【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度が限界突破!? ~戦闘力ゼロの追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と送る甘々ライフ~   作:月城 友麻

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223. 神そのもの

 レオンは口をポカンと開けたまま、ステージの上で腰に手を当てて悦に入っている美奈を見つめる。

 

 あれほど圧倒的だった熾天使(セラフ)を、たった一人の女子大生が――指先一つで撃墜した。

 

 それは、もはや奇跡などという言葉では説明できない光景だった。

 

 彼女は、いったい何者なのだ。

 

 

       ◇

 

 

「おい! 何しとる! 行くぞ!」

 

 突然、レヴィアの声が響いた。

 

 彼女は宙を飛びながら放送席へやってくると、レオンの腕を掴み、そのまま空へと引っ張り上げた。

 

「あわわわ! い、行くってどこへ?」

 

「女神様のところじゃ」

 

「め、女神様って……へ?」

 

 レオンの思考が、再び停止した。

 

「まさかあの娘が?」

 

「まさかもクソもあるか。熾天使(セラフ)を倒せる方など、この宇宙であのお方しかおられんわい!」

 

 レヴィアの声が、震えていた。いつも飄々としている彼女が、明らかに緊張している。

 

「へ? な、なんで? 女神様が?」

 

「知らんわい! あのご尊顔、間違いなくヴィーナ様じゃ。この宇宙の創造神、シアン様の上司――真の神じゃ」

 

 レオンは混乱した。

 

 女神。

 

 この世界の最高神。

 

 シアンですら従わざるを得ない、絶対的な存在。

 

 そんな者が、なぜこんなところに? なぜ女子大生の姿で? なぜ収穫祭で歌など歌っていた?

 

 疑問が次から次へと湧き上がってくるが、考える暇はなかった。レヴィアに引っ張られるまま、レオンはステージへと降ろされた。

 

 美奈は――いや、ヴィーナは、チェストナットブラウンの髪を優雅に風に揺らしながら、厳かな雰囲気で微笑んでいた。

 

 さっきまでの「♡3じゃないなんて許せない」と喚いていた女子大生の姿はどこにもない。そこにいるのは、圧倒的な威厳と美しさを兼ね備えた、神そのものだった。

 

 レヴィアは美奈の前に降り立つと、うやうやしくひざまずいた。

 

「ヴィーナ様にご挨拶申し上げます」

 

 その声には、普段の軽薄さは微塵もなかった。純粋な敬意と、畏怖が込められている。

 

 レオンも慌ててレヴィアの真似をして、ひざまずいた。膝が震えている。呼吸が乱れている。この存在の前では、王という肩書きなど何の意味もなかった。

 

「あら、レヴィア。久しぶりよのぅ、息災か?」

 

 ヴィーナの声は、穏やかだった。しかし、その穏やかさの奥に、底知れぬ深淵が見え隠れしている。

 

「はっ! 日々、お力になれるよう、邁進しております!」

 

「ふむ、大儀であった。さらに励めよ?」

 

「ははぁ、御心のままに……」

 

 ヴィーナはにこやかにうなずいた。

 

「して、レオンとやら?」

 

 ヴィーナの鋭い視線が、レオンに向けられる。

 

 その瞬間、レオンは全身が金縛りにあったかのように動けなくなった。深淵な琥珀色の瞳に見つめられると、魂の奥底まで見透かされているような気がする。

 

「はっ!」

 

 レオンは何とか声を絞り出した。

 

 一体何がどうなっているのか、まったく理解できない。しかし、一つだけ確かなことがあった。

 

 この女性は、シアンを指先一つで葬り去った。

 

 この女性こそが、この宇宙の創造者――真の神なのだ。

 

「シアンはああ言ってたけど、私は割と気に入ってるのよ? この街……」

 

 ヴィーナは、穏やかな微笑みを浮かべながら言った。

 

「ありがたきお言葉……。でも、全て壊れてしまいました……」

 

 レオンは、悲痛な声で呟いた。

 

 天蓋(キャノピー)は砕け散り、アルカナタワーは折れて沈み、エアモンたちは消え、すべてのシステムが停止した。十五年間かけて築き上げたものが、一瞬で瓦礫と化したのだ。

 

 もう一度やり直すには、また十五年かかるかもしれない。いや、十五年で済むかどうかも分からない。あの頃の自分たちには若さがあった。情熱があった。今の自分に、同じことができるだろうか。

 

 絶望が、レオンの胸を締め付けた。

 

「あら、そんなことないわよ? ほら……」

 

 ヴィーナはそう言って、優雅に上空を見上げた。

 

 その仕草につられて、レオンも空を見上げる。

 

「……え?」

 

 そこには、見慣れた光景があった。

 

 雲の向こうに、いつもの天蓋(キャノピー)がゆったりと浮かんでいる。黄金に輝く『星に剣』の国章が、夕暮れの空に映えている。傷一つない、完璧な姿で。

 

「へっ!?」

 

 レオンは目を疑った。

 

 振り返ってアルカナタワーを見る。

 

 そこには、白亜の巨塔が夕暮れ空に屹立していた。壊れる前よりもさらに白く、さらに美しく、千メートルの高さを誇って立っている。折れた跡など、どこにもない。

 

「こ、これは……」

 

 言葉が出なかった。

 

 あれほどの破壊が、なかったことになっている。馬鹿な――――。

 

 まるで、時間を巻き戻したかのような事態にレオンは言葉を失った。

 

 

 

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