EVIL LIVE   作:烏丸英

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side魔法少女『大神怜仁という男について』

「どう思う? あの男、怪しくない?」

 

「あの男って、大神さんのこと? 何でも疑うのはよくないよ」

 

 出現したゴリラ魔人を浄化した日の夜、私は親友の亜門風花に気になったことを話していた。

 優しい風花はあまり人を疑ったりしないんだろうが、私は違う。素性のわからないあの男……大神怜仁に対して、不信感を抱いていた。

 

「だっておかしくない? 偶々この街にやって来たその日に魔人に出くわして、しかも名前以外は自分のことを語ろうともしないんでしょ?」

 

「立花さんも言ってたけど、何か事情があるんだよ。本人が話したくないなら、深く追求するのは止めておいた方がいいって」

 

「どこからどう考えても怪しいじゃない。もしかしたらあいつも悪魔の手先かもしれないのよ?」

 

「その可能性はゼロじゃないけど……私は、大神さんは悪い人じゃないと思う。私、見たから。大神さんがマスターと一緒に、瓦礫の下敷きになってた人たちを必死に助けようとしてたところを」

 

「それだけで信じるの? 悪魔や魔人が周囲からの信用を得るために善人を装うなんて、基本中の基本じゃない」

 

「それは、そうだけど……」

 

 風花は優しい。誰かを助けることを迷ったりしないし、ブライトとしての使命も一生懸命に果たそうと頑張っている。

 そういう風花と友達でいられることも、相棒として一緒に戦えることも誇りに思っているが、優し過ぎるところは欠点だとも思っていた。

 

「……上手く言えないけど、大神さんを見てると他人とは思えないっていうか、なんだかすごく不思議な感じがして……信じてあげたいって思っちゃうんだよね」

 

「肩入れし過ぎよ。あいつがどんな奴か完全にわかったわけじゃないんだから、警戒しておくに越したことはないわ」

 

「……うん」

 

 私の警告に対して、風花は寂し気にそう応えた。

 初対面であるはずの大神という男に肩入れし過ぎているその反応に違和感を覚えながらも、私はそれ以上は何も言わず、風花に考える時間を作る。

 

「火蓮ちゃんの言いたいことはわかるよ。でも、確実に悪人だって決まったわけじゃないんだからさ……」

 

「わかってるわよ。警戒しつつ、様子を見る。これでいいでしょ?」

 

 風花の言うことも一理ある。ブライトとして魔人を倒す使命があるとはいえ、誰も彼もを疑っていては身が持たない。

 頭ではそうわかっていても……私にはどうしても悪魔と魔人への憎しみを忘れることができなかった。

 

「火蓮ちゃん、大丈夫?」

 

「……ええ、平気よ。もう切るわね。また明日、学校で」

 

「うん。また明日ね」

 

 そんな私の態度から何かを察したであろう風花との会話を強引に切り上げ、ベッドに寝転がる。

 天井を見上げながら、今日出会った大神怜仁という男の顔を思い浮かべた私は、小さな声で呟いた。

 

「信じられるわけないじゃない。そんな、簡単に……」

 

 風花やマスターみたいに簡単に人を信じられたら、どんなに楽だろう。

 でも、私にはそれができない。できるはずがない。

 もしかしたら、あの男が魔人かもしれないと考えただけで……私の胸の奥で、憎悪の炎が燃え上がってしまう。

 

 いっそ本当にあの男が魔人で、この憎しみの炎を叩き込めたら楽だろうなと思いながら、私は戦いで疲れた体を休めるために静かに目を閉じるのであった。

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