【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度が限界突破!? ~戦闘力ゼロの追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と送る甘々ライフ~   作:月城 友麻

219 / 219
219. シマエナガ、いけー!

 激怒した熾天使(セラフ)に抗うすべなど、もう何も残っていない。

 

 王妃たちは倒れ、民には何の力もない。

 

 十五年間の夢が、希望が、努力が、すべてが――熾天使(セラフ)に殲滅されようとしていた。

 

 レオンは、為す術もなく、その光景を見つめていた。

 

 ごめん、みんな――。

 

 

      ◇

 

 

 その時だった。

 

「ダメーー!」「やめてぇ!」「ケンカしないで!」「いやぁぁぁ!」

 

 ロイヤル席のテラスから、女の子たちの声が響いた。

 

 三歳くらいの小さな女の子、金髪、銀髪、赤い髪、黒い髪――四人の可愛い娘たち。

 

 そう、レオンの娘たちだった。

 

 みんな、ママそっくりの可愛い顔で、涙を流しながら必死に叫んでいる。そして、自分のエアモンたち――ふわふわの羽毛を持つシマエナガ型の小さな鳥を、シアンに向けて放った。

 

「いじめちゃダメなの!!」「ダメーー!」

 

 その声は、数十万人の沈黙の中で、不思議なほど遠くまで響いた。

 

 シアンは、僅かに眉をひそめた。

 

「何なのあんたたち?」

 

 パタパタと必死に飛んでくるシマエナガたちを、つまらない物を見るようににらむと、手のひらから青い衝撃波を放って吹っ飛ばした。小さな鳥は光の粒子となって消え、女の子たちは「あぁ……!」と悲痛な声を上げた。

 

「は?」「え?」「そ、そんな……」

 

 その瞬間――会場の空気が、変わった。

 

「酷い!」「横暴だ!」「ダメよ!」「許せない!」

 

 観客たちが、一斉に立ち上がった。

 

 恐怖はあった。震えは止まらなかった。しかし、それ以上に、怒りが込み上げてきた。小さな女の子たちの勇気が、彼らの心に火をつけたのだ。

 

 百万匹のエアモンたちが、一斉にシアン目がけて飛び立った。

 

 鳥型、コウモリ型、龍型、妖精型。大きいのも小さいのも、強いのも弱いのも。一年間大切に育ててきたパートナーたちを、住民たちは躊躇なく送り出した。

 

 それは軍隊でもなく、統率された攻撃でもない。

 

 ただ、「大切なものを守りたい」という純粋な想いの発露だった。

 

「何よあんたたち? やるの?」

 

 シアンは呆れたように言いながら、手のひらから青い衝撃波を次々と放って吹き飛ばした。

 

 凄まじい爆発が起き、前線のエアモンたちが光の粒子となって消えていく。

 

 しかし、観客たちはひるまなかった。

 

 消えたエアモンの飼い主たちは涙を流しながらも、控えのエアモンを召喚してさらに送り続けた。次から次へと、新しいエアモンたちが飛び立っていく。

 

 エアモンたちはバーチャルな存在ではあるが、シアンもこのバーチャルな戦場に干渉している以上、それなりの影響を受けてしまう。百万匹の波状攻撃は、さすがの熾天使(セラフ)にも無視できないものだった。

 

 次から次へと襲来するエアモンの大群に、シアンは徐々に押され始めた。視界を塞がれ、全身をつつかれ、動きを封じられていく。

 

「ちょっ……うっとうしいわね! 離れなさいよ!」

 

 シアンは苛立ちを隠せなくなっていた。

 

 

       ◇

 

「今よ!」

 

 ミーシャが叫んだ。

 

 その声は、戦場に響き渡った。満身創痍でありながら、その空色の瞳には冷静な光が宿っている。腹黒聖女の異名を持つ彼女は、この絶望的な状況でも、勝機を見出そうとしていた。

 

「チャンス!」

 

 シエルが残る魔力を振り絞って弓を構えた。銀色の光が、弓弦の上で揺らめいている。

 

「やるわ!」

 

 ルナの全身から炎が噴き上がった。「竜殺し」の異名は伊達ではない。魔力が枯渇しかけていても、彼女の内なる炎は決して消えない。その炎は、怒りと、悲しみと、そして仲間への想いで燃え上がっていた。

 

「GO!」

 

 エリナが駆け出した。砕けた剣の柄を握りしめ、漆黒の髪を風になびかせながら。剣聖と呼ばれる彼女の脚は、限界を超えてなお動き続ける。

 

 四人の体はボロボロで、筋肉は悲鳴を上げている。魔力もほとんど残っていない。普通なら、とっくに戦闘不能だ。立っているだけで奇跡なのだ。

 

 しかし、まだ動ける。

 

 まだ戦える。

 

 そして何より――民が命がけで作ってくれたこのチャンスを、無駄にするわけにはいかなかった。

 

