【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度が限界突破!? ~戦闘力ゼロの追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と送る甘々ライフ~   作:月城 友麻

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227. パパがいっぱい

「ちょっと待って! 今晩はあたしの番なんだけど?」

 

 突然、ルナがレオンの腕を引っ張った。緋色の髪が揺れ、吊り目がちの瞳がエリナを睨んでいる。

 

「いやいやいや、こないだ代わってあげたんだから今晩はボク! いいでしょ?」

 

 シエルがレオンの手を取った。銀髪が月光を受けて輝き、快活な笑顔が――しかし、目は笑っていない。

 

「何言ってるの? そんな、今晩じゃなくたっていいじゃない!」

 

 ルナが反論した。

 

「今晩でもいいでしょ!」

 

 シエルは一歩も引かない。

 

 するとミーシャがぬっと横から現れた。

 

 空色の瞳が、妖しく光っている。

 

「『仲良くできない娘はパス』ってルールがあるわよね?」

 

 聖女の微笑みを浮かべながら、しかしその声には有無を言わせぬ圧がある。

 

「だから今晩は私なの。うふふふふ……」

 

 そう言ってレオンをグッと自分の方に引っ張った。

 

「何それズルい!」

 

 ルナが叫んだ。

 

「ダメよ!」

 

 エリナが抗議した。

 

「昨晩あなただったじゃない!」

 

 シエルが指摘した。

 

「あー、聞こえなーい!」

 

 ミーシャは耳を塞ぐふりをしながら、したり顔で宣言した。

 

「今晩あたり授かりそうな予感がするのよね。女の勘っていうのかしら。ふふっ」

 

「ダメー!」「そうよ!」「ズルーい!」

 

 ハートに火がついてしまった四人は、レオンを四方から引っ張り合う。

 

「ちょ、ちょっと待って! 落ち着いて!!」

 

 レオンは悲鳴を上げた。このままでは体が四つに引き裂かれてしまう。

 

「あらあら、お盛んだこと」

 

 横から見ていたヴィーナが、くすくすと笑った。

 

「じゃあ、こうしてあげましょう。えいっ!」

 

 そう言って、指をくるっと回した。

 

 ボン!

 

 爆煙が上がり、視界が白く染まった。

 

「うわっ!」「キャァッ!」「何事!?」「きゃっ!」

 

 四人の王妃たちが、驚いて手を離す。

 

 煙が晴れた時――。

 

 そこには、レオンが四人いた。

 

「へ?」「へ?」「へ?」「へ?」

 

 白いスーツ姿の同じ格好のレオン四人は、口をポカンと開け、互いを見回した。

 

 自分が四人いる。

 

 同じ顔、同じ体、同じ服。

 

 鏡を見ているようで、しかし鏡ではない。

 

「明日の朝まで増やしておいたから、仲良くおやり」

 

 ヴィーナは悪戯っぽく笑った。

 

「「「「こんなのアリですか?」」」」

 

 四人のレオンが、一斉にヴィーナの方を向いて叫んだ。声まで重なっている。

 

「今晩くらいいいじゃない。明日にはまた一人に戻るから安心なさい」

 

 ヴィーナはグッとサムアップして見せた。神にとっては、人間を増やすことなど造作もないことなのだろう。

 

「じゃあ、私はこのレオン!」

 

 エリナが一番近くのレオンの腕を取った。

 

「私はこれ!」

 

 ルナが別のレオンに飛びついた。

 

「あなたこっち!」

 

 シエルが三人目のレオンの手を引いた。

 

「うふふっ!」

 

 ミーシャが四人目のレオンを抱きしめた。

 

 四人の王妃が、それぞれのレオンを確保する。その顔には、満足そうな笑みが浮かんでいる。

 

「あーっ! パパがいっぱい!」

 

 その声に振り返ると、いつの間にか子供たちが降りてきていた。

 

「わぁ!」「ぱぱぁ!」「やったぁ!」

 

 四人の姫君たちは大喜びで駆け寄り、それぞれのパパにしがみついた。

 

「パパ抱っこー!」「パパ遊ぼー!」「パパ大好きー!」「パパぁ!」

 

 すると、様子を見ていた他の子どもたちもワラワラとやってくる。

 

「パパいっぱいだぁ!」「わーい!」「それー!」

 

 レオンたちは互いに目を合わせ、渋い顔をしながら小さく首を振った。

 

 しかし、不思議と嫌ではなかった。

 

 四人の自分が、四人の妻とたくさんの子供たちに囲まれている。

 

 それは、幸せの形の一つなのかもしれない。

 

「さて、あんたたちはもういいわよ。お家に帰って休みなさい。後は私に任せて。ふふっ」

 

 ヴィーナはニヤリと笑った。その笑みには、悪戯っぽさと、そしてどこか母親のような温かみが同居していた。

 

「えっ? でも……」

 

 レオンたちは眉を寄せた。

 

 会場にはまだ数十万人の観客が残っている。彼らは今、不安と混乱の中にいるはずだ。熾天使(セラフ)が現れ、街が壊れ、そして直った。一体何が起きたのか、誰にも分からない。このまま放置していいのだろうか。

 

「いいから早くいたわってあげなさい。奥さんたちも、今日は本当に頑張ったんだから。ね?」

 

 その言葉に、レオンたちは顔を見合わせた。

 

 確かに、妻たちは満身創痍だ。シアンと戦い、何度も吹き飛ばされ、それでも立ち上がり続けた。今は気力だけで立っているようなものだ。

 

「……分かりました。お任せします」

 

 レオンたちは深々と頭を下げ、家族を連れてステージを後にした。

 

 最高神が『任せて』と、言っているのだ。任せる以外ない。

 

 ヴィーナは、その背中を見送りながら微笑んだ。

 

「さて……盛り上げちゃおうかしら。ふふっ」

 

 そう言うと、パチッと指を鳴らした。

 

 

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