【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度が限界突破!? ~戦闘力ゼロの追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と送る甘々ライフ~   作:月城 友麻

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35. 狂った神託

「皆様……」

 

 ミーシャが優雅な仕草で一歩前に出た。

 

 金髪が、さらりと揺れる。

 

 その動きは、まるで舞踏会で踊るかのように優雅だった。

 

「これは、神のお導きです」

 

 ぶわぁぁぁ――!と、黄金のオーラが、ミーシャから爆発的に解放される。

 

 まばゆい光が、まるで天使の降臨のように室内を包み込んだ。金髪が後光のように輝き、空色の瞳が慈愛に満ちて微笑む。

 

「あ、あなたは……」

 

 ガルバンの膝が震える。歴戦の猛者が、初めて見せる畏怖の表情。

 

「せ、聖女様?」

 

「そう、私は聖女……」

 

 ミーシャの演技は完璧だった。長年、教会の孤児院で生き延びるために磨き上げた、究極の小芝居。

 

 内心では(うふふ、騙されやすい人たちですわね)と毒づきながらも、表面は聖母のような微笑み。

 

「神は我々を、魔物殲滅のために遣わされました」

 

 両手を胸の前で組み、天を仰ぐ。

 

「神は告げられました。レオンとその仲間たちが、奇跡を起こすと……」

 

 その声は、まるで天上から響いてくるかのように荘厳だった。

 

「し、しかし……」

 

 ガルバンの声が、震えていた。

 

 理性と狂気の狭間で、激しく葛藤している。

 

 信じたい。

 

 この聖女の言葉を信じたい。

 

 でも、理性が叫んでいる。

 

 そんな奇跡など、あり得ないと。

 

「火山を噴火させるなど、人間にできることでは……」

 

 その時、エリナが一歩前に出た。

 

「できないと決めつけて、このまま死ぬんですか?」

 

 黒い瞳が、真っ直ぐにガルバンを見据える。

 

「座して死を待つのが、あなたたちの誇りですか?」

 

 その言葉が、老将の胸を突いた。

 

 ルナも小さな拳を握る。

 

「あたしたち、できるんですよ!?」

 

 緋色の瞳が、燃えるように輝いている。

 

 シエルも一歩前に出る。

 

「ボクたちを、信じてください」

 

 碧眼が、真っ直ぐにガルバンを見つめていた。

 

「奇跡は、信じる者にしか起こりません」

 

 四人の少女たちの瞳に宿る、純粋な決意――――。

 

 それは狂気かもしれない。

 

 でも、絶望よりは、遥かに美しい狂気だった。

 

「はっはっは! いいじゃねーか!」

 

 豪快な笑い声が、死の空気を切り裂いた。

 

 皮鎧に身を包んだ筋肉質の男が白い歯を見せて笑っている。

 

 Aランク剣士、ブラッド。

 

 砦最強にして、最も恐れられる狂戦士。その男が、愉快そうに肩を揺らしていた。

 

「どうせこのままじゃ全滅なんだぜ?」

 

 鼻を鳴らし、血に飢えた獣のような笑みを浮かべる。

 

「街からこんな死地に来てくれた可愛いお嬢さんたち、ありがとよ!」

 

 ブラッドの視線が、アルカナ一行を値踏みするように見渡す。

 

「見せてもらおうじゃねーか、その神業ってやつをよ!」

 

 ブラッドが、拳を握りしめた。

 

「ブラッド、お前まで……」

 

 ガルバンが信じられないという顔をする。

 

「なぁ指揮官殿」

 

 ブラッドの瞳が、剣のように鋭く光る。

 

「他に、どうやって勝つんだ?」

 

 単純な問い。だが、それは核心を突いていた。

 

「籠城か? 三百で三万を? 一日持つか?」

 

「……」

 

「突撃か? 一人で百体倒す計算だな。俺でも無理だ」

 

「……」

 

「逃亡か? 敵の方が速い。背中から喰われて終わりだ」

 

 一つ、また一つと、現実が突きつけられる。

 

 沈黙が、鉛のように重く垂れ込める。

 

 ガルバンは苦悶に歪んだ顔でレオンを睨みつける。

 

 額に浮かぶ脂汗。噛みしめた唇から、血が滲みそうなほど。

 

(三百の命を預かる身だ)

 

 砦の司令官として、街の十万人を守る最後の盾として、今まで幾多の決断を下してきた。

 

 だが、これはそう簡単に受け入れるわけにはいかない提案だ。

 

(いきなり現れた若造の、火山噴火という戯言に賭ける?)

 

 五十年積み上げてきた戦術眼が「馬鹿げている」と叫んでいる。

 

 歴戦の勇者としてのプライドが「恥を知れ」と囁いている。

 

 その時だった――。

 

 グォォォォォォ!

 

 大地を引き裂くような咆哮が、砦全体を揺らした。

 

 窓が震え、天井から砂埃が落ちてくる。

 

 窓の外、黒い津波のような魔物の群れが、集落を次々と飲み込んでいく。いよいよ本隊が到達し始めたのだ。

 

「き、来た!」

「どどど、どうすんだよぉぉぉ」

「もう終わりだぁ!」

 

 兵士たちの悲鳴が、恐怖の連鎖となって広がっていく。

 

「くっ!」

 

 ガルバンは奥歯をかみしめる。落ちる士気、圧倒的な魔物の圧。もはや奇跡でしかこの状況は変えられない。

 

「……いいだろう」

 

 深い溜息が、諦めと決意を運ぶ。

 

「犬死にするくらいなら」

 

 皺だらけの手が震えながら差し出される。五十年の戦歴で、初めて見せる震え。

 

「その狂った神託に、三百の命を賭けてやる」

 

 崖っぷちで差し出された、最後の藁を掴む手。

 

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