九尾が逝く 呪術廻戦 (リメイク)   作:meigetu

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こんにちは、何気に数年ぶりの浮上となります。
以前の自分の小説を読んでいてもう少しうまくかけたのではないかと思い、リメイク版の投稿となります。
リメイク前とは内容がガラリと変わっているのでよろしくお願いいたします。


一話 境界が揺れる前夜

旧地獄の歓楽街。

地熱でむんむんする空気に、鼻を刺す硫黄の匂い。

巨大な洞窟の一角では、今日も鬼たちが景気よくどんちゃん騒ぎをしていた。

地底じゃあこれが日常だが、今日はそこに少し変わり者が混ざっていた。

 

「さ、張った張った! 半か、丁か!」

 

赤鬼が、ツボの中で二つのサイコロを鳴らしながら声を張る。

そこに紛れて座っているのは、場違いなほど整った容姿の女。

 

銀髪は流れるように長く、衣装は中華服を思わせる白のドレス。

背には純白の九つの尾――九尾の狐、八雲 緑である。

 

「じゃあ半で。」

 

指を鳴らすと、空間がぽっかり開き、でかい酒樽がドンと出現する。

周囲の鬼たちは「またやってんな」と笑って賭けに乗っていく。

 

「んじゃ……丁だ!」

 

ツボが開かれ、出た目は3と5。

 

「うわぁ、アタシ負けたー。」

 

と、緑はケラケラ笑いながら酒樽を胴元へ渡す。

九尾らしい妖しさより、鬼に混ざって遊ぶ悪ガキみたいな空気の方が強い。

 

そこへ、背後から豪快な声が降ってきた。

 

「相変わらず楽しそうだねぇ、妹分。あんたは地上だろうが地底だろうが騒がしい。」

 

振り向くと、星熊勇儀が立っていた。

周囲の鬼たちは一斉に背筋を伸ばし、「姉御、お疲れ様です!」と頭を下げる。

 

「お、勇儀ちゃん。せっかくだし姉御もやってく? 賭け事。」

 

「いや今日はいいや。どうも乗り気じゃない。代わりにどうだ、一献? 久しぶりの再会だろう。」

 

「一献で済むと思ってる?」

 

「鬼と飲むんだ、済むわけがないだろう。」

 

あっさり返され、緑は肩をすくめつつ笑った。

事件以降、勇儀とゆっくり飲む機会もなかったし、悪くない。

周りの顔見知りの鬼どもに手を振りつつ姉御と共にいつもの酒場へと向かう。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

いつもの酒場に移り、二人で杯を重ねはじめる。

 

「で、あれからどうなったんだ。」

 

「いやー……藍ちゃんと紫ちゃんにガツンと言われちゃってね。」

 

と、緑は頭を掻く。

 

「乗ったアタシが言うのも何だけどさ。よくあんな、とち狂った案を思いついたな。」

 

「だって楽しそうだったんだもん。」

 

「お前は昔っからそれだ。」

 

勇儀は呆れ半分、楽しそうに笑う。

緑は謹慎がようやく解けたばかり。

こうして堂々と酒を飲めるのが何より嬉しいらしい。

 

「まったく、鬼じゃないのに鬼らしい妖怪は、お前くらいだよ。」

 

「でしょ?」

 

緑が杯をあおると、その瞬間――

 

スキマが音もなく開いた。

 

「緑。何やってるの……?

用事が終わったらすぐ帰りなさいって言ったでしょう?」

 

紫が姿を現し、じとっとした目を向けてくる。

 

「いやいや、仕事はちゃんとしたし? ちょっと寄り道してもいいじゃない。」

 

と、緑は視線をそらす。

 

「古明地さとりに手紙は届けたと…」

 

「そうそう。で、勇儀ちゃんと会ったから今こうして一献温めてるわけ。ほら紫もどう?」

 

なみなみ注がれた杯を差し出す。

 

勇儀が続ける。

 

「まあまあ紫の姐さん。緑はもう仕事終わらせたんだ。少しくらい羽伸ばさせてやんな。久しぶりに顔合わせたんだし。」

 

「先々月も飲んでたでしょ、あんたたち……。

はぁ、もういいわ。」

 

文句を言いながらも紫は杯を受け取る。

 

「はぁ。」

 

といいつつ、彼女は一献傾けた。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

話が進むうち、勇儀がふと思い出したように言った。

 

「で、乗った私が言うのもあれだがなんで、妖怪の山に突っ込もうなんて考えたんだ。」

 

「いやぁ、あの天狗どもの顔がさぁ。最高だったでしょう?

河童なんて次の日から引きこもってんのよ? あれ見たらやめられないって。姉御も天魔(天狗の主)と戦えたのだし万々歳でしょ。」

 

緑が笑うと、紫は頭を抱えた。

 

「ほんとにもう……大変だったのよ。天狗は怒るし、河童は出てこないし。謹慎は完全に妥当よ。これには私が監視していなかったのがいけないのだけど。」

 

「えー。」

 

宴は盛り上がり、杯がいくつ空いたころか。

突然、紫が緑へ向き直る。

 

「そういえば、今日伝える予定ではあったけど緑。近いうちに地上に行ってもらうわ。」

 

緑は飲みかけの酒を一気に飲み干し、楽しそうに尻尾をふわりと揺らす。

 

「ふぅん。今回は何?」

 

紫の表情が少しだけ硬くなった。

 

「……人間たちの“呪い”が、変質し始めている。ここ数年幻想郷の結界が、揺らいでいるの。」

 

勇儀の眉がぴくりと上がる。

緑は短く息を吐き、にやりと笑った。

 

「面白そうじゃない。

退屈しのぎにはちょうどいいわ。」

 

そう言い緑は立ち上がる。

 

「よし、じゃあ行くか。」

「行くとしても来週以降ね。まだ、何の準備もしていないじゃない。」

 

と、笑いつつ三体の不思議な飲み会は幕を閉めた




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