【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度が限界突破!? ~戦闘力ゼロの追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と送る甘々ライフ~   作:月城 友麻

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69. ピョンと飛び込む

「そうだね、あの人たちとやっていくのは大変そうだ」

 

 レオンもため息をつく。

 

 謁見室で感じた、あの居心地の悪さ。貴族たちの冷たい視線。嘲笑。敵意。

 

 貴族社会で生き抜くには、戦闘力だけでは足りないのだ。

 

 それに、【運命鑑定】は、貴族になるためのアドバイスをしてこなかった。それはつまり、大いなるビジョンの実現には『貴族にならない方がいい』という判断があるのだろう。

 

 無理に貴族社会に食い込むより、自分たちのやり方で道を切り開く。

 

 それが、正しい選択なのかもしれない。

 

 レオンは、四人の少女たちを見回した。

 

 王侯貴族たちに軽んじられても、めげない。

 

 むしろ奮起して、より強くなろうとしている。

 

 その姿に、レオンは胸が熱くなった。

 

 大切なのは、この仲間たちと一緒にいること。

 

 認められなくても、讃えられなくても、彼女たちがそばにいてくれる。それだけで、十分だった。

 

「よし、じゃあ決まりだな」

 

 レオンは立ち上がり、拳を握った。

 

「貴族なんかにならなくていい。俺たちは俺たちのやり方で、世界一のパーティを目指す。いつか、あの王様が頭を下げに来る日まで」

 

「おー!」

 

「いいですわね!」

 

「やってやるわよ!」

 

「……うん」

 

 四人の少女たちが、笑顔で応える。

 

 その瞳には、希望の光が宿っていた。

 

 アルカナの物語は、まだ始まったばかりだ。

 

 そして、その未来は、誰よりも輝かしいものになる。

 

 レオンは、そう確信していた。

 

 

        ◇

 

 

 翌日、一行は不動産屋に連れられて洋館の内見に来ていた。

 

 宿屋では守れない――そう判断したレオンは、家を借りることにしたのだ。

 

 アルカナを狙う勢力が確実に動き始め、すでに襲撃も受けている以上、喫緊の課題である。

 

 いくら【運命鑑定】が予見してくれるとしても、馬小屋の藁の中に女の子たちを隠すわけにはいかないのだ。

 

「どうですか? これは出ものですよ?」

 

 不動産屋のおじさんはヒゲを撫でながら、自慢げに二階建ての広い屋敷を紹介した。

 

 リフォームしたばかりという瀟洒(しょうしゃ)な作りで、内装も一新され、とても快適そうだ。石造りの堅牢な外壁、重厚な木製のドア、そして手入れの行き届いた庭――どこを見ても、一流の職人の仕事だと分かる。

 

 白い石の壁が午後の陽光を受けて柔らかく輝き、窓枠には繊細な装飾が煌めいていた。

 

「うわぁ、素敵……」

 

 シエルが思わず声を漏らした。その碧眼が、まるで宝石を見つけた子供のように輝いている。

 

「いいね! いいね!」

 

 ルナも緋色の瞳をキラキラさせながら、あちこちを見回している。

 

「うん、悪くない!」

 

 エリナは窓の作りや庭木の具合を慎重に見まわし、侵入者に対する守りやすさを確認してうなずいた。

 

「アルカナにふさわしいわ……」

 

 ミーシャが優雅に微笑む。空色の瞳が、満足げに細められていた。

 

 女の子たちの表情を見て、レオンの胸が温かくなった。

 

 先日まで野宿を繰り返していた彼女たちには、この屋敷はまさに別世界に見えているのだろう。

 

 全てを失い、絶望のどん底にあった日々から死闘を越えて英雄へ。そして、たどり着いた白亜の屋敷。

 

 それはまさに輝かしいサクセスストーリーなのだ。

 

「では、中へどうぞ……」

 

 手ごたえを感じたおじさんは、営業スマイルで恭しく玄関へと案内する。

 

 

       ◇

 

 

 広いエントランスの奥にはダイニング、その隣は広大なリビングで暖炉も見える。

 

 高い天井には精緻なレリーフが施され、壁には風景画が飾られていた。大きな窓からは陽光が差し込み、室内を温かく彩っている。

 

 家具付きなので、テーブルやソファももう備わっていた。磨き上げられた木製のテーブル、ビロードの張られた椅子、そして窓辺には読書用の小さな机まである。

 

「うわぁ、ひろーい! ふふっ!」

 

 ルナはタタッと駆け出した。その赤髪が元気に揺れ、喜びが全身から溢れ出ている。

 

 普段は子供っぽく思われまいと強がっている彼女だが、こういう時は年相応の無邪気さを見せる。その姿が、レオンには微笑ましかった。

 

 妹が生きていたらこういう風だったかも……。

 

 レオンはふと、そんなことを思い出し、首を振った。

 

 亡くなった人のことを思い出しても仕方ない。ただ――ルナを見ているとなぜか妹のことが思い出されてしまう。

 

「あぁっ! ルナ! 走らないの!」

 

 エリナが注意するが、その声には厳しさがない。自分もそうしたい気持ちが分かるのだ。

 

 ルナはピョンとソファに飛び込む――。

 

「わぁ! ふっかふかよぉ!」

 

 ルナの身体が、上質なソファの柔らかさに包まれる。雲の上に寝転んでいるような、そんな感覚に彼女は目を輝かせた。

 

「私もー!」

 

 シエルも嬉しそうにルナの隣にピョンと飛び込んだ。

 

 公爵令嬢だった頃は、こんなはしたない真似は許されなかった。いつも背筋を伸ばし、優雅に振る舞わなければならなかった。

 

 でも今は違う。

 

 自由だ。

 

 誰の目も気にせず、好きなように振る舞える。

 

 

 

 

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