九尾が逝く 呪術廻戦 (リメイク)   作:meigetu

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ちょっと間が空きましたが三話目です。
お気に入り登録10 ありがとうございます。
まだ原作が始まらない…


三話 幻想の日々

あれから、何回か夜の神社で出会い。

最終的には巫女のアルバイトという体で、お邪魔することになった。

中学生でアルバイトできるわけないだろうって。そこは……突っ込まないで。

 

前に言っていた“外の世界”の話は、あながち嘘じゃなかったらしい。

紫色のドレスをふわっと揺らす金髪の美人――八雲紫っていう大妖怪のお姉さんが教えてくれた。

 

科学技術が発展しすぎて、人の世に妖怪や神様がいられなくなった。

だから彼女たちは“こちら側”とは違う場所で暮らしているのだ、と。

というか、ここには美人しかいないのか?

幻の存在だからという一言で片付けるにはやっぱり納得できない。

 

というより、私自身。ツチノコを探していたのに、まさかそれ以上にオカルト?ある意味、神話に近い存在に会えるとは思いもしなかった。

で、そんな大層な妖怪たちの実情はというと……

 

 

学校終わり神社からマヨイガに行くとそこには、タブレットを持った緑様が困ったようにしている。

 

「どうししましたか?」

「せつこちゃん。Wifiつながらなくなった助けて―。」

 

と、例の九尾の尻尾を揺らす妖艶な美女――実年齢は数千歳の大妖怪――が、妙に情けない声で呼んでくる。初めて会ったときのあの底の見えない雰囲気はどこへやら、今目の前にいるのは “インターネットが使えないおばあちゃん” そのものだ。

 

「はーい、今何とかしますね。」

 

そう返事をしながらwifiが置いてある部屋へ向かう。

祝・マヨイガ、ついにインターネット開通。

いや、ほんとに何してるんだ私は。

 

原因はすぐ分かった。

 

「橙さま、コード抜けてるじゃないですか」

「ごめんにゃ。……あ、さっきこの機械とケンカしたのにゃ」

「ケンカ……?」

「そうにゃ。ぴかぴか光る生き物を倒したのにゃ」

 

そんな調子である。

 

巫女の仕事といえば、おみくじやお札の販売でもするのかと思っていた。

まさか、本物の御神体(しかも九尾)に直接奉仕するネットワーク担当兼雑用係になるとは、夢にも思わなかった。

しかし……本音を言うとすごく落ち着いて過ごせられた。

学校では、ツチノコといってもただただ白い目で見られた。だけど、ここだと本物もいるし、妖怪の専門的な解説までついてくる。

 

だからこそ想像以上に居心地がいい。オカルトの話をすれば、緑様は様々なものを見せてくれるし、何なら、氷の妖精というものを見ることもできた。

妖怪だらけの非日常なのに、どこか穏やかな日常が、ゆっくり積もっていった。

 

「藍様。こちらの煮物は火からおろしますね。」

「ああ、助かる。」

 

と、マヨイガにいるもう一体の八雲藍様に、声をかけつつ鍋を火からおろす。

今は夕食の準備。

隣にいる藍様の華麗な包丁さばきを横目に迷惑にならないよう次に必要なものを準備する。

藍様は、緑様と異なり非常にまじめな九尾の狐である。だからこそ、わかりやすいのだが。

 

『……で、近いうち天元に……』

『……なるほど……人の確…………』

『zzzzzzzzzz』

『……五条が生……た…………』

 

夕食前、紫様と緑様が雑談をしつつ将棋を刺されている。

横では橙様が寝ており、これがある意味日常であるのだと実感させられる。

 

「さつきさん、これを鍋に加えてください。」

「は、はい」

 

そんな日常が過ぎる日々が続き手間がかかる妖怪の相手をしつつ、夕食後、緑様から声をかけられた。

 

「そういえば雇ってから一か月よね。」

「あ、そうですね。」

 

なんやかんや、すでに一か月もたっていたのか。

特に違和感もなく続けていたな。

 

「はーいじゃあ、お給金です。20円ね。」

 

と、ポチ袋を渡される。

そこには達筆な字でお給金と書かれており、自身の名前も書かれている。

しかし、そこにはお札は入っておらず、まるでコインが一枚入っているようだった。

 

後ろを見ると、二十圓と書かれている。

 

「20円……」

 

とあきれからか声が出る。

20円では、うまい棒2本買えればいい方だろう。

一か月インターネットやら、なんやかんや付き合った身からすれば割に合わないように感じる。

 

「そうともそうとも、なかなかいい給金だと思わないかね。」

「そ、そうですね…」

 

と、生返事を返す。

何やら、紫様は笑っておられるのか扇子で口を隠しているし、藍様は飽きれた目でこちらを見ている。私自身もあきれてものも言えない。

緑様は、それを称賛と受けとったのか、追加で硬貨をはじいて渡してくる。

 

「おー、言うじゃないか我が弟子よ。これはボーナスの10円じゃよ。」

 

と、それを受け取る。

ふと硬貨を見ると――心臓が一瞬止まる。

 

いつもの軽い銅じゃなくて、ずっしり重い金色の輝き。

よく見ればそこには、

 

大日本・明治四年・十圓

 

なんて書いてある。

見間違いじゃないかと息をのむ。

 

「え、ちょっ……ほんとに……?」

 

思わずポチ袋の中も確認する。

カサリと出てきたもう一枚。

 

大日本・明治九年・二十圓

 

二十円。

十円。

 

……いや、違うでしょこれ。“価値”が。

 

スマホを震える指で開く。

検索する。

数字が跳ね上がる。

 

(……1100万……?)

 

膝が笑い始める。

さすがに声が裏返った。

 

「緑さん……これ……渡していいやつじゃないですって……!」

 

すると緑様は九尾をふわりと揺らして、あっけらかんと笑った。

 

「何よ大げさねぇ。あんた一ヶ月も働いてくれたんだから、そのくらい当然でしょ?」

「そういう問題じゃなくて!! 時代が違うんです!!」

 

泣きそうな声で叫ぶ私の後ろで、藍様がため息まじりに呟く。

 

「緑様。せつこ殿の世界での価値を確認してから渡してくださいと、何度言えば……」

 

紫様は近くにあった将棋の駒を弄びながらクスクス笑っている。

 

「まぁまぁ、若い子にとっては刺激が強かったかしらねぇ」

 

その横で、橙様は夢うつつのなか「にゃー……金ピカ……」と言っていた。

 

――こんな連中とあと何ヶ月も付き合うのかと思うと、頭が痛いような、でも不思議と悪い気はしない。

 

妖怪に囲まれたこの非日常の中で、私の日常は、今日もゆっくり積もっていく。




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