【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度が限界突破!? ~戦闘力ゼロの追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と送る甘々ライフ~   作:月城 友麻

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81. 心にしみる失敗作

 エリナは復讐のために剣の修行ばかりしてきた。

 

 ミーシャは孤児院で料理当番はあったが、言葉巧みに男の子たちにやらせてばかりだった。

 

 ルナは魔法学院で寮暮らし。

 

 シエルに至っては公爵令嬢で、料理など習ったことがない。

 

 それでも――。

 

「レオンのために、ちゃんと作らなきゃ」

 

 ルナが、真剣な表情で言った。

 

 いつものツンデレ少女の面影はなく、ただ純粋に、大切な人を想う少女の顔がそこにあった。

 

「……そうね」

 

 エリナが頷く。

 

 その黒曜石の瞳には、ただ誰かを想う温かさが揺れる。

 

「レオンは、私たちのために命を懸けてくれた。今度は、私たちがレオンを支える番よ」

 

 ミーシャの言葉に、全員が頷いた。

 

「じゃあ……も、盛り付けだけでも頑張りましょ?」

 

 シエルが不安げな顔で、作り笑いを浮かべる。

 

 四人の少女たちは、不器用ながらも、精一杯の愛情を込めて――料理に向き合った。

 

 

    ◇

 

 

 コンコン。

 

 昼過ぎ――扉をノックする音が響いた。

 

「レオン……入るわよ」

 

 エリナの声だった。

 

 返事をする気力もないレオンを気にせず、扉がゆっくりと開く。

 

 そこには、少女たち四人が立っていた。

 

 皆、どこか不安そうな、それでいて決意に満ちた表情をしている。

 

「あの……お昼、作ったの」

 

 シエルが、遠慮がちに言う。

 

 その手には、木のお盆。その上には、簡単な料理が乗っていた。

 

 目を引いたのは――焦げた肉だった。

 

 真っ黒に焦げた、もはや炭に近い何か。

 

 そして、不器用にガタガタに切られた野菜の煮物。大きさがバラバラで、煮込み時間も怪しい微妙な見た目をしている。

 

 お世辞にも、美味しそうとは言えなかった。

 

「あ、あの……私たち、料理とか、あんまり得意じゃなくて……」

 

 ルナが、真っ赤な顔で言い訳する。

 

 いつもの勝ち気な表情はどこへやら、今は恥ずかしさと申し訳なさでいっぱいの顔をしている。

 

「ごめんなさいね。もっと美味しく作れればよかったんだけど」

 

 ミーシャも、珍しく申し訳なさそうにうつむく。

 

 いつもの余裕ある笑みはなく、純粋に落ち込んでいるようだった。

 

「……食べなきゃ体に悪いわ。食べてよ?」

 

 エリナが、ぶっきらぼうに言った。

 

 その顔は、少し赤い。彼女なりに、精一杯の優しさを込めているのだろう。

 

 レオンは、ゆっくりと体を起こした。

 

 四人の少女たちを見る。

 

 皆、心配そうな、それでいて温かい眼差しを向けている。

 

 レオンの胸に、温かいものが込み上げてきた。

 

 ああ――。

 

 この子たちは僕のために不器用に、必死に。

 

 誰も料理なんてできないのに、それでも僕のために。

 

「……ありがとう」

 

 声が、震えた。

 

 お盆を受け取り、震える手でフォークを握る。

 

 焦げた肉を、口に運ぶ。

 

 硬い。

 

 そして、苦い。

 

 正直、料理としては失敗作だろう。

 

 だけど――。

 

「美味い……」

 

 涙が、こぼれた。

 

 こめられた気持ちが、嬉しくて。

 

 自分のことを想ってくれる人がいることが、嬉しくて。

 

 自分は一人じゃない。こんなにも、自分のことを想ってくれる仲間がいる。

 

 スキルを失っても、力を失っても――この絆だけは、失われていない。

 

「レオン……!」

 

 少女たちが、ベッドの周りに集まってくる。

 

「泣かないで……」

 

 シエルが、そっとレオンの手を握る。

 

 その手は温かくて、優しかった。

 

「私たちがいるから……」

 

 ルナが、涙目で言う。

 

 いつものツンデレはどこへやら、今は純粋に心配する少女の顔だった。

 

「レオンは一人じゃないんだから……」

 

 ミーシャが、優しく微笑む。

 

 それは計算された聖女の笑みではなく、心からの笑顔だった。

 

「……私たちを、信じて」

 

 エリナが、静かに言った。

 

 その黒曜石の瞳には、強い決意が宿っている。

 

 優しい言葉が、レオンを包み込む。

 

 温かさが、胸に満ちていく。

 

 レオンは涙を拭いながら、焦げた肉を――そして、ガタガタに切られた野菜を、一つ残らず食べた。

 

 こんなに心にしみる料理は、今まで食べたことがない。

 

 どんな高級料理よりも、どんな名店の味よりも――この不格好な料理が、何よりも美味しかった。

 

 温かい。

 

 心が、温かい。

 

 カインは「役立たずは追放」と言った。

 

 でも、この子たちは違う。

 

 力があろうとなかろうと、スキルがあろうとなかろうと――ただ、自分という存在を大切にしてくれる。

 

 それが、どれほど尊いことか。

 

 それで、どれほど救われることか。

 

 未来を視る力を失っても――この絆があれば、きっと道は開けるはずだ。

 

 自分にだって、できることがきっとある。

 

 今は道が見えないけど、絆があればきっと道は開けるのだ。

 

 

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