【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度が限界突破!? ~戦闘力ゼロの追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と送る甘々ライフ~   作:月城 友麻

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59. 沈まなかった『沈没船』

 レオンは、そんな少女たちの姿を見つめながら、静かに涙を流した。

 

 たった数日前、全てを失った。

 

 仲間に裏切られ、恋人に捨てられ、家族に見放され、奴隷寸前にまで追い込まれたあの日――ギルドの冷たい床に転がって、自分の人生は終わったと思った。

 

 だが今、新しい仲間と共に、英雄として凱旋している。

 

 運命は、確かに変えられたのだ。

 

 もちろんそれは【運命鑑定】のおかげではある。だが、それだけではない。

 

 この少女たちが自分の限界を超え、未来をつかみ取ってくれたから。

 

 一人では、何も成し遂げられなかった。でも、五人なら。このアルカナなら、運命すら覆すことができる。

 

 レオンは涙を拭い、窓の外の群衆に手を振った。

 

 今、素敵な仲間とともに大勢の人に祝福され、明るい未来への確かな手ごたえを感じていた。

 

 

        ◇

 

 

 馬車が冒険者ギルドの前に到着すると、そこには更なる群衆が待ち構えていた。

 

 ギルドの前の広場は、人で埋め尽くされている。身動きが取れないほどの人々が、馬車の到着を今か今かと待っていたのだ。

 

 ギルドマスターが、涙を流しながらアルカナを迎える。あの厳格な顔が、今は感動で歪んでいた。

 

「よくぞ……よくぞ帰ってきてくれた!」

 

 その声は震えていた。十万の命を守ってくれた若者たちへの、心からの感謝が滲んでいる。

 

 その横には、かつて『アルカナ』を嘲笑っていた冒険者たちが、頭を下げて立っていた。

 

「すまなかった!」

「俺たちが間違っていた!」

「あんたらこそ、本物の英雄だ!」

 

 彼らの顔には、羞恥と後悔、そして純粋な尊敬が浮かんでいた。落ちこぼれだと馬鹿にしていた者たちが、自分たちには到底できないことをやってのけた。その事実を、彼らは素直に認めていた。

 

 五人は馬車から降り立つ。

 

 うぉぉぉぉ!

 

 その瞬間、歓声が上がり、街中から割れんばかりの拍手が沸き起こった。

 

 地鳴りのような歓声。雷鳴のような拍手。空気そのものが震えているかのような、圧倒的な熱狂。

 

 レオンたちはその迫力に一瞬気おされ、お互い顔を見合わせる。

 

 たった数日前、この同じ場所で馬鹿にされていたのだ。「落ちこぼれパーティ」と嘲笑われ、「自殺行為だ」と罵られていた。

 

 それが今、英雄として讃えられている。

 

 その変化があまりにも劇的で、現実感が湧かない。

 

 しかし、クスッと笑いあうと、みんなにっこりと笑いながら群衆に向かって大きく手を振った。

 

 うぉぉぉぉぉ! わぁぁぁぁ!

 

 花吹雪が舞い、魔法の光が空を彩り、ひときわ大きな歓声が天まで届く。

 

 レオンは、隣に立つ四人の少女たちを見つめた。

 

 シエルが涙を流しながら手を振っている。ミーシャが聖女の微笑みではない、本物の笑顔を浮かべている。ルナが照れくさそうに頬を染めながら、それでも嬉しそうに群衆に応えている。エリナが、クールな表情の奥で、確かに微笑んでいる。

 

 この少女たちと出会えて、本当に良かった。

 

 心の底から、そう思った。

 

 だが、これは終わりではない。

 

 始まりなのだ。

 

 これから先、どんな運命が待ち受けているのかは分からない。新たな敵が現れるかもしれない。より困難な試練が待っているかもしれない。

 

 それでも、この仲間となら乗り越えられる。

 

 レオンはそう確信しながら、青く澄み渡った空を見上げた。

 

 花びらが舞い、歓声が響き、そして未来への希望が、胸の奥で静かに燃えていた。

 

 

      ◇

 

 

 だが、この凱旋を忌々しそうに睨む者たちがいた。

 

 レオンを追放した『太陽の剣』のリーダー、カインとセリナである。

 

 二人は少し離れたカフェの二階のテラスから、花吹雪の舞う凱旋パレードを見つめていた。歓声と拍手に包まれた通りは、まるで祭りのような熱狂に満ちている。

 

 だが、カインの目には、その光景が地獄絵図のように映っていた。

 

「ケッ! たまたま火山が噴火しただけで英雄気取りかよ!」

 

 吐き捨てるように言う。だが、その声は震えていた。

 

「ラッキーだけの新人の小娘たち……。あームカつく!」

 

 セリナも眉を吊り上げて毒づく。栗色の髪が、苛立ちで揺れた。

 

 カインたちはスタンピードの報を受けた時、なんと、我先にクーベルノーツを逃げ出していた。

 

 Aランクパーティのリーダーとして、街を守るべき立場にありながら、真っ先に逃げ出したのだ。三万の魔物が迫っていると聞いた瞬間、カインの頭に浮かんだのは「沈没船からは逃げねば」という計算だけだった。

 

 英雄として散るなんて馬鹿のやること。命あっての物種だと、カインたちは街を後にした。

 

 だが昨日、いきなり魔物全滅の報を受けて、慌てて戻ってきたのだ。

 

 まさか、と思った。

 

 三万の魔物が、たった一夜で全滅するなど、あり得るはずがない。何かの間違いだ。誤報だ。そう信じたかった。

 

 しかし――それがレオンたちのパーティの成果だと聞いた瞬間、カインとセリナに戦慄が走った。

 

「あの無能にこんなことできるわけがない」

 

 カインは唸るように言った。

 

 

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