その声は、戦場に響き渡った。満身創痍でありながら、その空色の瞳には冷静な光が宿っている。腹黒聖女の異名を持つ彼女は、この絶望的な状況でも、勝機を見出そうとしていた。
「チャンス!」
シエルが残る魔力を振り絞って弓を構えた。銀色の光が、弓弦の上で揺らめいている。
「やるわ!」
ルナの全身から炎が噴き上がった。「竜殺し」の異名は伊達ではない。魔力が枯渇しかけていても、彼女の内なる炎は決して消えない。その炎は、怒りと、悲しみと、そして仲間への想いで燃え上がっていた。
「GO!」
エリナが駆け出した。砕けた剣の柄を握りしめ、漆黒の髪を風になびかせながら。剣聖と呼ばれる彼女の脚は、限界を超えてなお動き続ける。
四人の体はボロボロで、筋肉は悲鳴を上げている。魔力もほとんど残っていない。普通なら、とっくに戦闘不能だ。立っているだけで奇跡なのだ。
しかし、まだ動ける。
まだ戦える。
そして何より――民が命がけで作ってくれたこのチャンスを、無駄にするわけにはいかなかった。
百万匹のエアモンたちが、今もシアンに群がっている。一匹一匹は小さな存在だ。シアンにとっては、羽虫のようなものかもしれない。しかし、その羽虫たちは、自分の飼い主を、自分の国を、自分の世界を守るために、命がけで戦っているのだ。
その想いに、応えなければならない。
◇
シエルは最後の矢に全魔力を込め、シアンの顔面めがけて放った。銀色の軌跡が空を切り裂き、エアモンの群れの間を縫うようにしてシアンへと向かっていく。
ルナは炎龍を展開した。今日三度目の、そして最後の炎龍。もう、これ以上は出せない。出せばこの命が尽きるかもしれない。それでも、ルナは躊躇わなかった。緋色の炎が渦を巻き、龍の形を成していく。
エリナは砕けた剣の柄を握りしめ、シアンの懐に飛び込んだ。武器などなくてもいい。この拳で、この爪で、この歯で、食らいついてやる。