視界が開ける。霧がかかったような頭の中が、徐々に徐々に開けていく。
そして完全に視界が晴れた時、目に映ったのは
俺の常識からは考えられない、様々な異形の人だった。
「…は?」
───────────────────
落ち着け、自分の状況を整理しよう。まず、まずだ。俺の名前を覚えているか?俺は何をしていた?なんでこんな所にいる?
俺の名前は古澄清一。たしか休日でゲームをしてて…いきなり、気づいたらここにいた。
意味がわからん、なんなんだよ。
周りを見渡すと、中世を思わせるような街並み。並ぶヨーロッパ風の建築物。中央通りなのだろうか、大量の人や亜人というべき人達が行き交っている。
まずもって、街中とはいえ何も知らない場所なんだぞ。更に日本に見えない街並みをしてるんだ。言葉が通じるのか…なんて考えてたら
「ねぇ人間さん。そんなところにぼーっと立ってどうしたの?」
「え、あぁ。すみません。邪魔でしたか」
「いやいや、構わんよ。こっちが気になっただけだからな!」
なんて、普通に会話する。
───普通に?
明らかにおかしいだろ。俺の耳から聞こえてくるのは、確実に日本語だ。なんで言語が通じてる?なんで会話が成立している?
「ねぇ、この人おかしいよ?」
「変だといえば変だが、見た目だけで言えば俺の方が珍しいだろう。彼はどこを見ようと完全に人間だぞ?」
「あの、変なことを尋ねて申し訳ないのですが、ここはどこでしょう?」
「ん?ここはルイナリアだ!セイワの冒険者の最前線と言っても過言ではない街だが…」
「ねぇ、きみ」
「あ、はい。なんでしょうか?」
「科学について、どう思ってる?」
「おい、それは…」
「黙って。小さい声で、応えて」
科学?変なことを聞く。というか見た目以上に発達してるのか?あとこの人達普通の人じゃねぇよ。
少しだけ冷静になって2人を見る。確実に2人とも爬虫類を思わせるような尻尾が生えてる。
男の人の方はかなりの巨体で羽根…というかもはや翼だろ。翼が生えていて、大半の人が持てるかかなり怪しい大斧を背負ってる。更に着てたら絶対動けないような鎧を着ている。
女の人の方はかなりの軽装で、小柄に見える。隣にいるのが2mはありそうな人だから、余計に。そんな中で尚目立つ黒い枝のような杖…でいいんだろうか。それを携えている。
そして2人とも、よく見たら首から黄色いネームプレートをかけている。
少し冷静になったとはいえ、未だに頭は混乱している。そんな状態だから、何も考えれずに質問に答える。男の、恐らく竜人が止めようとしてるのも気付かずに
「別に、何とも。でもなにかと便利ですよね」
「…やっぱり。」
「まさか、そういうことか?だとすれば初めて見るぞ、俺は…」
え、どういうことだ。なにかマズったか?俺今科学について聞かれただけだよな?そう焦っている中、こう聞かれる。
「この人、『ニールの民』だ。常識教えないと殺されちゃうよ」
「なんということだ…いや、このような珍しい体験は喜ぶべきだな!こういうのを求めてこの地に来たのだからな!」
「相変わらず楽観的というか、なんというか…私たちが大変なんだよ?」
「え、殺されるってどういうことです!?」
今のどこに殺される要素あったんだよ!俺普通に答えただけだぞ!?科学か?科学が悪いのか!?
「いやすまんすまん!だがここで話すには都合が悪い。1度我らの拠点に戻って話をしようか。それでいいだろう?」
「はぁ…いいよ。私も正直、聞きたいことあるしね」
「あ、ありがとうございます」
いい人たち…なんだろうか?なんか好奇心で生かされてるだけなんじゃないか?
「不安に思うだろう、それも仕方ない。とりあえず自己紹介といこうか。俺はギルス!誇り高きドラカルディアの戦士だ!」
「私はディーナ。ラケルの星術師だよ。よろしくね?」
「えっと、古澄清一です。よろしくお願いします…?」
これが、俺がこれからずっと世話になる人達との、最初の出会いだった。
感想、評価、お気に入り等よろしくお願いします!