 百万匹のエアモンたちが、今もシアンに群がっている。一匹一匹は小さな存在だ。シアンにとっては、羽虫のようなものかもしれない。しかし、その羽虫たちは、自分の飼い主を、自分の国を、自分の世界を守るために、命がけで戦っているのだ。

 

 その想いに、応えなければならない。

 

 

        ◇

 

 

 シエルは最後の矢に全魔力を込め、シアンの顔面めがけて放った。銀色の軌跡が空を切り裂き、エアモンの群れの間を縫うようにしてシアンへと向かっていく。

 

 ルナは炎龍を展開した。今日三度目の、そして最後の炎龍。もう、これ以上は出せない。出せばこの命が尽きるかもしれない。それでも、ルナは躊躇わなかった。緋色の炎が渦を巻き、龍の形を成していく。

 

 エリナは砕けた剣の柄を握りしめ、シアンの懐に飛び込んだ。武器などなくてもいい。この拳で、この爪で、この歯で、食らいついてやる。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

潜在力SSS級の『訳あり美少女たち』を拾ったら懐かれたので、神スキル【運命鑑定】で大陸最強に育成し、俺を追放した連中に『ざまぁ!』します(作者:月城 友麻)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

【速報】追放された俺、スキルが覚醒したので、訳あり美少女たちをプロデュースして最強パーティ作ります。▼戦闘力ゼロの鑑定士レオン。恋人、家族、仲間に裏切られ、人生ハードモードに突入した夜、未来の選択肢が全部視える神スキル【運命鑑定】に覚醒!▼導かれるままに出会ったのは、落ちこぼれ美少女たち!▼「別に…あんたを信じたわけじゃない」クール系剣士(潜在能力S級)▼「…


総合評価:253/評価:4/完結:185話/更新日時:2026年02月06日(金) 09:33 小説情報

現代に帰還したら、災厄級の従魔たちまで付いてきた~俺を溺愛するヤンデレ従魔たちの無双が晒された結果、魔王だと勘違いされて大バズりしています~(作者:むらくも航@書籍&コミカライズ発売中)(オリジナル現代/冒険・バトル)

少年『久遠カナタ』は転移した異世界から現代日本に帰還した。だが、現代では一日しか時間が経っておらず、色々と不思議な事が起こっていた。▼ダンジョンが出現していたこと。▼ダンジョン配信が流行していたこと。▼そして何より、異世界から従魔達が付いてきたこと。▼現代の魔物に比べ、最強の従魔達は明らかに過剰な戦力だ。従魔が暴走する度、主のカナタは勝手に崇められ、大きな注…


総合評価:210/評価:-.--/連載:57話/更新日時:2026年04月08日(水) 07:06 小説情報

異世界転生したので本物のくっころが見たい! ~悪役を演じているのに、なぜか女騎士たちがみんな俺に落ちていた~(作者:砂乃一希)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

あるところにくっころガチ勢がいた。▼収入のほとんどをくっころの漫画や同人誌に使い込むほどの筋金入り。▼しかしひょんなことから早死にしてしまい異世界転生することになる。▼異世界での名はジェラルト=ドレイク。▼剣が主流のこの世界でジェラルトが思ったのは……▼「この世界でなら本物のくっころが見れる!」▼しかもジェラルトは誰かのおこぼれではなく自分が悪役を演じて女性…


総合評価:355/評価:7.5/連載:45話/更新日時:2026年04月03日(金) 07:05 小説情報

学園で有名な『氷』の美人姉妹を助けたくらいで、俺の平凡な生活は変わらない……と、思っていた。(作者:沙悟寺 綾太郎)(オリジナル現代/恋愛)

 田舎から進学のために、都会へとやってきた少年 真壁 喜一。平凡、普通という言葉を愛する彼は、入学式の帰り道、ひょんなことからナンパされていた姉妹を助ける。しかし、その姉妹は、学園で有名な『氷』の姉妹だった。▼ 


総合評価:693/評価:7.54/連載:30話/更新日時:2026年02月17日(火) 16:08 小説情報

『死に戻り』しまくって助けたヒロインが、記憶を引き継いでいたので全員病んだ(作者:水葉わいん/わいん。)(オリジナル現代/恋愛)

ヒロイン全員が社長令嬢のギャルゲー。▼俺は、そのゲームの死亡エンドの寸前に転生した。▼だから、何度も死に戻りしながら、ヒロインを助けたら――結果、俺が壊れた。▼俺は、過度なストレスで、死に戻りしていた時の記憶を失った。▼逆にヒロインたちは、死に戻りしている時の記憶を全部引き継いでおり、俺が壊れていく様子をリアルタイムで見ており――▼結果、全員が死ぬほど病んだ…


総合評価:226/評価:-.--/連載:31話/更新日時:2026年03月06日(金) 20:15 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>