【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度が限界突破!? ~戦闘力ゼロの追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と送る甘々ライフ~   作:月城 友麻

51 / 217
51. 恐るべき試練

「グハァ!」

 

 オーガジェネラルが苦痛の咆哮を上げ、思わず膝をつく。巨体が、地響きと共に傾いた――。

 

 だが、エリナはそこで止まらなかった。

 

(今よ! 決める!!)

 

 倒れかけた巨体を一気に駆け上がる。黒髪が朝日を受けて流れ、舞った。

 

 オーガジェネラルはエリナを振り払おうとしたが、その動きすら読んでいたエリナは、華麗にかわしながら首筋に剣を突き立てる――。

 

 グェッ!

 

「はぁぁぁぁぁ!!」

 

 全身全霊を込めて剣を引く。五年分の悲しみと、五年分の怒りと、そして今日生まれた希望の全てを、この一撃に込めて。

 

 ザシュッ!

 

 刹那、首は一刀両断された。

 

 巨大な頭部が、ズン! と墜ち、地面を転がる。ゴロゴロと。

 

 邪悪な瞳から光が消えていく。最後の瞬間、その瞳に映っていたのは、黒髪の少女の凛とした姿だった。

 

 ポゥ!

 

 エリナの全身が虹色の光に包まれた。

 

「え……?」

 

 ボスを撃破した功績が、神々の祝福となって降り注ぐ。温かい光が全身を包み込み、新たな力が体の奥底から湧き上がってくる。

 

 その姿を見つめる兵士たちは、言葉を失っていた。

 

「あの娘が……倒した……」

「Sランクの魔物を……」

「まさか、伝説の……剣聖?」

 

 朝日を背に、虹色の光に包まれて立つ黒髪の少女。その姿は、まさに伝説の中から抜け出してきた英雄そのものだった。

 

 ブラッドが、複雑な表情でエリナを見つめる。そこには嫉妬と畏敬、そして諦観が入り混じっていたが、同時に、純粋な喜びもあった。

 

 自分を超える才能が、目の前で花開いた。

 

 それは、導いた者として、これ以上ない誇らしい瞬間だった。

 

「エリナ……」

 

 ブラッドが歩み寄り、その肩に手を置く。

 

「見違えた……悪くない。もう、俺が教えることなど何も無いな。はっはっは!」

 

 豪快な笑い声が、朝の空に響き渡る。

 

「あ、ありがとうございます……」

 

 エリナは目を潤ませながら頭を下げた。

 

 認められた。

 

 ようやく、認められた。

 

 五年前、全てを失った日から、ずっと求めていたもの。自分には価値があると、自分は強くなれると、誰かに認めてもらいたかった。

 

 その願いが、今日、ようやく叶った。

 

(レオン……私、やったよ……)

 

 心の中で、遠くにいるはずの軍師に語りかける。

 

(あなたが信じてくれたから、私は戦えた。あなたがいてくれたから、私は強くなれた)

 

 朝日が噴煙の間から顔を出す――――。

 

 黄金の光が、戦場を照らした。

 

 隘路に散らばる魔物の死骸。見れば、オーガジェネラルの死に混乱した魔物たちが隘路で群衆雪崩を起こし、自滅している。統率を失った群れは、もはや烏合の衆に過ぎなかった。

 

 こうして、スタンピード討伐戦は『アルカナ』の奇跡的な活躍により、完全勝利を収めたのだった。

 

 だが、これは始まりに過ぎない。

 

 『アルカナ』の名は、この日を境に、畏怖と共に大陸中に轟くことになる。火山を目覚めさせ、三万の魔物を灰に変え、Sランクの魔物を新人の少女が一刀のもとに斬り伏せた。

 

 その噂は、風よりも速く広がっていくだろう。

 

 英雄か、災厄か。

 

 救世主か、破壊者か。

 

 その答えを知る者は、まだいない。

 

 ただ、朝日に照らされた黒髪の少女の姿だけが、この日、確かに歴史に刻まれたのだった。

 

 

       ◇

 

 

 井戸のように深くなった避難所で、火山弾から身を守っていた三人――――。

 

 噴火もようやく落ち着いてきた頃だった。

 

 ポゥ……。

 

 突如、三人の身体が虹色の輝きに包まれる。それはまるで天界から降り注ぐ祝福の光のようで、薄暗い穴の中を神々しく照らし出した。

 

「えっ?」

 

「こ、これは……?」

 

 驚きに目を見開く少女たちの横で、レオンの視界にいきなり文字が浮かんだ――――。

 

 

【ストーンウォール死守】

【ミッション・コンプリート】

【オメデトウ!】

 

 

「おぉ! やったぁ! エリナもボスに勝ったみたいだ!」

 

 レオンの顔がぱっと明るくなる。

 

 仲間が無事に困難に打ち勝ち、十万の命が救われた。その事実が、何よりも彼の胸を熱くした。

 

 エリナは、きっと立派に戦ったのだろう。冒険者として行き詰まり、打ちひしがれていた少女が、Sランクの魔物を相手に、一歩も引かずに戦い抜いたのだ。

 

 みんな、変わった。

 

 みんな、強くなった。

 

 その成長を見届けられたことが、レオンには何よりも嬉しかった。

 

「凄い……」

「見事ですわ……」

 

 ルナとミーシャも心から喜びの声を漏らす。

 

 だが――その声音には、どこか甘い響きが混じっていた。戦いの興奮が冷めやらぬ中、二人の瞳は潤んで、頬は紅潮している。

 

「じゃあ、そろそろ帰ろう」

 

 レオンは何気なく立ち上がろうとした。

 

 実のところ、この窮屈な避難所から一刻も早く逃げ出したかったのだ。美少女二人と身を寄せ合い続けるという、夢のような、しかし同時に拷問のような時間は、さすがに限界に達していた。

 

 狭い穴の中で少女たちの柔らかな体温が、服越しに伝わってくる。甘い香りが鼻腔をくすぐり、時折聞こえる吐息が耳をかすめる。

 

 十八歳の男にとって、これ以上の試練があるだろうか。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。