【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度が限界突破!? ~戦闘力ゼロの追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と送る甘々ライフ~   作:月城 友麻

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88. 出る杭は打たれる

(アルカナは……目立ちすぎた)

 

 Fランクの新人パーティが火山を噴火させて三万の魔物を殲滅し、伝説の魔獣コカトリスを一矢で射抜き、オーガジェネラルを剣一本で両断した。その噂は瞬く間に大陸中に広がり、猛者たちが『アルカナ』の名を知ったはずだ。冒険者ギルドのSランクパーティが、各国の騎士団が、魔塔の大賢者たちが、暗黒組織の首領たちが――世界中の凄いスキルを持つ者たちの注目を集めてしまったのだ。

 

 英雄として称賛する者もいるだろう。共闘を望む者も、スカウトしようとする者もいるだろう。けれど同時に、嫉妬する者も、利用しようとする者も、そして排除しようとする者も――確実に存在するはずだ。

 

「くぅぅぅ……」

 

 出る杭は打たれる。

 

(アルカナの快進撃を……快く思わない、高位スキル保持者が干渉してきた……!)

 

 そう考えれば全てが説明できる。【運命鑑定】が呪いを予知できなかったのは上位スキルによって操作されていたから。セリナが突然普通手に入らない呪具を手に入れたのは誰かが彼女に渡したから。タイミングよくカインの屋敷での決着の場でセリナが呪具を放ったのは、最も効果的なタイミングを誰かが計算していたから。全ては誰かが仕組んだことで、偶然ではなく必然、計画された周到な罠だったのだ。

 

(だとすると……次の手は――?)

 

 レオンの顔から血の気が引き、手が震え始めて背筋が凍りつく。答えは明白だった。

 

(女の子たちを……襲う!)

 

 【運命鑑定】を排除した今、次の標的は少女たちだ。剣聖の素質を持つエリナ、大賢者の素質を持つミーシャ、竜殺しの魔力を持つルナ、神弓の才能を持つシエル。四人とも世界を変えるほどの潜在能力を秘めており、その才能が開花すれば大陸最強のパーティになる可能性がある。それを敵は恐れているはずだ。

 

「まずい!」

 

 レオンはガバッとベッドから飛び起き、頭を抱えた。心臓が激しく波打ち、冷や汗が額から滴り落ちる。

 

(落ち着け……落ち着くんだ……!)

 

 深呼吸をして必死に思考を整理する。彼女たちは四人ともスタンピード戦で大幅にレベルアップし、今や並の冒険者では太刀打ちできないほどの実力者になった。Aランクのパーティに襲われても、そう簡単にやられはしないはずだ。

 

 ――でも。

 

(それでも……【運命鑑定】以上のスキルを持つ者が、対策をしてきたら――?)

 

 レオンの全身が恐怖で震える。未来を操るスキルなのか運命を書き換えるスキルなのか、その全容は知れない。けれどそんな力を持つ相手が本気でアルカナを潰しにかかったら、勝てる保証なんてどこにもないのだ。

 

「くっ……!」

 

 冷や汗がタラリと頬を伝って落ちた。女の子たちが狙われているというのに、自分にできることが何もない。ただの戦えない少年、血を見れば体が動かなくなる臆病者、妹を救えなかった無力な少年。

 

(また……また、守れないのか……!?)

 

 あの日の記憶が脳裏に蘇る。七年前のあの日、自分は何もできず、目の前で大切な人が消えていくのをただ見ていることしかできなかった。そして今、また同じことが繰り返されようとしている。

 

「ちくしょう!」

 

 レオンは枕にボスッとこぶしを叩きつけた。羽毛が舞い上がり、白い羽がまるで雪のようにゆらゆらと落ちていく。ギュッと唇を噛みしめると、口の中に血の味が広がった。

 

(僕は……どうすればいいんだ……!)

 

 答えは出ない。ただ静かな夜の闇だけが、レオンの苦悩を飲み込んでいく。街灯の仄かな光の中でレオンは独り、膝を抱えて震えていた。

 

 

       ◇

 

 

 夜更けまで悶々と考え続けたが、解決策など何一つ浮かばなかった。何度寝返りを打っても、答えは出ない。【運命鑑定】が無い今は、真っ暗な闇の中を手探りで歩くしかない。

 

 ただ襲撃に備えて日々慎重に過ごすしかないのだ。神経を研ぎ澄まし、少女たちから目を離さず、どんな小さな異変も見逃さないように、軍師として培った知識と経験を総動員してあらゆる可能性に備える。それが今の自分にできる精一杯のことだった。

 

 もちろんレオンを潰したことで彼らの目的は達成した可能性もある。【運命鑑定】という最大の脅威を排除できたのだから、もうこれ以上のアクションはないかもしれない。そうであって欲しいと心から願うが、その希望に縋るにはあまりにも危険が大きすぎた。

 

 ふぅ、と大きくため息をつくと、レオンはベッドから抜け出してリビングへと降りていく。このまま毛布の中で悶々としているより少しでも気を紛らわせたかった。

 

 

       ◇

 

 

 リビングに降りると、まだ暖炉には薪の熾火が残っていた。赤い炭が静かに呼吸をするように明滅し、その光が暗いリビングを仄かに照らしている。

 

 レオンが薪を数本そっと火の中に置くと、カラカラに乾いた薪がすぐに火を受け入れた。やがてパチッと薪が小さくはぜ、火花が舞い上がる。オレンジ色の光が天井に向かって踊り、リビングに温かな光が広がっていく。

 

 

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